声優・歌手の小林愛香が、約1年ぶりとなるニュー・シングル「Tough Heart」をリリース。表題曲はTVアニメ『真・中華一番!』第二期のOP主題歌に起用された、アグレッシブなロックチューンとなっている。今回はそんな表題曲をはじめとする、いずれも違った表情をみせる収録曲3曲への想いを、この1年間の振り返りとともにたっぷり語ってもらった。
――ソロアーティストとしての1年、2020年振り返ってみていかがでしたか?
小林愛香 思うように動けないこともあったんですが、メジャーデビューをさせていただいたことで、いろいろな人に歌を届けられる機会が増えた1年にもなりました。特に、夢の一つだったリリースイベントができたことは嬉しかったですし、オンラインライブもしたりと時代の変化にも柔軟に対応して。できることを見つけて進んでいった、次に繋がる1年だったように思います。
――リリースイベントが夢だったのは、なぜですか?
小林 いつもみんなに会いに来てもらっているので、私から会いに行って歌を届けたいからです。「NO LIFE CODE」のときに1ヶ所だけでも開催できたことが私の中ではすごくいい思い出になっていますし、またいつかリリースイベントで、いろいろなところを回れるようになったらいいなと思っています。
――お話にあったとおり、ソロでも初のオンラインライブも開催されました。
小林 やる前は、不安な部分が大きかったです。無観客というのもそうですし、そもそも小林愛香としてたくさん曲数を歌うライブ自体も初めてだったので、そこにも不安があったんです。しかも結構新曲もや披露させていただいたので、「どんなふうに届くかな?」というところでもドキドキしていました。
――実際開催されて、どう感じられましたか?
小林 今回は事前収録だったので、ライブ配信当日は、みんなと一緒に“小林愛香”を応援している感じがしましたし、リアルタイムでみんなの反応を知ることができたんです。その反応を含めてオンラインライブが完成した感じがしましたし、楽しくていいライブになったと思っています。
――どんな反応が、特に印象に残っていますか?
小林 オンラインライブに向けて作った新曲を披露したのときの、「この曲、なんだ!?」という反応ですね。あとは、後日「Tough Heart」の収録曲情報が発表されたときには、「あれ?このタイトル聞いたことないぞ?」という反応も皆さんからあって(笑)。
――「この間聴いた曲じゃないの?」という感じの(笑)。
小林 はい(笑)。あとは、曲ごとに「ここいいね」と言ってくれるタイミングがリアルタイムでわかるので、「こういう部分が好きなんだ」ってわかったりもしました。たとえば、ウインクをする曲でウインクをした瞬間に一気にコメントがばーっと流れていったり(笑)、みんなが何に喜んでくれているのかを細かく知ることができたので、これから先ライブを直接みんなに届けられる日が来るのをすごく楽しみにしています。
――そして2021年一発目のリリースとなる「Tough Heart」はTVアニメ『真・中華一番!』第二期のOP主題歌に起用されていますが、アニメの主題歌は非常に久しぶりですね。
小林 しかも、OP主題歌は初めてなんです。やっぱりOP主題歌って作品の顔になる特別な存在ですし、歌手として作品の世界を支えたりより広げたりできる存在だと思っているので、担当させていただけることがすごく嬉しくて。それに……これは私の勝手なイメージなんですけど、OPっていちばん最後に流れることもあるじゃないですか?
――たしかに(笑)。
小林 いい場面でOPが流れてくると、自分がアニメを観る側のときも「あー!OPだー!」と気持ちが盛り上がるので(笑)、それを届ける側に回るとなるとより特別に感じますね。
――『真・中華一番』という作品には、どういった印象をお持ちですか?
小林 物語のいちばん深いところからは主人公のメラメラしたアツい想いが伝わるんですけど、調理シーンはすごくコミカルで観ていてクセになるんですよね。実食のシーンもすごくコミカルで面白くて。料理自体も照りとか湯気を感じるところにものすごくこだわりを感じるので、「観る時間帯によっては飯テロになるだろうなぁ」って思いました(笑)。
――「Tough Heart」を初めて聴いたとき、そんな作品のイメージと結びついた部分はありましたか?
