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2022.01.20

【ライブレポート】841日ぶりの再会を彩った特別な「深愛」――水樹奈々ワンマンライブ“NANA MIZUKI LIVE RUNNER 2020 → 2022”ロングレポート

【ライブレポート】841日ぶりの再会を彩った特別な「深愛」――水樹奈々ワンマンライブ“NANA MIZUKI LIVE RUNNER 2020 → 2022”ロングレポート

ダンスパフォーマンスから壮大なナンバーまで!愛と情熱に溢れた後半戦

ここで水樹が一旦衣装替えにはけると、水樹のライブ映像作品を手がける映像監督の佐藤 麗が約1ヶ月かけて編集したというショートムービーを上映。2001年12月、原宿アストロホールで開催されたクリスマスライブ「X’mas LIVE “supersonic girl” 」から、2011年のさいたまスーパーアリーナ公演にて東京ドーム公演の開催を涙ながらに発表した瞬間、そして“S.C.NANA NET ファンクラブイベントVIII”でのデビュー曲「想い」のピアノ弾き語りなど、デビューからこれまでのライブの歴史をダイジェストで振り返っていく。最後は本公演のリハーサルの様子で締め括られると、勇ましさと艶やかさを感じさせる黒ベースの衣装に着替えた水樹がダンサーたちを引き連れて登場。デビュー21年目の想いを込めた力強いナンバー「Phase 21」を躍動感たっぷりに歌唱する。“Wo-oh”と歌い上げるパートは本来であればファンも一緒に歌いたいところだが、その想いもまとめ上げるかのようにパワフルに歌う水樹の姿は、まるで陣頭に立つ女神のようだ。

team YO-DAのメンバー紹介を挿み、ヘッドセットマイクに切り替えた水樹はR&B調の情熱的なダンスチューン「Inside of mind」を披露。ダンサーと動きをシンクロさせた振付とともに観客を惹きつける。最後はポージングでバッチリ決めると、その姿勢をキープしたまま次曲「Love Fight!」へと雪崩れ込む。エレクトロスウィングっぽいクールなサウンドと、統率の取れたダンスパフォーマンス、水樹の低音を効かせた歌声が強烈な印象を残す。

続くMCでは、先ほど上映されたショートムービーの内容に触れて2001年当時のライブを振り返ったほか、1stアルバム『supersonic girl』のアナログ盤リリースを改めて報告。また、チェリボメンバーとのトークにも花が咲き、チャンプが水樹の声優デビュー作でもあるゲーム「NOëL ~La neige~」を高校生の頃にプレイしていたことを告白し、水樹が「精神的に恥ずかしい!」と照れてしまう場面も(しかもチャンプは水樹演じる門倉千紗都が推しだったらしい)。さらにイタルビッチが恒例のご当地ダジャレを披露した流れで、水樹も「奈々のお正月ダジャレ」を披露することになったり、いつものライブと変わらぬ和気あいあいとした時間に、ファンもマスクの下では笑顔を見せていたはずだ。

水樹の「さらに熱い曲のオンパレードでいきたいと思います」との言葉に続いて、ライブは『supersonic girl』収録の情熱的なロックナンバー「TRANSMIGRATION」で再開。りゅーたんやケニーのソロパートでは水樹が彼らと背中合わせのポジションで魅せたりと、ロッカー顔負けの振る舞いで会場の熱気をますます引き上げる。最後はファイヤーが花道まで躍り出て、火を吹くようなサックスソロで盛り上げて見せた。

そして本日2度目のショートムービーコーナーでは、TVアニメ『ポプテピピック』などでお馴染みの映像制作ユニット・AC部が、水樹の半生を振り返る「声優アイドル奈々」と題した高速紙芝居を披露。演歌歌手を目指して上京した近藤奈々が、やがてキングレコードのプロデューサー・三嶋章夫と出会い、声優アーティストとして羽ばたくまでの物語が、AC部らしいユーモラスな脚色を加えながら描かれた。なんでもAC部はこの紙芝居を制作するために、水樹の自叙伝「深愛」を読み、水樹本人へのインタビューも行ったそうだ(ちなみに映像内では近藤奈々時代の演歌「つがざくら」の新録バージョンも使われていた)。

紙芝居の「もっと赤く燃え上がっていくぞー!」という締めのくだりを受けて、袴をモチーフにしたオリエンタルな衣装に着替えた水樹が登場し、先日デジタルリリースされたばかりの「Red Breeze」をパフォーマンス。緊迫感溢れるシンセフレーズや性急かつヘビーなバンドアンサンブルの熱さもさることながら、ステージには通常の赤色だけでなく青や黄色などカラフルな炎が立ち昇り、サビでは天井から火花がナイアガラのように噴出、終盤では花火が上がるなど、水樹は物理的にも熱い炎に囲まれながら熱唱する。なんでも水樹は今回のライブで「七色の炎を出したい!」と提案したところ、過去最大量の火薬を用いたこの特効が実現したという。

そこから言葉を畳みかけるような歌唱が新鮮な「カルペディエム」に繋げて一気に駆け抜けると、MCを経てライブはついに終盤戦に突入。まずはTVアニメ『SHAMAN KING』第2弾オープニングテーマでもある「Get up! Shout!」、そしてチェリボメンバーとともにステージを目いっぱい使って勇壮なパフォーマンスを繰り広げた「SCARLET KNIGHT」、さらにシンフォニックかつ壮大極まりないナンバー「Orchestral Fantasia」と強力な楽曲を連発し、オーラスに向けて果てしない昂揚を生み出していく。

「次の言葉、言いたくなーい!」と駄々をこねつつ「次の曲がラストになります」と名残惜しそうに告げる水樹。「特別な想い、皆さんに会えた喜びや愛しさを、全力で最後の曲に込めて歌わせていただけたらと思います」と歌い始めたのは、『CANNONBALL RUNNING』に収録の大きな愛に満ちた歌「ALL FOR LOVE」。スクリーンには銀河のような映像が映し出されるなか、水樹は優しくも力強い、包容力を感じさせる歌声で、悠久の想いをファンに届ける。“ただ愛のために ただ愛のためだけに”“あなただけしか 私にはもういらない”。その歌詞はともすれば大仰に聴こえるかもしれないが、それを真に迫る言葉として表現できるのが、アーティスト・水樹奈々の素晴らしさだ。その声が示すのは光射す世界。ステージ全体が祝福の光に包まれるなか、ライブ本編は締めくくられた。

次ページ:変わらぬ一体感を作り上げたアンコール、そしてこの日だけのWアンコール

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