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INTERVIEW

2020.06.09

『攻殻機動隊 SAC_2045』コンセプトシングル「Intrauterine Education」&Wタイアップシングル「雨と体液と匂い / Static」を同時リリース!Miliインタビュー

『攻殻機動隊 SAC_2045』コンセプトシングル「Intrauterine Education」&Wタイアップシングル「雨と体液と匂い / Static」を同時リリース!Miliインタビュー

――もう1枚のシングル「雨と体液と匂い / Static」についてもお聞かせください。まず「雨と体液と匂い」はTVアニメ『グレイプニル』のEDテーマですが、どのような経緯でお話をいただいたのですか?

Kasai 僕は元々原作のマンガのファンで、原作者の武田すん先生ともSNS上でちょっとした交流があったんですけど、そことは全然違う流れから「今度こういうアニメのEDの話があるんだけど」とお話がきたので、「えっ? 『グレイプニル』ですか?」って聞いてしまうぐらいビックリして(笑)。最初は武田先生が推してくれたのかなと思ったんですけど、先生に連絡してみたら本当にたまたまだったみたいで、二人で驚いた印象が強かったです。

――原作ファンということは、EDテーマの曲想も膨らませやすかったのでは?

Kasai そうですね。漠然としたイメージはすぐに浮かびました。『グレイプニル』は学生たちが放課後や夏休みに摩訶不思議なことに巻き込まれていくシチュエーションなので、リアルな生活とファンタジー要素が混ざり合う感覚、夏の印象、(青木)紅愛と(加賀谷)修一の性格、周りの人間関係のドロドロした感じとかを総合して考えると、あまり爽快な印象は受けない作品になるだろうなと。だから音としても、薄暗さとかほの暗さ、ちょっと怪しい雰囲気が漂っていて、ねっとりしたものにしたかったんです。なので、楽曲から湿度が70~80%ぐらいの部屋みたいな雰囲気、ジメッとした感じが伝わることを意識して作りました。

――ピアノとシンセなどの電子音が混ざり合ってミステリアスなムードを感じました。

Kasai 夏に入りかけの梅雨の薄暗い夕暮れ時みたいな、漠然としたシチュエーションと景色が頭に浮かんでいたので、それを意識して。歌詞も文学的なものを感じさせる内容で、紅愛と修一の関係性を描けたらと思いましたね。

――ちょっと官能的な詞世界ですよね。

Kasai あれは完全に、いわゆる情事の話なので。けれども、ただの情事ではなくて、そこにいろいろ複雑な心境だったり、不安定さみたいなものを入れ込めたらと思っていたので、サウンドも含めてああいう感じに仕上がりました。

――「不安定」と聞いて思い出しましたが、この曲はEDアニメで流れるバージョンの曲構成がちょっと変わっていますよね。まず頭サビで始まって、そこからAメロ、Bメロと続いたかと思うと、そのままサビには行かずに終わりを迎える。そのどこか不安定な感じが、逆に新鮮だしインパクトがあって。

Kasai たしかに普通のアニメの曲ではあまり聴かないタイプの構成だと思います。最初に提出したときも「これいいのかな?」と思いながらも、じゃあ曲の構成を無理やり変えようとは思わなかったので。曲がいちばん綺麗な形で終わるのがベストだと思って、あの形にしました。それに正直、この曲はサビ始まりと言っても、あまりサビのパンチはないようにしたんですよね。雰囲気重視の曲でもあるので、サビにパンチがありすぎると全体の雰囲気が壊れてしまうじゃないですか。その辺の塩梅は難しいですけど、うまく作りたいなあと思って。

――Cassieさんはこの曲を歌ううえで、どんなことを意識しましたか?

