――さて、7曲目の「春に落ちて」から3rdアルバム『rye』期に入ります。2018年のこの頃はレーベルや環境の変化もありましたが、鹿乃さんの中でも心境の変化などはありましたか?
鹿乃 この時期になってくると、今後のことについて考え始める時期になってきて。今後自分はどういった音楽をやりたいんだろう、どこまでできるんだろう、とか。シビアな話、メジャーは遊びじゃないので、聴いてくれる方々や一緒に頑張ろうって思ってくれる方々がいないと続けていけるものではないじゃないですか。与えられるままやってるだけじゃだめだな、自分でもっと考えてもっとしっかりしていかなきゃいけないなっていうのを考えながら制作していた時期になります。
――改めて自分自身のアーティスト性を模索する時期だと思うのですが、この『rye』の時期の曲から2020年の『yuanfen』の向けて、鹿乃さんの音楽性がより広がっていった気がします。
鹿乃 「自分の音楽ってなんだろう」とか「そもそも自分ってなんだろう?」みたいな、哲学期に入っていましたね(笑)。
――そうした哲学期を経て、田中さんとの全面的にタッグを組んだ『yuanfen』という作品が生まれていくわけですね。
鹿乃 そうですね。その間にsamfreeさんのトリビュートアルバム(『いつかの約束を君に』)を出させていただいたんですよね。デビュー当時にsamさんが「ベストアルバムを作りたい」っていう話をされていたのを聞いていて。「今、結構頑張ってるんだよね」とおっしゃっている志半ばで無念な形になってしまったんですけど(2015年に逝去)、それを知っていたのに知らないままでいるのが性格的にもやもやしてしまって……トリビュートアルバムという形で出させていただくことになったんです。そのあとに私自身が体調を崩していたのもあって、自分の中で「ここまでだな」と正直思ったんです。
――それが2019年のことですよね。キャリアをたたもうという考えがあったんですか?
鹿乃 samさんのアルバムを出すという目標も叶ったし、自分にできる限りのことはやったのかな、と思って。それで、そんな想いを抱えながらずっとデビュー当時からお世話になっているマネージャーさんと一緒にsamさんのご実家に「アルバム制作させていただきました」ってご挨拶に行ったんですね。そこでご家族の方とお話をさせていただいているなかで、自分はもうここまでかなって決めつけてるだけで、逃げようとしてたのかなあとか色々考えてしまって。帰りの新幹線でマネージャーさんに「ここから先の10年間、先の活動について私は、自分の音楽をやっていきたいし見つけたい。見つけられないのであれば、潔くここで辞めるまで考えてる」みたいな話をしたんです。
――なるほど……。
鹿乃 時期が夏だったのですが、大きな夏祭りとかぶっていて新幹線の中もそのお客さんでギュウギュウになっているなかで、東京に着くまで真剣な話をずっとしていました(笑)。
――なるほど。それを経ての、本作でいうところの「午前0時の無力な神様」へと繋がっていくわけですね。
鹿乃 はっきり「田中秀和さんにお願いしたいです、じゃなきゃ嫌です」ってマネージャーさんに言いました(笑)。「絶対お願いしてきてください」って。私、そこまで自己主張するタイプでもなかったんですけど、黙ってるだけじゃ何も変わらないしやりたいことはやりたいって言わなきゃだめだなと思って。
――そうして出来た『yuanfen』からは「午前0時の無力な神様」のほかに「罪と罰」も収録されています。この2曲が特に重要だったんですね。
鹿乃 重要でした。「午前0時の無力な神様」が「ここから変わるよ」という、これを今後の活動の道標にするというか。この先自信がなくなったときに、この楽曲やこのアルバムを制作できたから自分は大丈夫、って思えるものにしようという気持ちを込めて作詞をしたんです。
――ある種以降の作品の中にも、自分自身を問うような作風も見られますが、まさに現在の鹿乃さんを記す楽曲であり、アルバムになったと。
鹿乃 多分、私が自問自答しなくなったら何も面白みのない人間になってしまう気がします(笑)。考えてるから常に前に進んでいけるのかな、とは思っているので。
――そして『鹿乃BEST』の13曲目から16曲目は、そこからデビュー前に遡って、初期のカバー曲がリマスタリングされて収録されています。鹿乃さんの名が注目されるきっかけになった「ハロ/ハワユ」がありますが、カバーの選曲も苦労されたのでは?
