「次はいよいよ、ボクたちの出番だよ~♡ みんな、準備はバッチリですか~?」とモモチの声。ハートのライトを目一杯振ってモモチの声に応えるチアーズ。紫のハートが飛び交うようなフロア。もちろん画面の向こうからもハートは飛んできているはず。そして登場したVeronica。モモチ役の豊永利行が歌い出すのはアルバムのタイトル曲「魔言の愛」。フェイクで色香を滲ませながら歌い上げる新曲は、絡まるように妖艶なメロディとサウンドで会場の熱を一気に吸い寄せる。卓越した表現力をもつモモチだからこそ曲中に幾重もの表情で見せ、Veronicaの艶が会場を席捲していく。軽快なビートと疾走するギターフレーズがグルーヴする新曲「讃歌」はメロディックで和を感じさせる一曲。和とロックのミクスチャーサウンドで駆けるリズミカルな一曲を跳ねる歌声で聴かせながら、会場のチアーズへと視線を投げていく豊永。大きく振り上げられた紫の輝きは、オーディエンスがライブを楽しんでいる様をステージへと届けていく。「みんな、ありがと~♪ バイバーイ♪」とかわいらしいモモチに戻ると、そのコントラストでチアーズのハートを鷲掴みにしてライブを終えたVeronicaだった。
いよいよトリ。「大トリといえばこのバンド! 我らが神バンNSFWの出番です、ひゃっふ~ッ!」。遂にフェスの大トリを飾ることの喜びを存分に放つエーダッシュのテンションの高さに、会場も演奏前からヒートアップし、緑の光が隙間なく揺れる。「みーんなまとめて踊り狂わせちゃうからヨ・ロ・シ・ク~ッ!」と高らかに宣言をしたエーダッシュ役の木村良平が登場して、まずはNSFWの珠玉の名曲「かむかむみらくる」が響く。デジタルダンスロックの軽妙ビートに乗って、飛び跳ねる木村。バンドも体を揺らして楽器を掻き鳴らし、フロアの観客の影も揺れる。デジタルサウンドが主軸にありながら無機質ではなく色気と熱を帯びるのはNSFWのサウンドカラー。2曲目はアルバム『未来へ』に収録されている新曲「ピンチ102号」だ。重厚なダンスビートから浮遊感あるトラックに生楽器の音が乗ればサウンドに熱が吹き込まれ、そんな楽曲に乗るのは多重で響くエーダッシュの歌声。曲が展開していくなかで楽しめる多面的なエーダッシュの歌声が印象的なナンバーを、時にクールに、時に雄々しく聴かせていく木村。大トリに相応しいダイナミックさとスケール感を感じさせた。
全バンドの出演が終わると、楽屋でヴォーカリスト6人が大騒ぎする様が客席のモニターにも映し出され、それぞれのバンドが満足いくパフォーマンスができたことが伝わってくる。そこにパンダ社長が登場。すべてのバンドで盛り上げろと言う社長を「黙らせてやる」と言うヴォーカリストたちによるサプライズが! なんと出演6バンド合同曲を作ったとの発表が。そしてステージに6人が登場。バンマスでありCRエグゼクティヴサウンドプロデューサーであるR・O・Nが手がけた未発表曲「Blast it!」を披露した。オーディエンスと共に盛り上がるアッパーチューンには6バンドのサウンド感が宿っており、それぞれのパートを歌っていくヴォーカリストたちの個性が放たれるのが印象的な一曲。さらにこの曲ではオーディエンスがヴォーカリストたちと共に歩んだ時間を感じさせる歌詞が紡がれており、そんな歌に胸が熱くなる。「Blast it!」の名の下に6色のカラーが集結したそのパワーはラストに一つになり、6人のヴォーカリストによって放たれた熱が“CR69 Fes.”を華々しく彩った。
最後にはヴォーカリストたちからのメッセージが。「かっこよかったよ~、みんな~! めちゃくちゃかっこよかった。みんなのおかげでね、そして配信のパワーも感じるものだね、本当に楽しかったです。ありがとうございました」(木村)。「とにもかくにも楽しかったです。皆さん、この想いをぜひ円盤や合同曲にぶつけちゃってください! モモチでした! ありがとうございました!」(豊永)。「本当に久しぶりだったのでめちゃめちゃ楽しかったんですけど、本当にいい曲ばかりなので、できればあれもこれも歌いたいわがまま心の中で選んで歌わせていただきました。お客さんと一体になれたことを改めて嬉しく思いました」(花江)。「『ディア♥ヴォーカリスト』というコンテンツをみなさんと歩んでこられたことが嬉しくて。ステージに出た瞬間、目の前がオレンジ一色で。やっぱりライブってこうだよなと改めて思って。これからも『ディア♥ヴォーカリスト』、よろしくお願いします」(斉藤)
「僕もめっちゃ楽しくて。ずっと積み重ねてきて、ライブも絶対にヨシュアだったら嬉しいよなっていうのがあって。すごく楽しくて。とてもいいチームでやっています。これからも応援よろしくお願いします」(島﨑)
「3年ぶりのライブイベント。『ディア♥ヴォーカリスト』というものを皆さんがずっと応援し続けてくれて、ヴォーカリストたちが頑張ってくれたおかげで、開催することができたんだなとしみじみ思っております。そのなかで『Blast it!』みたいな6人合同曲をやる。今だなというジャストなタイミングで発表できて、一丸となって、オーディエンスと一緒に頑張っていくぞという気持ちをすごく感じました。皆さんから熱意を受け取って、ヴォーカリストたちも頑張っていけると思いました」(増田)。
実に3年ぶりの開催となった“CR69 Fes.”は熱く華やかに幕を閉じた。またいつか、サバイバルの先にある熱い戦いでオーディエンスを魅了してほしいと心から思う、そんなライブだった。
Text by えびさわなち
ディア♥ヴォーカリスト
CR69 Fes.2021「Blast!!!」昼公演セットリスト
M01:LUMIERE「Dilemma」(増田俊樹)
M02:LUMIERE「Sunshine of My Shoulder」(増田俊樹)
M03:Brave Child「アメィジング」(島﨑信長)
M04:Brave Child「Dear…」(島﨑信長)
M05:篝火「仮説」(斉藤壮馬)
M06:篝火「最愛」(斉藤壮馬)
M07:JET RAT FURY「MorningGlory」(花江夏樹)
M08:JET RAT FURY「Back of the throat」(花江夏樹)
M09:Veronica「魔言の愛」(豊永利行)
M10:Veronica「讃歌」(豊永利行)
M11:NSFW「かむかむみらくる」(木村良平)
M12:NSFW「ピンチ102号」(木村良平)
M13: 出演6バンド合同曲「Blast it!」(増田俊樹、島﨑信長、斉藤壮馬、花江夏樹、豊永利行、木村良平)
夜公演の模様は発売中のLisOeuf♪vol.24に掲載しているのでそちらもチェック!
ディア♥ヴォーカリスト公式サイト
http://rejetweb.jp/climax-records/
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