“炎の12ヶ月”と銘打って毎月26日に配信ライブを開催しているFLOW。ライブができないというのなら、やれる場所を作ればいい!と毎回配信ならではの演出でアルバムの世界を隅々まで放ってきた彼らが、久々の有観客ライブを開催。こちらも久しぶりとなる“FLOW THE CARNIVAL”として開催されたFLOWの祭典をレポートする。
FLOWにとっても久々の“有観客ライブ”となったこの夜。LINE CUBE SHIBUYAはFLOWによる音楽の祭典の熱が席捲することに!ライブの幕開けを告げたのは、まるで勝鬨の声のように響く閖上太鼓保存会による太鼓と歌だった。“炎の12ヶ月”のvol.7『BLACK & WHITE』にも登場した閖上太鼓保存会の演奏に合せて会場からはFLOWのライブグッズ・鳴子の音が湧き、大いなるリズムとなるなか、FLOWのメンバーも熱い太鼓を轟かせる。長年の盟友とのコラボレーションを聴かせると、続いたのはコロナ禍の中で突き動かされる想いが結晶となった「衝動」。アグレッシブなサウンドにタイトル通りの衝動詰まるナンバーがライブの真の幕開けの曲となった。それに続いた「プラネットウォーク」を今度はホールのステージのスケール感とグルーヴとで堪能させ、オーディエンスが大きく腕を挙げIWASAKIのビートに応えての「愛愛愛に撃たれてバイバイバイ」になだれ込む。冒頭の太鼓の演奏からノンストップでのハイパワーなパフォーマンスで、ここまで配信ライブで溜めに溜めてきたライブへの熱気が一気に放出されていくのを感じる。
「みんな、超久しぶりー!元気にしてたー?」と笑顔を見せるKEIGO。その声に歓声代わりの鳴子の音が響くと「新しいなぁ」と笑みはさらに深まる。「本当にお久しぶりです。約1年半ぶりのワンマンライブ。こんなときなのに来てくれてありがとう!今日はいつも通りに声を出せない状況かもしれないけど、今やれる全力で、ここにいる全員と、配信で参加してくれているみんなも一緒だからね!全員で“FLOW THE CARNIVAL 2021 ~新世界~”思いっきり楽しんでいこうぜー!」と雄叫びを上げたKEIGOの声に誘われるようにギターが鳴り、「CALLING」が響く。ステージから放たれる音で躍るオーディエンス。そして配信のために作り込まれたライブではない、まさに生々しさしかないパフォーマンス。配信チケットで観賞中のオーディエンスだって画面の向こうで腕をあげ、応えているはず。その声は聴こえているよ、と。三味線の音に轟くバンドの音が重なっての「魑魅魍魎」が生み出す熱気が会場を席捲すると、続いたのはハードでラウド、ヘビーに響くFLOWのグルーヴメタル「秘密の作戦」だ。マシンガンのごとく畳み掛ける言葉と重厚なビートに頭を振らずにはいられない。そのイントロだけでガラリと空気を変えたのが「COLORS」。青い空が浮かんできそうな、突き抜けた爽快感、そしてストリングスの壮大なサウンド。先ほどまでの禍々しいライティングから光の中に立つFLOWのライブを堪能する表情が印象的だった。
MCが始まるときには鳴子と拍手の音。「(双方の音が)混ざる感じは独特だね」とKOHSHI。KEIGOと共に観客の鳴らす音が嬉しいと話す。「いつも配信ライブばかりだったので。カメラさんを前にしてしかライブをしていなかったから。リアルなこの、生のリアクションね。これを待ってたよー!」とKOHSHIも嬉しそう。ありがとう、と感謝を伝える。1階から3階まで、観客の顔が見えることを心から喜ぶ二人。1年半前の“FLOW 超会議 2020 ~アニメ縛りリターンズ~”が直近のワンマンライブであり、“FLOW THE CARNIVAL”も日本青年館での“アニメ縛り”以来とのこと。さらに今回の会場LINE CUBE SHIBUYA(旧:渋谷公会堂)で以前“FLOW THE CARNIVAL”をやったときにオープニングで太鼓の演出を行なった、という話の流れから、再び閖上太鼓保存会を呼び込み、クラップと太鼓、そして軽快な歌声で「メロス」を聴かせた。仲間と共に音を出す時間。TAKEもGOT’SもIWASAKIも笑顔になり、閖上太鼓保存会のメンバーと共に鳴らす音も跳ねるように、高らかに響いた。
もっともっとアガっていくぞ!とギターが駆けると軽やかなビートでの「休日」、KOHSHIもギターを手にして2本のギターが絡み合い共に響くポジティブチューンの「アイオライト」と続くライブ。“炎の12ヶ月”でも聴いてきたナンバーは、生ならではの熱気とともに配信ライブでの姿をも思い出させる。さらに懐かしい1曲「Shakys」が!楽しげなメロディと層の厚いコーラスワークで聴かせる“イカした”ナンバーに、会場も笑顔がいっぱいとなった。ヒートアップしていた会場に、深淵からの音が響く。KEIGOの吹くハープの音と大地の鼓動のような雄大なビートが紡ぐ「旅人」。KOHSHIの弾くアコースティックギターの音が吹き抜ける風のようだ。クラップを求めるSEに鳴子と手拍子が会場を震わせると、そのまま会場一体のビートに合せて披露した「光」では一緒に歌えずとも“みんなで作り上げる”FLOWらしいステージを見られた。
