INTERVIEW
2021.09.03
声優・歌手として活躍する櫻川めぐの10年以上に及ぶ楽曲を集めた、櫻川めぐ×Elements Garden コンピレーションアルバム『キボウマイロード』が2021年10月20日(水)に発売となる。PCゲーム主題歌を中心とした楽曲29曲が収録され、Elements Gardenや美少女ゲームファンにとっても待望といえる今回のアルバム。その発売を記念して、3週連続でインタビューをお届け。
第2回はElements Gardenの作曲家・菊田大介との対談企画。今回「キボウマイロード」の作曲・編曲を手がけた菊田大介は、デビュー前から歌い手・櫻川めぐを知るキーパーソンでもある。そんな二人だからこそ語れた爆笑トークを楽しんでほしい。
――今回、櫻川さんは菊田さんと初対談になりますか?
菊田大介 対談はないですね。最初に業界に入った頃から知っているので、出会ったのは彼
女が19歳くらいの頃ですね。
櫻川めぐ 私も当時、こんな若いお兄さんが曲を書いてるんだって驚きました。
菊田 上松(範康)さんだって当時はまだ20代だからね。最初は上松さんがボーカリストを探しているというのがきっかけだったんだよね?
櫻川 そうです。それで当時のプロデューサーの紹介で、仮歌で修業をさせていただきました。
菊田 仮歌とかコーラスとかすごい録ったよね。
櫻川 1日に多くて5、6曲とかありましたね。
菊田 やっぱり歌が上手いし、覚えもいいし、良い声だったんですよ。仮歌では色んなジャンルの曲をレコーディングしたんですけど、色んな曲に対応できてるから、当時から柔軟性があったんですよね。特にPCゲームは様々なジャンルがあるから、カオスだったよね。
櫻川 そうでした。演歌からヘビメタ、電波ソング、色々ありました。
菊田 でもかわいい声も出せるし、クールな感じもいけるし、なんでもできるという印象で。
櫻川 いや、それはElements Gardenさんに鍛えていただいたからです。最初はカラオケの自己流でかわいらしい歌い方しかできなかったので……。
菊田 そこは才能があったんですよ。僕もよく茅原(実里)さんとかの仮歌頼んだよね。
櫻川 たくさん歌わせていただきました。
――2007年くらいに櫻川さんとElements Gardenの接点ができたわけですが、たしかに茅原さんのランティスさんからの再デビューもその時期ですよね。
菊田 そうなんですよ。それがきっかけでランティスのプロデューサーが「この声良いじゃん」って、メジャーデビューに繋がったんだよね?
櫻川 そうです。ちょうど当時のプロデューサーさんが会社を離れるタイミングで、どうしようと思っていたところに、ランティスさんから声を掛けていただいたんです。
――なるほど、それがメジャーデビュー曲の「BRAVE BLADE!」なんですね。
櫻川 そうなんです!
菊田 仮歌もやりつつ、デビューも決まって、PCゲームの主題歌もやっていたよね。さすがに『BanG Dream!』で忙しくなってからはお願いできなくなったけど。
――櫻川さんは修業時代もそんなに大変な印象はなかったそうですね。
櫻川 ただただ楽しかったですね。“表現”というお仕事がどういうものなのかというのを学んだ気がします。
菊田 実力があったから、タイミングと運があればすぐにでもデビューできるんじゃないっていう気がしていましたね。
櫻川 ……と、褒めてくださいますけど、当時は右も左もわからず好き勝手やっていたのを、歳が近い菊田さんが一番ご存知ですよね(笑)。
菊田 いや、僕も若かったからあんまりわかってなかった(笑)。みんな歳が近いし、一緒に頑張っていこうという感じだったよね。
櫻川 深夜までみんなで私のしょうもない話を聞いてくれたりとか(笑)。
――青春ですね。菊田さんから見て、櫻川さんの歌の魅力はどんなところにあると思いますか?
菊田 声のキャラクター性に個性があるんですよね。技術的なところでいうと、ファルセットがすごく綺麗で、色んな声が出せるんだけど、特にきれい目な声はすごくい良いなと思っていました。でも、なんでもできるから、タイアップに合わせてどんな曲でも歌えて、セルフディレクションで「ここはこうしたい」というのも言えるので、自分で考えて動けるところが魅力的ですね。あとはやっぱり、長年やってるからうちのサウンドの枠組みややりたいことがわかっていて、理解が早いというのはあるかもしれないです。歌唱力もどんどん上がっていってますね。初期は安定しないところもあったけど(笑)。
櫻川 ありました(笑)。
菊田 この間、録ったときにこんなにピッチが安定してるんだって驚いて、色んなコンテンツを経て、すごく進化してるんだなって思いました。
櫻川 嬉しいです!やっぱりそういうところを理解していただいているので、今回「キボウマイロード」の作曲・編曲を菊田さんにお願いしたというのはありますね。ありがたいことに、Elements Gardenさんのどなたにお願いしようかと希望を聞いていただけたので、私は真っ先に菊田さんにお願いしたいと言ったんですよ。
菊田 それはありがたいことです。嬉しい。
――今回は櫻川めぐ×Elements Garden コンピレーションアルバムということですが、櫻川さんから見てElements Gardenの魅力はどんなところにあると思いますか?
櫻川 すぐに心に届くキャッチーさだと思います。そのカラクリがメロディなのか、音のチョイスなのかはわからないんですけど、何か心に届くものがあるんです。菊田さんにそのからくりを聞きたいくらいで!
菊田 なんなんでしょうね(笑)。やっぱり、タイアップものが多かったというのが大きくて、PCゲームのOPだとムービーがあるし、アニメのOPだと曲の長さが1分半という制約があるじゃないですか。その限られた中に、どういうふうに作品の世界観を盛り込むかという設計図を作るのが、我々は上手いのかもしれないですね。
櫻川 しかも色褪せないじゃないですか。私がお仕事を始めたばかりのときに兄が持っていた美少女ゲームのCDを聴いた時点でも数年分ありましたし、さらに新たなものを生み出し続けていますよね。今ではそんな曲のドラムを叩かせていただいています(笑)。
菊田 Roseliaの曲も毎回すごいことになっているよね(笑)。
櫻川 Elements Gardenに伝わる門外不出の、なんか秘伝のタレみたいなものがあるんですか?(笑)
菊田 秘伝のタレはない(笑)。やっぱり、コンテンツをどうよく見せるかですよね。そこを徹底的に考えて曲を作っているかどうかじゃないかな。CMではサビしか流れなかったりするし、そこで「聴いてみようかな」と思ってもらえるかを僕はずっと考えていて、サビにどれくらいキャッチーさを盛り込むかが重要だと思うんですよ。
――作品に物語があるから、楽曲にも必然的に物語性があるんでしょうね。
菊田 それは大きいでしょうね。でも、僕もプロデューサーに結構言われましたよ。「もっと映像的に曲を作ろう」って。アニメのオープニングって、音楽が先にあって、映像をあとに作るじゃないですか。だから、曲の中に何かキメとか仕掛けがないと映像チームが困るわけですよ。そういう映像チームにもひらめきが与えられるような曲にしないといけないっていうのがあるんです。
櫻川 今回のアルバムはたくさんOP曲もありますし、帰ってすぐもう1回見返して確認したいです(笑)。
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