Cassie 曲からエロさを感じたので、昔の日本のホラー映画に出てくるちょっとエロイお化けみたいなものを意識しています(笑)。幽霊の美しさみたいなものを表現できればと思って。それとやっぱり不安定な感じは出したくて、元々の曲のキーはもう少し低めだったんですけど、それをわざと上げました。なので、ずっとピッチが上にある状態の歌と、すごく低いところが出てきて、それが不安定さに繋がっていると思います。

――もう1曲の「Static」は、映画『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROWN-』のテーマソング。MiliはTVアニメ版の『ゴブリンスレイヤー』で、OPテーマ「Rightfully」をはじめPV曲や挿入歌を担当されていましたが、今回の新曲では作品のどんな作面を表現しようと思って作られたのですか?

Kasai 『ゴブリンスレイヤー』という物語全体がどんな流れの話なのか、そしてゴブリンスレイヤー自体がどういう人間なのかも踏まえつつ、今回の劇場版の舞台である雪山での冒険に関してのこと、そして今回は映画の最後のクレジットシーンで流れる曲でもあることを考えると、どんな曲にするべきかはすぐに頭に浮かんできました。監督からは最終の絵コンテをいただいたうえで制作に入ったのですが、この曲は雪山で雪が降りだすシーンからクレジットに切り替わると同時に流れることになっていたので、まず静かに始まる曲にしたいと思ったんです。最初は優しいピアノから始まり、静かに進んでいくけど、ストリングスが入ってくると一気にバンと広がるような作り。最初は雪山の情景を演出しつつ、大団円的な総まとめに繋がるような、壮大な楽曲に仕上げていきました。なのでこの曲も、いわゆるABサビみたいなものがはっきりしない、クラシカルでプログレッシブな作りなのですが、僕は物語を語るにおいてはABサビの構成だけでは物足りないと思っていて。それこそ今作に登場する令嬢剣士にも心の変化があるので、そういった表情の変化をピアノと弦で付けていきました。

――TVアニメの89秒尺ではない、劇場作品のテーマ曲だからこその尺感で取り組んだ曲になっていると。曲名は「Static(=静電気)」となっていますが、歌詞のイメージは?

Cassie タイトルの「静電気」ですが、新キャラクターの令嬢剣士が雷の魔法を使うんです。それに令嬢剣士はゴブリンスレイヤーたちと一緒に冒険に出て、たくさんのものを得るんですね。その得たものは、彼女のなかで静電気のように残って、その後、みんな別の道を行くけど、もらったものはずっと心の中にある。そういう意味を込めて「静電気」にしました。作品自体はダークな雰囲気が強いですけど、私からしたらこの作品はたぶん、人間の努力と希望を持つところを賛美しているんじゃないかと思っていて。今までの『ゴブリンスレイヤー』の曲もそうですけど、希望の部分をみんなにすごく見せたくて歌詞を書きました。

――この曲で個人的に感じたのは、フランス語みたいなパートが混ざっていることなのですが。

Cassie あっ、それは架空言語です(笑)。でも、実際にある言葉をちょっとアレンジして混ぜたり、発音をフランス語っぽくしていて、できるだけリアルにありそうな言語を作りました。この作品はファンタジーの世界なので、歌詞がずっと英語だと、ファンタジー世界の不思議な部分をうまく伝えられないんじゃないかと思って。それと英語で希望の言葉を使いすぎると、実際にある宗教の曲に似てくることがあるんですね。なのでそういう部分のコーラスは架空言語のほうが雰囲気を伝えやすいと思います。

――今回のシングルは2作品とも非常に濃密な内容になりましたが、Miliにとってどんな作品になりましたか?

Kasai 全く別のベクトルで作られた曲が同じ円盤に入っていたりするので、この2枚でMiliのいろんな色が見えるんじゃないかと思います。別にそういう意図があったわけではないんですけど、作品の色がそれぞれ違うように、それに寄り添って曲を作っていったら、音楽もいろんな色のものになって。アニメの曲を作るときは、当然、そのアニメのために曲を書くので、その話がなかったら、そもそもその曲を書こうとは思わないわけじゃないですか。だから僕らも作品サイドから求められて、意外な曲を作ることができたりしますし、作品に寄り添うことで、自分たちが普段作ってこなかった一面というのは出てきますね。

――Miliはこれまでにも様々なアニメ作品のために楽曲を制作していますが、例えば今後どんな作品の曲を作ってみたいですか?