小林 あります。それは、いちばん最初に感じた“熱さ”ですね。炎が思い浮かぶような熱量を感じる曲で、聴いた瞬間「“いい”でしかない!」と感じて、歌うのがすごく楽しみになりました。実際に歌っていてもすごく楽しいし、魂が揺さぶられるのも感じているので、アツい世界観をより引っ張っていける曲になったんじゃないかなと思っています。
――それは完成版を聴いても、ご自身でも感じますか?
小林 そうですね。私、自分のうたう歌も好きでよく聴くんですけど(笑)、聴くたびに気持ちが強くなれるし「自分も頑張ろう」と思えるんです。メラメラしたものが心の中から芽生えてくる、本当に瞬間的にアツくなれる曲にできました。
――ちなみに、最初に聴いたときから「こう歌いたい」というイメージのようなものはありました?
小林 ありました。私、結構イメージトレーニングしてから歌うんですけど、この曲はどっしりと構えてちゃんと地に足をつけるイメージで歌ったほうが、皆さんにまっすぐ届くんじゃないかなと考えて。まっすぐ・アツく歌うということを意識して歌いました。それに、どれぐらいの匙加減で歌っていくかプロデューサーのQ-MHz 田代さんにディレクションしていただいたことで、すごくいいバランス感のものになったと感じています。「もうちょっと、明るめ」とか「2%明るさ増しで」という感じで仕上げていきました。
――微調整を(笑)。
小林 はい(笑)。おかげで「NO LIFE CODE」を聴いたあとに「Tough Heart」を聴いても、「どっちも小林愛香の歌だな」と感じられる、また「NO LIFE CODE」とは違った熱量を感じられる曲にできました。みんなで「ここはどうだ」みたいに調整しながら進めていきました。
――そこには小林さんも加わって?
小林 はい。もちろん歌う側ではあるんですけど、自分も小林愛香をプロデュースする意識で曲を聴いたり、「ここはもうちょっと違うのありますか?」と、提案させていただいたりもしました。
――ご自身も客観視しながら、一緒に作られているんですね。
小林 はい。だからたぶん、自分の曲をあまり恥ずかしいと感じずに聴けるんだと思います。
――そしてこの曲は、MVも制作されています。どういったものになっていますか?
小林 お部屋の中で楽しいことをいろいろと見つけたり、チャレンジしていくものになっています。といっても“おうち時間”を特別に意識したわけではなくて。たとえばりんごの皮をひとつなぎでむいてみたり、テーブルクロス引きをやったりと、「自分の機嫌を自分で良くする」みたいにいろいろなことを楽しんでいる姿が映っているんです。だから場面がコロコロと変わるし、いろいろなシーンがギュッと凝縮されていて。それにセットもいろいろな色を使っていただいてすごくかわいいものになっているので、「“かわいいMV”の代表にしてほしいな」って思っています(笑)。
――完成版をご覧になったときにも、そのボリューム感は感じましたか?
小林 感じました。目が追いつかないといいますか(笑)、「1回じゃ、足りない!」と思って何回も観ました。あと、成功したカットだけじゃなくて失敗したカットもそのまま使うことで、「失敗しても立ち上がって、頑張る」みたいなものも表現できたように思います。そういうところで、曲と強く繋がっているように感じます。
――映像に加えて、アートワークも前作に引き続き大変こだわられています。
小林 はい……!まず通常盤のジャケットは、コラージュアーティストのQ-TAさんにお願いしました。最初にラフで出してくださったイメージが“りんごの上に私が乗っている”ようなもので、その後Q-TAさんからこの楽曲のイメージについて聞かれたときに、「アツい曲なので、“炎”ですかね?」とお返事したんです。そうしたら、次のラフではりんごの皮で炎が表現されていて……!
――元々のモチーフを活かしつつ、リクエストを汲み取って。
小林 はい。それにりんごって、あいきゃんチームの中ではひとつのキーワードになっていて……レコーディングとかイベントみたいな大事なときに、よくアップルパイを差し入れでいただくんです(笑)。なので、りんごがモチーフになっているのを見て「繋がった!」という感じがして。そこにもすごく面白さを感じました。
――一方初回限定盤のジャケットは、前作に続きかとうれいさんが手掛けられています。
小林 Q-TAさんが「目をジャケットにしたらどうか?」と言ってくださったので、今回は私の目を描いていただいたんですけど、「せっかくなら、チャームポイントのホクロがある側にしてほしいです!」とお伝えしたらこんなに素敵なイラストに仕上げてくださって!
