12月23日にリリースされた伊藤美来のニューアルバム『Rhythmic Flavor』には、Chara、Kai Takahashi(LUCKY TAPES)、佐藤純一(fhána)、高田みち子といった多彩なクリエイターが参加。ハッピーで優しい気持ちになれるポップスが詰め込まれた、彼女らしい作品に仕上がっている。そのなかでも新しい挑戦となった、多保孝一とUTAが作編曲したリード曲「BEAM YOU」において、作詞を担当したのが、新進気鋭のシンガーソングライター、竹内アンナ。伊藤とは同世代でアニメ好きでもある彼女を迎え、意外な共通点もある二人にアルバムについてたっぷり語ってもらった。
――お二人は以前にもお会いしたことはあるんですよね。
伊藤美来 はい。「BEAM YOU」のレコーディングのときに、竹内さんがわざわざお越しくださったんです。そのときに短い時間ではあったんですけどご挨拶させていただいて。お会いするのはそれ以来になります。
竹内アンナ でも、私は伊藤さんのLINE LIVEを拝見して、勝手に会った気になってます(笑)。
伊藤 えー! 観てくださったんですね。恥ずかしい(笑)。
――伊藤さんのニューアルバムのリード曲「BEAM YOU」の作詞を竹内さんが担当されたわけですが、それまでお互いのことはご存知でしたか?
竹内 私はアニメが好きなので、伊藤さんのことも存じ上げていました。「BEAM YOU」を作曲なさった多保(孝一)さんから作詞のお話をいただいた頃に、ちょうど『五等分の花嫁』を観ていたので、「えっ!あの伊藤美来さん!?」ってびっくりして何回も確認したぐらいで(笑)。なので本当に嬉しかったです。
伊藤 私もスタッフの方から「竹内さんが実は伊藤さんの出演している作品をご覧になってるらしいです」と聞いてびっくりしました(笑)。私は竹内さんに歌詞をお願いするにあたって、竹内さんの楽曲を聴いたり、YouTubeを観させていただいたのですが、個人的にもすごく大好きな音楽だったんです。今ではお仕事先に向かうときや移動中にもよく聴いていて、すっかりファンになりました(笑)。
竹内 嬉しい……!
――伊藤さんは竹内さんの楽曲のどんなところに惹かれたのですか?
伊藤 最先端の音楽を感じますし、海外にも住まわれていたとのことで、英語で歌われるところがすごくお洒落で、ラップっぽく韻を踏んでいるところも「よくこんな言葉が思いつくなあ」と思いながら聴いていて。すごく耳に残る、楽しいサウンドなので、私もこういう楽曲を歌ってみたいなあっていう憧れがあります。
竹内 ありがとうございます……!
――逆に竹内さんは、伊藤さんにどんな印象をお持ちですか?
竹内 最初にアニメを観て思ったのが、とにかくめちゃくちゃ可愛い!ということで。
伊藤 ありがとうございます(笑)。
竹内 でも、ただ可愛いだけではなくて、掴みどころのない感じ、追いかけたくなってしまう可愛さを感じたんです。伊藤さんの演じるキャラを、ついつい目や耳で追ってしまうというか。私の(『五等分の花嫁』での)推しキャラは(中野)三玖ちゃんだったので……。
伊藤 5人姉妹のなかで私の演じるキャラクターを選んでくださったんですね、嬉しい(笑)。
――そんな竹内さんが作詞した「BEAM YOU」ですが、どんなテーマで歌詞を書いたのですか?
