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INTERVIEW

2020.12.02

新しい扉を開けて前進するTHE SIXTH LIE!TVアニメ『ゴールデンカムイ』第三期EDテーマ「融雪」リリースインタビュー

明治時代の北海道を舞台にした壮大な歴史ロマン『ゴールデンカムイ』と、EDMとロックの融合を軸に唯一無二のサウンドを鳴らすバンド・THE SIXTH LIEとのコラボレーションが再び実現した。TVアニメ『ゴールデンカムイ』第三期EDテーマ「融雪」は、アニメの世界観に寄り添いながら、バンドの持つ力強いロックスピリットを前面に打ち出した鮮烈な作品だ。アニメについて、ロックについて、バンドの未来について。新しい扉を開けて前進する4人の本音を聞こう。

――『ゴールデンカムイ』とのコラボは、第一期EDテーマ「Hibana」に続いて2度目になります。

Reiji 実は、お話が来る前から曲を作っていたんですね、個人的に。原作マンガを読んで、「第三期はこのあたりかな?」と思いながら曲を作っていたところに、お話をいただいた感じです。なので嬉しかったですね。

――「こういう曲がほしい」というリクエストはありました?

Ray 第三期のストーリーは「杉元佐一がアシㇼパを追う」というところにフォーカスしているんですけど、そことは関係なく、「Hibana」と同じようにロックテイストで、『ゴールデンカムイ』という作品自体を表す曲を作ってほしい、というオーダーがありました。でも「Hibana」の二番煎じになっちゃうのはよくないし、Reijiがどんな曲を持ってくるのかな?と思っていたら、「Hibana」とは全然違う、ロックだけど違う方面で良さがある曲だったので、「これだな」と思いましたね。

Arata 「Hibana」を超えていこう、というのが目標だったので、歌唱に関しては、よりエモーショナルに歌い上げることを意識しました。曲に関しては、「これぞ第三期の『カムイ』だな」という感じの、広大さがあって、寒さも感じるような曲で、聴いた瞬間にビビッときました。

Ryusei 僕が加入してから、例えば「Shadow is the Light」だったり、ローテンポで聴かせる曲やエモい曲よりも、疾走感のある曲が多い印象があって。でも今回は「聴かせる曲」だと思ったし、ライブでお客さん全員の手が上がるような曲なので、THE SIXTH LIEの新たな一面だなと思いました。

Reiji 「融雪」は、僕からしたらめっちゃ疾走感のある印象なんですよ。BPMじゃなくて、ビートを刻む数として。でも、そういう見え方もあるんだなと思いましたね。「Hibana」のときは、タイアップが初めてで、「ロックな曲を作ってください」ということで、必要以上にロックを意識したところがあったんですけど、今回は自分のテイストをもっと出したいなと思って、シンセストリングスの音色でがっつり攻めようと思いました。結果、全体的に映画チックな曲に仕上がったと思います。

Ryusei 生オーケストラでも映えそうな曲ですよね。

――歌詞を書くRayくんは、サウンドの印象と、『ゴールデンカムイ』の世界観を踏まえて、そこから歌詞を膨らませていったと。

Ray そうです。『ゴールデンカムイ』の全体を表す歌詞を書いてほしいということで、作品の主題に一度立ち返ろうと思ったんですね。原作マンガの表紙の裏に、「天から役目なしに降ろされた物はひとつもない」という言葉が、全巻に書いてあるんですよ。アイヌの考え方なんですけど、それこそ『ゴールデンカムイ』の主題だなと思ったし、いろんな個性あるキャラクターが出てくるんですけど、共通点として、誰もが生きる役目を持っている。主人公の杉元は「不死身の杉元」と呼ばれているんですけど、大ケガを負っても死なないのは、「この世でも役割がまだ残っているからだ」と周りの人に言われたりするんですね。すべてのキャラクターに役目があって、それを果たすために生きているということが主題だなとまず思ったのと、作中で何回か、命が蝋燭の炎に例えられるシーンがあって、「蝋燭の炎が消える前に大きくゆらめくのは、人が死ぬ前に大きく輝くのと似ている」と。主人公たちは、消える直前の炎のゆらめきがずっと続いているような感じがする、という描写があって、それを歌詞で表現できたらいいなと思っていました。

