REPORT
2021.04.03
昨年12月、自身初の無観客ワンマンにして2度目の日本武道館公演“CHiCO with HoneyWorks ONLiNE LiVE @BUDOKAN 「COME! COME! ONiON」”のラストで「(来年も)希望を持って、一緒に過ごせていけたらいいなと思っています!」と語っていたCHiCO。その言葉通り、3月7日からスタートした有観客の全国Zeppツアー“LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks ZEPP TOUR 2021「SPRiNG BEAT」”は、暗いニュースを蹴散らす春らしい希望に満ち、「SPRiNG BEAT」のタイトルにもぴったりの“リズミカルな躍動=BEAT”を感じさせるハッピーなツアーとなった。ワンマンライブで1日2回公演を行うのも、チコハニにとっては初めての経験だ。そんな今年の幕開けとなる“ZEPP TOUR 2021「SPRiNG BEAT」”の折り返し地点、3月14日(日)の東京・Zepp Tokyo公演2部の模様をレポートする。
開演の18時。まさに春らしい、温かなEDMテイストのBGMをバックに「せーの!SPRiNG BEAT!東京!」というかわいいCHiCOのボイスが、オープニングをリズムにのってコールする。AtsuyuK!(ds)、Hiroki169(b)、宇都圭輝(key)、中西(g)、Oji(g)のおなじみのチコハニバンドのメンバーが、クルクルと回るレインボーの光の中でハンドクラップ。昨年夏に予定されていた“LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks summer tour 2020「WiSH Upon A Star」”がほぼ中止となり、唯一開催された9月の中野サンプラザ公演以来、会場でファンと一緒にライブを楽しめるのは約半年ぶりのことだ。
ペンライトを振り、待ちかねたオーディエンスが一斉に立ち上がって手拍子を重ねると、ステージ中央の暗闇に立っていたCHiCOにポンとスポットが当たる。元気な声で「行くぞ、東京!」と叫ぶと、真っ赤なライトに包まれた激しい演奏から「アイのシナリオ」がスタート。振り上げられるたくさんの赤いペンライトが、久しぶりに生のチコハニに会えた喜びにあふれ、CHiCOが客席に向かって大きく手を振る。
あいにくの雨風にみまわれた今日の天気に触れ、「雨降ってました? 降ってたか~。私の“晴れ女”は発揮できませんでしたが、会場は熱気ムンムンで晴天な感じで盛り上げていきたいと思います!」と元気に挨拶。「次の楽曲も楽しんでいきましょう!」と告げて、軽快なサウンドにのせてCHiCOがコミカルなマイムを披露した「ヒロイン育成計画」、カラフルな照明がちょっぴり切ない恋心を加速する「ハートの主張」と、キュートでポップなナンバーを連発する。
続く4曲目の「BGM」は、まさにこの日、久しぶりのライブステージでこそ歌われるにふさわしい楽曲だった。CHiCO自身がこれまで歩んできたライブの光景とファンへのありがとうの気持ち、みんなの前で歌えることの喜びを、そのまま歌詞に託したこの曲。「みんなの顔が見えた」「心からありがとう」「新曲はもう聞いてくれた? 自信作なんだよ」……そのすべてのフレーズが、CHiCOが一人一人に向ける微笑みとまろやかで優しい歌声が、この場所にいるすべてのファンへのメッセージだった。
温かい空気の中でのMCもリラックスした雰囲気だ。今回のツアーは、新型コロナウイルス感染拡大に配慮し、声援を挙げないという制限付きでの開催。普段のライブのように客席と声でやりとりができないぶん、CHiCOもバンドメンバーもいつも以上に賑やかなトークを繰り広げ、「今日はみんなとお喋りできないから、挙手制で!」と客席にアンケート。初めてチコハニのライブに来た人に、昼の部からMCが“カミカミ”なことに触れながら「常にポンコツなので、よろしくお願いします!」と笑顔を見せる。バンドメンバー同士のツッコミ合いも微笑ましい。
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