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2021.11.12

【イベントレポート】虹のゲートをくぐって、絆と誇りの旗を振ろう。“THE IDOLM@STER SideM 6thLIVE TOUR ~NEXT DESTIN@TION!~ Side KOBE”DAY1レポート

【イベントレポート】虹のゲートをくぐって、絆と誇りの旗を振ろう。“THE IDOLM@STER SideM 6thLIVE TOUR ~NEXT DESTIN@TION!~ Side KOBE”DAY1レポート

「アイドルマスター SideM」のライブイベント“THE IDOLM@STER SideM 6thLIVE TOUR ~NEXT DESTIN@TION!~ Side KOBE”DAY1が2021年11月6日、神戸ワールド記念ホールにて開催された。

DAY1にはAltessimoより神楽麗役の永野由祐、都築圭役の土岐隼一、Wより蒼井享介役の山谷祥生、蒼井悠介役の菊池勇成、彩より華村翔真役のバレッタ裕、清澄九郎役の中田祐矢、High×Jokerより冬美旬役の永塚拓馬、榊夏来役の渡辺紘、Café Paradeより神谷幸広役の狩野翔、卯月巻緒役の児玉卓也、水嶋咲役の小林大紀、もふもふえんより岡村直央役の矢野奨吾、橘志狼役の古畑恵介、Legendersより葛之葉雨彦役の笠間淳、北村想楽役の汐谷文康が出演した。

開演前にはスクリーンに315プロダクション事務員・山村賢が登場し、前説と諸注意を行なった。「今回の6thLIVE TOURは各公演、全く異なる内容、演出を予定しております」とのことなので、各公演の違いにも注目していきたい。山村の「アイドルの皆さんは今日に向けて、より一層気合を入れて、日々レッスンに励んできました。きっと、ずっとこの時を待っていたはずです!」という言葉にこもった熱量に、ライブへの期待とテンションが高まる。

会場にレーザーで描かれた色とりどりの星が舞うと、集まった星たちが輪郭を変えて「SideM」のロゴを形作った。スクリーンにツアーロゴが映し出されると、今日の出演アイドル紹介が行なわれた。

「NEXT STAGE!」の輝かしい歌い出しとともに、逆光の中ステージにアイドルたちのシルエットが浮かび上がる。照明がステージを照らし出すと、揃いの新衣装・ディライトディレクションに身を包んだアイドルたちがあらわれた。「ようこそ、SideM 6thLIVE TOUR神戸公演へ! 今日一日、楽しみましょう!」と叫んだのは山谷祥生。セットリストなどと併せて見ると、DAY1はWが座長的な立場の公演になるようだ。サイドカメラ前で目立っていたのがステージ下手側のもふもふえんのふたりで、古畑がチャーミングな笑顔でステージサイドにアピールすると、岡村は後ろを向いてしっぽをふりふりっとアピール。次の間奏では菊池が「今日は俺たちと一緒に、最高の一日にしようぜ!」とズバッとカメラと客席を指差した。

メンバーそれぞれから開幕の挨拶を行なうと、トップバッターを飾ったのはもふもふえんより矢野奨吾と古畑恵介の「はんどめいど・きみはーと!」! 左手に持ったマイクを頭上に乗せて、ぴょんぴょんと飛び跳ねる動きが印象的だ。古畑が「怪獣を一緒に、やっつけよう!」と宣言した通り、スクリーンに登場した“かいじゅう”をもふもふえんと会場のプロデューサーたちが一緒にやっつけるという趣向だ。かいじゅうの火炎攻撃にもふもふえんが苦戦する中、会場と一体になっての“かいじゅうやっつけちゃうぞビーム”で見事討伐は成功。掛け合いのくだりでは、やりとりの中の自然な流れでスクリーンにかのんが登場する演出もあった。念願の有観客でのナンバリングライブとなった本公演だが、“ひとりぼっちで泣いちゃいそう”な時代に、“きみがいるきねんにぱ~てぃ~しちゃうぞ☆”な楽曲をトップに持ってくるのが粋な構成だと感じた。