Kasai そもそもアニメ化できる内容なのかという問題はありますけど、僕は『ファイアパンチ』というマンガの世界観がめちゃくちゃ大好きなんですよ。今ジャンプで連載している『チェンソーマン』の作者の方(藤本タツキ)が、その前に連載していた作品なんですけど、「どんな脳みそで考えたら、こんなシナリオを思いついて、こんな表現になんるんだろう?」っていうぐらいぶっ飛んでるんですよ(笑)。『チェンソーマン』も結構ぶっ飛んでますけど、僕が見るに、あれは週刊少年ジャンプ向けに抑制されていると思うぐらいで(笑)。僕はちょっと気が狂ったような作品が好きなんですよ。なので、もし映像化されることがあれば、ぜひやりたいですね。

Cassie 私は何だろう?でも、私の趣味とMiliの音楽は合わないんじゃないかな。好きなもので言うと『サウスパーク』とか、下品でめちゃ笑えるようなやつがいいですけどね。ダークなコメディが好きなので。

Kasai 品のかけらもないようなやつね(笑)。

Cassie そうそう。だからMiliとは合わないかもしれないけど、もし話がきたら絶対に喜んでやります。もう靴まで舐めますよ(笑)。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
攻殻機動隊 SAC_2045 コンセプトシングル
「Intrauterine Education」
6月10日発売

品番:VTCL-35322
価格:¥1,300+税

<CD>
01. sustain++;(『攻殻機動隊 SAC_2045』EDテーマ)
作詞:Cassie Wei 作曲:Yamato Kasai, Cassie Wei 編曲:Yamato Kasai, Yukihito Mitomo, Shoto Yoshida
02. Petrolea
作詞: Cassie Wei 作曲: Yamato Kasai, Cassie Wei 編曲: Yamato Kasai
03. War of Shame
作詞: Cassie Wei 作曲: Yamato Kasai, Cassie Wei 編曲: Yamato Kasai
04. sustain++; (instrumental)
05. Petrolea (instrumental)
06. War of Shame(instrumental)

TVアニメ『グレイプニル』EDテーマ&『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROEN-』テーマソング
「雨と体液と匂い / Static」
6月10日発売
 
品番:VTCL-35321
価格:¥1,300+税

<CD>
01.雨と体液と匂い (TVアニメ『グレイプニル』EDテーマ)
作詞・作曲・編曲:Yamato Kasai
02.Static(『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROEN-』テーマソング)
作詞:Cassie Wei 作曲:Yamato Kasai、Cassie Wei 編曲:Yamato Kasai
03.雨と体液と匂い (instrumental)
04.Static (instrumental)

ジャケットはスリーブケースによる表面/『グレイプニル』、裏面/「ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROWN-」の豪華ダブルジャケット仕様。

「Intrauterine Education」店舗オリジナル特典
・タワーレコード/タワーレコードオンライン:草薙素子オリジナルステッカー(イラスト:イリヤ・クブシノブ)
・TSUTAYA RECORDS(※一部店舗を除く)/TSUTAYAオンライン:ジャケットステッカー(イラスト:イリヤ・クブシノブ)
・セブンネットショッピング:ジャケット缶バッジ(イラスト:イリヤ・クブシノブ)
・メロンブックス(一部店舗除く):ジャケットイラストカード(イラスト:イリヤ・クブシノブ)
・とらのあな全店舗(一部店舗除く)/通信販売:バトーオリジナルポストカード(イラスト:イリヤ・クブシノブ)
・アニメイト全国各店/アニメイトオンラインショップ:草薙素子オリジナルポストカード(イラスト:イリヤ・クブシノブ)
・Amaozon.co.jp:リバーシブルメガジャケ(表=ジャケットイラスト/裏=草薙素子  イラスト:イリヤ・クブシノブ)
・ネオ・ウィング:トグサオリジナルポストカード(イラスト:イリヤ・クブシノブ)

