INTERVIEW
2021.11.10
――カップリングについても教えてください。「Awkward love」はどのようなところから生まれた曲ですか?
結城 「A Promise」で両思いの二人による幸せな切なさを歌ったので、カップリングでは「まさに」という切なさを書きたいと思いました。私は結婚もしているのでもう恋バナはないんですけど(笑)、スタッフのみんなの恋バナを聞いていた中で、「そうか、そういうのもあるよね」と思ったことがあって。それをモチーフにして書いてみました。
――楽曲にしたくなるほど刺激を受けた恋バナというのは?
結城 友達関係にあった男性から告白されたんだけど応えられないから断ったら、逆に前向きに取られてしまって困っている、みたいな話でした。私が「絶対可能性はないの?」って聞いたら「ない…」ということで、どこがダメだったのかという話も聞きながら男性側の気持ちを想像していたら、「ぎこちない恋愛」をしている人って結構いるんじゃないかと思い始めたんです。若い頃は勢いで言えたり、素直に誘えていたりしたけど、年齢を重ねるとできなくなるとか。振られそうだけど諦めきれないとか。そういうことは「私も昔はきっとあったよな」と思いましたし、男の子でも女の子でも不器用な恋愛をしてしまうことは絶対あるはずなので、今回は男性視点に変えて曲を書いてみました。
――恋愛やリアルな人間関係を描く楽曲を作りたい、という気持ちはありましたか?
結城 そうですね。恋愛の楽曲って、アニメのタイアップ曲に関わるなかでは縁がないとなかなか書くことはできないので。かといってアルバム曲で書く機会もなくて……。提供する歌詞では多少書かせていただいていますけど、自分が歌う機会は今までなかったので書いてみたい気持ちはうっすらとありました。「A Promise」で恋愛っぽい関係性を書いているということもあって、書くチャンスかもしれないとは思い……そういう意味では新たな挑戦ではありますね。
――楽曲としてはこちらも、結城アイラさんらしい雰囲気の楽曲ですね。
結城 90年代のジャパニーズR&Bみたいな感じにしたいと思っていました。それから、「Awkward Love」(=ぎこちない恋愛)なので、一筋縄ではいかない感じをメロディに出したいと思っていました。そこで、サビっぽくないサビをつけてみたり、拍子通りに入らなかったりしているんですね。あとは、コーラスをふんだんに入れたかったのと、こちらでもちょっとした“おしゃ感”を入れられたら、という気持ちでした。
――こちらのアレンジについても教えていただけますか?
結城 蓮尾さんも鍵盤弾きでしたけど、田熊(知存)さんもピアノを弾かれる方で、間奏には絶対お洒落なピアノソロを入れたいと思っていました。元々ジャズをやられていた方ならではの料理、というところでジャジーな感じを期待していました。そういう考えのなか、歌詞を見ていただき、ドラマチックな流れではあるんだけど90年代を感じさせるようなアレンジに、というお願いをしました。
――田熊さんにはどんな印象を持たれましたか?
結城 『アイドルマスター SideM』という同じ作品に関わっているご縁はあったんですけど、お仕事をお願いするのは初めてで。頭が良いんだろうな、って感じがしました。自由に弾いていてもすごくちゃんとしているんですよ。
――歌はどのようなイメージで歌われましたか?
結城 男性が主人公の歌詞なので、男性にも聴こえるような歌い方を意識していました。なのでこちらも低いキーで作っています。ただ、「A Promise」よりもノリが難しくて……。より時間をかけて録ったと思います。なかなか納得できなくて。
――納得できなかった理由というのは?
結城 自分が作っていたデモから(アレンジで)テンポがよりゆっくりになったので、どう歌うか結構悩みまして……。実は、何回も録ったんですよ。全部作って繋いでからも、もう1回録り直しています。だからレコーディングは、予定していた時間の半分で済むところが残りの時間も全部使って……という感じでした。キーが低いぶん、今までの結城アイラとは勝手が違っているというか、表情の出し方1つにしてもまだ慣れていない部分があったんですよね。でもそれがAwkward(=ぎこちない)感じに繋がっていたらいいなと思います。
――ノンタイアップのオリジナル楽曲を作る、というところでは楽しさや喜びというものは感じますか?
結城 それはすごくありますね。本当の意味で自由に作詞作曲を始めたのは『Leading role』からだったので、オリジナルソングが1曲1曲増えていくたびに、「ちゃんとシンガーソングライターしてるな」って思います(笑)。
――結城アイラが作詞作曲するうえでの源泉というかバックボーンはどこにあると思いますか?松田聖子さん好きは知られていますが。
結城 聖子ちゃんも大好きですけど、好きなのは70年代の洋楽なんですよね。キャロル・キングやリッキー・リー・ジョーンズ、あとはカーペンターズとか。だから、「Awkward Love」の冒頭、“予告、が、始ま、る”はキャロル・キングの「It’s too late」の印象的なフレーズを思い出しながら、70年代の空気感みたいなのを出していきたいとは思っていました。
――作曲はピアノで、ということですが、ピアノを始めたのはクラシックからですか?
