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INTERVIEW

2021.11.19

【インタビュー】GARNiDELiAがステージに立ち続ける理由とは――?“自分たちのポリシー”とソロでの経験が合わさったニューアルバム『Duality Code』に迫る

【インタビュー】GARNiDELiAがステージに立ち続ける理由とは――?“自分たちのポリシー”とソロでの経験が合わさったニューアルバム『Duality Code』に迫る

ボーカリストのMARiA(読み:メイリア)とコンポーザーのtokuによる音楽ユニット・GARNiDELiAが、ポニーキャニオン移籍第1弾となるニューアルバム『Duality Code』を11月17日(水)にリリースした。現在放送中のTVアニメ『大正オトメ御伽話』のOPテーマ「オトメの心得」や、初のドラマタイアップとなる「どうせもう逃げられない」のOP主題歌「春がきたよ」など、12曲の新曲を収めた本作。お互いのソロワークを経たことによる変化、そしてライブへの想いが強く反映された作品になっている。そのこだわりについて、2人に話を聞いた。

“自分たちのポリシー”とソロでの経験が合わさった最強のアルバム

――今回のアルバム、ユニットとしての進化はもちろん、今までにない変化を感じました。従来の“GARNiDELiAらしさ”を良い意味で拡張するような作品と言いますか。

MARiA おおっ!嬉しいです!

――お2人は今年、ソロアルバムをそれぞれ発表したわけですが、その経験が本作にも還元されている印象を受けました。制作当初はどんな青写真を描いていたのですか?

MARiA 『Duality Code』というタイトルには、“二元性(=Duality)の自分たちのポリシー”“二人でしかできないもの”という意味を込めていて、今回は2人の魂を詰め込んだ、今の自分たちの全力を込めたアルバムにしたい気持ちがあったんです。だからこそバラエティに富んだ感じにしつつ、「GARNiDELiAと言えばやっぱりこれだよね!」って原点に帰ってこれるような曲も入れたくて。お互いのソロがあったからこそ、逆にこの2人で曲を作ればなんでもGARNiDELiAになることがわかったので、今回は自分たちが今作りたいもの、みんなに届けたいものを、迷いなく自由に作った12曲です。

toku 別に今までも「GARNiDELiAの曲はこうしなくちゃ」と堅苦しく考えていたわけではなくて、毎回それまでのGARNiDELiAのサウンド感を引き継ぎつつ、新しいものにしていきたいとは常に思っていて。今回に関しては、今は(コロナ禍の影響で)ライブが思うようにできない時期なので、自分たちのライブ感をアルバムでも伝えられたらと思って、割と勢いのある楽曲が多くなりました。

――たしかにアルバムは冒頭の2曲からフルスロットル感がすごいですね。1曲目の「Live On!」はイントロからジワジワと盛り上がってサビで一気に爆発する、開幕にふさわしいエモーショナルなロックチューン。

MARiA これはまさにライブを意識した曲で、12月5日から始まる2年ぶりのツアー(「GARNiDELiA stellacage tour 2021→2022 “Duality Code”」)でやっとみんなの元に会いに行けるんですよ。だからそれに対する想い、ステージの幕が上がって最初にみんなに伝えたい歌はなんだろう?っていうことを考えて歌詞を書きました。今まさに戦っている状況の中にいる私たちの歌であり、それぞれの場所で戦って生きているみんなの歌になればと思っています。

toku 今は状況的にレコーディングもリモートが増えて、サポートしてくれているメンバーともなかなか会わないなかで、ドラムはやっぱりスタジオで録りたいよねっていう話になって。早くみんなで(ライブを)やりたい気持ちが凝縮した曲になりましたね。

――続く2曲目は、アルバムのリードトラックでもある「my code」。これまたパワフルなバンドサウンドで突き進む、ライブ感溢れるナンバーです。

MARiA これはアルバムのリード曲として、私たちらしい楽曲が必要だねっていうことで作りました。ガルニデと言えばライブなので、そこで生まれる一体感と伝えたいこと、あとは(アルバムタイトルの)『Duality Codeから「code」を引き継いで、“自分のポリシー”という意味合いの「my code」をテーマに、私たちの曲げられないプライドを歌詞で表現しようと思って。強い曲にしたかったので、自分自身の強い意志も乗せて歌詞を書きましたね。

