INTERVIEW
2021.12.13
――ChouChoさんといえば、『ガールズ&パンツァー』シリーズ(以下、『ガルパン』)、『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』シリーズのイメージがやはり強いと思うので、この2作への想いを伺えればと思います。
ChouCho まず『ガルパン』は私の夢をたくさん叶えてくれた作品です。「DreamRiser」で初めて“Animelo Summer Live”に出られましたし、映画の主題歌(「piece of youth」)も『ガルパン』のおかげで実現しました。オーケストラと共演したいという夢も叶えていただいたので、本当に『ガルパン』のおかげでたくさんの素晴らしい景色を見させていただけたと思っています。
『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』に関しては、一緒に成長してきた感じがしますね。TVアニメ第1期の主題歌で「starlog」という楽曲をいただき、その曲は今もライブで必ず盛り上がる素晴らしい曲なんです。第4期の「Asterism」は、『イリヤ』の曲で初めて作詞をした曲なのですが、第4期ともなると主人公のイリヤもかなり成長していたので、自分の成長と重ね合わせて歌詞を書くことができました。その後『劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』で、初めて劇場版の作詞・作曲をさせていただいたんです。
――アニメタイアップでは初の作曲になりますよね。
ChouCho それまで作曲に関しては実績というものがなかったので、今思えば、私に任せるというのは結構な賭けだったと思うんです。だからこそ私はその期待に応えたい一心で頑張って、それを多くのファンが認めてくれたことは、作曲に対する自信やモチベーションにも繋がりましたし、ものすごい達成感がありました。この経験がなかったら、今こんなに作曲をしていなかったかもしれないです。
――やはり色々な思い出がありますよね。ほかにターニングポイントになった曲などはありますか?
ChouCho 「優しさの理由」ですね。この曲に出会ったことで、透明なままでいいのかなと思えたことは大きかったです。アニソンシンガーって、個性のある歌声の方が多いイメージがあったんですけど、この曲を歌って楽曲が支持されたことで、素直な歌声のままでいいんだと認められた気がしていて。そこで自分の中で迷いがなくなった感覚はありましたね。
――出会いという意味では、曲とともに色々な作家さんとの出会いもあったと思いますが、例えばこだまさおりさんは、ChouChoさんにとってどんな存在なのでしょうか。
ChouCho こだまさんがいなかったら続いていなかったんじゃないかなっていう気がします。初期の私のイメージを作ってくださったのがこだまさんで、こだまさんの歌詞は言葉では言い表せない魅力があるんです。歌詞に透明感があるし、メロディとのハマりも良い。自分で作詞をするようになって、改めてそのすごさがわかるんです。だからこだまさんとの出会い、という言葉もちょっと違う気がしていて……こだまさんは、ChouChoのイメージを作ってくださった人、という感じです。
――少しピックアップして楽曲に関しての話を聞かせていただきたいのですが、個人的にTVアニメ『魔女の旅々』のEDテーマ「灰色のサーガ」が、雰囲気も新鮮で作品にもマッチしていた印象でした。
ChouCho この曲は自分にとって挑戦した楽曲だったのですが、作品ファンや原作の白石定規先生から褒めていただけたので、すごく達成感のある曲でした。毎週『魔女の旅々』を見ていて、自分でも納得できるEDテーマだったんですよね。すごく明るい終わり方でも、救いようのないダークな終わり方でも合っていて。それはすごく良かったです。
――そしてもう1つ、TVアニメ『ツルネ ―風舞高校弓道部―』(以下、『ツルネ』)、の2曲なのですが、こちらも感動的な曲で。
ChouCho 挿入歌の「風のソルフェ」は自分の中でも気に入っている曲です。『ツルネ』の世界観って、凛としているというか、毎週観ていて、純粋で浄化されるんですよね。その印象は原作を読んだときから変わっていなくて、すごくきれいな空気が流れている作品なんです。その空気感をEDテーマの「オレンジ色」でも挿入歌の「風のソルフェ」でも出したかったので、こちらもすごくマッチしていたなと思います。
――「風のソルフェ」は、元々挿入歌になる予定ではなかったんですよね?
ChouCho そうなんです。EDテーマのつもりで書いてコンペをしたなかで、結果「オレンジ色」が採用されたのですが、スタッフさんがこの曲を使いたいと言ってくださり、すごく良い場所で使ってくれたんです。なので、流れたときはすごく感動しましたね。
それと、先日“京アニフェス”(第5回京都アニメーションファン感謝イベント KYOANI MUSIC FESTIVAL ―感動を未来へ―/11月20日)で「オレンジ色」を歌わせていただいたのですが、歌っていて自分でも感動して……。目の前のお客さんたちが噛みしめるように聴いてくださっていて、オレンジ色のサイリウムがゆらゆら揺れていて、バックには『ツルネ』の映像が流れている。ものすごく感慨深いライブになりました。京都アニメーションさんとは『氷菓』で出会い、『ツルネ』の楽曲も歌わせていただいたのですが、本当に愛が溢れる素晴らしい会社ですし、とても素敵なフェスでした。
――さて、もう1曲新録の曲があります。「Here comes The SUN」は、ChouChoさん初の楽曲提供曲になりますね。この楽曲は仲村宗悟さんのデビューシングルなのですが、デビュー曲を提供するプレッシャーなどはあったのでしょうか?
