安野希世乃にとって初となるアコースティックライブが、大阪・東京の2都市で開催。その千秋楽、4月4日(日)の東京公演・夜の部のオフィシャルレポートが到着した。
街灯が3本配置され、存在感を放つ月が浮かんだセットは、外国の街の広場のよう。バンドが定位置につくと、白とゴールドのロングドレスに身を包んだ安野が登場。スツールに座ると、ピアノのイントロが流れ出す。
そうして始まった1曲目は「ちいさなひとつぶ」。原曲も1コーラス目はピアノと弦楽器が中心のしっとりとした曲だったが、今回はピアノのみで、さらに繊細な印象に。安野の優しいボーカルが会場に響きわたる。1コーラスを歌い終えると同時にチェロが加わり、やがてギター、パーカションが入ってきて、音が立体的になっていく。落ち着きのある、穏やかな音楽空間が形成されて、今回のアコースティックライブの形が見えてくる。
2曲目は「夏色花火」。夏の恋模様を歌った淡く切ない曲で、最新シングル「フェリチータ/echoes」に、今回のライブと同じ編成によるアコースティック・バージョン(acoustic color)が収録されていた曲だ。
歌い終えると、「安野希世乃 Acoustic Live 2021 〜恋する Water Colors〜、千秋楽でございます!!」と明るく挨拶。温かい雰囲気で迎えてくれたオーディエンスに感謝の意を伝え、「夜公演だけ、月が出ているんですよ。お外は雨でも、このホールの中は快晴です。素敵な音楽をお送りしていこうと思います」と、思いを語った。
さらに、ここでバンド紹介へ。ピアノ:松本圭司、チェロ:笠原あやの、パーカッション:福長雅夫、ギター(バンマス):石成正人が紹介を受けて一礼し、拍手を浴びた。
続いては、「生きる」。これもシングル「フェリチータ/echoes」にacoustic colorバージョンが収録されていた曲で、マーチの力強いリズムに支えられた原曲が、流れるようなピアノの演奏によって、がらりと雰囲気を変えてスタート。やがてパーカッションが加わり、ピアノもリズミカルになっていって、最後にはバンドメンバー全員の混声コーラスも入って厚みのある展開に。ひとりで歩き始めてだんだん仲間が増えていくような、ドラマ性のあるアレンジとなった。
次の「晴れ模様」では、松本がピアノからアコーディオンへとスイッチ。温かな太陽に照らされながら旅路を行く情景が描かれた曲で、安野のボーカルもより爽やかに。そして、昼公演とは曲替わりとなる5曲目は「kiss! kiss! kiss!」。キュートなラブソングで、客席からは自然とクラップが起こった。
曲が終わってのMCでは、クラップへの礼とともに、「今までで一番、音楽のグルーヴ感というか、気持ちいい一体感をお届けできているように思います」と、充実感を言葉にした安野。そこから話題は、3月5日から劇場公開中の『ARIA The CREPUSCOLO』に移り、「私としては最低2回は観にいくことをオススメします」とアピールした。
MCの後に披露されたのはもちろん、『ARIA The CREPUSCOLO』のOPテーマ「フェリチータ」。物語の舞台ネオ・ベネツィアを俯瞰した楽曲で、街をゆったりと流れる風のような歌声と演奏が響いた。
ライブはここから、徐々に勢いを得ていくことに。安野が、この日初めてスツールから立ち上がって歌ったのは、青春を感じさせるアップテンポな「ロケットビート」。そこから、「Destino〜恋は一秒の永遠〜」で、一気に大人っぽい雰囲気に。赤一色のライトで照らされたステージで、フラメンコ風の振り付けを披露しながら、情熱的な恋の曲を熱唱した。続く「嘆きの空」は、またまた雰囲気を変え、しっとりとした曲に。安野は再びスツールに腰掛けて、別れを描いたこの曲を朗々と歌い上げた。
続いてのMCでも、「宝物ですね。一曲一曲、一瞬一瞬、みなさんと共有している時間は宝石みたいに輝いています」と、ライブの実感が言葉に。さらに、今回のバンド名を紹介。その名は「フェリチータ〜ず」。4月4日は「幸せの日」であり、最新曲のタイトル「フェリチータ」はイタリア語で「幸せ」であることからの命名らしい。MCは続いて、バンドメンバーを交えてのおしゃべりに。2月から始まった「フェリチータ〜ず」とのセッションや、アコースティック・アレンジの感想、さらに、バンマス石成の趣味であるけん玉や、安野が宮城県涌谷町とコラボして生まれた「稀世」をメンバーに贈った顛末など、いろいろな裏話が披露された。
SHARE