竹内 多保さんからは、仮歌詞で入っていたサビの“Beam you”のフレーズはそのまま残しつつ、キュートなイメージで書いてほしいとお話をいただいたので、そこから伊藤さんのことを考えながらイメージを膨らませて書いていきました。私が「BEAM YOU」という言葉を聞いて最初に思い浮かんだのが、ライブとかでファンに向けて「バーン!」ってやるファンサービスだったんです。そこから発想を膨らませて、自分のことを好きと言ってくれている人に、もっと好きと言ってもらえるような曲にしようと思いながら書きました。なので歌詞の“あなた狙い撃ち”の“あなた”は、伊藤さんのファンのことを想像して書いています。
伊藤 気持ちがストレートに表現されていて、「あなたを狙い撃ちしたい!」という想いがすごく伝わってくるし、とにかく可愛い歌詞ですよね。それと私と同年代の女子が書いている雰囲気を感じ取れるフレーズがたくさんあって。例えば、2番の“140字の会話だけじゃ伝わんない”のところは、「140」と書いて「イチヨンマル」と読ませるところも含めて、若い子じゃないとなかなか出てこないと思うんですよ(笑)。私も「140字じゃ足りないよね、わかる!」ってすごく共感しました。
竹内 嬉しい……! 歌詞を書くときは、伊藤さんのファンの方とのコミュニケーションの取り方も意識したんです。伊藤さんはLINE LIVEをよくやってらっしゃいますし、ツイッターだけでなく、ファンと直接話せる機会をいっぱい設けているのも素敵だなあと思うので、そういう素敵なところをたくさん詰めてみました……もう、ただのファンみたいになってますけど(笑)。あとは、伊藤さんに言ってほしい言葉も入れたりしていて。
――それは例えば?
竹内 サビの最後の“BANG!”のところは、伊藤さんが言ったら絶対に可愛いだろうなあと思って入れました(照笑い)。自分で仮歌を歌ったときに「なんか違うなあ……」と思ったんですけど、レコーディング現場にご挨拶に行かせていただいたときに、伊藤さんがちょうどその箇所を歌ってらしたので、私も撃ち抜かれてしまって(笑)。あのときは本当にご挨拶に行って良かったなあと思いました。
伊藤 嬉しい(笑)。私も歌詞に“BANG!”という言葉が入っているのを見たとき、ライブでやるファンサービスのことを思い浮かべたので、レコーディングのときも、自分がお客さんに向けて手でバーン!って撃っちゃう気持ちで歌ったんです。本当に可愛い歌詞だったので、私の出せる最大限の「可愛い」を詰め込まねばと頑張りながら歌いました(笑)。
――竹内さんが自分の楽曲でこういう可愛いテイストのものを書くことはありますか?
竹内 絶対にこんな感じの歌詞にはならないですね(笑)。ただ、こういう曲を作りたい気持ちはありましたし、私だったらできないことも伊藤さんになら歌ってもらえると思って。今まで楽曲提供もあまりしたことがなかったので、誰かに自分の書いた曲を歌ってもらうことで、その曲がより輝くという経験をさせてもらえて、すごく嬉しかったです。
伊藤 私は竹内さんにも「BEAM YOU」を歌ってほしいです。
竹内 いや、あの、私は歌えないです……! 絶対シーンってなると思うので(笑)。
伊藤 そんなことないですよ! すごく聴いてみたい。
――でも、仮歌は竹内さんが歌ったんですよね?
竹内 たしかに仮歌は歌いましたけど、それをお母さんに聴いてもらったら、「可愛い歌だけど、これはアンナじゃないね」って言われました(笑)。
伊藤 ママが言うなら仕方ない(笑)。
竹内 で、後々、伊藤さんが歌ったものを聴かせたら「なんて可愛いの……!」って泣きそうになってました(笑)。
伊藤 ママー!(笑)。でも、竹内さんの楽曲自体、キラキラしているものから、リアルな感情を描いたものまでいろいろなので、こういう可愛いに寄った世界観の曲も聴いてみたいですね。
――好きな人にもっと好きになってもらいたい乙女心を感じる歌詞ですが、その意味で共感できる部分はありますか?