白い衣装の男女が舞う。躍動感に満ちたそのパフォーマンスが導くようにスペシフィックに紡がれるイントロが鳴り出し「United Sparrows」をKOHSHIとKEIGOが歌い上げると、ダンスパフォーマンスも歌の抑揚とともに動と静の動きで魅せ、その後のMCでは、MVでの水中パフォーマンスで出演していたダンサー二人を迎えて撮影秘話を語った。
そして、今までにない表現に挑戦をしたFLOWのライブはここから終盤へ。鳴らされたのはなんと「AWAKE」!『FLOW ANIME BEST 極』(2015年)に収録され、FLOW考案によるオリジナルアニメ企画「極!!! エクストリームⅤ ~世界征服に必要な5人の英雄と小悪魔とさえない私~」のテーマソングになったナンバーだ。“炎の12ヶ月”には入ってこないアルバム収録曲なだけに、まさかここで聴けるなんて!と驚いたファンも多かったはず。暴れまくるサウンドの中にアニメ主題歌のキャッチーさも兼ね備えた1曲だ。そして、高らかに歌い上げるKOHSHIのボーカルから熱くも虹色のメロディに彩られたロックンロールナンバー「虹の空」、ケルトサウンドとFLOWとの融合で神秘的でドラマチックなロックサウンドを丁寧に紡いだ「風ノ唄」、会場も配信で見ているオーディエンスも全員でジャンプをし、ウェーブを作って見せた「GO!!!」を立て続けに披露。「NARUTO -ナルト-」、そして「テイルズ オブ ザ ゼスティリア クロス」という彼らと深く繋がるアニメ作品との珠玉のコラボ曲が疾風怒濤のライブ終盤を彩る。歌声を重ねられないけれど、大きく体を揺らし、高く手を挙げることで共に音を奏でるオーディエンスの姿はFLOWの熱をさらに上昇させていたように感じる。
久しぶりのFLOW THE CARNIVALのラストを飾ったのは「新世界」。自分たちが新しい世界を作っていこう!と歌い上げる、今の時代に必要なパワーを宿す1曲を、心で共に歌う。弱さも吹き飛ばし、一緒に未来を見ていく。楽曲に込められた想いがダイレクトに叩きつけられ、会場を熱気が浸食していった。
メンバー全員のラップとダンスが楽しめる「Tick Tack」と「Garden」のアンコールを加えた全21曲。待望のワンマンライブはステージのFLOWと、この日を待ち続けたファンの熱気で渋谷を染め上げ、ライブバンド・FLOWの本領発揮の、渾身のライブはこうして幕を閉じた。またいつかきっと存分にライブを楽しめる。そんな可能性を感じさせたライブだった。
「やっぱライブは最高―!」(KEIGO & ALL)
PHOTOGRAPHY BY Masanori Fujikawa
TEXT BY えびさわなち
『FLOW THE CARNIVAL 2021 ~新世界~ 』
8月9日(月・祝)@LINE CUBE SHIBUYA
<セットリスト>
01. 衝動
02. プラネットウォーク
03. 愛愛愛に撃たれてバイバイバイ
04. CALLING
05. 魑魅魍魎
06. 秘密の作戦
07. COLORS
08. メロス
09. 休日
10. アイオライト
11. Shakys
12. 旅人
13. 光
14. United Sparrows
15. AWAKE
16. 虹の空
17. 風ノ唄
18. GO!!!
19. 新世界
―Encore―
En01. Tick Tack
En02. Garden
●連載情報
“FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月”ライブレポート
今までリリースしてきたアルバム1枚ずつをコンセプトに、毎月1回、全12回の配信ライブとして全国、全世界、どこにいても体感できる配信ライブ“炎の12ヶ月”。リスアニ!WEBではそんな月イチオンラインライブをレポート!ぜひご覧ください!
https://www.lisani.jp/series/flow-honoo12month/
FLOW 公式サイト
https://www.flow-official.jp/
FLOW 公式Twitter
https://twitter.com/FLOW_official
FLOW 公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCLakaKEelmUdqQISLjwIRmg
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