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INTERVIEW

2020.08.26

Mary’s Blood初のカバーアルバムは珠玉のアニソン満載!『Re>Animator』リリースインタビュー

狂おしいほどの愛に溢れたアニソンカバーアルバムが誕生した。8月26日にリリースされるガールズメタルバンド・Mary’s Blood(メアリーズブラッド)による『Re>Animator』だ。結成10年を超えた彼女たちのキャリア史上、初のカバーアルバムはメンバー自ら選曲した11曲のアニソン。誰もが知る名曲から、その難度ゆえに前人未到だった曲、さらにはオリジナルシンガーとのコラボまで充実の内容。コアなアニメファンでもあるメンバー自身が原曲リスペクトに満ちたアレンジを行い、熱のこもった歌唱とテクニカルかつアグレッシヴな演奏で仕上げた。この微に入り細を穿つ本作の作り込みについて、メンバーのEYE(vo)、SAKI(g)に聞いた。

アルバム2枚分のアレンジを込めて作り上げた1曲とは?

――「リスアニ!」への初登場ということで、まずはMary’s Bloodの自己紹介をお願いいたします。

EYE 簡単に言うと、うるさいバンドです!(笑)。メタルを軸にキャッチーなメロディ作りを意識していて、ライブがとても盛り上がるので、フェスなどで盛り上がるアニソンファンの方たちにも親和性を持って聴いていただける音楽性だと思います。

SAKI 私たち自身もライブでアニソンの力を感じた経験でお話しますと、2013年にテキサスで開催された“ANIME MATSURI”というフェスに呼んでいただいたことがありました。そのときのお客さんのテンションがもう、ものすごくて、みんな日本語で大合唱していて、私たちが歌う必要がないくらいでした(笑)。

――その際にはどんな曲を?

SAKI 自分たちが好きなアニソンを演奏することができたので、「残酷な天使のテーゼ」と、今回のカバーアルバムにも入れた「ペガサス幻想」(TVアニメ『聖闘士星矢』OPテーマ)を演奏しました。

EYE アニソンのカバーは2年前から私たちのハロウィンライブの際にも行っていて、2018年は『コネクト』(TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』OPテーマ)を、去年は「Don’t say “lazy”」(TVアニメ『けいおん!』EDテーマ)を演りました。私はコスプレイヤーでもあるので、そのときはサポートメンバーも含めて5人全員でコスプレをしてステージに立ったんです。

――担当パート揃いで?

EYE いえ。そこはコスプレイヤー魂として、中身が似ている人をきちんと演じたいと思って(笑)。例えばドラマーのMARIはちょっとおっとり目なので、ムギ(琴吹紬)ちゃんかなというように、見た目的にはちょっとチグハグな放課後ティータイムになりました(笑)。で、その準備をしているときにレコード会社の方から「アニメ好きなんだったらカバーをやってみない?」というお話があったんです。で、私たちもガチなので、そこで「万人受けする曲ばかり選ぶのは嫌ですからね!」と言ったりして(笑)。メンバーそれぞれ意見を出し合って曲を決めていきました。

SAKI 選曲としては、まずはバンドが演っているアニソンでそれぞれ好きな曲を選ぼうというところから始めていきました。私は聖飢魔IIの「信者」なので、「荒涼たる新世界」(TVアニメ『テラフォーマーズ リベンジ』OPテーマ)を。これ、「虚空の迷宮」(TVアニメ『MAZE☆爆熱時空』OPテーマ)と迷ったんですけど。ベースのRIOちゃんは「unravel」(TVアニメ『東京喰種 トーキョーグール』OPテーマ)と「INVOKE」(TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』OPテーマ)を。MARIちゃんはX JAPANをリスペクトしているので「Forever Love」(映画『X』主題歌)を絶対に演りたいと言って、そうやって決めていった感じです。『まどマギ』は先ほどのフェスの前に私がハマってRIOちゃんに薦めて、その後バンド内に伝染していった感じですね。「MAGIA」は一昨年のライブでもおどろおどろしさを演出するためにSEとして使って、リフも格好いいので今回入れてみようと。歌モノアニメからは水樹奈々さんの「Exterminate」(TVアニメ『戦姫絶唱シンフォギアGX』OPテーマ)を選ばせてもらいました。

EYE 「Exterminate」はこれまでカバーされている方がいらっしゃらなかったそうなんです。実際に歌ってみたらもう、息継ぎが足りなくて、「奈々様は何であんなに余裕で歌われているのだろう?」と思いました。上松(範康)さんの曲も、最近になればなるほど息継ぎの場所が減っているし、レンジも広がっている。カバーという形を通じて、あのお二人の“戦い”を実感しましたね(笑)。

――メタルバンドから見て、上松さんの曲を演奏するうえでの難しさはどんなところに?

SAKI まず、転調の多さに驚きました。「Exterminate」はその最たるもので、しかもアニメの劇中にも流れるから、一般的なバンドの曲ではしないような転調や盛り上がり方をするんです。そういう点においてもでも演奏するのが難しかったですね。

EYE 覚えるのが大変という意味ではプログレに近い。そのうえ、テンポも速いから。

――メタルのボーカリストとして、声優アーティストである水樹奈々さんの歌をカバーする上で感じられたことは?

