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2021.10.01

【ライブレポート】「俺達はただ復活したわけじゃない!」JAM Projectが約2年半ぶりの有観客ライブで見せた未来への姿勢。“GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-”東京公演レポート

【ライブレポート】「俺達はただ復活したわけじゃない!」JAM Projectが約2年半ぶりの有観客ライブで見せた未来への姿勢。“GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-”東京公演レポート

影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹というアニソン界を代表するシンガーが集うユニット・JAM Project。20年以上にわたる活動の中で、その歌声によって世界各地のファンを元気づけてきた彼らだったが、コロナ禍により2020年以降は無観客での配信ライブを余儀なくされていた。しかしこの9月に開催された全国4箇所5公演のツアー「GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-」で、約2年半ぶりとなる有観客でのライブが行われた。会場に集ったファンは着座し、マスクを着けて発声できないという状態で、JAM Projectはどんなライブを行ったのか。ここでは9月11日にZepp Hanedaで行われた公演をレポートする。

リーダーの影山によると「再出発となるライブは、できる限りライブハウスに近い場所で、シンプルな形で俺達のロックスピリットを感じてほしい」という思いから、ステージは後方に「JAM PROJECT」とユニット名が大文字表記になったツアーロゴが飾られているだけというシンプルなもの。しかし会場が暗転し、バンドメンバーと5人のメンバーが登場して最新シングルの表題曲「Bloodlines~運命の血統~」がスタートすると、ステージ上は一気に熱を帯び始める。赤いライトに照らされた5人はパワフルな歌声で圧倒したかと思えば厚みのあるコーラスを響かせ、かつてと変わらない姿を見せた。

そこからは2020年に予定していたものの無念の中止となったツアー「JAM Project LIVE 2020 20th Anniversary Tour The Age of Dragon Knights」のリベンジを思わせるパフォーマンスが繰り広げられる。まず届けられたのは20周年記念アルバム「The Age of Dragon Knights」の楽曲。表題曲のあとにはMCを挟んで、「ライバルであり頼もしい後輩」(影山)から提供された楽曲を畳み掛ける。GRANRODEOが提供した洒落心溢れる「ROCK五銃士」、ALI PROJECTらしさ満点の怪しげな「龍驤-Ryujou」、angelaによる爽やかな「HERE WE GO !」と続き、最後はFLOWが提供した軽快なスカビートの「ジャイアントスイング」。この曲では客席も色とりどりのペンライトを回転させてステージ上のパフォーマンスを後押しした。

アニソン界の盟友たちによる楽曲で新たな一面を見せたJAM Projcetは、続いて去年のツアーで挑戦しようとしていたというアカペラによるセッションへ。MCでは遠藤が「今日のライブの中でも特別緊張する出し物」「昨日の公演では大丈夫だったけど、今日は大丈夫か」と冗談交じりに心配していたものの、ステージ中央で向き合った5人のパフォーマンスは堂々としたもの。遠藤がリードを取り、きただにが低音で支え、ほかのメンバーがボーカルとコーラスを響かせる新たなアレンジの「スーパーロボット大戦」関連の楽曲メドレーに、客席からは大きな拍手が送られた。

その後、最新シングル「Bloodlines~運命の血統~」のカップリング曲であるバラード「戦友よ」を歌い終えると、福山は「いや~、いい曲だったな」と自画自賛。同曲を作詞・作曲した影山は「(『Bloodlines~運命の血統~』のタイアップ先である)『ゲッターロボ アーク』はエンディングが毎回変わっているけど、最終回まで見逃さないように」と意味深な言葉を残した。(※9月26日放送の最終回にてエンディング主題歌として放送された)

また福山が「JAM Projectは21年やっていてヒット曲がたくさんあり、今回のライブで何を歌うか悩んだ結果、いろんな曲を並べてつなげて長尺のメドレーにしました」と語ると、メンバーは長大な「魅惑のゴールデンヒットメドレー」(福山)を開始。遠藤らしいロングトーンのタイトルコールで「STORM 2021」から始まったメドレーは、「嘆きのロザリオ」「牙狼 ~SAVIOR IN THE DARK~」などの活動初期の人気曲や「SAMURAI SOULS」「Get over the Border」といったライブでの披露は珍しいレア曲が織り交ぜられ、15分以上に及んだ。その間には影山、遠藤、きただに、福山の男性陣によるゲーム「マブラヴ オルタネイティヴ」オープニングテーマ「未来への咆哮」に、同ゲームを愛する奥井がセンターとして加わるというかつてないパフォーマンスもあり、ファンを大きく喜ばせた。

