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INTERVIEW

2020.10.10

インターネットカルチャーが生んだ新たなポップアイコン=ナナヲアカリ、“王道のアニソン”「Higher’s High」リリースインタビュー

今度のナナヲはいつもと違う? YouTubeで3500万回以上の再生回数を記録した「チューリングラブ feat.Sou」の大ブレイクでますます注目を集める2020年、インターネットカルチャーが生んだ新たなポップアイコン=ナナヲアカリが放つ“王道のアニソン”「Higher’s High」。この曲で彼女が訴えたかったメッセージについて、これまでの活動を振り返りつつじっくりと語ってもらった。

――リモートのお仕事も増えていると思いますが、もう慣れましたか?

ナナヲアカリ ナナヲとしてはお外に出なくて良いのはありがたいかぎりで、自粛の日々はメチャクチャ私に向いてはいます。

――音楽制作においてそこまで不便はない?

ナナヲ そうですね。ただ本格的にレコーディングとなると自宅を繋いでリモートで……とはいかないので、そこだけストレスを感じていましたけどね。今は安全に配慮しながら歌も録ることができています。

――「チューリングラブ feat.Sou」がYouTubeで3500万再生を超えるなど、目に見える形で大ヒットを記録しましたが、コロナ禍においても様々な形で活動を続けてきた2020年上半期を振り返って、どんな感想が湧いてきますか?

ナナヲ やっぱり私にとっても「チューリングラブ」は大きいですね。今までナナヲの音楽に触れてこなかったような人たちが、YouTubeの“踊ってみた”とかTikTokで使ってくれていて、それがすごく嬉しかったし新鮮な経験でした。「こんなカップルまでもが私の曲で踊るのか!?」って。

一同 (笑)。

ナナヲ でもその一方で「もう自分のものじゃないのかな…?」みたいな、他人事みたいな感覚も同時に味わっていて。

――もう自分の手から離れてしまったような?

ナナヲ はい(笑)。もう勝手に独り歩きしている感じで、それがすごく面白くもあって。だってこういう状況下だからずーっと家にいるわけで、いろいろな方から「反響がすごいね!」と言ってもらえるんですけど、全然私事のような実感が持てていないんですよ。本当はライブがあればそこで「みんなが踊ってくれてるー!!」とか、反響の大きさを体感できたのだと思うんですけど……今は独り歩きしているあの子を、ライブで披露して私の元に戻してあげたい、という気持ちもありますね。

――メジャーデビューから約2年が経ちましたけど、今現在の手ごたえみたいなものはいかがですか?

ナナヲ なんだろう……アーティストによってはすぐにバーンッ!と昇り詰めていかれる方もいると思うんですけど、ナナヲは本当に一歩一歩、1つ1つを積み上げていくタイプだなぁって思うんですよね。インディーズの頃からもそうですが、1曲完成させて披露するたびに、みんなで階段を一段上る感覚。でもそれが今年になって「チューリングラブ」をきっかけに、MVのある楽曲から連鎖的に見て聴いて、たくさんの方がナナヲを知ってくださっているという感覚を味わっていて。生まれて初めて階段を五段飛ばしした感じというか(笑)。ナナヲには「三次元と二次元の間に流れている大きな川に橋を架ける人になりたい」という目標があるのですが、その目標に今年は一歩近づけたのかな? って思いますね。

――2016年の「ハッピーになりたい」から始まった音楽活動ですが、ナナヲさんは今ハッピーですか?

ナナヲ 当時、上京したてで右も左も何もわからなかった私が歌っていた「ハッピーになりたい」と、今の私が歌う「ハッピーになりたい」はたしかに違うものかもしれません。この4年間で、たしかに私は“ハッピーになった”んだと思います。2016年当時は他人のことを妬んだり羨んだり、ネガティブな感情をエネルギーにするように歌っていたんですけど、段々と「他人と比べても仕方がない」と思うようになったんですよ。他人は他人、自分は自分。全然違う生き方をするべきだし、自分にしかできないことをやるべきだって思えるようになって。私は全然要領よくできないし、全然上手に生きられていないんですけど、「少しでも前に進めているなら、それでいいじゃん」って思えるようになったんですよね。でも本当に作ってきた曲たちに認めてもらいながらここまで来た感じです。

――曲たちに認めてもらう?