伊藤 なかなかここまでストレートに伝えるのは恥ずかしい年齢だとは思うんですけど(笑)、乙女たちは誰しもが心の中に持っている気持ちだと思います。表に大きくは出さないけど、伝えたい想いは絶対に持っていると思うので。
竹内 私の乙女心を総動員してこの歌詞を書いたので、直接言うには照れくさい言葉もたくさんありますけど、歌だからこそ伝えられるメッセージはたくさんあると思いますし、多保さんのお洒落なサウンドに、こういう可愛いメッセージが乗ることで、素敵なバランスになったと思います。
――曲調もちょっと不思議な感じですよね。音数を絞ったリズム主体のファニーなサウンドになっていて。
伊藤 「BEAM YOU」は私が持っている声そのものの魅力を出せる曲にしたいと最初の時点で言っていて。なので声を際立たせるために音数をあえて少なくしてして、イヤホンで聴くと本当に声を近くに感じる、可愛らしくてお洒落な音楽にしていただきました。
――歌う際にこだわったポイントは?
伊藤 可愛さや自分らしさも考えつつ、楽曲自体のノリが洋楽チックなので、日本語の歌詞だけど語尾を英語っぽくする感じで歌いました。日本語だけど英語に聴こえるように、言葉の跳ねさせ方はこだわったところです。
――そこは竹内さんのメロディに対する歌詞の乗せ方が活きているところですよね。竹内さんの楽曲には独特のリズム感があるので。
竹内 私はメロディ先行で曲を作ることが多いので、決められた音の数の中に無理やり言葉をハメていく作業が多いんです。なので、必然的に「これはどうやって歌うんだろう?」っていうノリの曲が生まれたりするんですけど(笑)。今回もメロディがある状態で歌詞を書いたので、決められているからこそ自由にできたところもあって。たくさん韻を踏ませていただきました。
――だからこそ洋楽っぽいフレーバーの曲になったわけですね。でも、こういうアプローチの曲って、今までの伊藤さんの楽曲にはなかったですよね。
伊藤 かなり挑戦的な楽曲でした。多保さんも「結構攻めて作った」とおっしゃってて。でも、だからこそ今回はMVも含めて、みんながそれぞれやりたいことを存分に入れて、楽しんで作ることができました。
――「BEAM YOU」のMVのコンセプトについてもお聞かせください。
伊藤 今回は曲の良さを存分に出したかったのと、この曲がニューアルバム『Rhythmic Flavor』のリード曲にもなるので、アルバム全体の雰囲気も踏襲した、ポップな映像を意識して作りました。MVにストーリーがあるというよりは、楽曲の世界観を一つひとつ表現していった感じです。
――竹内さんはMVをご覧になりましたか?
竹内 もちろん。LINE LIVEで初公開されたときにチェックさせていただきました(笑)。楽曲の世界観と、MVのちょっとシュールな感じが、すごくマッチしていて、何回も観たくなる、クセになる映像でした。あと、ロングヘアーとショートヘアーの伊藤さん、両方の姿を観ることができて、素敵だなあと思いました。
伊藤 うちのファンたちと同じことを言ってる(笑)。
一同 (爆笑)。
伊藤 今、すごく近くに感じました(笑)。
――ハハハ(笑)。伊藤さんはMVの中でいろんな恰好をしていますよね。
伊藤 衣装もいろいろ着させていただきましたし、髪型やネイルもそれに合わせて全部変えたので、撮影自体はすごく楽しかったです。いろんな恰好とシチュエーションで歌うことができたので。
竹内 私は襟にボリュームがあるブラウスを着ていたシーンがすごく好きでした。あと最後のほうに、“投げキスにハートに Beam you beam you”っていうところがあって。ここもライブでやってもらえたらすごく嬉しいなと思いながら歌詞を書いたので、それをMVの中でやってくださっていたのがすごく嬉しかったです。
伊藤 そこは監督から「ここは投げキッスとハートとバン!を絶対にやってください」と言われたので(笑)。特にバン!はいろんなスタイルでやりました。掃除機を持ったり、おもちゃの銃を持ったり、ハサミを持ったり。
――車の中でサングラスをかけておどけているようなシーンもあって。クールでちょっと不思議な女の子感が出ていて、すごく可愛いかったです。
伊藤 たしかにちょっとわけがわからない子ですよね(笑)。監督は普段、真面目なトーンで話されるタイプなんですけど、このときも真面目な感じで「このサングラスをつけて車の中で好きに動いてください」みたいな指示をいただいて(笑)。でも、こだわりだったみたいです。多保さんに以前楽曲を作っていただいた「恋はMovie」のMVも、同じ監督に撮っていただいたのですが、それにもサングラスが出てきたり、車に乗って歌っていたので、私はそのときとの繋がりがあるんだろうなって勝手に思っていました。
――表情も基本すました感じで、なんとなく『安達としまむら』で伊藤さんが演じているしまむらっぽくもあるなあと思って。
伊藤 あ~、何を考えているのかよくわからない女の子感はありますね。
竹内 たしかに。
伊藤 竹内さんも観てくださってるんですね。ありがとうございます! アニメはいつ頃からお好きなんですか?
