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2021.04.03

【ライブレポ連載】FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月:vol.7『BLACK & WHITE』

【ライブレポ連載】FLOW SPECIAL ONLINE LIVE 全アルバム網羅 炎の12ヶ月:vol.7『BLACK & WHITE』

■DISC REVIEW

『BLACK & WHITE』

FLOWデビュー10周年イヤーである2012年2月にリリースされた7thアルバムは、2011年の東日本大震災が大きく影響し、完成した。TVアニメ『べるぜバブ』のOPテーマであり22ndシングルでもある「Hey!!!」は、初期FLOWを感じさせるオーセンティックで勢いのあるロックンロール。ジャンプアニメとFLOWの化学反応による疾風怒濤のサウンドが小気味良い。23rdシングルの「ロッククライマーズ」はボーカル二人のユニゾンで聴かせる部分も多く、メロディックながら骨太で疾走するサウンドがライブユースな1曲。楽曲の中にドラマがあり、展開も多いことでドラマチックに響くのが印象的だ。シングル2曲のあとにはラウドながら幕開け感のある「革命」。まるでこのアルバムの本質が“ここから”始まるような感覚になる、ポジティブなメッセージに満ちたナンバー。アッパーかつロッキンなパーティーチューン「この際はっきりさせとこうか!」は軽やかなメロディで“俺は俺として生きていく」と真っ直ぐに歌い、ライブに行きたい欲が高まっていくよう。

続く「感情行進曲」はFLOWの5人の行進曲。リズムの力強さは強く足を踏みしめていくようで、大地の大きな存在をも感じさせるようなダイナミックなナンバー。ダダダと鳴るビートに楽器を演奏するTAKEやGOT’S、IWASAKIの姿が浮かんでくる。全員で声を上げるパートの圧巻のパワー感は、震災の翌年の彼らの強い想いを宿す。続く「チェルシーガール」はラウドに轟くロックながら刻むビートとコーラスワークのポップさで聴かせるラブソング。跳ねるエレクトロサウンドが、ラウドロックmeetsポップミュージックだからこそのメロウさを滲ませている。それに続くのは、FLOWのロックンロール(反骨精神)魂が宿る尖ったメッセージソング「おはようジャポニカ」。ドラムとベースのパワー感に圧倒され、感情的に音を切り裂くように響くKEIGOとKOHSHIの歌声は、滲むハードな想いによって熱くも硬質な印象を覚える。

それに続くのはアルバムタイトルにもなっている『BLACK & WHITE』。黒と白。光と闇。調和と矛盾。アルバムのテーマが高らかに歌い上げられており、彼らのブレることのない普遍のメッセージがアルバムの象徴として改めて色濃く出たように思う。スペシフィックな音とともにエモーショナルなロックンロールが響き、コーラスワークでも世界観をより強く打ち出した感のある1曲だ。続く「旅立ちグラフィティ」は、本間昭光の編曲でドラマチックなストリングスの音に彩られた1曲。春の、旅立ちの時期ならではの切なさと前向きな想いが同居しているのを感じる。真摯に紡がれる歌詞を手渡すようなKEIGOとKOHSHIの歌声も心に沁みる。絶望の中でもがきながらも前へと進み出す人たちへと歌うことで“光”になっていく1曲であり、聴く人それぞれが“光”であることをも歌い上げる珠玉のチューン。

そして、彼らが変わらず歌う“希望”の『BLACK & WHITE』でのカタチ――。2011年のツアーのタイトルであった「ON THE LINE」を、そこからの活動も辛さも喜びもすべてを詰め込み未来へと繋いでいこうという想いが満ちた、広がりのあるドラマチックなロックンロールサウンドで届け、光を見つけて繋いでいく。最後の楽曲の繋がりに彼らの言い分が存分に詰まっているように思う。『BLACK & WHITE』はそんな1枚なのである。

TEXT BY えびさわなち

『BLACK & WHITE』
2012年2月22日発売

【初回生産限定盤(CD+DVD)】
品番:KSCL-1950~1951
価格:¥3,048+税

【通常盤(CD)】
品番:KSCL-1952
価格:¥2,913+税

<CD>
01. Hey!!!
02. ロッククライマーズ
03. 革命
04. この際はっきりさせとこうか!
05. 感情行進曲
06. チェルシーガール
07. おはようジャポニカ
08. BLACK & WHITE
09. 旅立ちグラフィティ
10. 光
11. ON THE LINE

<DVD>
01. 旅立ちグラフィティ Music Video
02. Hey!!! Music Video
03. ロッククライマーズ Music Video
04. ロッククライマーズ Off shot
05. The digest of the anime convention in USA DAYS (Live)
06. 12.4 日本武道館「リスアニ! LIVE 2011」より

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