ナナヲ はい。もちろんファンの皆さんに届けるために歌っていますけど、ナナヲも自分の曲を作って歌うことで、ハッピーになるための自我が確実に芽生えたので。だからハッピーかハッピーじゃないかで言ったら、今の私は“ハッピー人間”だと思います(笑)。

――Neruさんやナユタン星人(ナユタセイジ)さん、DECO*27さん等など、ナナヲさんが憧れていたボカロPをはじめとするクリエイターの皆さんと楽曲制作をする、つまり夢を叶えていく過程をナナヲさんは活動を通じて見せてくれていたので、それってつまりは少しずつハッピーになっていく過程をファンの皆さんにも見せ続けてきたストーリーでもあるんですよね。

ナナヲ 本当にそうかもしれないです。皆さん、実際にお会いするまで私の中では実在の人物というより“概念”みたいな存在でしたから。

一同 (笑)。

ナナヲ でも繰り返し一緒に音楽制作をさせていただくなかで、皆さんの中にたしかにナナヲが存在してくれていて。DECO*27さんなんて「俺はもう曲を書くときアカリちゃんになったつもりで書いてるから」とまで言ってくださるんですよ。もう涙が出るような話です。皆さんの作る曲にたくさん勇気をもらっていた、当時中学生だった私がこの話を聞いても絶対に信じないだろうな。でも、今はそれが現実なんです。確かに私が“ハッピーになっていく”物語を、ファンの皆さんと一緒に作っていっているのかもしれませんね。

――でも今は、ナナヲさんご自身が音楽を通じて中高生たちに勇気を与えているわけですね。ナナヲさんは一貫して「みんな違ってみんないい」と言いますか、人それぞれの多様性を認めて、自分たちの生き方に寛容になることこそがハッピーなんじゃないか、ということをメッセージにしてきているので、生き難さを感じているたくさんの人に勇気を与えていると思うんです。

ナナヲ ありがとうございます。SNSとかネットで自分と違う考え方、自分と違う物の見方、自分と違う思想の人を手当たり次第に攻撃している人を見かけたりすると、ものすごく苦しくなるし悲しくなるんです。「自分と違うから認めない」という考え方が、多くの人を苦しめている気がしていて。ナナヲ自身、学生時代はアニメとボカロが大好きなクラスの中の少数派で、マイノリティの気持ちをずっと抱えていて生きてきたので。他人が好きなものに対して共感はできなくても、好きという気持ちは理解してほしい。そういうメッセージをシリアスに歌うのではなく、できるだけポップに表現してきました。シリアスになるとお説教臭くなっちゃうし、自由であることを歌いたいのに抑圧を強いる感じになるのが嫌だったから。

――僕は今回の最新シングル「Higher’s High」を聴いていて、改めて今までのナナヲさんの活動の延長線上にある楽曲でありながら、かなり踏み込んだ形でファンとの関係性を歌っている楽曲だと思いました。「君」という対象に向けて、今までよりも強い言葉でメッセージを投げかけています。

ナナヲ そうですね。TVアニメ『戦翼のシグルドリーヴァ』の主題歌としてナユタさんが書き下ろしてくれたんですけど、ナナヲの曲として捉えたときに、やっぱり「君」は私の音楽を好きでいてくれる皆さんに向けて歌っていました。“高く 高く 君をつれていくよ”という歌詞とかもそうですが、ナナヲにとってはいつかみんなと一緒にもっと高く昇っていきたい、という決意を込めていて。活動を始めた最初の頃では考えられないくらい、今はここまで一歩一歩上ってくることができたから、この先もっとナナヲが頑張って、みんなと上に昇っていくという決意表明みたいな曲になっていると思っています。だから今までのナナヲの曲とは思えないくらい、力強い曲になりました。

