REPORT
2021.10.30
「アイドルマスター シャイニーカラーズ」のオンライン配信イベント「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 283フェス 2021 Happy Buffet!」が2021年10月23日~24日に開催された。今回は23日のDAY1をレポートする。
DAY1にはイルミネーションスターズより櫻木真乃役の関根 瞳、八宮めぐる役の峯田茉優、アンティーカより田中摩美々役の菅沼千紗、白瀬咲耶役の八巻アンナ、幽谷霧子役の結名美月、アルストロメリアより大崎甘奈役の黒木ほの香、大崎甜花役の前川涼子、桑山千雪役の芝崎典子、七草にちか役の紫月杏朱彩、緋田美琴役の山根 綺が出演した。
今回の配信イベントにはミュージックSTAGE、バラエティSTAGE、トークSTAGE、フリーSTAGEの4つのチャンネルが存在し、同時進行でさまざまなプログラムを配信するフェス的な内容。本稿ではライブを行なうミュージックSTAGEを中心に、他ステージの内容も抜粋して紹介していく。
全体オープニングはミュージックSTAGEでのライブからスタート。1曲目はイルミネーションスターズ+アンティーカの組み合わせでの「Color Days」。シーズ加入後を象徴する楽曲を初期ユニット組で歌う構成が面白い。コミカルなフレーズやダンスをアンティーカがユニット衣装で歌うのも新鮮で、軽妙に弾むラップパートは菅沼と八巻が担った。ポジションチェンジ後は結名がセンターに入り、“Baby baby Are you ready?”のフレーズが日常演技に近いザ・霧子という感じでとてもキュートだった。
「SWEET▽STEP」はアルストロメリア+シーズが披露。やはり新鮮なのは心浮き立つ恋のナンバーに参加したシーズの歌唱で、“イクジナシここにいます”で指先を突き合わせる紫月のにちか感がぴったりハマっている。カメラを見つめてふわっと笑う山根の姿が新鮮に映ったりするのも、それだけシーズとしての強烈なパフォーマンスが印象として強く残っているからだろう。黒木と山根が視線を合わせて歌っている並びが印象的だったが、黒木は紫月とも視線を合わせようとしていたとのことで、283プロの先輩としての気遣いを感じる。山根は「283プロの仲間に入れた感じがします」、紫月は「いつも後半の出番を待っていたので、また違う緊張感があります」と初々しく振り返っていた。
今回のフェスのミュージックSTAGEはソロ曲が多めの構成。ソロトップバッターの八巻は「千夜アリア」を披露した。歌いだしの「連れて行くよ」の淡い微笑みが印象的で、衣装がユニット衣装なだけにユニット歌唱とソロ歌唱の温度や空気の違いが際立つ。つややかな眼差しと余裕を感じさせる笑顔。明滅する光る粒子が星のように雪のように舞う中、間奏の優雅なダンスの視線の流し方が印象的だ。落ちサビではどこか遠くを見るような眼差しを見せると、ラスサビで再びカメラをまっすぐ射抜いた。コンパクトなスタジオライブならではの多面的なカメラワークも光った。
トークSTAGEで八巻は「Color Days」でかわいいよりはかっこいい系の表現を心がけたことや、ソロのトップバッターを“連れて行くよ”のフレーズからスタートした曲順の良さに言及。「千夜アリア」について「衣装が強いので、衣装に負けないようにかもし出す雰囲気、かっこよさや余裕感を大事にしました」と語っていた。
菅沼千紗は「誰ソ彼アイデンティティー」を披露。異国の繁華街の裏通りを背景にスタイリッシュで大人なステージを披露。きらびやかなラメに彩られたガイコツマイクに歩み寄ると、マイクに直接ささやきかけるような距離感で歌唱。スタンドマイクにぴったりと寄り添うようなマイクワークや、ワルツパートでの魔性の笑顔がつややかだ。アンティーカ衣装での歌唱も、楽曲に小悪魔めいたニュアンスを添えていた。
トークSTAGEで菅沼は魔王軍(アンティーカの衣装)で「Color Days」をどう歌うかを考えて、フェスらしい楽しさを重視したとのこと。「誰ソ彼アイデンティティー」については、コンパクトなスタジオでの披露だったことから「レコーディングした時に思い浮かべたイメージに近かったです。初披露よりは余裕が出ていたらいいかなと思います」と語っていた。