「雨と体液と匂い/Static」店舗オリジナル特典
・タワーレコード/タワーレコードオンライン:「雨と体液と匂い」 ジャケットステッカー
・TSUTAYA RECORDS(※一部店舗を除く)/TSUTAYAオンライン:「Static」ジャケットステッカー
・セブンネットショッピング:女神官(ゴブリンスレイヤー)オリジナル缶バッジ
・楽天ブックス:「Static」ジャケットポストカード(イラスト:Airi Pan)
・メロンブックス(一部店舗除く):「グレイプニル」場面写イラストカード(絵柄B)
・とらのあな全店舗(一部店舗除く)/通信販売:「ゴブリンスレイヤー -GOBLIN’S CROWN-」場面写ポストカード
・アニメイト全国各店/アニメイトオンラインショップ:「グレイプニル」場面写ポストカード(絵柄A)
・Amazon.co.jp:リバーシブルメガジャケ(表=「雨と体液と匂い」/裏=「 Static」)
・ネオ・ウィング:「グレイプニル」場面写ポストカード(絵柄C)

2枚同時購入特典:「Yaegaki」収録CD(G20大阪サミット プログラム「KABUKI 2019」提供楽曲)]も決定している。確実に手に入れたい方は早めに予約を。

対象店舗
・アニメイト
・ゲーマーズ
・タワーレコード
・HMV
・TSUTAYA
・とらのあな

一部取扱いのない店舗もありますので、ご予約の際は各店舗にご確認ください。

●配信情報
「sustain++;(ending ver.)(『攻殻機動隊 SAC_2045』EDテーマ~)
音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて配信中!
詳細はこちら

「雨と体液と匂い(ending ver.)」
音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサイトにて配信中!
詳細はこちら

「Intrauterine Education」、「雨と体液と匂い/Static」
6月10日より、音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサイトにて配信スタート!

※対応ストリーミングサービス:Amazon Music Unlimited/HD、Apple Music、AWA、Google Play Music、KKBOX、LINE MUSIC、mora qualitus、RecMusic、Rakuten Music、Spotify、YouTube Music、ANiUTa

<Mili(ミリー)PROFILE>
クラシカルなサウンドを土台に、幅広い作曲を手掛けるコンポーザーYamato Kasai (Gt)
天使の歌声を持ち、トリリンガル(3ヶ国語)で作詞も担当するカナダ人ボーカリストCassie Wei (Vo)、高度なテクニックでMiliの音楽を支える実力派プレイヤーYukihito Mitomo (Ba)、Shoto Yoshida (Dr)、Mili の世界観を視覚的に表現するクリエイターAo Fujimori (Illustrator, Animator)の5名からなる世界基準の音楽制作集団。
Yamato Kasai とCassie Wei が創り出す幻想的で物語性がある楽曲は聴いた者を一瞬で虜にする。
全世界で大ヒットしている音楽ゲームアプリ「Deemo」に多数の楽曲を提供し、人気のアーティストとしてその認知度を広め、YouTube のチャンネル登録数(ファン数)はインディーズシーンでは異例の31万人を超える。リリースしたCDは全三作ともオリコンインディーズチャート1 位を記録、
ライブでは2017年2018年の二年連続でSUMMER SONICに出演、中国・台湾・シンガポール等の海外公演等を行い、人気のアーティストとしてその認知度を広め、2020年には世界的なSFアクションの金字塔として知られる「攻殻機動隊」シリーズ最新作「攻殻機動隊 SAC_2045」エンディングテーマを担当するなど活躍の場をさらに広げていている。

Ⓒ士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会
Ⓒ武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会

Ⓒ蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤーGC製作委員会

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