――リクエストはされたけど、想像の範疇を超えてきた。
小林 はい……かとうさんだからいいものにしてくださると思ってはいましたけど、想像以上に最高のものが出来上がってしまって、震えています(笑)。これってなんて表現したらいいんでしょう?“最最高”?“超最高”?
――最高を超えているから、“超最高”でいいんじゃないでしょうか(笑)。
小林 うん。全部が全部“超最高”なんですよね。
――そしてカップリング曲ですが、まずシティ・ポップ風の「Sunset Bicycle」は、前作の「ゆらゆらら」と同じく作曲を田代さんが、作詞と編曲を佐伯 youthKさんが手掛けられています。
小林 「Tough Heart」がかなり強くてかっこいい曲になっているので、少し肩の力の抜けた楽曲がいいんじゃないかということで。私から提案させていただいた「自転車に乗って、口笛吹きながら進んでいくイメージ」みたいなイメージを、それをうまく取り入れていただきました。
――歌うときには、どんなことをイメージされましたか?
小林 佐伯さんが歌ってくださった仮歌の歌声からはすごくオシャレなイメージが浮かんだんですけど、田代さんからは「この曲はまっすぐに歌ってほしい」というお話があったんです。たしかに“肩の力の抜けた”イメージの曲なのに、オシャレに歌おうとすると気を張ってしまうと思ったので、まっすぐに“小林愛香”として歌ってみることになりました。今回のシングル3曲のバランスも踏まえて、田代さんがディレクションしてくださいました。
――楽曲のテイストに、歌声がすごくマッチしている感じを受けまして。声質の丸みのある部分をうまくハメて歌われている印象がありました。
小林 よかったです(笑)。今回はAメロとかの落ち着いたところでは、声をちょっと低めにゆったり語りかける感じで歌っているので、音程が上ずったりしないように気をつけました。そうやって、最後の“ゆるるりと帰ろう”のフレーズまで繋げていくようなイメージで歌いました。
――あと2-Aメロに1回「ふふっ」って入って来る部分が、聴く側を改めて掴んでくれるポイントのように感じました。
小林 その部分は最初のデモの段階ではただ音が止まるだけだったので、佐伯さんが入れてくださったエッセンスだと思います。佐伯さんの仮歌では「ははっ」みたいな(笑)、鼻で笑う感じだったんですけど、それもとてもかっこよくて。だから余計に仮歌がオシャレに聴こえたんですよね。あと私、曲の中で笑ったことがなかったので、1回目にやったときは「ははっ」みたいな乾いた笑いになっちゃって(笑)。その次に、口を閉じて笑ってみたほうを、採用していただきました。
――そしてもう1曲「Lorem Ipsum」。こちらは田代さんと共作の形で作詞も手掛けられています。
小林 今回は、かなり私がこう……田代さんにまずは一方的に単語を投げるという手法を取らせていただきまして(笑)。曲を先にいただいていたんですけど、聴いたときに「きっとこの曲は、ハチャメチャになるんだろうなぁ」と感じたので、まずはそこにとらわれずに好きなことを書いてみようと思って……単語をいっぱい羅列して、送って(笑)。それを田代さんがすごく素敵にまとめてくださったんです。
――制作のなかで、徐々にタイトルやテーマがまとまっていったんですね。
小林 そうなんです。自分の考えた言葉が全部「る」で終わることに気づいて、“る”で終わる言葉をいっぱい集めて送ったら、田代さんがこのタイトルをつけてくださって……「Lorem Ipsum」というのはダミーテキストのことで、その言葉自体にはあまり意味はないんですけど、ダミーテキストとしては意味がある言葉なんです。それが、羅列された言葉自体にはあまり意味はないけど、曲としてはちゃんと意味がある言葉が並んでいるこの曲にピッタリで、面白いところなんです。
――歌われている際には、どんなことが頭にありましたか?