峯田茉優は「HAREBARE!!」を披露。峯田はまばゆい照明の中、敬礼するように顔に手を添えるアイドルポーズで登場。こういったキメのポーズがとても絵になって目を引くのは彼女の特性のひとつだ。コーラスの歌声に合わせて大きく口を動かす姿が印象的。弾むように跳ね回る歌声と躍動するダンス。そして何よりキラキラした豊かな表情が魅力的で、ラップパートを自由に歌う姿が本当に楽しそうだ。「283プロ初のフェス、いっぱい盛り上がろー!」の声とともに、自分と仲間と今日という日に全身でエールを送っていた。
トークSTAGEで峯田は、衣装が変わったことによるソロ曲を歌う心境の変化に言及。「283プロ初めてのフェスを盛り上げたいなという想いを込めて元気いっぱいに歌いました」と語ると、「HAREBARE!!」の振付をプロデューサーと一緒に踊りたい、(画面の前で)踊ってくれたかな? という想いも伝えていた。
芝崎典子は「Darling you!」を披露。スクリーンに綿毛やハート、リボンのイメージが舞う中、ちょっと大人でおしゃれな、でもとびっきりキュートなステージを披露。“キミを楽しませたいんだ”というフレーズにぎゅっと気持ちがこもる感じに千雪というアイドルの芯にあるものを感じる。誰より笑顔が魅力的なパフォーマンスだけに、至近距離で目線が合い続けるスタジオライブという環境は芝崎と千雪にぴったりであるように感じた。
トークSTAGEで芝崎は緊張の中楽しくやれたことや、反響がないスタジオで歌いやすかったことについてトーク。「プロデューサーさんが目の前にいない分、伝えたい気持ちをしっかり持って歌おうと思いました。次の人にバトンを渡す気持ちで、甜花ちゃんよろしくねという気持ちで歌いました」と語っていた。“キミを”のフレーズで、見ているプロデューサーに自分が見られていると感じさせるのがポイントだったようだ。
前川涼子は「また明日」を披露。ピコピコしたサウンドの中、前川があくびと一緒に大きくのびをすると、スクリーンを満天の星空が満たす。大きな歩幅でゆっくり歩くと、朝焼けを越えてヨーロッパの小さな町並みのイメージが現れる。お散歩するように歩く甜花とともに一日が巡る様子は、なぜかどこか胸がきゅっとなる切なさがある。大きく美しい月がのぼり、流星が降る中を変わらぬ足取りで歩む。その表情はおだやかで楽しげで、甜花なりのペースを感じさせるものだった。
トークSTAGEで前川は、直前の芝崎が千雪らしく歌ってくれて安心して歌えたことや、ツアーでの初披露時は緊張で息が吸えないほどだったエピソードを紹介。「今回はいい意味で落ち着いて、楽しんで、一生懸命な甜花らしさをもっと出せたらと思って歌いました」と語っていた。
結名美月は「雪・月・風・花」を披露。柔らかく語りかけるような歌声が印象的で、ボーカルの安定感に練習量を感じる。スクリーンに映し出されるのは冬の森で、清浄な空気と日差しの暖かさを感じさせる。日常の霧子に通じるささやくような優しい歌声が、さわやかな風のように自然の景色の中を吹き渡っていった。歌い終えて舞いながらおだやかに微笑んだ結名の、やりきった表情が記憶に残った。
トークSTAGEで結名は、隣に仲間がいないソロのドキドキや、緊張が抜けないことを語りつつも、「初披露に比べたらリラックスして落ち着いて歌えました」と、少しずつ成長と自信を感じているようだった。ライブで意識したポイントとして、たくさんあるカメラに対応するために仲間のパフォーマンスや表情を研究したことを語っていた。
ミュージックSTAGEにユニットとして最初に登場したのはシーズ、曲は「OH MY GOD」だ。不穏なピアノの調べとともに、紫月が「静かにして」とにちかの内心の激情を感じさせる独白を披露。緑色のスクリーンを背に浮かび上がったふたつのシルエットが、肩幅にスタンスを取って臨戦態勢に変わる。互い違いに構えたふたりが手を打ち合わせるような儀式を交わすとパフォーマンスへ。ダンスのキレが更に増していて、重心の低いダンスと下半身の使い方が印象的。足回りのダンスの情報量が多い! 間奏はリズムに合わせた曲線的なダンスを見せると、指を鳴らすSEに合わせてぱきっとしたキメを見せる。ふたりで息を揃えた「シーッ」の声がふるえるほどかっこよかった。
