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2021.05.05
デビューシングル「はじめてのかくめい!」のミュージックビデオがYouTubeにて112万回再生を突破し、豪華作家陣による提供楽曲で鮮烈なデビューを飾った声優アーティストユニット「DIALOGUE+」(ダイアローグ)。その「DIALOGUE+」が、4月25日 (日)に東京ドームシティホールにて、1st LIVE「ぼくたちのかくめい![再]」を有観客・昼夜2公演で開催。ライブ2日前には、政府より4都府県を対象に25日からの緊急事態宣言が発令されてライブ実施が危ぶまれたが、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会からは、感染拡大防止対策に万全を期したうえで原則として予定通り公演を行なう指針が示され、DIALOGUE+公演も開催の運びとなった。
ライブタイトルに「ぼくたちのかくめい![再]」とあるように、このライブは昨年に開催予定だった有観客での1st LIVEの「再演」となる。演劇の世界では再演は度々行われ、音楽の世界でも振替・追加公演は耳にするが、ライブをそのまま丸ごと「再演」する試みというのはかなり珍しく、それだけでもこのユニットが新しい革命を成し遂げようとしていることの証左だ。
そもそも今回のライブ実施までには紆余曲折があった。2020年6月20日(土)に山野ホールで、残念ながら有観客から無観客・配信限定へと形態を変更した「ぼくたちのかくめい!オンライン」、そして中止となってしまった2020年9月19日(土)の「延期公演」と、いわば三度目の正直の挑戦である。”ログっ子”(DIALOGUE+ファンの呼称)もその思いを共有してきたからこそ、このライブのチケットは追加販売した見切れ席も完売となるほどの熱量をもって迎え入れられた。
ただ、この公演には世間の情勢も去ることながら、もう一つのハードルが存在していた。それは「ぼくたちのかくめい!オンライン」はアーカイブありの配信で実施し、その後Blu-rayとして販売もしているということ。つまり、熱心なログっ子であるほど昨年6月の公演を何度も繰り返し見ており、その前提を踏まえた上で全く同じセットリストを披露しなくてはいけない訳だ。曲順も衣装も幕間映像も同じ……しかも今回の有観客ライブは配信無し・映像収録も無しというこの日限りのものだったため、あの日からおおよそ1年経った自分たちの成長と現在地を、ログっ子たちに見せるショウケースでもあった。
その期待に応えるプレッシャーを背負いながら、イントロに合わせてステージ中央の階段から姿を表した8人は、早速生バンドが奏でるリズムに乗せてダンスのステップを踏む。そして、「かいかいせんげん!」から「はじめてのかくめい!」とお馴染みの楽曲からライブをスタートさせると、会場の熱が一気に上がる。それもそのはず、生バンドの音を上回るほどの彼女たちの声量と伸びが素晴らしく、この発声を踊りながら実現させているパフォーマンス力の向上が見て取れたからだ。
ダンスも大きく見せる動きと、あえて抑えて見せる強弱の付け具合も絶妙で、8人揃って統一されたフォーメーションは1人を見ても全体の動きを見ていても心躍るもので、目がいくつあっても足りない気持ちにさせてくれる。勿論、生の現場で感じる音圧と演者のオーラによって加味されていることもあるだろうが、昨年映像越しに見たものとは完成度が高まっていることは誰の目にも明らかであった。そして、マスクをしていてもその下には笑みで溢れていることが分かるログっ子たちは、DIALOGUE+のグッズ初となるペンライトを思い切り振って、いかに待ち望んでいたかを全身で表現していた。
今回のライブは演出面もオンラインライブの際と変わらなかったが、前回観客席の座席から歌声を届けた「SCENE C-2:また立ち上がる」ではステージの階段上に椅子が設けられており、有観客ならではの見せ方で新鮮味をもたらしていた。
このように、変わったこと・変わらないことを絶妙に織り交ぜながら進行していったライブだが、はからずもパフォーマンスに違いが出た曲が1つ存在した。それが、昨年の情勢下においてオンライン環境で制作された経緯も含め、DIALOGUE+の中でもメッセージ性が強く打ち出されている「あたりまえだから」だ。前回のオンラインライブで、この曲に入る直前に「また必ずみんなで、笑顔でお会いましょう!」と画面越しのログっ子に約束をしていたが、その約束がようやく果たせたこと、そしてまた笑って会えるように新たな約束を結んだ後に歌い始める。が、これまでせき止めていた感情が溢れ出したメンバーの歌声が詰まり、ようやく絞り出した声も震えていた。「こんな奇跡はもう起きないかも」と不安げに歌う彼女たちに、声を届けられないログっ子たちが取った手段、それは彼女たちと同じ振り付けを行なうことで、会場全体からなるレスポンスはまるで会話のようで、ひとつの新しい”当たり前”を積み重ねた形になった。
また、ライブの最後にはサプライズもあり、5月19日に発売されるDIALOGUE+のニューシングル「おもいでしりとり」(TVアニメ『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』OPテーマ)を初披露した。田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)作詞・作曲の同楽曲は、切なく繊細なメロディと情動的なリズムが胸に迫る一曲で、4人ずつで左右の天秤の皿が動くさまを表現する振りつけも特徴的だ。そして何といっても「うれしい」「いつもありがとね」「ねえちゃんと見て」「手を繋ぎたい」といったしりとりは、彼女たちの今の想いで構成されているかのようであった。
ライブ本編終了後、アンコールの拍手を受けて登場したDIALOGUE+のメンバーを代表して、内山よりログっ子に向けてメッセージが発せられた。
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