竹内 アニメにハマったのはわりと最近なので、そんなに詳しいわけではないんですけど。きっかけは『鬼滅の刃』で、そこから声優さんにも興味がいくようになって……。
伊藤 声優さんに行くまでの展開が早い!(笑)。
竹内 周りにオタクの友達が多かったので、簡単に沼にハマりやすかったんです(笑)。そこから自分で気になったものや、人におすすめしてもらったものは観るようにしていて。こうして伊藤さんにご縁をいただいて、すごく嬉しかったです。
伊藤 竹内さんが私のことをご存知だとは思いもしなかったので、本当に偶然が重なってのことなんですけど。でも、竹内さんにはまた曲を作ってほしいなと思っていて。
竹内 作りたい!
――もし作ってもらえるとしたら、どんな曲を作ってほしいですか?
伊藤 私は竹内さんの「I My Me Myself」という曲が好きなので、ああいう聴いていて踊りだしたくなるようなテンション感の、明るめな曲がいいなあと思っています。
竹内 嬉しい……! じゃんじゃん作ります!(笑)。
――ここからはニューアルバムについて詳しくお聞かせください。アルバム全体のコンセプトは?
伊藤 『Rhythmic Flavor』というタイトルの通り、いろんなリズムとフレイヴァーの楽曲を詰め合わせた楽しいアルバムにしようと思っていました。それと最初からずっと考えていたテーマが「多幸感」です。私のライブは「ウォー!」って盛り上がるようなタイプではなくて(笑)、来てくださった方に「明日も頑張れそう」と思ってもらえたり、ちょっと幸せな気分になれるようなコンサートを目指していて、いつもそれを意識して楽曲を作っているんです。今回はそういう気持ちが、アルバムとして皆さんの手元に届くものになればいいなあと思って、「多幸感」をコンセプトにしました。
竹内 私もCDを作る先にライブがあることをいつも意識しているので、今のCDとライブが繋がっているお話は、すごく共感します。
――竹内さんも事前に今回のアルバムを聴かれたとのことですが、特に好きな曲を挙げるとすれば?
竹内 私は「いつかきっと」と「vivace」の2曲が特にお気に入りです。「いつかきっと」は伊藤さんが作詞されていることを後から知ったのですが、ずっと聴いていられる心地良さがあって。歌詞に“新しい本を買ったんだ”というフレーズが何度も繰り返し出てきますけど、「何の本を買ったのかな?」って気になってしまって(笑)。
――アハハ(笑)。今ちょうど目の前にいるので聞いてみては?
竹内 そっか(笑)。最近新しく買った本はなんですか?
伊藤 私は小説が好きなので、よく小説を買うんですけど……最近だと
柚木麻子さんの「BUTTER」という小説を買いました。まあ、まだ全然読めてないので、内容については語れないんですけど(笑)。
――「いつかきっと」は優しい雰囲気のバラード曲ですが、伊藤さんは歌詞でどんなことを表現したかったのですか?