ステージが暗転すると、ここで曲間に朗読パートを持ってくる構成だ。事務所にいるにちかが、小さい頃にだるまさんがころんだをした日の夢を見ていると、美琴が登場。なぜかシーズのふたりでだるまさんがころんだをすることになるのだが、たわいもない子どもの遊びをしているにも関わらず、間に挿入されるモノローグがいちいち重い。ヘビーなドラマ感の強さに来場者のコメントが困惑気味なのが少し可笑しい。
朗読劇で見るものの気持ちをかき乱すと、2曲目のパフォーマンスへ。「Fly and Fly」、初披露だ。イントロの強めのコーラスに合わせてリズミカルなダンスを披露、“Hey You”の声に合わせて山根がズバッとカメラを指差す動きに射抜かれる。激しいダンスを見せながらの、紫月の不敵とも言える表情が際立つ。浮遊感のあるダンスナンバーがスタイリッシュであるほど、紫月のにちかそのもののボーカル質が浮かび上がってくるようで魅力的。ダンス・ボーカルを含めた紫月のパフォーマンスを通して、にちかが成長している、努力が報われていると感じさせる重層性はシーズ特有のものかもしれない。
トークSTAGEでは、ライブを終えたばかりのシーズのふたりによるステージの振り返りが行なわれた。紫月のまだ酸素が行き渡らずぼーっとしているという言葉にライブ感を感じる。そして話題はやはり、「Fly and Fly」のフルサイズ初披露について。山根は「いい意味でプレッシャーがあって、力に変えて歌おうと思いました」。ツアーでも披露した「OH MY GOD」については、紫月が「少し身体が慣れてきたのかな」とパフォーマンスの成長と充実を語っていた。パフォーマンス中の表情については、紫月は楽しんで表現できるようになった、山根はその時々感じたものを伝えてコミュニケーションしたいと語っていた。
アルストロメリアは「Love Addiction」を披露。色合いを変えるスクリーンに、きらびやかなミラーボールが幾つも浮かぶ。洒脱なサウンドの中で、それぞれのソロパートごとに楽曲とユニットの色が変わって感じられるのはまるでミラーボールのよう。前川の“とろけちゃいそうなんだよ”は本当にとろけるような響きで参りましたと言うしかない。間奏のちょこちょこっと動きを揃える感じのダンスがとてもキュートで、歌いながら3人一緒に左右のカメラの間を歩き回る見せ方はコンパクトなスタジオならでは。3人それぞれのかわいさと個性がとてもよく出ているステージだった。
ここでアルストロメリアも朗読劇へ。歌唱の中での感情表現に悩む3人が、歌詞の中にある行為を実際にやってみるという展開だ。歌詞の頭にあったのは“告白”。甜花が甘奈に桜の下で「好きでしゅ!」と告白する感じで、三者三様の告白シーンが展開されるというファンには嬉しい時間になった。シーズとの落差がすごい。
朗読劇で演じた好きだという気持ちをふまえて、演劇のように次曲に入る。「パステルカラー パスカラカラー」は新曲で、リリースイベント以来の披露。初めてこの曲をライブで目にする人も多かったはずだ。パフォーマンスは、3人の色とりどりの個性がキャンパスを彩っていくよう。歌唱はミドルテンポでのびやかな印象だが、間奏では決めポーズをキビキビと連ねていくテンポの良さが気持ちいい。落ちサビでは黒木がちょっと大人のテイストを見せておっと思わせ、キュートさを前面に出した前川へのつなぎの落差で魅せる。アウトロは3人揃ってカメラに背を向けると、振り返りながらの花のような笑顔でステージを締めくくった。
休憩に入り、前半戦は終了。ここで様々な企画が行なわれたバラエティSTAGEの見どころについて軽く書いておこう。