ChouCho この曲はコンペで選んでいただいたので、プレッシャーよりも勝ちたい気持ちが強かったです。絶対に自分の曲を歌ってもらいたい!というがむしゃらな思いがありました。というのも、コンペをいただいたときの、こういう曲にしたいというリファレンスがすごくわかりやすくかったんです。それに、仲村さんが“ずっと歌手になることを夢見ていた”という部分も自分に重なると思っていたので、歌詞も書きやすかったです。だからこそ、いつかはセルフカバーをしたいと思っていて、それがこのタイミングなのかなと思いました。
――ちなみに、自分の楽曲をほかのアーティストが歌っているのは、どんな感覚でしたか?
ChouCho 自分の楽曲を男性アーティストが歌うのは不思議なのですが、想像以上の曲になっていて自分が予測しきれていない部分がたくさんあったので、そこが楽曲提供の面白いところだなと思いました。
――その曲を1枚目の3曲目に収録したわけですね。
ChouCho ちょっと、私の聴いてほしさが出ていますよね。でも、実際に聴いてほしいという思いも込めての3曲目ですし、「優しさの理由」との繋がりもすごく良かったんです。
――そして、今回の初回限定盤にはBlu−rayディスクが付きます。
ChouCho 10周年のデビュー日に開催した“ChouCho 10th Anniversary Online Live”から、数曲入れさせていただきました。コロナ禍もあり、バンドでのライブが3年ぶりだったので、とにかくバンドで歌えることが嬉しくて、喜びを噛み締めながら行ったライブでした。自分の曲は本当に良い曲が多いなぁと思いながら歌っていましたね。それだけにライブの選曲も難しかったですし、今回収録する曲を選ぶのも大変でした。
――全部入れてくださいよ(笑)。
ChouCho それは、ベストアルバムのツアーもありますから。
――そうですね、その“ChouCho 10th Anniversary Tour ~ChouCho the BEST~”はどんなライブにしたいですか?
ChouCho 有観客でバンドでライブをするのは4年ぶりになるのですが、ベストアルバムのツアーなので息をつく暇もないライブになると思うので、そのときどういった情勢になっているかはわかりませんが、私はしっかり体力をつけて、みんなと全力で楽しむ準備をしていきたいと思います。
――最後に、今年1年を振り返って、どんな1年でしたか?
ChouCho ずっと曲作りをしていた印象があります。来年発表される曲も何曲か作っているので、来年も期待してもらって大丈夫です。もうすでに良い曲は出来ているので!だから来年も楽しみにしていただけると嬉しいなと思います。
INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一
■ベストアルバム『ChouCho the BEST』全24曲レビューはこちら
●リリース情報
ChouCho 10周年ベストアルバム
『ChouCho the BEST』
2021年12月8日(水)発売
【初回限定盤(2CD+BD)】
品番:LACA-39862~3
価格:¥5,170(税込)
【通常盤(2CD)】
品番:LACA-9862~3
価格:¥3,850(税込)
■INDEX
<Disc1>
1.Aurorise
2.優しさの理由(TVアニメ『氷菓』OP主題歌)
3.Here comes The SUN(TVアニメ『厨病激発ボーイ』ED主題歌 カバー)
4.Elemental World(TVアニメ『政宗くんのリベンジ』ED主題歌)
5.Authentic symphony(TVアニメ『ましろ色シンフォニー』OP主題歌)
6.風のソルフェ(TVアニメ『ツルネ ―風舞高校弓道部―』挿入歌)
7.明日の君さえいればいい。(TVアニメ『妹さえいればいい。』OP主題歌)
8.夏の日と君の声(TVアニメ『グラスリップ』OP主題歌)
9.ハルモニア(OVA『英雄伝説 空の軌跡 THE ANIMATION』ED主題歌)
10.フロンティア(Nintendo Switch 『ガールズ&パンツァー ドリームタンクマッチDX』主題歌)
11.DreamRiser(TVアニメ『ガールズ&パンツァー』OP主題歌)
12.なないろのたね(特撮ドラマ『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』第1クールエンディングテーマ)
<Disc2>
13.kaleidoscope(『劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』主題歌)
14.BLESS YoUr NAME(TVアニメ『ハイスクールD×D BorN』OP主題歌)
15.灰色のサーガ(TVアニメ『魔女の旅々』エンディングテーマ)
16.オレンジ色(TVアニメ『ツルネ ―風舞高校弓道部―』ED主題歌)
17.空想トライアングル(TVアニメ『ハルチカ~ハルタとチカは青春する~』ED主題歌)
18.Asterism(TVアニメ『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!』OP主題歌)
19.空とキミのメッセージ(TVアニメ『翠星のガルガンティア』ED主題歌)
20.あの空に還る未来で(TVアニメ『バディ・コンプレックス』ED主題歌)
21.薄紅の月(『劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』主題歌)
22.starlog(TVアニメ『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』OP主題歌)
23.カワルミライ(TVアニメ『神様のメモ帳』OP主題歌)
24.piece of youth(『ガールズ&パンツァー 劇場版』主題歌)
【Blu-ray(初回限定盤のみ)】
「ChouCho 10th Anniversary Online Live」
1. DreamRiser
2. kaleidoscope
3. 灰色のサーガ
4. なないろのたね
5. 優しさの理由
6. カワルミライ
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