INTERVIEW
2021.11.19
――7曲目「ミルクキャラメル」はワルツ調のメルヘンチックな楽曲で、ガルニデにとってはかなり新鮮な曲調ですね。
MARiA この曲と次の「オトメの心得」は繋がっておりまして、実はどちらも『大正オトメ御伽話』のために作った楽曲なんですよ。「ミルクキャラメル」は『大正オトメ』の原作を読んだときに、主人公の女の子(立花夕月)がミルクキャラメルを作るお話が印象的だったので、「ミルクキャラメル」を擬人化したような曲を書きたい!と思って作ったんです。結果としては「オトメの心得」がOP主題歌になったんですけど、多分、このタイミングを逃すといつリリースできるかわからないので、「ミルクキャラメル」もアルバムに収録して“『大正オトメ』ゾーン”にしました(笑)。きっとアニメや原作のマンガを読んでからこの曲を聴くと、「なるほど!」と思ってもらえると思います。
――ということはこの優雅なサウンドも『大正オトメ御伽話』をイメージしてのものだったわけですね。
MARiA アンティークな感じが大正時代っぽいですよね。アコーディオンとかも入ってますし。
toku 作品の時代背景と合わせるのであれば、アンティークな雰囲気が良いだろうなと思って。とはいえ自分の得意な音も入れたくて、そのハイブリット感を目指しました。この曲は肩の力を抜いて、自分の趣味みたいな感じで作ったんですよ。そういう作り方も今までやってこなかったので、その意味でも新しいかもしれないですね。
MARiA 音楽で遊ぶのも、音楽の楽しみ方の1つだから、そういう曲があってもいいよねっていう話になったんですよね。きっと今までだったら「いや、もっとアップテンポの曲を書こう!」とか「ライブでアガる曲を作ろう!」ってなっていたと思います(笑)。
――そして「オトメの心得」。こちらはビッグバンド風のサウンドを取り入れていますね。
toku 最初の時点で「ビッグバンドのテイストを入れてほしい」というオーダーをいただいたので、まずはブラスやストリングスを入れようというところから始まりました。そこからガルニデ感を出すにはどうすればいいか?ということで、リズムを打ち込みっぽくしたり、ベースはシンセベースにして。ブラスは派手にしたかったので、面識はなかったんですけど、ルイス・バジェさんにお願いできればなと思っていたら、弦を弾いてくれた方がたまたま知り合いで、紹介してくださったんですよ。バジェさんとはリモートで宅録でのやり取りだったんですけど、僕から譜面と音源を送ったら、ものすごい数のトラックが戻ってきて、「好きなのを使ってね」みたいな(笑)。おかげですごく良いものができました。
――歌詞はまさに乙女心が全開の内容ですが、どのように作っていかれたのですか?
MARiA 『大正オトメ御伽話』の主題歌なので、“オトメ”をキーワードに広げていったんですけど、恋する乙女って可憐で儚いけど、すごく強いじゃないですか。なので女の子は守られているだけじゃなく、愛する人を守る強さもあることを歌にしたくて。そもそも主人公の夕月ちゃんも、小さくてかわいらしいんだけど、すごく芯が通っていて強い女の子なので、アニメの世界観にもぴったりな曲になったと思います。
――たしかに「オトメの心得」も「ミルクキャラメル」も、女の子側がリードする曲なんですよね。そこは作品らしさでもあるし、MARiAさんらしさでもあるなと思って。
MARiA たしかに「オトメの心得」は結構私らしいかもしれないです。
――続く「はじめてのクリスマス」は、これまたガルニデとしては新しい試みとなる、ストレートなクリスマスソング。
MARiA 私たちは今まで季節ものの曲をあまり書いていなかったんですけど、最近は毎年ハロウィンパーティをやらせてもらっていることもあって、季節ごとのイベントにも寄り添える曲も書いていきたいよねっていう話になって。それで12月からツアーも始まるし、クリスマスをテーマにした曲を作ってみました。恋人たちの幸せな関係を描いた、クリスマスの時期になったら歌いたくなる曲になればいいなと思って。
――この次が「春がきたよ」なので、アルバムの流れとしてもきれいですよね。幸せな冬の次には春が来るっていう。
MARiA 今回「はじめてのクリスマス」を入れられたのは、「春がきたよ」を作れたことが大きいんですよね。まずドラマ(「どうせもう逃げられない」)の主題歌として「春がきたよ」をバン!と提示できたからこそ、季節ものの「はじめてのクリスマス」を入れても違和感なく受け止めてもらえるかなというのがあって。
――なるほど。その「春が来たよ」は、ドラマ「どうせもう逃げられない」のOP主題歌ですが、作品のどんな部分をイメージして制作されたのですか?
MARiA この曲の歌詞は原作のマンガをかなり読み込んで書いたので、原作を読んでいる方ならシーンが思い浮かぶフレーズをたくさん散りばめています。誰かをどうしようもなく愛してしまう気持ち、周りに何を言われても変わることのない真実の愛的なことについて描いた曲なので、きっとドラマや原作に触れていない人にも共感してもらえると思いますけど、なぜタイトルに“春”というワードを使ったかは、ドラマを観たり原作を読めばわかるようになっています。ちょっとしたギミックを隠しているので。
――それは注目ですね。サウンド的には春らしい明るくポップな雰囲気ですが、どこか切ない雰囲気もあって。
toku 原作も明るい希望だけを描いた作品ではなかったので、イントロをシリアスにしてみたり、情景が浮かぶような音使いを意識して作りました。さっきも少し話しましたけど、ガルニデがJ-R&B的なアプローチをするとこういう感じになるんだろうなと思っていて。本来なら2拍目、4拍目にスネアが入るのが基本だと思うんですけど、そこをあえて抜いてみたりしています。
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