MCで矢野は「ユニットソング初披露、一発目はこんなに緊張するんですね。でもプロデューサーのみなさんが乗ってくれたので本当に楽しい時間でした」。古畑は「振付が特徴的なので真似して一緒にやってくれたらと思います」と語っていた。

Wの山谷祥生と菊池勇成は「LEADING YOUR DREAM」を披露。ステージにスモークがたちこめ、黄色と緑のレーザーが会場を満たすと、少しうつむいてポーズを取ったふたりがせり上がりから登場。すっと視線を上げるときらびやかなイントロとともにパラパラ風のダンスへ。ダンスが強みのユニットだが、動きのレパートリーが本当に多彩だ。クール成分強めなソロパートでは菊池の真剣な眼差しがとても印象的。間奏で「俺たちのパフォーマンスに、痺れなよ!」と声を揃えると、勢いよく階段を駆け下りて下段のステージへ。黄金の光の中落ちサビの歌声を響かせた。

菊池は「本当に楽しくて!」と前置きすると、もふもふえんのパフォーマンスや目の前にプロデューサーさんがいることに支えられて、練習よりいいパフォーマンスができたことを「めちゃくちゃ喉開いた」と表現。山谷は「出てきた瞬間にユニットカラーの光に染まって、迎えてくれてるな、ホームだなと感じました。横にいる勇成が楽しそうで、僕も楽しいなと感じました」とコンビの絆を感じさせた。

彩よりバレッタ裕と中田祐矢は、「和風堂々!~WAnderful NIPPON!~」を披露。ステージ奥の壁がすっと開くと、雅な調べと共にバレッタと中田が歩み出る。テンションを一気にアゲると「セイッ! セイッ!」の声で会場を盛り上げ、「イヨォー」の合いの手に合わせてバレッタが千両役者の見得を切る。キリオの歌い出しは中田が担当したが、“お先に勉強させていただきにゃんす”を生真面目に、でもちょっとキュートに歌う感じが新鮮で楽しい。主線と合いの手を入れ替えながら、掛け合いのパートもふたりで歌いきった。四季をテーマにした歌詞の中で、スクリーンでは夏の花火、秋の紅葉と冬の白雪が華麗に舞い散る。落ちサビではバレッタの情感たっぷりな歌唱から、楽しさがあふれるような大騒ぎへと雪崩れこみ、最高に高まったところでスクリーンからキリオの「宇宙のぱわーを送るでにゃんす!」が炸裂した。終盤にはステージ下段からカフェパレの3人が登場してダンサーとして参加。“イヨォー…和ォ!”のびっくりポーズを一緒にやっているのが楽しい。最後はバレッタと中田が「お後がよろしいようでにゃんす!」の声を揃えてステージを締めくくった。

Café Paradeより狩野翔、児玉卓也、小林大紀は「Café Parade!」を披露。今度は彩がお返しに冒頭ダンサー参加しているのだが、カフェパレ組が順番にポーズを取っていく中に見得を切るバレッタがカットインするインパクトがすごい。イントロでカフェパレの軽やかな味のダンスを踊る彩のふたりはとても新鮮だった。3人バージョンのカフェパレは狩野の艶のある低音と、小林のぱぴっとした華やかな高音が両極の軸としてあり、児玉の落ち着いたトーンの歌声が全体をまとめている感じだ。キレのある動きに、準備と練習を感じた。

「Symphonic Brave」はLegendersより葛之葉雨彦役の笠間淳、北村想楽役の汐谷文康が披露。雄大なサウンドとレーザーがステージを包みこむと、高層ビル群を背景にしたLegendersのロゴが登場。今回はデュオ編成ということで、汐谷の甘いハイトーンと笠間の重厚で腰の入った低音のコントラストが際立つ。ふたりが立つリフター上のステージはかなり高さがあり、上空から高層都市を見下ろす映像と合わさると突き抜けるような印象を受ける。間奏の指揮をするような振付からサウンドが疾走感を増すと、ふたりはステージセンターで背中合わせに並び立った。「一緒に来るかい、プロデューサー」「これからも、ずっと!」と客席に呼びかけたふたりはともに手を天に突き上げると、眩しいバックショットのキメでステージを締めくくった。

