JUNNAの最新作となる『海と真珠』は、『イルイミ』以来2年以上ぶりとなる5thシングル。だがその間に二十歳を迎えたJUNNAは、2ndアルバム『20×20』をリリースし、配信ライブと夏のツアーを成功させてきた。そういった積み重ねを経て、今作の表題曲は、アニメ『海賊王女』のOP主題歌、かつ梶浦由記による音楽プロデュース楽曲というスペシャルなニュースを携えている。彼女が歩んできた成長、これから見せる進化の過程を『海と真珠』という1枚から感じとりたい。
――まずは、『海賊王女』のOPテーマを担当することと、その楽曲を梶浦由記さんが手がけることを知ったときの感想からお聞かせください。
JUNNA 作品を担当させていただくことと、その楽曲を梶浦さんにプロデュースしていただけることを同時うかがったんです。久しぶりのシングルリリースだったことに加え、梶浦さんとはいつかお仕事ができたらと思っていたので、本当に嬉しく思いました。
――「海と真珠」を受け取ったときの印象も教えてもらえますか?
JUNNA 明るい曲が来た!と思いました(笑)。私が担当させていただく作品は、ミステリアスだったり、自分を探す作品だったりと比較的に人の闇に触れるような作品が多かったので。明るい希望に満ちた曲が歌えることも嬉しかったです。イントロから梶浦さんの世界に浸れるような素敵な楽曲だと感じました。
――梶浦さんにとっても久しぶりに明るい曲ではありました。
JUNNA そうみたいですね。楽曲を作る前に私の曲をいろいろと聴いていただいたみたいです。その際にギミックが多く、暗めという印象をお持ちになられたそうで、最初はもう少し落ち着いた曲を作ろうかとも思われたらしくて。少し迷われたとはお聞きしました。でも、いただいた曲はアニメにしっかりと寄り沿って、明るく、船出や幕開けを表現していく楽曲になっていると感じました。
――JUNNAさんとしてはどのように歌おうとイメージしましたか?
JUNNA まずデモをいただいたのですが、楽曲の世界観がすごく伝わってきました。梶浦さんの楽曲を聴いてると、私の歌い方とはまた違った魅力に気づかされるんです。今作の「海と真珠」は、強さで引っ張っていくだけじゃなく芯に優しさがないといけないと感じたので、強さをしっかりと持たせつつ、優しさを少しのエッセンスとして入れられたら、と思ってずっと練習していました。
――レコーディングでは実際にはどのように歌ったのかも教えていただけますか?
JUNNA まずは、私の解釈したイメージで歌ってみました。歌ったあとに梶浦さんから、方向性としては間違ってないので全然大丈夫、と言っていただきました。そのうえで、もう少し滑らかさを足していこうという話になったんです。私も、アップテンポな曲ですけど歌い方としてはバラードのようにフレーズをたっぷりと意識した歌い方が必要だとは思っていたんです。そこが難しい点でもあったんですけど、梶浦さんが歌いながらディレクションしてくださったので、イメージがすごく伝わってきてしっかりと歌えたと思います。
――歌い方、という点について詳しく教えてもらえますか?
JUNNA 今作は、しっかりと歌詞やフレーズを大きく捉えて伝えられるように意識しました。例えば、「始まりの海は広く眩しくて」という1行も細かく切るようなイメージではなく、歌の抑揚でしっかりと表現しようとしました。
――その点での梶浦さんからのディレクションはどのようなものでしたか?
JUNNA 梶浦さんの中には強調してほしい部分がしっかりあって、“広く眩しくて”はしっかりと伝えることでこの世界の広さを見せてほしい、今から船出をするというときにその人の側にあるような曲に、ということでした。私も、広がる海のど真ん中で歌っているみたいな感覚を常に持ちたいと思っていましたし、情景がすごく思い浮かんだので、(歌詞の)場面、場面に合わせたイメージを膨らませながら歌えたら、とは考えていました。
――最初は穏やかでサビに向けて徐々に、という楽曲ではなく、最初から伸びやかかつ壮大に歌われていますね。
JUNNA 穏やかに歌い始めて少しづつ世界を広げていくようなプランを考えていたんです。ただ、梶浦さんは、最初から世界観を広げて歌うようなイメージをもたれているように私は感じました。ディレクションでも「広く眩しくて」のフレーズは特に、リズムに遅れてもいいのでたっぷりと伸ばして、しっかりと言葉一つひとつを届けてほしい、とディレクションしていただきました。
――JUNNAさんが特に気に入っているフレーズやメロディーなどはありますか?
JUNNA 2サビが終わったあとの、曲調が急に変わるところですね。すごく好きです。“星よ導いて”くらいから雰囲気がどんどん変わっていきます。さらにDメロにつながる展開で気持ちを一気に持っていかれるようなドラマチックさやロマンチックさを感じます。歌詞では、“やさしい君の歌が”“懐かしい愛の歌”と、「歌」という言葉があり、私自身「歌」に対してこの一年考え、感じることが多かったので思いが溢れ、特に感情がこもりました。アニメ本編とどのように「歌」がリンクしていくのかも今後が気になります。
――逆に苦労された箇所はありましたか?
