――ここからはニューシングルの詳しいお話をお聞かせください。表題曲の「ReSTARTING!!」は、ずばり“リスタート(再出発)”をテーマにした快活なロックチューン。活動再開の一発目に相応しい楽曲ですね。
愛美 “リスタート”をテーマにした曲にすることは最初から考えていて。歌詞は、自分の今の気持ちとこれからの未来を期待するようなものにしたいなと思いながら書きました。楽曲に関しては、ギターを持ちたかったので、ギターが映えるようなバンドサウンドを自分から提案させていただいて。この曲はクラップからコール&レスポンスまで入っていて、ライブで絶対に盛り上がれるポイントが散りばめられていたのが決め手で選びました。
――ライブを意識して制作されたと。
愛美 自分もライブを観たり、ライブをすることが好きだし、ライブはアーティストのことをもっと好きになれる場だと思うので。デモの中から選ぶときも、自分で曲にノリながらお客さんの気持ちになって選びましたし、カップリングの2曲に関しても、ライブを視野に入れて選んでいます。
――歌詞には、先ほどお話いただいたアーティスト活動に対する葛藤の部分も感じさせつつ、再スタートにかける想いと力強いメッセージが込められています。
愛美 ただポジティブに「頑張るよ!」っていう歌にはしたくなくて。私はこの数年間、活動のなかで悩んでいる姿も出してきたんですけど、その姿を見ても愛美のことを応援してくれる人がたくさんいて、すごく幸せなことだと思うんです。そういうネガティブな自分もいることを隠すのではなくて、認めて、受け入れて、前を向く歌にしたくて。なので歌詞の前半には、ネガティブなワードをあえて入れ込みました。
――たしかに。歌い出しから“「ダメだきっと」はじめからもう 見ないフリしていた”ですからね。
愛美 パッと聴いたときに「ん?なんだろう、この歌は?」って思ってもらえるような歌にもしたかったので、あえて一番最初に、一番ネガティブな感情を持ってきました。昔は完璧な人間になりたい気持ちもあったので、表に立つ人間として、ネガティブな部分は見せてはいけないと思うことがあって、余計に苦しくなったりしていたんですけど、今はYouTube活動でちょっとダメなところをさらけ出しても、それを面白いと言ってくれたり、逆に親近感が湧いたと言ってくださる方が多くて。自然体の自分を受け入れてくれるファンの皆さんがいたからこそ、安心してここまで素直な歌詞が書けたんだと思います。
――歌詞の中に“愛”という言葉がたくさん出てくるのも印象的です。
愛美 私の名前が“愛美”だからというのもありますけど、私のモットーは世界平和で、心にラブ&ピースを常に持ちながら生きていたくて。ネガティブ人間ではあるけど、やっぱり楽しいことが好きだし、みんなに幸せになってほしいというポジティブな感情はあって。“人間愛”や“人類愛”といった“愛”の感情はとても素敵だと思うので、歌詞を書いていてもついつい“愛”がたくさん入っちゃいます(笑)。でも、「ReSTARTING!!」では“自分”を意味するローマ字の“I(アイ)”だとか、伝えたい言葉のニュアンスによって別の“アイ”も使っています。やっぱり“愛美”だけの歌にはしたくなかったので。
――そのなかでも、Dメロの“臆病な自分と愛鳴らして これまでの自分も愛し合って”は、自分自身を肯定するようなフレーズになっていますね。
愛美 私自身が自分のことを結構否定しがちで、自分に自信を持つとか、自分のことを認めて愛することが苦手なので。「ReSTARTING!!」の歌詞には、自分に対する希望みたいなもの、「こうなりたい」とか「こうだったら素敵だよね」という部分も詰まっているんです。自分を奮い立たせる歌詞にもしたかったし、それを歌にすることによって、今やっと自分のことも愛せそうな気がしていて。結果、皆さんにとってもそういう歌になればと思いますし、自分自身が前を向くきっかけになる曲になったと思います。
――自信のない自分を勇気づける歌でもあると。
愛美 はい。でも、面白いなと思いました。歌にすれば何でもアートになるし、どんな感情でも音楽になるんだなって。
――たしかに。例えば普段の会話の中で「自分を愛して」と言われても、なかなか説得力は生まれないですけど、こうやって自分の弱さもさらけだした愛美さんが、歌に乗せて“これまでの自分も愛し合って”と伝えることで、たくさんの人が勇気をもらえると思うんですよね。
愛美 「ReSTARTING!!」の感想を見ると、「愛美が歌うからこそ勇気づけられる」と言ってくれる人が多くて。以前に一度ソロデビューしている愛美が、そこから紆余曲折を経て、アーティスト活動を再開して、今はやりたいことをやっていて。なおかつこの歌詞だから、より響くと言ってくれているのを見たときに、自分にしかうたえない歌がうたえたのかなと思いました。
――歌のレコーディングはいかがでしたか?