MCで笠間は「我々はビジネスライクな関係だから」と笑わせながらも、ふたりで表現するために歌割りなども相談しながらステージを作り上げたことを明かすと「ふたりでやる「Symphonic Brave」として新しい形を見せられたかなと思います」。汐谷は「すごく楽しかった。リフト初挑戦ですごく高くて足もすくんだんですが、歌っている間はすごく楽しかったです」と語っていた。

Altessimoの永野由祐と土岐隼一は「Never end 「Opus」」を披露。壮大なイントロとともに奏でられるふたりの歌声の情感に引きまれる。エネルギーを練りに練って、サビでひとつに紡いで開放するイメージだ。ふたりはステージ上手側に登場、歌いながら土岐はゆっくり下手側に歩き、ステージに置かれたピアノチェアに腰掛ける。そこにグランドピアノがあるイメージか。いつしか側に来ていた永野はつかずはなれずの立ち位置で、傍らにいるけど視線が合うことのない絶妙な距離感で歌う。間奏では立ち上がったふたりが互いを探し、追い求めあいながらも交わることのない彷徨を表現。サビでついに出会ったふたりがまっすぐに歌声をぶつけあう表現は圧巻だ。光の中、永野と土岐が互いを見つめる表情を一度に見られるのは配信の素晴らしさだと感じた。

MCで永野は久々に「Never end 「Opus」」を披露したことにふれると、「振付で歌うのも久ぶりで、初心に帰れた気がしました」。土岐は、ソーシャルに配慮したステージ作りの中で、ラストに肩にぽんと手を置いて振り返る流れをなしにするはずだった裏話を明かした。そこをどうにかやりたい! と相談して、離れていても伝わるように意識した表現を伝えようと頑張っていたら、映像班がカメラワークで協力してくれたとのことだった。

High×Jokerより参加の永塚拓馬と渡辺紘は、神戸公演だけのスペシャルなメドレーを披露。まずは永塚がソロで「Genuine feelings」を歌う。赤い光の粒子が優しく降る中、歌声が力強く響いていく。遠くを見ているようなまなざしが印象的で、淡い微笑みや切実な表情など感情表現が繊細だ。永塚が舞台下手のスポットの中でアウトロのキメを見せると、上手側に灯るスポットライトの中に渡辺紘が登場。渡辺はこちらは蒼い光の粒子の中、軽快なサウンドに乗せて「ナツゾラRecords」を披露。言葉に誠実に想いを乗せて届けるような歌唱で、スタンドマイクの構え方にも生真面目さが感じられる。渡辺の歌唱中も会場のライトカラーの多くが赤だったのも、このステージをHigh×Jokerのライブとして受け取っていることが伝わってきた。

渡辺が歌い終えると、ステージセンターに歩み寄ったふたりは並んだマイクスタンドにマイクをつけかえて、「OUR SONG-それは世界でひとつだけ-」へ。背後に映し出されるのは放課後の屋上、沈みゆく太陽が最後の残光を残す黄金色の景色だ。微笑みをたたえたふたりが響き合わせる歌声は、素朴で優しい。想いと感情を込めたサビでは、2人の背後にHigh×Joker5人のシルエットが浮かび上がった。そのシルエットを振り返り、微笑みとともに視線をかわすふたりの空気感がとてもあたたかく柔らかだった。

永塚は「旬と夏来は幼なじみで関係が深いふたりなので、こうしてふたりだけで歌えるのは感慨深いし、5人の時とは違う魅力が見せられたんじゃないかと思います」とコメント。渡辺はステージ下で永塚の歌声を身体を揺らしながら楽しんでいたそうで、「旬は最高だなと思いました」としみじみ語っていた。