まずはバラエティSTAGEのDAY1の先陣を切ったのがアルストロメリアの3人による「デビ太郎即興絵描き歌」のコーナー。BOXで指示された曲調で歌担当が絵描き歌を歌い、イラスト担当がそれに合わせてデビ太郎の完成を目指すというもの。黒木のミュージカル風お絵描き歌、芝崎のヒップホップ風(?)お絵描き歌、そして前川が「悪魔が来たぞ!悪魔が来たぞ!お前が思う悪魔を顕現させろ!」とハードロック風に歌うお絵描き歌など、実に撮れ高の多いコーナーだった。
関根瞳、前川涼子、紫月杏朱彩による「箱の中身はなんだろな」はハードルの高いお題に対する紫月の的確な解答が秀逸。峯田茉優、八巻アンナ、黒木ほの香、山根綺の「クイズアウトロドン!」では、曲のアウトロ(など)を聴いて楽曲を当てる瞬発力を競いあった。それぞれのユニット愛、作品愛が火花を散らすのが見どころだ。「はばたきラジオステーション出張版」には関根瞳、峯田茉優、菅沼千紗、黒木ほの香が出演。毎週放送中の「はばたきラジオステーション」は各ユニットごとで配信しているが、今回はユニットの垣根を越えておなじみの企画に挑戦した。「アンティーカで奇跡を起こせ」は、アンティーカの3人がお題に応じたポーズを合わせる意思疎通のコーナー。3人の絶妙な息の合わなさと笑いの神の降りっぷりが奇跡的だった。
イルミネーションスターズの「プレゼンバトル」は、関根と峯田がお互いのいいところ、好きなところを言い合うプレゼン勝負が見どころ。「シャニマスイメージ調査」は峯田、菅沼、八巻、結名、芝崎が、5人の中でお題に当てはまるメンバーは誰かをフリップで答えていく企画。“ハロウィンが似合うのは誰?”のお題でリンクアピール(全員一致)が発生した瞬間に注目だ。
シーズは「私のことわかるよね?クイズ」で互いに関する知識をはかるクイズに挑戦。お互いのことを良く知っているのに、肝心の回答はすれ違いがちなのがシーズらしかった。「はばたきラジオステーション出張版」2本目には結名、芝崎、紫月が出演。アンティーカの「日本全国アンティーカ」やシーズの「She is…スパンコール・シャンデリア」といったおなじみのコーナーに挑戦した。バラエティSTAGEのラストで盛り上がったのが黒木、前川、芝崎、紫月、山根による「ワードウルフ」企画。お題について語り合いながら5人の中にいるウルフを見破るゲーム。ウルフに選ばれたあるアイドルの、頭の回転と反射神経の素晴らしさに要注目だ。
トークSTAGEでは今回紹介している以外にも、多くのトークが行なわれた。普段ユニット単位での活動が多い「シャニマス」だからこそ、越境トークで様々な新エピソードが飛び出した。お互いの第一印象やユニットについてのトークがあったり、峯田と結名の組み合わせでは同じ事務所だからこその「シャニマス」デビュー前のエピソードが明かされたりと見どころが盛り沢山だった。フリーSTAGEでは「カフェ高山」と題して高山祐介プロデューサーがホストを務めて、手のあいたアイドルたちと舞台裏トークを行なったりと、本当に盛りだくさんだった今回のフェス。可能であればアーカイブ等でじっくりと楽しんでみてほしい。
後半戦のミュージックSTAGEは、黒木ほの香の「Sweet Memories」からスタート。ゆったりしたテンポの情感あふれる歌唱とともに見せる慈しむような、はにかむような表情が印象的だ。大きなシャボン玉が舞う背景をバッグに描き出されるのはクラシカルなぐらいに正統派のアイドルの世界。聴かせどころでは、まっすぐにカメラを見つめながら語りかけるような想いのこもった歌唱を響かせた。小指を手首や胸元に大切そうに添える振付も印象的だった。
トークSTAGEで黒木は、ソロ初披露の際に想いが強すぎて納得できる形で歌えなかった分、今回はよりよくして届ける気持ちで歌ったとのことで、「(気持ちだけでなく)パフォーマンスとして見せる部分を意識してバランスを取りました」と語っていた。ダンスのポイントとしては、動きの柔らかさやしなやかさ、流れるような曲線的動きを大切にして丁寧に踊ったとのことだった。
