INTERVIEW
2021.07.28
――Mia REGINAの皆さんは、実際歌っていくうえでのやり取りのなかで、特に印象深かったことはありますか?
霧島 私、レコーディングの最初に「寝ている人の耳元でささやくように歌ってください」ってお願いをされたんですけど、自分ではそれくらいの音量で歌っているつもりでも意外と声がでかいんだなということを自覚したり……。
草野 元気だったんですよ。意外と(笑)。
霧島 「これだと起きちゃうな」みたいに(笑)、笑いながらやり取りしながら歌えたことが結構印象的でした。あとは、自分でもわかってはいたけどどう抜いたらいいのかわからなかった癖を、草野さんが魚の小骨を取り除くように「こう取ればいいんだよ」とうまく取り除いてくださって……そういう癖には自分でも気づいてはいたんですけど、取り除くべきかどうか自分だけでは判断しづらかったんですよ。でもそれを、うまいこと調整してくださったんです。
草野 めっちゃ柔軟だったから、逆にわかさまらしさを残すためにどこまで伝えるべきかはすごく悩みました。でも「私は叩かれて伸びるタイプなんで!草野さんが思ったことは一言残らず全部言ってください!」と言っていたので、お言葉に甘えて(笑)。
霧島 今までとは全然違う歌い方でしたけど、それでもしっくりくるように歌えたような気がします。あと最近は、言葉として意味合いがちゃんと伝わるような歌い方も心がけるようにもなりました。
草野 音符優先で歌ってアクセントの位置がメロディに合いすぎると、言葉とは違う強弱がついてしまい歌詞として聴こえてこなくなって、音符としてしかオーディエンスの耳に入らなくなってしまうんですよね。
ささかま 私はレコーディング前の練習のときに、この曲が聴いてくれる人に伝わるように心をダイレクトにメロディに乗せたいなと思って、なるべく癖をなくす練習をしていったんです。癖があると、聴く側はどうしてもそこが気になってしまうので。だから、一発目に「そういう感じでいいよ」と言っていただけたときには、イメージの方向性が違ってなくてよかったなと安心しました。
――最初に「こう歌いたい」と思い描いていた像が、作り手側と合致していた。
ささかま はい。でもレコーディング前は不安でした。「ちゃんと華余子さんの熱に応えないと、マジでヤバいぞ」みたいに周りから脅かされていたので(笑)。
草野 そこまで鬼コーチじゃないから(笑)。最初にパッと声を出していただいたときに読み取ってきてくださったのがわかったうえに、ご本人も作詞をされるなかでディレクションも今まできっとたくさんされてきたというのもあってか、「今回の曲はこうだろう」ということをある程度意識して歌ってくださっているのが伝わってきたんですよ。なので「ここはどうしてもささかまさんの声でいきたいから、ここをもっとこういうふうに歌って」みたいに、何回もトライしてもらった部分もあったりして。
ささかま そうなんです。私、自分の声って低音に魅力があると考えていたんですけど、華余子さんに「ミドルがいいよ」と言っていただけて、ミドルで高い声を出したんです。今まで基本的に「高いパートは私じゃないな」と思いながら歌っていたところもあったんですけど、Dメロなんかは高い部分を何度もやらせていただいて……いい経験でした。
上花 私もニュアンスとか癖をメインに明るい声で歌うことが多いので、その逆を意識して歌うことに苦戦しました。
――自然に歌うと、歌声に明るさが出てしまう。
上花 はい。なので歌の雰囲気に合わせることをすごく意識して、気をつけながら歌っていったんです。でもやっぱり、「もっともっと」という感じだったので、そこからまたレコーディングを通じて、変わった部分はあったと思います。
草野 でもそれも、「口を大きく開けすぎてる」みたいな小さな変化だけですぐに改善していたので、そこまで大きな問題にはなりませんでした。今回は皆さんに全パートを歌っていただくなかで三者三様の良さも感じつつ、大サビの三人のユニゾンではすごい一体感も感じましたね。それぞれ持っているイメージが最後にちゃんと1つになったような感覚があったので、お三方ともできることは全力で発揮してくださったように感じています。しかも、最初にもお話ししたように全員すごく対応力があったので、落ち着いた楽曲ではありますけど、白熱してみんなで爆笑しながらレコーディングした6時間でした。
――白熱と……爆笑?
草野 わかさまは結構笑ってたよね?(笑)
霧島 はい。不思議な感じで(笑)。
草野 おやつを配り合ったり、「コンビニ休憩行こう」とか言ったり……。
――この曲のレコーディングで“白熱”と“爆笑”は意外でした(笑)。
草野 私の現場の良くないとこなんですけど、「いつでも明るい」っていうのがあるので(笑)。
ささかま あと、レコーディングしたあとに、サビの歌割りが二人ずつになっていたのもすごく新鮮でした。
草野 これ、最初は一人にしようと思ったんですけど、『白い砂のアクアトープ』って主人公が二人いる作品じゃないですか?しかも声の特徴もそれぞれでちゃんと出ていたので、丁寧に手を繋ぎ合いながら一人ひとりがバトンタッチして最後のサビに向かう感じにしたくて。「三人で歌うのは最後の最後だ」という感覚もあったので、完成したものの振り分けになりました。
ささかま 今まで二人ずつっていうのはあまりなくて。特にサビで二人になるっていうのは初のような気がします。
上花 うん。私も新鮮でした。
草野 しかもMia REGINAさんって、どのパターンのコンビでも合わない声の相性の人がいないんですよね。だから「うまいことできてるよなぁ」って、良いグループだなぁと思います。
――その組み合わせ自体も、曲の展開と照らし合わせながら決めていったんですか?
草野 そうですね。その他、ソロパートは「一番歌えていた人」というよりも「一番表現が良かった人」を選ばせてもらったりしつつ。とはいえサビの頭は張りのある声の人で、中盤の緩やかなところは優しい声の人で……というように、「本当にそこを歌うべき人に歌ってもらう」という振り分けをさせてもらいました。それも前もってカチッカチッと決めすぎずに「この表現が録れたから、この人でいこう」とフレキシブルに、レコーディング後に全トラックを何回も確認しながら組ませてもらいました。
霧島 ただ今回は色んな組み合わせで歌っているうえに、さっきお話したように自分の癖がなくなっているぶん、MV撮影でリップシンクするときに自分のパートだけを歌おうとしたときに「どこだったっけ?」って一瞬迷子になったりもしました(笑)。
草野 ごめん(笑)。でも多分わかさまが、ディレクションの前後で一番変わった人だと思う。
霧島 そうなんですか? 嬉しいです!
ささかま 今「主人公が二人だから、二人にした」という話を聞いてから、ライブにどう臨めばいいかが、なんだかわかってきた気がしました。
草野 良かった。一人ずつで歌うと、すごく寂しく聴こえたんですよ。主人公二人だけじゃなくて、色んなキャラクターの葛藤や悩みのすべてを癒せるような楽曲にしたいという想いに対して、サビがソロだと孤独感が強すぎたんです。でも「孤独だけど、一人じゃない」といいますか……それぞれが持っている孤独は混ざらないけど、ほかにも同じように苦しんだり葛藤している人が存在するというどこか救いや温かみのある曲にしたかったので、一人ぼっちじゃないことがわかるようなサビにすることには気を配りました。
ささかま 歌うの、楽しみだね。(※インタビュー時点では)まだライブでは歌っていないんですけど……。
上花 二人と歌うときは各々での合わせ方が違うので、ライブではどうしようかな、というのを今考えています。
SHARE