後半戦は彩のバレッタ裕と中田祐矢による「祝彩!」からスタート。雅やかな和テイストのロングイントロから、中田の伸びやかな歌い出しが印象的だ。彩の基調となる和のテイストはそのままにダイナミックさや様々な表情とニュアンスが感じられる。パキッとしたダンスと優雅さのバランスが見事で、和の旋律の中動きとボーカルの両面で見せていく。特に印象に残ったのは、流麗きわまるラップパート。和歌のようにスクリーンを流れるフレーズを雅に詠み上げると、語尾を軽やかにぽいっと投げる中田。それを「色とりどりに咲いてるねぇ」と台詞で受け止めるバレッタ。一対一にアレンジすることで、よりキャッチボール感が増した気がする。美しい日本の四季や富士の高嶺を背景に、咲き誇るようなパフォーマンスだった。

MCでバレッタが「感謝の気持ちとお祝いの気持ちを込めて歌いました」と語ると会場からは拍手が。中田は和風ラップに言及し、「僕も最初に曲を聴いた時に、ラップ始まっちゃったよと思いました。彩ってみんなを驚かせたい、喜ばせたいという気持ちがあるので、めちゃくちゃ楽しかったですね」と語っていた。

続いてはもふもふえんより矢野奨吾と古畑恵介の「うぇるかむ・はぴきらパーク!」。紫に染まった会場に、「直央、今日は神戸のでっけぇホールで、おもいっきり遊ぼうぜ!」と志狼の声が響くと、「うん、わくわくするね! プロデューサーさんも一緒に、遊べたら嬉しいな!」と直央の声が応える。キラキラしたイントロの期待感がマックスまで高まったところで矢野と古畑がステージに登場。かわいいとかっこいいで満たされた世界をステージ上に作り上げていく。ふたりの衣装のおしりにはしっぽがつけられていて、キレよく振り返るたびに古畑のオオカミのしっぽが遅れて回ってくるのが楽しい。古畑の目力の強いまなざしや、矢野のふわりとした笑顔が印象的。間奏では手拍子によるリズム遊びで観客をまきこんでいった。存分に遊んで盛り上がったところで再び本編に合流。ラストは「今度はサッカーであーそぼ?」と、Wによる次曲を呼びこんだ。

Wの山谷祥生と菊池勇成は「VICTORY BELIEVER」を披露。歌いだしには神戸の監督たちともふもふえんに呼びかけた。Wにとっては原点と言ってもいい楽曲だが、それだけに歌声やダンス、表情の豊かさといった様々な面での成長を感じる。“つまづいて悔しくて”のフレーズで、菊池がもんどりうって倒れそうになり、悔しさをこらえるアクションが100点満点の表現力だ。相方のソロボーカルパート中も密度の高いダンスで見せるふたりに、見る目が足りないと感じるほど。背中を預け合うパートでは、距離を取っていてもお互いの意識がつながっていることが伝わってきた。ラストは息を合わせたシュートと、Vサインの合わせでキメた。

Café Paradeより狩野翔、児玉卓也、小林大紀の2曲目は、「Present For You!!!!! ~A day in the cafe~」。本来狩野と古川慎の分厚い歌唱で世界を広げていく歌い出しは、狩野が一人で朗々たる歌唱を披露。頼れるリーダーぶりを見せつけた。ステージ上にはカフェのテーブルと椅子が並べられ、様々なメニューをパフォーマンスで表現。テンポを上げたり転調したりの楽曲の変化に合わせて、ダンスやステップの表情がめまぐるしく変わっていくのが楽しい。やはり今回のMVPと言いたいのはアスランパートや荘一郎パートまで、ここぞというところで存在感を発揮し続けた狩野。中心に立って歌唱劇を成立させた上で、“どんな日でも ここへおいでよ”のフレーズで素晴らしい独唱を響かせた。