伊藤 今回は2曲で作詞することを最初に決めていたので、1曲は今の会いたくても会えない情勢のなかで伝えたいこと、ちょっとでも未来を見てもらえるような楽曲を作れたらいいなあと思って。なのでこの曲では、私が自粛期間に思っていたことを書かせてもらいました。きっと今は大切な人に会えない人が多いと思うので、もし私のことを知らない人がこの曲を聴いたとしても、「実家に帰りたいな」とか「好きな人に直接会いたいな」といった気持ちが少しでもやわらいだり、「いつか会えるよね!」という希望を持ってもらえればいいなあと思って。
――そんな曲の中に“新しい本を買ったんだ”といったフレーズがあるのは、読書好きな伊藤さんらしさが出たところですよね。
伊藤 作詞をするときに、どう伝えたら、ひとりぼっちの孤独さや、会いたい気持ちを、言葉で伝えることができるんだろう?と思って。それでいろいろ考えたときに、そういえば私は一人で寂しくなったり、自粛疲れしたときに、本を買っていたことを思い出したんです。だから、本当に自分の思ったことを書いた曲ですね。
竹内 今のお話を聞いて「なるほど!」と思ったし、でも、余白がある、受け手がいろんな解釈できるところがあって、聴いていて温かくなる曲だなあと思いました。これからの季節、冬にもぴったりな感じですし。
伊藤 嬉しい! 冬感は意識して作っていたので。
――もう一曲の「vivace」はCharaさんが作詞・作曲したメロウなナンバー。竹内さんはどんなところがお気に入りですか?
竹内 「BEAM YOU」もそうですけど、この曲も距離感がすごく近くて、耳元で歌っているようなところにドキッとしましたし、この曲こそ掴みどころがない感じだなと思って。ふわふわとしてる感じだけど、「どういう子なんだろう?」っていうのがすごく気になる内容で、それが伊藤さんのささやく声とすごく合っていて、繰り返し聴きました。
伊藤 この曲には私が苦手な英語でしゃべるところがあるので、ちょっと恥ずかしいなと思いつつ(苦笑)、すごく嬉しいです。この曲はCharaさんのエッセンス全開で作っていただいて、そこに私の声と解釈を乗せていく曲になりました。Charaさん自体が、可愛らしくてフワッとした雰囲気の方で、プリプロでご一緒したときにも、その場で思い浮かんだいろんなアイデアを試されていたので、その自由な雰囲気も曲に入っていると思います。だからこそ、Charaさんの作る楽曲は、スッと入ってくるような心地良さがあるんだろうなと思いましたね。
――Charaさんはご自身の世界観を確立されている方なので、その方の書かれた楽曲を自分の表現に落とし込むのは難しかったのでは?
伊藤 たしかにCharaさんの世界観や歌声は印象的なので、最初は自分なりにどう歌っていけばいいのか考えたんですけど、でも、Charaさん自身が私に寄り添ってくださって、「歌いたいように歌っていいよ」とおっしゃってくださったので、うまいこと自分の曲に出来たかなと思っています。でも、今は早くみなさんからこの曲の感想を聞きたくて、内心ちょっとドキドキしてます(笑)。「BEAM YOU」でもファンの方に結構驚かれたので。
――選ぶのは難しいと思いますが、伊藤さんが今回のアルバムの中で想い入れの強い曲も教えていただけますか?
伊藤 一曲に絞るのは難しいですけど……個人的には自分で作詞した「Good Song」への思い入れはとても強いです。この曲は自分の決意表明と言いますか、これからの伊藤美来の決意みたいなものを入れた歌詞になっているので。例え周りからいろんなことを言われたり、気持ちがへこむようなことがあったとしても、自分を信じて前に進んでいきたいな、成長し続けていきたいな、という気持ちの強さを歌詞に出せたらと思って、素直に書きました。聴いてくださる方にも共感してもらえたり、この曲を聴いて「頑張ろう!」と思ってもらえたら嬉しいです。
――改めてそういうテーマで歌詞を書こうと思ったきっかけがあったのですか?