――それが最初のヴァースの、“灯された明かり揺れ動いて 消えそうで消えずに”。

Ray そうです。そして、蝋燭の炎の役目というのは、雪を融かして新しい季節に出会いたいという思いなんじゃないか?と感じて、歌詞を膨らませていきました。

――それで、タイトルが「融雪」になったと。THE SIXTH LIEにとって、初の日本語タイトルですよね。

Ray そうですね。「Hibana」はローマ字だったので(笑)。デモの段階で、Reijiから、歌詞に“雪を融かす”という表現があるから、雪解けのイメージをかっこいい言葉で言えないかな?というヒントをもらって、じゃあ「融雪」はどう?ということで、このタイトルになりました。雪解けは雪が自然と溶けていくことで、それに対して融雪は、能動的に雪を融かすときに使われる言葉なので、今回の“蝋燭が、雪を融かしたいと思って、強く生きる”というテーマにぴったりだなと思って選びましたね。

――演奏に関して言うと、以前よりも、生音のニュアンスが多くなったように感じます。特にドラムとか。

Ray 今回は「ライブならこう叩きそうだな」という手癖を入れています。あえて粗さを残したというか、生っぽさが大事な曲だと思ったし、そこには時間をかけましたね。

Reiji 音数を減らすことで、生音が残っていったみたいな感じです。「Hibana」のときは、意外とシンセがたくさん入っていたんですけど、それを今回はあまり入れずに、ストリングスの音色だけを強調することで、ロックな音色が浮き出てきたので。「こういうやり方もあるんだ」と思いましたね。

Ray 「Hibana」のときは、ベースがいなかったから、シンセベースを入れたじゃない? でも今回はベーシストがいるから、堂々と生ベースを入れることができたという、それもあるのかもしれない。

――ちなみに、レコーディングは、リモートを活用して?

Reiji そうですね。スタジオにArataとエンジニアがいて、僕だけリモートで、ディレクションで参加するとか、やりました。

Ray そして、その様子がYouTubeライブで僕とRyuseiに配信される(笑)。

Arata 細かなニュアンスが伝わりづらいところもありますけど、今回は問題なくできました。

Ryusei 僕も、誰とも顔を合わせないで、スタジオでベースだけ入れました。普段からやっているので、そんなに違いはなかったです。

――そして、もう1曲。カップリング曲「ラストページ」も、ロックテイストを強調した壮大な曲になっています。

Reiji 「Hibana」のカップリングの「Flash of a Spear」という曲は、アップテンポな曲だったので。今回は、聴いて、イメージが広がるような曲を作りたいなと思って、バラードちっくなロックにした感じです。

Arata 歌に関して言うと、過去の作品の中で、最高難度の曲かもしれない。メロディが単音ですごく高いということではなく、高い部分が波打って続いていく感じの曲なので、最後のほうになるとバテバテになるんですけど、一皮むけるチャンスだなと思って頑張りました。

Reiji 最後に転調で、半音上げることも考えたんですけど。これ以上上げるとArataが死んじゃうなと(笑)。

Arata それは喉がヤバい(笑)。

Ryusei ベースに関しては、「融雪」もそうなんですけど、ロックバンドっぽい曲なので、ピックでゴリゴリ弾いて、泥臭いような、歪んでいるような音色のほうが合うのかな?と。

――「ラストページ」の歌詞の世界観も、「ゴールデンカムイ」に寄り添っているんですよね。

Ray そうですね。「融雪」は、生きていく人の目線というか、これからも強く生きていくという歌なんですけど、「ラストページ」は、ここで物語が終わってしまう人から見た歌という、そういう対比があるのかなと思います。そして、このシングル全体で命というものについて、アニメを知らなくても、「命とは何か」ということについて、深く触れられる曲になっているんじゃないかと思いますね。

Reiji 「ラストページ」の歌詞は、“遺書”みたいな感じがしますよね。

――去り行く者の手記、みたいな感じですよね。「融雪」と比べても、文字の数も多いし、感情も深い。

Ray たしかに。繰り返しもあまりないので。覚えるの、大変だね(笑)。

Arata もう、ずーっと聴いてます。

――「Hanabi」が出たときに、「日本語の歌詞が多くなってきた」という話をした記憶があるんですけども。今回、「融雪」も「ラストページ」も、完全な日本語詞ですよね。

Ray そうですね。『ゴールデンカムイ』は特に、「日本語でお願いします」というオーダーがあったのと、あとは、Reijiのデモが上がってきた時点で、日本語が入れやすいんですよ。日本語はメロディの一音に一文字しか入らないので、情報が薄くなって、うまくいかないときもあるんですけど、最近は、曲が上がってきた段階で日本語がはまりやすく作ってあるので、書きやすいです。