結城 クラシックからですね。でも正直、子供の頃はピアノが大嫌いだったんですよ(笑)。「練習しなさい」と言われるのがすごく嫌で。練習せずに先生のところに行って、「練習してきていないなら帰りなさい」と言われたら「はーい」って帰るような、そんなとんがり帽子をかぶった子供だったんですよ(笑)。でも、歌は好きだったので「歌うためにはピアノを弾かなきゃ」という思いはありました。そんななかでコードに出会ったんです。コードは譜面が読めなくても弾けますし、その自由度の高さに触れて、「なんて素晴らしいものなんだ」と魅力を感じたんです。そこから、矢野顕子さんのようなピアノ弾きが歌う曲を聴くようになりました。あんな超絶技巧の曲は弾けないとは思っていましたけど、やっぱりピアノを弾いていて声やメロディが魅力的な方に惹かれていきました。キャロル・キング、年代はあとになりますがノラ・ジョーンズの声にはに憧れました。声がスモーキーといいますか。(カーペンターズのボーカルの)カレンさんの低音も同じで、自分の声が高いぶん、低音に対する憧れがあったんですよね。
――今回の「A Promise」や「Awkward Love」ではこれまでよりも低音域を効かせています。
結城 そういうふうに歌えるようになりたい、というのはありますね。デビュー当時や若い頃は、キーが高ければ高いほどすごい、みたいな気持ちがありましたけど、年齢を重ねるにつれて低音に魅力を感じ始めました。歳をとると演歌が好きになるって言うじゃないですか?(笑)。それに、高音を多く使う人たちはどんどん出てきているので、2回目の二十歳を迎えた私としては、自分しか出せない部分を出していくことが大事なのかな、と。ランティスレーベルにも私みたいな人はほかにいませんし(笑)。ピアノの弾き語りと同じく、苦手な低音も頑張りたいですね。
――低音への挑戦は、自身の憧れもあったんですね。
結城 多分、M気質なんです。つい自分に課したくなっちゃうんですよ。「今回はちょっと頑張ってみろ」って(笑)。自分は話し声も高く、それこそ歌いやすいのは(『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』イメージソング)「Violet Snow」のような高いキーなんですけど、でも一生懸命感から出てくる、揺れる倍音みたいなものが自分の低音域にもあるかもしれない、とも思ってはいます。『Leading role』辺りから、歌いやすいキーではなく、低音の部分を使って作ろうという意識は出てきました。
――「Violet Snow」をピアノで弾き語りをされるようになってから、「結城アイラ=ピアノ」というイメージは強いと思います。
結城 そうですよね。「Violet Snow」を歌ったとき、自分の中でも「やっぱり私はピアノなんだな」という気持ちが浮かんできて、ピアノや作詞作曲ともちゃんと向き合おうと思うきっかけではありました。今までは逃げていた部分があったんですよ。でも、中学生で最初に曲を作り始めたときもピアノで作ってましたし、やっぱり私とピアノは切っても切り離せないものなので、これからも大事にしていきたいところではありますね。
――では今回のシングルは結城アイラの魅力や特色を十二分に発揮できたので、自身としても嬉しい機会だったのでは?
結城 そうですね、本当に。アニソン歌手としてデビューさせていただいて、それこそ自分のバックボーンを入れられる機会はこれまでなかったので。「こんなに自由に作っていいんだ?」というところはありました。自分は好きな音楽が邦楽でも洋楽でも、懐メロだったりヴィンテージだったりというところがあるんですけど、ただ、今の時代の音楽にもそのエッセンスは活きている気はしますし、私がそこをもっと表現しても時代と上手くマッチングしたいという想いもあります。だから、機会があれば作りたいですし、歌ってくださる方がいれば楽曲提供もしていきたいですね。
――結城アイラにとって大きな一歩となる1枚のようにも感じましたが、改めて見つめてみると、今作は自身ではどのような印象がありますか?
結城 宣伝資料に「結城アイラの至極の恋愛ソング」と書いていただいているんですよ(笑)。実際、初々しくも大人の恋愛模様を書かせていただきましたし、その意味で挑戦的な2曲でした。上田さんがディアちゃんとしてカバーを歌ってくださってもいるので、ぜひ聴いた感想をいただきたいですね。でも本当にすごく楽しかったです。前作の「Blessing」もめちゃくちゃ楽しかったですけど、今回はより日常を描けたというところで、一瞬、アニメのタイアップが入るシングルということを忘れちゃいそうになるくらい、楽しく作らせていただきました。アニメの主題歌としても結城アイラの曲としても、両方楽しんでいただければ嬉しいです。そこは大事なことだと思っていますので。
TEXT & INTERVIEW BY 清水耕司(セブンデイズウォー)
●リリース情報
結城アイラ 15thシングル
TVアニメ『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』ED主題歌
「A Promise」
11月10日(水)発売
購入はこちら(https://lnk.to/LACM-24153)
配信リンク(「A Promise」)はこちら(https://lnk.to/LACM-24153d)
品番:LACM-24153
価格:¥1,430(税込)
<INDEX>
01. A Promise
作詞・作曲:結城アイラ 編曲:蓮尾理之
02. A Promise (ディア Ver.) 歌:ディア (CV.上田麗奈)
作詞・作曲:結城アイラ 編曲:蓮尾理之
03. Awkward love
作詞・作曲:結城アイラ 編曲:田熊知存 (Dream Monster)
04. A Promise (Off Vocal)
05. Awkward love (Off Vocal)
●配信情報
「A Promise (English Ver.)」
2021 年12 月15 日(水)配信限定リリース
品番:LZC-1947
各種配信サイト・サブスクリプションサービスにて配信決定!
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」公式サイト
https://jojo-portal.com/anime/so/
「ジョジョの奇妙な冒険」公式ポータルサイト
https://jojo-portal.com
●関連リンク
結城アイラ オフィシャルブログ「Aira’s Room」
https://ameblo.jp/aira-yuuki/
結城アイラ オフィシャルTwitter
Tweets by airayuuki
結城アイラ Lantis web site
https://www.lantis.jp/artist/yuukiaira/
TVアニメ『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』公式サイト
https://ansatsu-kizoku.jp
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