小林 まずは「“る”をちゃんと言う」ですね(笑)。“る”って歌うときに、“beautiful”みたいにはっきり音にしないときもあるんです。だから、自分で書いたのに「“る”って、難しい音だなぁ」となりまして(笑)、そこはちゃんと発音するように意識をしましたね。あとは、コロコロ変わっていく曲調への対応も意識しました。たとえば2-Aでは「神になった気持ちで歌って」と言われたので、私の背後から後光が射しているようなイメージで歌ったりもしていて(笑)。
――天啓を授けているというか(笑)。
小林 そうです(笑)。どれだけ田代さんのディレクションに沿えたかはわからないのですが、それが想像できるような歌い方にはなっているんじゃないかな……と思います。ほかにもこの曲では「がるるるる……」みたいなセリフっぽいものも入れたり、間奏前にちょっと遊びをもたせたところも楽しいところで。間奏もガチャガチャしていて本当におもちゃ箱っぽい感じの曲なんですけど、すごくロックでアツかったりもするのが不思議なんですよね。それは、編曲してくださったエンドウ.さんのお人柄ともマッチしているような気がします。明るくて面白いけど(笑)、すごくかっこいい曲を作る方なので。
――今回の3曲も、いずれもライブが楽しみな曲になりました。先日ライブツアー“KICKOFF!”の開催も発表されましたが、有観客のライブをどんなものにしたいか、現段階での理想のようなものはありますか?
小林 私は、ライブをするときに「みんなで」ということをよくキーワードにしているので、何かを“みんなで”やりたいです。去年のオンラインライブでは、“バーチャルコール・アンド・レスポンス”をさせていただいたんですけど、皆さんに参加していただけて嬉しかったです……でもやっぱり、バーチャルじゃなくてみんなとコール・アンド・レスポンスをしたいですね。私はみんなが元気でいてくれればいいし、またいつか会えることを楽しみにしているので、いろいろと考えてできることをちょっとずつやっていって、みんなでまたコール・アンド・レスポンスとかして盛り上がれる未来が来たらいいなと思っています。
――その前に、まずは今回のシングルも聴き込んでいただいて。
小林 そうですね、「Lorem Ipsum」を全部覚えるぐらい聴いていただけたら……私も覚えられるかちょっと不安なぐらいなんですけど(笑)。なので、もし私がライブで間違えちゃったときには、皆さんにフォローして歌っていただいたり……(笑)。
――みんなが支えてくれるライブは、たしかにエモいですけど(笑)。
小林 さも最初から振ろうとしていたかのように「(マイクを向けて)みんな!」ってやったりするのも面白いかも(笑)。そういうのも“みんなで”作っている感じがして楽しいはずなので、それができるぐらいこのシングルを聴き込んでいただけたら嬉しいです!
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
●リリース情報
小林愛香 2nd Single
「Tough Heart」
1月27日発売
【初回限定盤(CD+DVD+Mini Poster Booklet)】
品番:TFCC-89695
価格:¥3,200+税
【通常盤(CD)】
品番:TFCC-89696
価格:¥1,300+税
<CD>
1. Tough Heart(TVアニメ『真・中華一番!』第二期オープニング主題歌)
2. Sunset Bicycle
3. Lorem Ipsum
4. Tough Heart (instrumental)
5. Sunset Bicycle (instrumental)
6. Lorem Ipsum (instrumental)
<DVD>
・「Tough Heart」Music Video
・「Tough Heart」Music Video Making
※イラストレーター・かとうれい描き下ろしイラストを使用した三方背ケース付
※ミニポスターサイズブックレット付
小林愛香2nd Single「Tough Heart」
配信リンクはこちら
●ライブ情報
小林愛香 LIVE TOUR 2021 “KICKOFF!”
2021年5月27日(木) 大阪府 Zepp Namba
OPEN 18:00 / START 19:00
Information:キョードーインフォメーション (tel.0570-200-888)
2021年6月11日(金) 神奈川県 KT Zepp Yokohama
OPEN 18:00 / START 19:00
Information:DISK GARAGE (tel.050-5533-0888 / 平日12:00~19:00)
チケット:両公演ともに全席指定¥7,800 (税込、入場時1ドリンク代別途要、未就学児入場不可)
シングル「Tough Heart」封入 / オフィシャルファンクラブ「AND」会員向け最速先行受付期間:2021年1月26日(火)正午12:00〜2月1日(月)23:59 ※おひとり様、東阪いずれか1公演のみ。おひとり様2枚まで申し込み可能。同行者指定必須。
TOKYO MX 毎週月曜25時10分~25時40分
MBS 毎週月曜26時40分~27時10分
BS日テレ 毎週水曜24時00分~24時30分
© 小川悦司・講談社/「真・中華一番!」製作委員会
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