愛美 まず「愛美のそもそもの歌声ってどんなのだっけ?」というところから始まりました(笑)。特に最近はほぼキャラソンしか歌っていなかったので、表現の幅は確実に広がったんですけど、キャラとしてではなく、愛美として歌うとなったときに、「どういうふうに歌えばいいんだろう?」って一瞬なってしまって。でも、要は深く考えずに歌えばそれが愛美になることが、今回のレコーディングを通してわかりました(笑)。
――曲に向き合って自然に出てきたものが愛美さんの歌ということですね。その意味で「ReSTARTING!!」は、ロックな曲調にマッチした爽快で熱さのある歌声に感じました。
愛美 嬉しいです! 私自身もかっこいいシンガーに憧れがあるので。ただ、昔ほどそこに無理に近づけようとしなくなって。「かっこいい」には色んな種類があると思うんです。もしかわいい歌声でも、生き様や音楽に対する姿勢がかっこいい場合もあると思いますし、前提として、「愛美の今の歌声が好き」と言ってくださる方がいることにすごく救われていて。今のありのままの愛美でも受け入れてもらえるという安心感があるからこそ、無理に飾らなくなったし、今のそのままの歌声を届けてもいいんだ、っていう気持ちになれました。
――「ReSTARTING!!」のMVは、愛美さんがスタジオのような場所で、バンドと一緒に演奏しながら歌う映像になっています。撮影はいかがでしたか?
愛美 実はソロでMVを撮るのが初めてだったので、すごく戸惑いました(笑)。ギターを持っているシーンでは、今までギターを持ってライブをやってきたこともあって、意外と動けていたと思うんですけど、手ぶらで歌うシーンのときは「うわーっ! どうやって動けばいいんだ……」ってなってしまって(苦笑)。そこは今後の課題だなと感じつつ、素敵なシーンを切り取っていただいたので、私も大好きなMVになりました。
――愛美さんが終始笑顔で楽しそうに歌っているところがすごく良かったです。
愛美 歌詞には暗いところもあるので、暗い歌詞を暗い顔で歌ったら暗い曲になってしまうと思って(笑)。あくまでもこの曲で伝えたいのは、前を向くということなので、それを表現したくて終始笑顔で撮りました。
――あと、今回持っているギターは白のレスポールですよね。愛美さんと言えば黄色のレスポールを愛用している印象が強いのですが。
愛美 あのギターは、私物で所有している黄色のレスポールとは違って、ギブソンさんに貸していただいたものなんです。私の場合、ギターの色が赤だと「BanG Dream!」、黄色だと「アイドルマスター ミリオンライブ!」というふうに、それぞれのコンテンツのイメージがすでについているので、まずその2色とは違う色のギターにしようと思って。
――なるほど。
愛美 それと、これからアーティスト活動を通して色んな色を表現していきたいので、最初からギターやアイテムでカラーを印象づけたくなかったというのがあって、白にしました。でも、白ってすごく映えるし、どんな衣装にも合うなあと思って。ジャケット写真の真っ白な衣装にも合うし、ギターも白にして良かったです。
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