EYE 奈々様の場合、声優とかボーカリストといった域を超えている感じがしますね。聴いていて舞台が見えるというか。ライブ映像も見ましたが、演技というレベルではなく、表現者としてオリジナリティがあって、演じながら歌うよりも、もっと先に行っている感じがします。今回はカバーですから、真似をするわけではありませんが、もしコピーしようと思ってもできないというレベルのものだと、研究してみて改めて感じました。

――ではそのカバーについて、EYEさんはどのようにご自身らしさを表現していきましたか?

EYE 奈々様は圧があって、艶もあって、でもクリアな感じもあって羽ばたいているようなキラキラ感をお持ちなのですが、私の場合は伴奏の音像に合わせて滑って踊るという感じです。そこでサラサラとして耳あたりの良い声で歌おうと考えました。

――ご自身の声とMary’s Bloodの演奏の持ち味を活かしつつ。

EYE そうですね。メンバーの演奏に差し替わったときに噛み合うように。これはコスプレイヤーとしての考え方なのかもしれませんが、似た方向は目指すけれども、自分のフィルターを通したうえで、愛情を表現するというのがあります。アニメ好きだからこそ、やはり原曲へのリスペクトが一番にあって、その良さは残しつつ、個性をちょっとプラスするという、絶妙なところを攻めていく感じでしたね。

――演奏のアレンジについては、バンドとしてどのように構築されましたか?

SAKI アレンジャー兼プロデューサーのSinさんを含め、全員で事前のミーティングをして大枠の方向性を詰めていきました。その後、各メンバーが細かくアレンジを加えていくという進め方でした。

EYE 4曲目の「終曲:BATTLER(「悪魔組曲作品666番ニ短調」より)~荒涼たる新世界」は、ほぼ100%SAKIちゃんがアレンジしていましたね。

――この「荒涼たる新世界」の前に「終曲:BATTLER」を付け加えたのはどんな理由から?

SAKI 「荒涼たる新世界」は2016年の復活のときにダミアン浜田陛下が作曲された曲でして、せっかくだからイントロにも浜田陛下の曲を付け加えたいなと思って、地球デビューの大経典(アルバム『聖飢魔II~悪魔が来たりてヘヴィメタる』)の「終曲:BATTLER」を合わせました。ほかにもアレンジとして「THE END OF THE CENTURY」(作曲:ダミアン浜田)のBメロのバッキングをこの曲の2番のBメロに入れたりしています。ギターソロではメジャーデビュー以降の3人のギタリストのモデルを全部使って、それぞれのソロのフレーズから持ってきてテンポとキーを合わせて入れ込んだりしています。

――マニアックなこだわりがすごい!

EYE この1曲のためにアルバム2枚分くらいの労力をかけているんですよ(笑)。

SAKI ギターソロは私にとってはめちゃくちゃ重要なんです。最初、エンジニアさんから送られてきたミックスを聞いたら1本になっていて、「そうじゃなくて3本なのが重要なんです!」と。「このギター何秒から何秒まではこの位置にいてほしい」と立ち位置まで指定するという、とても面倒くさいことをしています(笑)。

EYE 今回、私が歌いやすいキーに変えてもらっちゃったから、弾きにくかったんじゃないかなぁと。

SAKI この曲だと2音半くらい上がっているね。上がったぶんは7弦ギターを持ってきて、下の帯域に当てています。今回のアレンジはほぼ7弦ですね。

EYE 音が軽くならなかったから、さすがだなと思って。

SAKI キーで言えば「ペガサス幻想」は原曲の時点で高めなのに、さらに1音上げの状態でNoBさん(山田信夫)さんが歌ってくれて、そこで大変さをまったく感じさせないのがすごいです。

――NoBさんは「ペガサス幻想」の原曲を歌われた、いわば本家の方なわけですが、参加の経緯はどのようなものだったのでしょうか?

EYE 元々、私のボーカルの師匠なんです。以前、師匠がされているDAIDA LAIDAというバンドにゲストで呼ばれた際に、Mary’s Bloodの方にも出ていただけませんかとお願いして、その流れでこのアルバムにも参加していただけることになりました。

――オリジナルのボーカリストとしての存在も大きいですが、EYEさんの今回の場合、師匠との共演音源という形になるわけですね。どんなお気持ちですか?

EYE 教わっていた頃から、「いつかこの先生と肩を並べて歌っても遜色ないぐらい上手くなろう」と思っていたので、10年越しの夢が叶って感慨深いですね。NoBさんのレコーディングの際にも当然自分も立ち会ったわけですが、前日に広島でライブを行なったにもかかわらず、朝からウォーミングアップもそこそこに始めて、ほぼ一発録りでこのクオリティですよ? その際にハモリも含めてMVを撮ったのですが、そのときもお茶目に快くやっていただきました。

――メタルやハードロックのボーカリストって実年齢を感じさせませんよね。

EYE フェスで大御所の方を見たりすると、パワーが落ちないどころか、オーラや余裕さ含めてパワーアップして行きますよね。それが不思議でしょうがない。NoBさんだって年齢を重ねているわけですから、キーが落ちてもおかしくないのに、ここで1音上げても余裕だということに驚きます。私もそうなりたいなと思いますね。

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