Reiji 以前からちょいちょい、「書きづらい」と言われていたので(笑)。曲を作るときに、頭に浮かんだ言葉をはめながらメロディを打つことが増えました。

Ray 多分Reijiは意図的に、メロディの中にうまく言葉が乗るように、リズムとメロディを繰り返すところを大事にしているんだろうなと思うので。そのノリを崩さないように、歌詞を詰め込みすぎないとか、意識するようになりました。

Reiji ちょっとずつ、歩み寄っている感じです。

――大局的に言うと、洋楽志向でEDM志向だったTHE SIXTH LIEが、よりJ-POP的なポップさとロック的な高揚感を求める方向へシフトしてきている、という感じがします。

Reiji コロナ期間に、いろんなジャンルの曲を書いてみようと思って、たくさん書いたんですよ。これは絶対THE SIXTH LIEでは使えないな、というものも含めて、結構幅が広がった感じはあります。そのおかげで、「Hibana」も含めて、今までは全部パワーコード(和音の中の2つの音だけで構成するコード)でギターの音を作っていたんですけど、今回は5弦から1弦までしっかり鳴らすようなコードを使ったりしてます。

――なるほど。それは大きい要素かもしれない。

Reiji コードにこだわるなんてあんまりなかったんですけど、日本人はコード感にこだわる文化があると思っていて、そこで勉強の成果が出ているのかな?と思います。「ラストページ」の落ちサビに、半音進行のコードを入れたんですけど、それは今までは絶対使わないような、J-POP的なコード進行なんですよ。

――「物語が遠くまで続くなら」のところですね。そういうところ、音楽好きにはすごく面白いポイントなので、もっと積極的にアピってもいいんじゃないですか。

Reiji そうですね(笑)。でも、あんまり言うとわざとらしくなっちゃうんで。

――どちらかといえば、クールでかっこいいイメージが強かったTHE SIXTH LIEが、どんどんエモく、熱くなってきている。

Ryusei 「ラストページ」のMVでも、ジャンプしているシーンがあったり、すごくロックバンドっぽい。

Ray 『ゴールデンカムイ』のアニメを使った「融雪」のMVはもうCMで流れていて、「ラストページ」のほうは今制作中なんですけど、いかにもロックバンドみたいな感じになると思います。最近の時代の流れとして、作り込まれたものよりも、アーティストのパフォーマンスがそのままわかる映像がすごく重要だと思うので。そういうMVがいいんじゃないか?と思っていた部分もあります。

★「ラストページ」のMVは12月14日(月)23:30よりTHE SIXTH LIEのYouTube公式チャンネルにて公開予定!

Ryusei でも今回、ロックでエモい曲を2曲リリースさせていただくんですけど、配信ライブ(12月2日に開催済み)のために、ずいぶんやっていなかったEDMっぽい曲を練習してみて、「やっぱり楽しいな」と思いました。

Arata ライブのセトリ的には、そういうギャップがあったほうが絶対楽しいと思う。

Ryusei 今はコロナで、閉塞感のある時代だし、あえて頭をからっぽにしてできる曲をやってみたら楽しかった、という感じです。そういう意味で、今回はいい振り幅ができたんじゃないかと思いますね。「融雪」「ラストページ」をやったことによって、今までやってきたことがより良く見えたというか。

――たしかに。これからのバンドの行き先も、明確になってきた気がします。

Ryusei ライブができない期間って、この先も結構続くと思うんですよ。来年、もしかしたら再来年ぐらいまで、間違いなく引きずると思うので。でもそれは悲しい話ではないと思うし、違うやり方を模索できる、いいきっかけだなと思っています。CDをリリースさせていただけるのは、とても恵まれていると思うので、その環境を生かして、配信でもいいので、ひたすら演奏したいなと思います。

Arata 一刻も早く、通常運行のライブに戻ることを期待しつつ、僕らにはどうしようもないこともあるので。2021年は、とにかく新曲を早く聴かせられるように、そちらの方向にシフトして頑張りたいと思います。

INTERVIEW & TEXT BY 宮本英夫


●リリース情報
TVアニメ『ゴールデンカムイ』第三期EDテーマ
「融雪」
12月2日発売

品番:GNCA-0631
価格:¥1200+税

<収録曲>
01. 融雪
02. ラストページ
03. 融雪<instrumental>
04. ラストページ<instrumental>

●作品情報
TVアニメ『ゴールデンカムイ』第三期
毎週月曜 TOKYO MX、読売テレビ、札幌テレビ、BS11ほかにて放送中
FODにて独占配信!

©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会

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