伊藤 これは曲先行で歌詞を書いたんですけど、最初に佐藤(純一)さんから楽曲をいただいたときに、「この曲は『魔女の宅急便』のキキをイメージして書きました」というコメントをいただいたんです。キキは作中で魔法が使えなくなったりするけど、最終的には「私はげんきです。」ってなるじゃないですか。いろんな辛いことがあったとしても、最終的に成長して、こんな自分だけど自分が一番好きだし、ちゃんとわかってあげられているところを、自分と重ねられたらと思って書きました。
――そういった「自分らしさ」の大切さというテーマ性は、竹内さんの楽曲にもよくあるモチーフですよね。
竹内 たしかに多いほうだと思います。先ほど挙げていただいた「I My Me Myself」という曲も、「私、私、私!」って言っているぐらいなので(笑)。周りからいろいろ言われてへこんじゃう私も、自分のことが好きな私も、良いも悪いも全部をひっくるめて私なんだって思うようになったら、気持ちがすごく楽になったので、そういう自分らしさをテーマに曲を書くことはよくあります。
――個人的にお二人の作品は、等身大の自分を表現している意味において、シンクロする部分が結構あるのではないかなと思っていて。
伊藤 私も竹内さんの楽曲を聴いたときにすごくそう思いました。「わかる!」って思う歌詞がいっぱいありましたし、きっと気が合っちゃうんだろうなって勝手に思ったりして(笑)。
竹内 嬉しい……! 私は伊藤さんの楽曲やアニメ作品で演技をされているところも好きですけど、特撮とかヒーローものがお好きだということを、申し訳ないんですけどウィキペディアの情報で知りまして(苦笑)。しかもそのことを、普段からよく発信されているじゃないですか。
伊藤 そうですね。
竹内 その自分の好きなものを「好きだ!」って発信しているのはすごいことだと思うんです。好きな気持ちをストレートに言うことって意外と難しいことだと思うので。だから伊藤さんが、自分の「好き」をたくさん発信してらっしゃる姿は、私もそうしていけたらと感じますし、同世代としてもすごく共感できる部分です。
伊藤 好きなものをちゃんと好きって言おう、というのは「BEAM YOU」の歌詞にも繋がりますよね。
――やっぱり気が合うんでしょうね。ぜひ今後、さらに距離を詰めていっていただければと思います。
竹内 ……お友達になってください!(笑)。
伊藤 じゃあ、お友達からでお願いします!(笑)。
――なんかお見合いみたいになってきましたが(笑)。せっかくの機会なので、お互いに聞いてみたいこはありますか?
伊藤 たくさんあります! どうやって曲を作るのかも気になりますし、こういうお洒落な子は休みの日に何をしているんだろう?とか。
竹内 いやいや、それは私も聞きたいです(笑)。
伊藤 じゃあメロディはどんなタイミングで思いつくんですか?
竹内 メロディはお風呂に入っているときが多いです。多分、脳がリラックスしていると出てくることが多くて。お風呂からあがったら忘れてしまうんですけど(笑)。なのでギターを弾きながらだったり、パソコン上で作ることが多いです。
伊藤 そうなんですね……まあ、私は曲を書いたりはしないんですけど(笑)。
竹内 楽器の経験はあるんですか?