歌い終えた狩野がやりきった充実感を語ると、小林は「ソロのところ溜めたね~今日は一段と」。狩野もリハーサルより2~3倍伸ばしたと笑顔で応える。ステージ上では本番ならではの熱気やライブ感があったようだ。児玉は「会場や配信のみなさんのおかげですっごい楽しくて、今日イチのテンションでケーキを選ぶことができました」と語っていた。

ここからのラストブロックはユニット衣装に着替えてのパフォーマンスを見せる。改めてのトップバッター、Altessimoの永野由祐と土岐隼一の2曲目は「mermaid fermata」。リフトアップするステージに並び立った2人が、美しく静かな歌声を響き合わせる。抑えていたトーンがサビでぱっと開いて光を放つとともに、ふたりの背後のスクリーンに美しい海中の光景が広がった。深海と光差す海中を往復しながら楽曲の世界を展開していく中で、はっとなったのは落ちサビのあたりでふたりの前を“泡”が降って横切ったこと。よく見るとシャボン玉だったが、ふたりが本当に海底で歌っているような没入感を生んでいた。落ちサビでは永野の強い意志を感じさせる歌声と、土岐の微笑みをたたえた優雅で優しい歌声が交わり、ラスサビで力強く重なりあう中、ステージには無数の人魚の泡が乱れ飛んだ。

前曲の余韻のさざなみのような拍手が消えぬ間に、次の曲へ。今回のライブは前曲と曲調などにつながりを持たせる構成が目立ったが、“海”を描いた壮大な楽曲に続くユニットといえば
Legendersしかない。笠間淳と汐谷文康は「Legacy of Spirit」を披露。イントロは帯状のレーザー光を時計の針のように動かす演出が印象的だ。リズムに合わせて人形めいたダンスを見せていた笠間と汐谷は、楽曲にエンジンがかかると共に低い姿勢で襲いかかるようなダイナミックなダンスにシフトチェンジ。会場を煽りながら原点の楽曲に雪崩れこんでいく。この曲も普段の3人でのパフォーマンスとはバランスが変わって見えて、特に汐谷の傑出したビジュアルと表現力が際立って感じられた。落ちサビに漂う清涼感はこのふたりの組み合わせなればこそだろう。

もふもふえんの矢野奨吾、古畑恵介による2曲目は「わんだー×まーちんぐ!」、初披露曲だ。スクリーンには動物たちが行進するファンシーな映像が映し出される中、矢野と古畑も大きく手を振りながらその場で行進。少年らしさあふれるデザインではあるが、私服風の衣装で男子小学生アイドルらしさが板についているのはスペシャルな個性と言うべきか。古畑が耳つきのフードをかぶってみせる姿がびっくりするほど絵になる。矢野は直央の声と音域を完璧にキープしたまま安定した歌唱を見せる技術に驚かされつつ、ふとした時に見せる小首をかしげる仕草などがこれまたキュートなのだ。落ちサビの透明感のある歌唱だったり、いろいろな形でキャラクター感を感じられる楽しく魅力的なステージだった。

「Singing Explorers」は「THE IDOLM@STER SideM 5th ANNIVERSARY DISC 05」に収録された楽曲で、今回はオリジナルユニットのAltessimo、彩、High×Jokerより永野由祐、土岐隼一、バレッタ裕、中田祐矢、永塚拓馬、渡辺紘が歌唱を担当した。民族音楽調のイントロに合わせて、アイドルたちが2列になってステージに登場。それぞれが華やかなユニット個別衣装をまとっていることで、3ユニットの共演色がより強調される。特に彩の衣装が抜群に“彩らしく”てユニットとしての明度が上がったような気がする。永野が満面の笑顔で手を振りながら、ハッピーな足取りで歩いていたりするのも合同曲ならではの光景かもしれない。ラストの敬礼にも、それぞれのユニットとアイドルの個性が見えた気がする。繰り返しになるが最後の敬礼まで永野がとても楽しそうで、なんだか微笑ましく嬉しく感じられた。