関根は「ありったけの輝きで」を披露。ピンク色の輝かしい光の粒子に包まれて、動きの大きな伸びやかなダンスを披露。光り輝くようにキラキラした、満面の笑顔がどんな演出よりも眩しい。櫻木真乃の声と発声で歌うこと自体が非常に技術を要するものだと思うが、最近の関根の歌声には強さも加わっているのがなんとも頼もしい。アウトロのダンスを終えると、こぼれるような笑顔でステージを締めくくった。
トークSTAGEで関根は、ソロの歌唱が3回目だからこそ良いものを見せたいというこだわりを明かし「歌詞の意味や大事さが伝えられたらいいなということを目標にして歌いました。伝わっていたらいいなと思います」と語った。好きな歌詞、思い入れのある歌詞には“まばたきの瞬間を追いかけて”を挙げており、まばたきや追いかける動きを振付で再現していたとのことだ。
ここでミュージックSTAGEはスケジュールに「スペシャル」とのみ書かれ、出演者が明かされていなかった演目へ。ここで歌われたのは前川涼子の「デビ太郎のうた」。「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 2ndLIVE STEP INTO THE SUNSET SKY」を記念して制作された企画CD「THE IDOLM@STER SHINY COLORS デビ太郎 VS ジャスティスV」の収録曲で、今回初披露のレア楽曲だ。
アルストロメリアの黒木と芝崎が朗読風に登場して「明日も早いのに眠れない!」と嘆いているところに、主役の前川がデビ太郎のきぐるみ風パジャマを着てじゃん! と登場。「こんな時は、甜花に、おまかせ!」と胸を張ると「デビ太郎のうた、はじまるよ~!」と子供番組のようにパフォーマンスに突入。あまりにもかわいすぎる。衣装のパジャマはデビ太郎をモチーフにしたもので、背中には羽状の布が。“飛べるはず”のフレーズに合わせてふるふると羽を動かす姿がかわいい。前川の表現は、子供番組に甜花が出演したらきっとこんな感じに違いない、と思うほどに甜花そのもの。ラストは指で角を生やすと、控えめににこっと笑ってキメた。
続くユニットステージはイルミネーションスターズの関根瞳と峯田茉優。「PRISISM」はリリースイベント以来の披露だ。2人での歌唱は初めてということでデュオ仕様にしっかり仕上げてきた感じで、動きの連動具合とふたりの表情の豊かさがとてもいい。落ちサビでは峯田の歌声の切ないニュアンスが良く出ていて、そこからぴょん! と高いジャンプとともにラストのサビに駆けこむ感じだ。「fu…」のフレーズとともに吐息を吹きかけるようなキメポーズが面白かった。
曲間の朗読パートは、真乃とめぐるが2人でラジオにゲスト出演中という設定。新曲の「PRISISM」について、灯織から曲紹介メッセージが届いているという仕立てで、灯織をライブの中に存在させていることが嬉しい。この3人が一緒にいること、10年後に向けての3人の関係性を再確認して2曲目へ。
イルミネの2曲目は「トライアングル」。灯織の立ち位置を意識してあけたフォーメーションが印象的で、峯田が内側を向いて踊ったり、振り返って関根と視線を合わせながら踊ったりすると、自然に三角形のもうひとつの頂点を想像させる。歌声は包みこむように優しく、思い出や関係性を抱きしめるような楽曲だからこそ、これまで重ねてきた時間が深みと力につながる。素朴で優しく、絆の強さを感じさせるパフォーマンスだった。
ミュージックSTAGEでユニットライブの最後を飾ったのはアンティーカ。八巻アンナ、菅沼千紗、結名美月のトリオ編成でのライブはこれが初めてだ。紫色のライトの下、ステージに横たわった3人というインパクトの強い絵からスタートしたのは「abyss of conflict」。リリースイベント以来の披露となる。
この世ならざる感じでむくりと起き上がった3人。歌いだしの英詞は原曲から菅沼のパートだが、追いかける“終わらない深淵”のフレーズが結名の深みのある歌声だとかなり雰囲気が変わる。フォーメーションを変えてセンターは結名に。この3人の中で霧子(結名)が堂々とセンターを取ること自体にハッとするし、彼女の表情、歌声、存在がなんとも力強い。八巻のギリギリの音域を攻めたハイトーンの説得力が素晴らしく、“僕はここにいる”の叫びは圧巻だ。思った以上にトリオとしてのバランスが良く、3人でもアンティーカの魅力を伝えてみせるという気迫と覚悟を感じるパフォーマンスだった。