伊藤 全然やらないです。やっぱり楽器をちゃんと弾ける人じゃないと曲は作れないんだろうなと思っていたんですけど、みんなに「そんなことない」と言われていて。でも、まだちょっと神聖な場所すぎて……。
竹内 そんなことないですよ(笑)。
伊藤 才能のある人たちがやる場所のイメージが強すぎて、まだ足を踏み入れられてはいないんです。
竹内 私からも質問いいですか? 伊藤さんには弟さんがいらっしゃると、またウィキペディアの情報で知ったんですけど……。
伊藤 ウィキペディアの情報がこんなに役に立つなんて、良かった!(笑)。
竹内 伊藤さんは弟さんと仲がいいんですよね? 私も2歳下の弟がいるんですけど、うちは仲が悪いので、どうやったら仲良くなれるのか教わりたくて(笑)。
伊藤 トンデモ質問だった(笑)。
竹内 私がLINEしても全然返してくれないんですよ。弟は大学生で、実家住まいの私とは離れて住んでいるので、1ヵ月に一回ぐらい「元気?」とか、焼き鳥を食べに行ったときに焼き鳥の写真を送ったりしてるんですけど(笑)。でも、返事が一切返ってこないし、既読もつかなくて。
伊藤 えー!悲しい。
竹内 で、こないだついに、私が「元気?」って送ったら、私宛てにじゃなくて、お母さんに「アンナに俺宛てへのメールをさせないで」ってメールが来たらしくて(笑)。挨拶もダメなのかと思って。
伊藤 ひどーい! 仲が悪いというよりも、まだ反抗期みたいな感じですね。
竹内 そうなんです。なので仲良くなる秘訣を教えてください(笑)。
伊藤 でも、私もアンナさんと大体一緒で、弟にはこっち側からちょっかいを出しちゃうタイプなんですよ。なので弟が反抗期のときは、「おはよう」って挨拶しても返してくれなかったり、冷たかったんですけど、成長するにつれて、「おはよう」って言ったら「ん」って返してくれるようになって。
竹内 ちょっと成長した(笑)。
伊藤 そうそう。雑ではあるんですけど、返事はしてくれるようになったんですよ。だから私的には年齢が関係してくるのかなと思うんですけど。でも大学生になってもそういう感じということは……私は、彼女がいるんじゃないかと思います。
竹内 やっぱり!?
一同 (爆笑)。
伊藤 辿り着くところは、お姉ちゃんが嫌なのではなくて、彼女に女の子から連絡がきてることを見られたくないという方向性なのではないかと、私は推理します!
竹内 なるほどー! それはあるかもしれないです。こないだも夏休みに帰ってきたときに、「彼女いるの?」って聞いたら、何も答えてくれなかったので。
伊藤 あっ、それはクロですね(笑)。お姉ちゃんとしては寂しいですよねえ。うちもそうだったんですよ。やっぱり彼女ができると、彼女が一番になっちゃうので。
竹内 そっかー。じゃあ連絡を控えるようにします(笑)。たしかに邪魔しちゃ悪いので。
伊藤 きっと待っているといつかあっちから来てくれると思いますよ。「女の子へのプレゼント、何をあげたらいい?」っていう話をしてくるかもしれないし。
竹内 おー、それはお姉ちゃんの腕の見せ所ですね。
伊藤 そこで「お姉ちゃん、使えるな」って思わせないと(笑)。でも絶対に彼女ですよ。うちの弟も、初めて彼女ができたときは言わなかったですもん。
竹内 それはどうやってわかったんですか?
伊藤 普通に自転車で女の子といるのを家の前で見かけて(笑)。それで「え?」となって、後から聞いたんですけど、「いや、別に違うし……」みたいな感じで。今思えば可愛らしいんですけど、ウソをつきまくられてました(笑)。
竹内 じゃあ「今、彼女いるの?」って聞くのはNGですかね?
伊藤 でも、私はガンガン聞くタイプでした。自分のラジオで「うちの弟に彼女ができました!」って言っちゃうタイプなので(笑)。だから、ちょっと嫌がられていたのかもしれないですけど。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
●リリース情報
『Rhythmic Flavor』
12月23日発売
【BD付き限定盤】
価格:¥4,000+税
品番:COZX-1700~1701
【通常盤】
価格:¥3,000+税
品番:COCX-41351
<CD>
1.BEAM YOU
作詞:竹内アンナ 作曲:多保孝一、UTA 編曲:UTA
2.hello new pink
作詞・作曲:ゆいにしお 編曲:水口浩次
3.ガーベラ
作詞:金子麻友美 作曲・編曲:松坂康司(SUPA LOVE)
4.Plunderer
作詞:許 瑛子 作曲:大畑拓也 編曲:岸田勇気
5.Born Fighter
作詞:ミズノゲンキ 作曲・編曲:睦月周平
6.孤高の光 Lonely dark
作詞:許 瑛子 作曲:間瀬公司 編曲:中畑丈治
7.いつかきっと