前曲からの流れではこれしかない! のが「THE IDOLM@STER SideM 5th ANNIVERSARY DISC 03」収録の「ミュージアムジカ」。原曲歌唱ユニットのW、Café Parade、もふもふえんより山谷祥生、菊池勇成、狩野翔、児玉卓也、小林大紀、矢野奨吾、古畑恵介が歌唱を担当した。メインステージに7人が並び立って登場すると、全員デザインの違うカラフルなユニット衣装が目にも楽しい。一見バラバラに見えて、ひとたびWにパートが回るとユニット感、双子感がぐわーっと迫ってくる感じがする。間奏、下段のステージに降りた7人がちょこちょこっとしたステップを踏む姿が引いたカメラで映し出されるのだが、個性豊かな7人が動きを揃えるだけですごく絵になるのが面白い。ラストのキメポーズに至るまで、個性豊かな1人1人と、7人が並んだオリジナルなチームの両方が光るパフォーマンスだった。

Wの山谷祥生と菊池勇成がそのままステージに残って、ユニットラストナンバーは「Great Sympathy」! こちらも待望の初披露だ。“Ley-O La-Lai La-Lai”のエモーショナルなリフレインとともに、スクリーンには巨大なWのユニットフラッグがはためく。“生きてるってオトさ”で鼓動を示したり、“緊張さえ楽しい”で我が身を抱きしめたりと、歌詞を動きで表現する表意的な振付が多いのが印象的だ。

話は変わるが今回の会場のワールド記念ホールはこれまで様々なスポーツイベントが行なわれてきた多目的ホールでもある。「Great Sympathy」のスクリーン映像ではスタジアムに無数のサッカーボールが飛び交い、Wフラッグが風にたなびく光景が描き出された。現実のライブ会場では、会場いっぱいの黄色いペンライトがふたりに声なき声援を送っている。躍動感のあるラップパートや、距離が離れていても“手をつなぐ”ことを動きのニュアンスで表現したりと見どころが続く。「Great Sympathy」の歌詞は今の状況を織りこんだと思えるフレーズが多いが、有観客ライブでの“虹のゲート くぐったら笑顔のキミたちがいる 苦しみに悔しさに 打ち勝ってこれたひと”には本当にグッと来るものがあった。

最高のWのステージだったのだが、あっと驚いたのは終盤で演出がガラッと変わったことだ。スタジアムを舞うボールに、観客席に、今日参加した全てのユニットのロゴが浮かび上がる! 全てのユニットの輝きがスクリーンを満たす中、ステージには本日の出演したアイドルたちがツアーロゴフラッグを持って登場。ラストの“Ley-O La-Lai La-Lai”のリフレインに合わせて、全ての出演アイドルがフラッグをうちふるった。座長ユニットが素晴らしいパフォーマンスを見せ、全てのユニット、全ての観客が集って想いのフラッグをふるう。それは最高の締めくくりの形だった。

ラストナンバーは、山谷が「僕たちのはじまりの曲を歌わせて頂きたいと思います」と予告して、「DRIVE A LIVE」へ。今回の「DRIVE A LIVE」は全体曲も組み合わせが変わると響きが変わることを強く感じた。一番際立っていたのは担当パートをぱぴっと染め上げる小林大紀の存在感だったが、その上で今日のこの曲のセンターはWだな、とも確かに感じるステージだった。

一瞬これで終わりでもいいかな? と思うぐらい満足度の高いラストだったが、アンコールででは取りに来るべき忘れ物がひとつあった。アンコールでアイドルたちは、中止になった幻のライブ“THE IDOLM@STER SideM 5th STAGE ~M@KE YOU PROUD”では披露することができなかった5周年記念衣装・プライドフルブルーをまとって登場したのである。アンコール明けには「SideM」の歴代のライブ映像が流されたのだが、その映像を締めくくったのは“THE IDOLM@STER SideM 5th Anniversary Because of You!!!!! ~in 市原~”。それは幻のメットライフドーム公演が発表された日だった。