――仰っていたように、今まではポップな形でメッセージを伝えてきたナナヲさんが、今回はアニソンの王道的なシンセロックサウンドに決意表明を込めていると。

ナナヲ はい! メロディ的にも音域的にもナナヲが強く自分を表現するように作られていた曲なので、自然な形で今の気持ちを強く強く表現することができました。今回ナナヲのバックバンドをやってくれているえんじぇるズも演奏に参加してくれて、レコーディングでもナユタさん含めてみんなで「あーでもないこーでもない」と話し合いながら作っていったんです。

――「チューリングラブ」を書いた方と同じとは思えないくらいの振り幅です。

ナナヲ 本当に! 改めて「今までと全然違う曲調でも柔軟に対応して良い曲にしてしまうナユタさんホントすごすぎる!」と思いましたね。あと歌詞で「弱く脆い歌にだって 君がいてくれるから 意味ができた!」とか、ずっと一緒に音楽を作ってきたナユタさんだからこそ書ける歌詞だなぁって。ナナヲが一人ではできなかったことをファンの皆さんと積み上げてきたという、その想いが歌詞にしっかりとこういうところに乗っているんですよね。「Higher’s High」はもう、ナナヲアカリの集大成みたいな歌詞になっています。

――ナナヲさんが書かれたポエトリーパートも、今までにない迫力で強いメッセージを叩きつけていくようで。「don’t scary, get chance!!」みたいなワードがナナヲさんから出てくるくらい、熱い思いに溢れているんだなと。

ナナヲ 熱くならざるをえなかったです! ガチでバトル系とかシリアス系のアニメが大好きなので! ナナヲの大好きな『Re:ゼロから始める異世界生活』の長月達平さんがシリーズ構成だったりスタッフの方々が本当に豪華すぎて自分がかかわっている作品にも関わらず「間違いなく神アニメやんけ!」と言えるくらいすごい作品なので……!

――メチャクチャ早口になりますね(笑)。

ナナヲ そんなすごい作品の主題歌を担当させていただくことが本当に本当に光栄で! オリジナル作品なので放送まで余計にワクワクしますし、ナナヲもアニメファンの端くれとして皆さんの期待に歌で応えたいって心の底から思いました! そしてかっこいい系のアニソンを歌うという夢が叶ってしまった! マジ歓喜案件ですっ! なのでナナヲを応援してきてくれたファンの皆さんは自分たちのことを重ね合わせてもらって、アニメファンの皆さんは『戦翼のシグルドリーヴァ』に登場する戦う女の子たちが躍動していくイメージを重ね合わせて聴いてもらえるとすごく嬉しいです! 普段、恥ずかしくて自分の曲って聴き返したりしないんですけど(苦笑)、「Higher’s High」は曲構成的にも面白いことをたくさんしているので、本当に繰り返し聴きたくなりますね。自分の曲でこんなにアガれるなんて、なんて幸せなんだろう! って感じです。

――ナナヲさんの熱量の高さ、ものすごく伝わるお話でした。カップリングの「クライソング」も「ドラマ」もまったくタイプの違う楽曲でありながら、その世界観に合わせてナナヲさんも歌唱表現を絶妙に変えてらっしゃって。まるで1つ1つ演じるように歌われているなと感じました。