JUNNA サビに出てくる「エルドラド」という言葉は、梶浦さんの中で強調してほしい単語だったと思うんです。どのように「エルドラド」のイメージを歌で伝えるのか、あまり日常生活で使わない言葉なので、苦労しました。あと、冒頭の船乗りの掛け声のようなコーラスもどう歌おうかと思っていて。
――梶浦さんらしい、造語的なフレーズですよね。
JUNNA そうなんです。あのコーラス部分は、最後の最後に録ったんです。言葉に意味がないように聴こえても、「今から一緒に旅に出るぞ」という気持ちが溢れてくるというか、みんなで一緒に歌っているような雰囲気が詰まっていると思います。だから私も、決意を込めるように歌いました。
――完成版を聴いた感想はどのようなものでしたか?
JUNNA 私の新たな一面をみせることができたんじゃないかと思います。これからもたくさんいろいろな曲を歌っていくと思うのですが、この曲は、私の中でものすごく大事な曲になると思います。
――『海賊王女』の本編はもうご覧になりましたか?
JUNNA 見させていただきました。続きが楽しみな作品で、「早く次をください」って言っちゃいました(笑)。見させていただいた回が気になるところで終わるんです。そのシーンは(「海と真珠」の)造語の部分がすごく合うと思いましたし、やっぱりみんなで旅を始める段階にふさわしい楽曲なんだと本編を見ながらも感じました。あと、とにかく本編全体がすごく綺麗なのと、OP映像も楽しみにしてほしいです。和と洋が混ざり合った世界観がすごく面白いです。
――『海賊王女』のJUNNA的お薦めポイントというと?
JUNNA 主人公のフェナが可愛いです! 周囲の人たちのフェナに対する想いが、熱くて強くて優しくて、すごく愛されてるキャラクターだと感じました。お嬢様ですけど、強さも優しさも元気さも秘めたる想いも持っていて。自分が何かしなければ、という使命感を持ち始めたところで、今後、いろいろなキャラクターたちとどう関わって変わっていくのか、すごく楽しみです。
――シングルには「海と真珠」の英語バージョン、「the sea and a pearl」も収録されています。こちらはどのような経緯で制作されることになったのでしょうか?
JUNNA 『海賊王女』が日本に先駆けて海外(アメリカ、フランス)で放送がスタートしているんです。アニメのOPは同じ日本語バージョンが流れています。でも、曲の意味をしっかりと受け取ってもらい、作品をもっと理解してもらって世界観に浸っていただけるように、歌詞を英語に直訳しての英語バージョンが作られることになりました。
――実際に歌ってみていかがでしたか?
JUNNA 難しかったです。(日本語バージョンよりも)言葉数も増えているので、言葉の当てはめ方が日本語とは全然変わっていたんですけど、「海と真珠」と「the sea and a pearl」で曲の雰囲気を変えたくなくて……。そこのところが難しかったです。でも、梶浦さんと(訳詞を担当した)Joelleさんが二人でレコーディングに来てくださって。
――それは豪華ですね。
JUNNA めちゃめちゃ豪華でした(笑)。歌い方よりも、1回聴いただけで歌詞が伝わるようにしっかりと英語の詩を届ける、というところを大事にしようとなりました。何度か録り直してこだわりました。梶浦さんから、英語でも強調してほしい言葉を伝えていただいたり、Joelleさんに「ここはつなげて歌ってもいいよ」とか「ここは省略しても大丈夫だよ」といったところを教えていただいたり、お二人がしっかりとディレクションしてくださったおかげで曲の雰囲気を崩さず、しっかりと歌えたと思います。日本語とは違って言葉数が多くなった分、より疾走感も感じられるようになったと思うので、両方を聴き比べてもらいたいです。
――小さい頃から英語を学ばれてきたJUNNAさんなので、英語に対する恐怖感はなかったと思いますが?
JUNNA そうですね。今まで学んできたことを歌につなげられることは嬉しかったですし、だからこそ、しっかりと届けなければいけない、というプレッシャーも少し感じました。
――英語詞の歌もよく聴いていましたか?
JUNNA 昔はあまり聴いていなかったんです。いろいろな楽曲を聴きたいという思いがあったんですけど、どれから聞いたらいいのかと思っていたんです。そうしたら去年の誕生日に、スタッフさんたちからお薦めのCDをセットでプレゼントしていただいて。それが全部洋楽で、めちゃめちゃ昔の楽曲から最近のものまで揃っていたので、そこからどんどん聴き始めました。私がロック好きということからFoo FightersのCDが入っていたんですけど、そこから私が大好きなONE OK ROCKさんのルーツを感じたりとかいろいろとすごく新鮮でした。
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