ライブ中盤では楽曲制作者の思いと共に2曲のバラードも披露された。1曲目は2011年の東北大震災後にリリースされたアルバムの収録曲「Blue rise」。この曲を作詞・作曲した奥井は「当時、『誰かの愛や寄り添う気持ちで人は生きてるんだ』とか、『当たり前だと思っていた日々がそうじゃないと思った』とか絆の大切さなどを語っていた。あれから10年経って世の中がまた大変なことになり、改めて同じように考えさせられる毎日を送っている」と選曲の理由を語る。

続く「Believe~永遠のLink~」後には作詞・作曲をした影山が「この曲は『輪廻の中で、人間は生まれる前からいろんなことが決まっていたら』というテーマを決めたら曲も歌詞も一気に作れた」と制作当時を振り返り、さらに「自分が知る限り、この曲を結婚式で使ったカップルが1組いる。ぜひ今日の客席からも(同じように結婚式で使用して)流行らせてほしい」という思いを明かした。

そしていよいよライブはラストスパートへ突入。「ハリケーンLOVE」「ヒカリへのカウントダウン」というライブ定番曲、TVアニメ「ワンパンマン」シリーズのオープニングテーマである「静寂のアポストル」「THE HERO !! ~怒れる拳に火をつけろ~」とテンションの高い曲が続くが、メンバーはまだまだ元気な様子。また「静寂のアポストル」の曲頭ではバンドメンバーが紹介され、それぞれにテクニカルなプレイで客席を魅了した。

激しい曲の連発を終え、肩で息をしながら影山は「本当なら今ので終わりでもよかったけど……」と切り出し、さらに「俺達は今日復活しました。でも俺達はただ復活したわけじゃありません。ミュージシャンとして、アニソンのクリエイターとして、俺達の未来の音楽をみんなに問いたい。なので最後は12月にリリースされる、『スーパーロボット大戦30』の曲をお送りします」と語って本編のラストナンバーとして「Drei Kreuz~鋼のサバイバー~」をスタート。雄々しいイントロから始まり、「覚えておけ 俺達こそ どんな敵も打ち砕くDrei Kreuz」と勇ましい言葉で終わる新曲が、JAM Project復活の狼煙代わりに届けられ、ライブ本編は終了した。

客席から拍手でアンコールを求められると、ステージに戻ってきたメンバーはMCを挟んで、「VICTORY」と「GONG」のメドレーでライブを再開する。「VICTORY」のサビでは接触を避けるためメンバーが手を重ねず、「GONG」の冒頭はファンの合唱を誘わないというコロナ禍中でのライブらしいアレンジもあったが、熱量の高さは普段と同じかそれ以上。最後の楽曲となった「SKILL」もそれは変わらず、客席と一体となった“ダニーソード”などでグルーヴ感を生み出していた。

渾身の「SKILL」後、影山は「JAMのライブの大きな要素のひとつはみんな(お客さん)です。今回はみんながほとんどの得意技を封じられた状態で戦場に来てくれました……でも、最高」と、共にこの日のライブを作りあげたファンを評すると、その他のメンバーも同様にファンへの感謝を述べる。そして万歳三唱ののち、バンドメンバーがステージを去ったあとに残った5人のメンバーが行ったのは三本締め。普段のライブでは終演後にファンが声をかけてしていた恒例行事を、客席が声を出せない今回はメンバーが代わりに行ったのだ。ステージ上と客席、その間にある双方向のリスペクトを感じさせるような光景でツアー2日目は締めくくられた。

Text by はるのおと

「GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-」
2021年9月11日(土)Zepp Haneda

<セットリスト>
01. Bloodlines~運命の血統~
02. The Age of Dragon Knights
03. ROCK五銃士
04. 龍驤-Ryujou
05. HERE WE GO !
06. ジャイアントスイング
07. 20th Anniversary Acappella Session
迷宮のプリズナー/VICTORY/Rocks/Crest of ”Z’s”/Wings of the legend
08. 戦友よ
09. 魅惑のゴールデンヒットメドレー
STORM 2021/TRANSFORMERS EVO./嘆きのロザリオ/Get over the Border/Believe in my existence/未来への咆哮/牙狼~SAVIOR IN THE DARK
10. Blue rise
11. Believe~永遠のLink~
12. ハリケーンLOVE
13. ヒカリへのカウントダウン
14. 静寂のアポストル
15. THE HERO !! ~怒れる拳に火をつけろ~
16. Drei Kreuz~鋼のサバイバー~
EN1. VICTORY/GONG
EN2. SKILL


●配信情報
GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-
東京公演DAY2 見逃し配信

10月2日(土)19:00~

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関連リンク

JAM Projectオフィシャルサイト
http://jamjamsite.com/

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