作詞:伊藤美来 作曲:高田みち子 編曲:水口浩次
8.Sweet Bitter Sweet Days
作詞:大森祥子 作曲・編曲:川田瑠夏
9.one’s heart
作詞:ミズノゲンキ 作曲・編曲:設楽哲也
10.Good Song
作詞:伊藤美来 作曲・編曲:佐藤純一
11.vivace
作詞・作曲:Chara 編曲:Kai Takahashi
<Blu-ray>
01. BEAM YOU MV
02. Good Song MV
03. BEAM YOU & Good Song メイキング映像
04. Plunderer MV
05. 孤高の光 Lonely dark MV
●配信番組
伊藤美来 3rdアルバム
『Rhythmic Flavor』発売記念特番 supported by animelo mix
12月25日 20:30開始
プラットフォーム:ニコニコ生放送
竹内アンナ
「at FOUR」
発売中
価格:¥1,819 +税
品番:TECI-1703
<CD>
1. Love Your Love
2. Striking gold
3. +imagination
4. Sunny day
5. I My Me Myself (Schroeder-Headz Remix)
<伊藤美来 プロフィール>
10月12日生まれ。スタイルキューブ所属。 2012年、第1回スタイルキューブ声優オーディションに合格。
2013年ゲーム『アイドルマスターミリオンライブ』の七尾百合子役で声優デビューを果たした後、2014年『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』の宇佐美奈々子役でテレビアニメに初主演を果たす。
以降、『BanG Dream!』シリーズ 弦巻こころ役、TVアニメ『五等分の花嫁』では中野三玖役、『プリンセスコネクト!Re:Dive』コッコロ役、2020年10月TVアニメ『安達としまむら』しまむら役などに出演。
アーティストとしては2016年10月12日のハタチの誕生日に満を持してソロでメジャーデビューを果たし、
2017年 TVアニメ『武装少女マキャヴェリズム』のOPテーマ「Shocking Blue」、
2018年TVアニメ『りゅうおうのおしごと!』EDテーマ「守りたいもののために」、
2019年 TVアニメ『上野さんは不器用』のOPテーマ「閃きハートビート」などを歌唱。2019年7月に2ndアルバム「PopSkip」を発売。
TVアニメ『プランダラ』の第1クールOPテーマ「Plunderer」に続いて、第2クールOPテーマ「孤高の光 Lonely dark」を担当した。
<竹内アンナ プロフィール>
1998年4月25日、アメリカ・ロサンゼルス生まれ日本・京都在住。
伝統的なポップミュージックを基盤にしつつ、その世代や生い立ちからジャンルに捉われない解釈、また卓越されたギタープレイで、熱心な音楽ファンや同世代のアイコンとしても注目されているシンガー・ソングライター。
アコースティック・ギターにスラッピングを取り入れたプレイスタイルと、透明感のある歌声が各所話題になり、2018年3月アメリカ・テキサス州オースティンで行われた大型フェス「SXSW 2018」に弱冠19歳で出演。合わせてニューヨークからサンフランシスコまで、全米7都市を回る「Japan Nite US tour 2018」にも参加。
帰国後、地元関西限定で急きょCDをリリース、表題曲「alright」が全国のラジオ局で大プッシュされ、同年8月8日にテイチクエンタテインメントより4曲入りE.P『at ONE』でメジャー・デビュー、収録曲「ALRIGHT」の勢いは更に加速し全国22ヶ所のパワープレイを獲得。2020年3月18日に待望の1st ALBUM『MATOUSIC』をリリース。収録楽曲「RIDE ON WEEKEND」はWOWOWオリジナルドラマ「有村架純の撮休」主題歌としても話題になった。デビュー2周年の8月8日に『MATOUSIC』をアナログ化して初のレコード作品をリリース。予約の段階で品薄になり早くもプレミアアイテムとなっている。
10月7日に4枚目となるE.P『at FOUR』を発売。J-WAVE「TOKIO HOT 100」CM楽曲「Love Your Love」、イギリスのR&BバンドMamas GunのフロントマンAndy Plattsとの共作「Striking gold」、フジテレビ系列「セブンルール」インフォマーシャルソングであり、FM802の10月度ヘビーローテーション楽曲「+imagination」などが収録されている。
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