鹿乃 すごく悩みましたね。どれもやっぱりカバーさせていただいているものはとても大好きなものなので、甲乙つけがたいというか。ただ一番最後の「心做し」だけは、アルバムの最後に収録させていただこうとは思っていて。この楽曲は“それはね、ここにあるよ”という歌詞で終わってるんですけど、この部分にこのアルバムへの意味を込めました。なので「ハロ/ハワユ」と「心做し」については決まっていたんですけど、残りの2曲はすごく迷いましたね。
――厳選に厳選を重ねての「アイロニ」と「六兆年と一夜物語」であると。ちなみに10年以上前の自分の声を聴いた感想は?
鹿乃 いやー、身悶えましたね(笑)。
――身悶えましたか(笑)。
鹿乃 「あれっ、声が若いな」と思って(笑)。録り直したい気持ちもあったのですが、このときはこのときなりの一生懸命さというか、今聴いても「あ、ちゃんと歌えてるな」って。上手い下手で言ったら全然今のほうが上手いと感じますし、環境も違うこともわかったうえで、やっぱり「ハロ/ハワユ」を歌っていたときの純粋無垢な、「この曲好き、自分なりにこう表現したい」っていうものが滲み出てる感じが若々しいなと(笑)。
――ページをめくった最後に、10年以上前の自分の写真があるみたいな(笑)。
鹿乃 「あれ?」って、ドキっとしちゃいますね(笑)。
――鹿乃さんのキャリアやそのときの想いが伝わるベスト盤となりましたが、本作を経て、今後どんなことをやっていきたいですか?
鹿乃 私って前しか見てなかったというか、身近なものしか見てなかったというのを『yuanfen』辺りではっと気づかされる瞬間があったんですね。もっとチャレンジしたほうがいいのかな、と色々考えてた時期もあったのですが、私はネット上から出てきてそこからずっと戦っているってことは、たしかに私のジャンルは主流じゃないかもしれないけど、世界的に見たら私の音楽を好きな人はたくさんいるよなって考えに移ることができて。だから今は、もっと広く、それこそインターネットがあるのは日本だけじゃないぞっていう原点に帰ってきたというか(笑)。
――それはそうですね(笑)。
鹿乃 歌は世界中で繋がってるから。しかも言語なんて関係ないじゃないですか。歌詞はわからなくても「あっ、なんか好きになっちゃったな」みたいな。自分も小さい頃からそういう音楽にいっぱい出会っていたし、「ずっと自分のやりたい音楽を追求していたら、私の音楽好きな人は絶対いるんだ」という自信を持って活動していこうと思えたので、最近は生配信をよくやるようにしているんです。バーチャルの世界って今作っている段階のカルチャーじゃないですか。そのカルチャーを一緒に楽しみながら作っていく。自分が今まで10年間培ってきた経験を元に、逆にこれから頑張ろうっていう人たちのお手伝いもできるんじゃないかなって。
――それこそ小さな部屋で歌っていたときのマインドをもって世界に発信するという、原点回帰でありながら長いキャリアを踏まれたからこその発想ですよね。そこで楽しむというピュアネスが大事になってくるという。
鹿乃 そうですね。自分が一番楽しんでいたら、きっと一緒に楽しんでくれるファンの方々もいてくれるんじゃないかなと思って。世界に目を向けて活動していこう!って思っています。
――今後も、鹿乃さんらしい多岐に渡った活動を2022年も期待してほしいですね。
鹿乃 2022年だけではなく、2023年のことまで考えながら色々試行錯誤しているので。楽しみにしていただけたらとても嬉しいです!
INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一
●応募期間
2022年2月16日(水)23:59まで
●応募方法
1:リスアニ!編集部の公式アカウント(@Lis_Ani)をフォローする
2:該当ツイートをRTする
/
ベストアルバム『鹿乃BEST』を
リリースした #鹿乃 さんの
サイン入りポスターを
抽選で1名様にプレゼント🎁❕
\【応募方法】
①@Lis_Ani をフォロー
②このツイートをRT
〆切:2/16(水)23:59まで@kano_2525▼詳細は記事をチェック🖊✨https://t.co/Av1KTtXByh https://t.co/nF2sTQr11j pic.twitter.com/n4gETDJnOR
— リスアニ!編集部@「リスアニ!Vol.47」2/17発売! (@Lis_Ani) February 9, 2022
【応募に関する注意事項】
・厳正なる抽選の結果当選された方には、リスアニ!編集部公式アカウントのダイレクトメールにて後日連絡させていただきます。リスアニ!編集部公式アカウント(@Lis_Ani)のフォローをお願いします。
・プレゼントキャンペーンは予告なく変更・中止することがあります。あらかじめご了承ください。
・応募期間中にフォローを取り消された場合は、応募が無効となります。
・複数のアカウントで応募された場合は、1アカウントのみ有効となります。
・Twitterアカウントを非公開にしている場合は、応募対象外となります。
・落選者へのご連絡はございませんのでご了承ください。
・当選結果に関してのお問い合わせにはお答えすることはできません。
・応募は日本国内にお住まいの方に限らせていただきます。
・賞品および当選の権利は当選者本人のものとし、第三者への譲渡・転売することは一切禁止させていただきます。譲渡・転売が発覚した場合、当選を取り消し賞品をお返しいただく場合があります。
・賞品の不具合、破損に関する責任は一切負いかねます。
【個人情報の取り扱いについて】
・お客様からいただいた個人情報は、当キャンペーン当選者へのお問い合わせのために利用いたします。なお、個人情報を当該業務の委託に必要な委託先に提供する場合や関係法令により求められた場合を除き、お客様の事前の承諾なく第三者に提供することはありません。上記をご承諾くださる方のみご応募ください。
品番:SNCL-00053
価格:¥4,400(税込)
・iTunesはこちら
<収録曲>
M1.Stella-rium
作詞:くまのきよみ 作曲・編曲:samfree
※TVアニメ「放課後のプレアデス」オープニングテーマ
M2.ディアブレイブ
作詞・作曲・編曲:すこっぷ
※TVアニメ「ヘヴィーオブジェクト」エンディングテーマ
M3.プリマステラ
作詞:samfree、鹿乃 作曲・編曲:samfree、ゆうゆ
M4.nameless
作詞:鹿乃 作曲・編曲:Tom-H@ck
※TVアニメ「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン」エンディングテーマ
M5.day by day
作詞:鹿乃 作曲・編曲:田中秀和(MONACA)
※TVアニメ「ソード・オラトリア ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝」エンディングテーマ
M6.29-Q
作詞・作曲・編曲:やしきん
M7.春に落ちて
作詞・作曲・編曲:keeno
※TVアニメ「実験品家族 -クリーチャーズ・ファミリー・デイズ-」エンディングテーマ
M8.光の道標
作詞:こだまさおり 作曲:山田高弘 編曲:齋藤真也
※TVアニメ「アズールレーン」エンディングテーマ
M9.午前0時の無力な神様
作詞:鹿乃 作曲:田中秀和(MONACA) 編曲:Aire
M10.罰と罰
作詞:鹿乃 作曲:田中秀和(MONACA) 編曲:佐高陵平(Hifumi,inc.)
M11.なだめスかし Negotiation
作詞・作曲:田代智一 編曲:伊藤翼
※TVアニメ「宇崎ちゃんは遊びたい!」オープニングテーマ
M12.コンパスソング
作詞:鹿乃 作曲・編曲:田中秀和(MONACA)
※TVアニメ「装甲娘戦機」エンディングテーマ
M13.ハロ/ハワユ
作詞・作曲・編曲:ナノウ
M14.アイロニ
作詞・作曲・編曲:すこっぷ
M15.六兆年と一夜物語
作詞・作曲・編曲:kemu
M16.心做し
作詞・作曲・編曲:papiyon
■店舗特典情報
・アニメイト:缶バッジ(57mm)(SDばんび①)
https://www.animate-onlineshop.jp/pn/pd/2005495/
・ゲーマーズ:缶バッジ(57mm)(SDばんび②)
https://www.gamers.co.jp/pn/pd/10579718/
・とらのあな:缶バッジ(57mm)(SDばんび③)
https://ecs.toranoana.jp/tora/ec/item/210006626809
・ソフマップ×アニメガ:缶バッジ(57mm)(SDばんび④)
https://a.sofmap.com/product_detail.aspx?sku=22732471
・メロンブックス:缶バッジ(57mm)(SDばんび⑤)
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=1131716
・楽天ブックス:缶バッジ(57mm)(SDばんび⑥)
https://books.rakuten.co.jp/rb/16935488/
・タワーレコード:複製サイン入りチェキ
https://tower.jp/item/5271144
・Amazon:メガジャケ
https://www.amazon.co.jp/dp/B09KG2FX9H/
■全国対象店舗
Joshin日本橋店
We’s鹿児島店
Sony Music Shop
TSUTAYA オンラインショッピング
ネオウィング
B2ポスター
鹿乃 オフィシャルサイト
https://kano-official.amebaownd.com/
鹿乃 twitter
https://twitter.com/kano_2525/
鹿乃 YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCShXNLMXCfstmWKH_q86B8w
SHARE