――まさに。過去に執着せず“今”を生きる意志を描いた歌詞からは、MARiAさん自身の生き様が伝わってくるようにも感じました。

MARiA この曲はかなり自分の生き様をさらけ出していて、自分も身を削って歌うみたいなところはありますね。“あの頃は良かっただなんて ダサいセリフ吐いてないで”っていう歌詞は自分が普段思っていることだし、多分ファンのみんなにもそのことが伝わると思うんですよね。それでも歌い続けるし、ステージに立ち続ける。そんな自分をみんなに届けたくてこの歌詞を書きました。

toku 自分が強い曲を書けば、(MARiAは)それに呼応するように強い歌詞を書いてくれるので、この曲は思いきりバンド感がある曲調にしました。あと、これはアルバム全体に言えることなんですけど、MARiAの歌詞が今までよりもリアルなんですよね。僕はファンタジーが好きなので、歌詞もファンタジー寄りがいいってずっと言っていたんですけど、今回に関しては大人になった女性像というか、リアルなMARiA感みたいなものが出ているのがすごくいいなと思って。

――たしかに。表現が難しいですけど、今までよりも生身感があると言いますか。

MARiA そうですね。これはソロをやった影響かもしれないですけど、今までは自分の弱いところを見せちゃいけないと思っていたのが、今回は等身大の自分を曝け出した歌詞を結構入れていて。あと、今までは幅広い方に共感してもらえるよう、一人称をあえて“僕”にすることが多かったんですけど、今回のアルバムは全部“私”にしたんですよ。今は音楽が不要不急と言われるなか、私たちにとってはそれが生き様だし、それを必要と言ってくれている人たちもいて。だから今回のアルバムでは改めてGARNiDELiAについて、私が歌う意味についてすごく考えたんです。その結果、このアルバムはみんなに共感してもらうというよりも、私たちがステージに立ち続ける意味を提示するものにしたくて。

――そのマインドを一番顕著に感じたのが、アルバムのラストに収められた「Reason」ですが、この曲についてはあとで詳しく聞かせてください。話を戻して3曲目「Uncertainty」は、ミニマルなシンセフレーズとドラムンベース系のリズムが合わさった、たゆたうようなダンストラック。

toku これは歌詞のリアル感とは別に、今までとはまた違ったファンタジーの方向性の楽曲も入れたかったので、それをチルな雰囲気のサウンドでやってみた曲ですね。

MARiA 「Uncertainty」は“不確定要素”という意味で、“儚いMARiA”が少し出ちゃった曲ですね。この2年間で環境がガラッと変わったのもありますし、これはプライベートの話ですけど、身近でお別れしてしまった人がいたりもして。コロナ禍の状況も含め、人はいつ出会いがあるかも、サヨナラするのかもわからないし、未来って全部不確定なものじゃないですか。私は今まで答えを出さないまま終わらせる曲を書いたことがなかったんですけど、そのサヨナラしちゃった人に対する気持ちの答えというのがずっと出なくて。だから、わざわざ答えを出さなくてもいいことってきっとあるんじゃないかなと思って、この曲を書きました。

――MARiAさんはソロアルバム『うたものがたり』で自分はシンガーに徹して、歌詞はすべて別の方に書いてもらったわけですが、そこで色んな女性像を歌で表現したからこそ、先ほどおっしゃっていたようなご自身の弱い一面、センシティブな気持ちを歌詞に落とし込めるようになったのでしょうか。

MARiA それは大きいと思います。ソロ作品で皆さんに書いていただいた歌詞には、女性らしい儚さや切ない表現がたくさん入っていたので、そこで引き出されたものもすごくあるし、そのエッセンスを私が自分の言葉で表現したのがこの「Uncertainty」だったり、それ以降に続くダンサブルなゾーンだったりして。自分の弱さをさらけ出すことが、聴いてくれる人たちの気持ちに寄り添うことにもなることがわかったので、ソロアルバムはすごく意味のある1枚でした。それはきっとtokuにとっても同じことだと思うし。

toku でも、特にこの3曲目以降のゾーンに関しては、MARiAの歌を聴いてもらいたい気持ちが強かったので、サウンド自体は割とシンプルな形がいいなと思いながら作っていて。だから今回は僕の要素は割と弱めかもね(笑)。