ナナヲ 初めて言われました。でもたしかにそういうふうにメロディや歌詞を捉えているところってあるんですよ。どれも私の曲だし歌ではあるんですけど、特に歌詞を台本のように読み込んだりしながら意味を自分なりに捉えて、曲の主人公を演じるというか、憑依させて歌うというか……うん、憑依型という表現が一番しっくりくる気がします。しかも着脱がわりと容易な憑依型で(笑)。歌の練習も好きなので、割と「どうやって表現すれば伝わるかな?」って考えるタイプだとは思っています。きっとアニメとかゲームがずーっと好きだったからこそ身に付いた特性なのかもしれませんね。「Higher’s High」に合わせてポップなナナヲ曲は今回カップリングにはしていないんですけど、「クライソング」はインディーズから知ってくださっているDECO*27さんにしか出せない魅力があるし、「ドラマ」はコロナで自由を謳歌できない今だからこそ尊く感じてしまう“ありふれた日々”をちゃんと表現したいと思って歌いました。

――改めて素晴らしいシングル「Higher’s High」を完成させた今、今後に向けてどんな思いが湧いていますか?

ナナヲ コロナ禍で自由にライブができなくなってしまって、きっと私の活動についてとか、私自身についてとか、心配してくださっている皆さんも多いと思うんです。でも「心配しないで! 私は歌い続けるから」と言いたいです。今までと同じようにナナヲにできることをやるだけなので、安心して欲しいなって。配信もできる限りやるし、制作もどんどんしていくし、ナナヲの最終目標である「二次元好きも三次元好きも仲良くしちゃおう!」に向けて、また一歩一歩進んでいきます!

INTREVIEW & TEXT BY 冨田明宏


●リリース情報
ナナヲアカリ 3rd Single
「Higher’s High」
10月21日発売

【初回生産限定盤 (CD+BD)】

品番:AICL-3935~3936
価格:¥1,500+税
※オリジナルアナザーJK(寺田てらver.)封入

<CD>
01. Higher’s High
作詞・作曲・編曲:ナユタセイジ ポエトリー:ナナヲアカリ
02. クライソング
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
03. ドラマ
作詞:蒼山幸子 作曲・編曲:LASTorder
04.チューリングラブ feat.Sou (Avec Avec Remix) ※初回生産限定盤のみ

<BD>
01. Higher’s High Music Video
02. Higher’s High Music Video Making Movie

【通常盤 (CD)】

品番:AICL-3937
価格:¥1,200+税
※オリジナルアナザーJK(ナナヲアカリver.)封入

<CD>
01. Higher’s High
作詞・作曲・編曲:ナユタセイジ ポエトリー:ナナヲアカリ
02. クライソング
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
03. ドラマ
作詞:蒼山幸子 作曲・編曲:LASTorder
04. チューリングラブ feat.Sou (TAKU INOUE Remix) ※通常盤のみ

【期間生産限定盤 (CD+BD)】

品番:AICL-3938~3939
価格:¥1,500+税
※アニメJKステッカー封入

<CD>
01. Higher’s High
作詞・作曲・編曲:ナユタセイジ ポエトリー:ナナヲアカリ
02. クライソング
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
03. ドラマ
作詞:蒼山幸子 作曲・編曲:LASTorder
04. Higher’s High (TV Size ver.) ※期間生産限定盤のみ

<BD>
TVアニメ「戦翼のシグルドリーヴァ」×「Higher’s High」スペシャルムービー

【店頭特典】
※それぞれなくなり次第終了となります。お早めにご予約ください。
TOWER RECORDS(オンライン含む / 一部店舗除く):オリジナルステッカー(Type.A)
TSUTAYA RECORDS(一部店舗除く) / TSUTAYAオンラインショッピング(予約のみ):オリジナルB3ポスター(ナナヲアカリ絵柄)
Amazon co.jp:メガジャケット
全国アニメイト(オンラインショップ含む):オリジナルB3ポスター(アニメ絵柄)
楽天ブックス:オリジナル缶バッジ
応援店(Sony Music Shop含む)限定特典:オリジナルステッカー(Type.B)

●ライブ情報
ナナヲアカリ 配信LIVE
『Remote DamAngel』
10月23日(金)20:00開場/21:00開演
チケット:3,000円(税込)
販売期間:9月11日(金)21:00~10月30日(金)16:30まで
アーカイブ期間:配信終了後から10月30日(金)22:30まで

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