曲間の朗読は、いろいろな場所にいるアンティーカのメンバーが、一緒に通話をしながら番組を見るという設定。別の仕事中の三峰はメッセージアプリで顔を出し、恋鐘は寝過ごして後からあわてて参加したという仕立てだ。アンティーカのライブが楽曲の世界観に深く入りこんだものだからこそ、いつものアンティーカの5人がそこにいることが嬉しい。そして番組内で歌唱する2曲目という設定で始まったのは「バベルシティグレイス」だ。
アンティーカの原点である「バベルシティグレイス」を3人で、それもセンターの礒部抜きで披露するのは初めてだ。センターには菅沼が入り、歌い出しのソロは結名が担った。菅沼と結名の高音の響き合いが魅力的な一方、パワフルな成分をほぼひとりで担う八巻の気迫が素晴らしい。デビュー当時の3人ではきっと成立しなかった、成長した今の3人だからこそのライブの形だ。間奏、力をぐっと溜め込んだ八巻の「アンティーカ、5人で行くぞ!!」の叫びにはとても強い想いがこもっているようだった。ラストブロックは八巻がセンターに入ってソロの決め所を担い、3人で「アンティーカ!」の名を力強く叫んだ。
長いようであっという間だったフェスを締めくくるのは、全員で歌う「FUTURITY SMILE」だ。関根と峯田の包みこむような歌声でスタートすると、各ユニットの組み合わせを中心に歌い継いでいく。それぞれのらしさあふれるソロを連ねて迎えた落ちサビは、関根の慈愛さえ感じさせる優しい歌声と笑顔が印象的。さらにそのあとを峯田が強く優しく支えるのがこのチームの強さだ。今日のメンバー、ユニットの組み合わせならではの、大団円にふさわしい締めくくりだった。
DAY1の最後は、関根が音頭を取っての「アイマスですよ、アイマス!」の合唱で幕を下ろした。
Text by 中里キリ
THE IDOLM@STER SHINY COLORS 283フェス 2021 Happy Buffet! DAY1
2021.10.23.ミュージックSTAGE セットリスト
M01:Color Days(シャイニ―カラーズ)
M02:SWEET▽STEP(シャイニ―カラーズ)
M03:千夜アリア(白瀬咲耶(CV.八巻アンナ))
M04:誰ソ彼アイデンティティー(田中摩美々(CV.菅沼千紗))
M05:HAREBARE!!(八宮めぐる(CV.峯田茉優))
M06:Darling you!(桑山千雪(CV.芝崎典子))
M07:また明日(大崎甜花(CV.前川涼子))
M08:雪・月・風・花(幽谷霧子(CV.結名美月))
M09:OH MY GOD(シーズ(紫月杏朱彩、山根 綺))
M10:Fly and Fly(シーズ(紫月杏朱彩、山根 綺))
M11:Love Addiction(アルストロメリア(黒木ほの香、前川涼子、芝崎典子))
M12:パステルカラー パスカラカラー(アルストロメリア(黒木ほの香、前川涼子、芝崎典子))
M13:Sweet Memories(大崎甘奈(CV.黒木ほの香))
M14:ありったけの輝きで(櫻木真乃(CV.関根 瞳))
M15:デビ太郎のうた(大崎甜花(CV.前川涼子))
M16:PRISISM(イルミネーションスターズ(関根 瞳、峯田茉優))
M17:トライアングル(イルミネーションスターズ(関根 瞳、峯田茉優))
M18:abyss of conflict(アンティ―カ(菅沼千紗、八巻アンナ、結名美月))
M19:バベルシティ・グレイス(アンティ―カ(菅沼千紗、八巻アンナ、結名美月))
M20:FUTURITY SMILE(シャイニ―カラーズ)
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
「アイドルマスター シャイニーカラーズ」公式サイト
https://shinycolors.idolmaster.jp/
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