スクリーンにプライドフルブルーをまとったアイドルたちの集合イラストが表示され、ステージ上にはプライドフルブルーをまとった現実のアイドルたちが。ここで歌う楽曲はもちろん、「アイドルマスターSideM」5周年記念楽曲「PRIDE STAR」。それは、あの日の続きをまたここから始める、決意の歌だった。

ラストの挨拶では、各出演者から想いのこもったメッセージが伝えられた。久しぶりのライブの嬉しさと不安、何より観客の前で無事にライブができた喜びの言葉が多かった気がする。永塚が「何故か神戸に着いて懐かしい気がして、ここ、ホームだなと感じて」と語り、その内容を受けた狩野翔が「実は僕も神戸に着いて懐かしい気がしました。というのもここ神戸は神谷幸広くんの出身地なんです。特別な想いを持ってステージに立ちました」とつなげていたのがとてもスマートで印象に残った。

最後を締めるWの挨拶で、菊池勇成は「VICTORY BELIEVER」でおなじみだったレッドカードを出す演出を今回しなかったことを明かした。新しいスタートを迎えるにあたり、もっと成長した姿を見せるために前向きなことがしたいという気持ちだったようだ。山谷祥生は「とにかく6thLIVEができて良かった。神戸の地を踏みしめられて良かったなと思います」と語り、久々に出会った仲間たちの変化と成長に刺激を受けたこと、応援に対する感謝を伝えていた。

ラストナンバーは「Beyond The Dream」。夢にまで見たステージは、DAY2に続く。

Text by 中里キリ

「THE IDOLM@STER SideM 6thLIVE TOUR ~NEXT DESTIN@TION!~ Side KOBE」DAY1
2021.11.06 神戸ワールド記念ホール セットリスト
M01:NEXT STAGE!(全員)
M02:はんどめいど・きみはーと!(もふもふえん/矢野奨吾、古畑恵介)
M03:LEADING YOUR DREAM(W/山谷祥生、菊池勇成)
M04:和風堂々!~WAnderful NIPPON!~(彩/バレッタ裕、中田祐矢)
M05:Café Parade!(Café Parade/狩野翔、児玉卓也、小林大紀)
M06:Symphonic Brave(Legenders/笠間淳、汐谷文康)
M07:Never end「Opus」(Altessimo/永野由祐、土岐隼一)
M08:Genuine feelings(永塚拓馬)~ナツゾラRecords(渡辺紘)~OUR SONG-それは世界でひとつだけ-(High×Joker/永塚拓馬、渡辺紘)
M09:祝彩!(彩/バレッタ裕、中田祐矢)
M10:うぇるかむ・はぴきらパーク!(もふもふえん/矢野奨吾、古畑恵介)
M11:VICTORY BELIEVER(W/山谷祥生、菊池勇成)
M12:Present For You!!!!! ~A day in the cafe~(Café Parade/狩野翔、児玉卓也、小林大紀)
M13:mermaid fermata(Altessimo/永野由祐、土岐隼一)
M14:Legacy of Spirit(Legenders/笠間淳、汐谷文康)
M15:わんだー×まーちんぐ!(もふもふえん/矢野奨吾、古畑恵介)
M16:Singing Explorers(Altessimo&彩&High×Joker/永野由祐、土岐隼一、バレッタ裕、中田祐矢、永塚拓馬、渡辺紘)
M17:ミュージアムジカ(W&Café Parade&もふもふえん/山谷祥生、菊池勇成、狩野翔、児玉卓也、小林大紀、矢野奨吾、古畑恵介)
M18:Great Sympathy(W/山谷祥生、菊池勇成)
M19:DRIVE A LIVE(全員)
-encore-
EC1:PRIDE STAR(全員)
EC2:Beyond The Dream(全員)

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

関連リンク

アイドルマスターSideM Lantisページ
http://www.lantis.jp/sidem/

アイドルマスターSideM公式サイト
http://side-m.idolmaster.jp/

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