MARiA いやいや、全然弱めじゃないよ!すごくtoku節だよ!ソロをやったからこそ余計に、tokuのメロディはこうだよなって、レコーディングしているときもずっと感じていたし。

toku たしかに今まではアレンジで音をたくさん入れる作り方をしてきたけど、今はメロディに力を入れる方向に意識が変わってきたというのはあるかも。なのでここからのゾーンの曲はアレンジがすごくシンプルになっています。

toku

――おっしゃる通り4曲目の「Seeker」は、簡素なビートがMARiAさんの感傷的なボーカルを引き立たせるミディアムナンバー。孤独の中で愛を求めて彷徨うような歌詞も印象的です。

toku この曲はほぼ最初に作ったデモのままで、音数は少ない方が絶対に良いだろうなと思ったんですよね。歌詞もワンコーラスぶんは以前から出来ていたので、そのままでいこうという話になって。なので日々のデモ出しの中で自然と生まれた曲ですね。

MARiA このアルバムは愛について歌っていることが多くて。人間って弱い生き物だから大事な人を傷つけてしまうこともあるし、誰かと一緒にいると傷つくこともあるから1人のほうが楽と思うこともあるけど、結局は共に生きていく人を探し続けていく人生だと思うんですよ。それは恋愛のことだけに限らず、仕事をするうえでも自分1人では何もできないし、そもそも私たちの場合、聴いてくれるみんながいないと音楽をやる意味もなくなる。そういう人と人との繋がりのことを考えながらアルバムを制作しているなかで、日々の想いを綴った日記みたいな歌がこの曲なんです。誰かに伝えるための歌ではなくて、自分から溢れた独り言みたいな言葉を連ねたみたいな歌ですね。

――次の「aquarium」は恋に溺れていく女性の心情を綴った、エレクトロR&B調のダンサブルなナンバー。全体的に夜の空気感が漂っていて、ストリングスのお洒落な扱いも含め、大人のラブソングになっていますね。

toku この曲もデモ段階からほぼ出来上がっていましたね。今回はまず映像をイメージして、こういうシチュエーションならリズムはこんな感じがいいかなっていう発想で作ることが多くて。最近のヒップホップは生楽器をフィーチャーすることも多いので、ストリングスはそういった雰囲気が出たらと思って入れました。

MARiA 歌詞自体は好きな人のことを考えて心が躍っている感じというか、結構テンションが上がってウキウキルンルンでもあるんですけど、この主人公はちょっと浮足立っているんですよね。サウンド的にもダンスミュージック寄りなので、フロアで体を揺らしながら聴いてほしい曲です。

――その浮足立った「aquarium」に続くのが、相手の偽りの愛にあえて騙される女性を描いた曲「ピエロ」。シャッフル系の跳ねたリズムがお洒落なR&Bです。

toku あくまでも日本語のポップスの枠に収めたかったので、本場のR&BというよりもJ-R&Bのテイストにしていて。“踊っちゃってみた”シリーズにもそういうテイストの曲は割とあるんですけど、“踊っちゃってみた”の派手な感じではなく、今のMARiAがポップスとして歌うならどんな感じが良いかをイメージしながら作りました。

MARiA この曲はリズミカルなサウンドとメロディラインの心地良さを崩したくなかったので、歌詞のメッセージ性も大事にはしつつ、語感の気持ち良さを優先に時間をかけて言葉選びをしました。韻の踏み方もかなりこだわっていて、内容的にはちょっと切ない歌詞ですけど、歌うと気持ち良いはずなので、ぜひカラオケとかで歌ってほしいですね。

toku MARiAは元々こういうシャッフル系の曲のほうが得意で、そんな人がスクエアなロックを歌ったら面白いんじゃないか、というのがガルニデの始まりだったりするんですよね。

MARiA そう、3曲目以降からこの曲辺りまでは私の本来の得意ジャンルなので、もう任せてください!みたいな感じで(笑)。この曲の歌録りもすごくスムーズで、2回くらい歌ったところで「今のかっこ良かったからもうこれでいいんじゃない?」ってなりました。

次ページ:『大正オトメ御伽話』や初のドラマタイアップがもたらした新たな一面

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