4月から放送中のTVアニメ『神之塔 -Tower of God-』。原作は10年もの長期にわたって連載されているWebマンガで、28カ国語に翻訳されるという世界的人気作だ。そんな注目作のメインキャラクターとなる夜役の市川太一とラヘル役の早見沙織にインタビューを敢行。キャラクターと作品の魅力について語ってもらった。
――それぞれ演じるキャラクターの印象を教えてください。
早見沙織 ラヘルはなかなかひと言で表現しづらいキャラクターです。心を閉ざしているように見えるところもあれば、すべてをさらけ出しているところもある。欲望のままに生きているかと思えば、何も語らずに寡黙に生きているところもあって。そうした相反する要素が同時にあって、彼女のことを知りたいけど、少し知るのが怖いキャラクターだと感じました。
市川太一 夜は素直なキャラクターです。ずっと閉じた世界でひとりだったところをラヘルに救われたこともあり、特にラヘルに言われたことはすべて従うくらい素直。そんな大切なラヘルが神之塔を登ることになり、夜は彼女を追いかけることになります。彼にとって外の世界は初めてのことばかりなので、何もかも新鮮なんですよ。でも夜は新しいことも素直に「そういうものなんだ」と受け入れられるところが魅力的です。身体は大きいけど、感性は赤ん坊みたいですね。
――そのキャラクターを演じるにあたって、どういった点に気をつけられましたか?
市川 夜は成長がテーマなので、話を重ね、人と出会って心を開いていく過程を少しずつ出していこうと考えていました。あとラヘルと夜は対比というか、陰と陽のようなコントラストになっているんです。だから夜にはまっすぐにあってほしかったので、セリフに対して純粋に感じたことをぶつけました。
早見 ラヘルについては、特にアニメならではの見え方や、今回のシリーズならではの見え方があると感じたので、アフレコ中に監督や音響監督と相談させていただいたり、説明いただいたりしました。「今回のアニメでこのシーンはこういうふうに描かれるので、これくらいの塩梅にしておきましょう」みたいな。ラヘルの内面や考えをどれだけ見せていくか、そういったバランスは気をつけました。
市川 最初の収録時点でアニメの結末を教えていただいていたので、そこからラヘルという人間像を作っていった感じでしたよね。
早見 はい。結構衝撃的なことも伺いました……(笑)。「こんな心理描写もしちゃうんだ」というところがあるのも、このアニメの魅力だと思います。
――ふたりが演じるキャラクターの関係性をひと言で表すと?
早見 難しい!
市川 難しいですね、夜から見たラヘルとラヘルから見た夜って全然違うので。だから早見さんと僕でその見解は変わると思います。夜にとっては“恋人以上、家族未満”みたいな認識でしょうか。
早見 収録を終えた身からすると、いろいろと言いたくなりますが(笑)。ラヘルから見た関係性を語るとネタバレになるのですごくふんわり言うと、夜はラヘルの根幹を揺さぶる存在です。いろんな意味で。
市川 ストーリーが進むごとに互いの思いが変化するのもあって、本当にひと言で言うのは難しいです。
――夜とラヘル以外で印象深いキャラクターは?
早見 私はラークさん。誰かが喋ってる裏でひとりで叫んでいたり、演じてらっしゃる三宅健太さんのアドリブが多くて楽しかったです。怖い見た目ですけど、少し可愛いらしく見えてきました。
市川 お茶目なところもありますしね。夜を演じている立場としては、クンに注目してほしいです。彼に会ったところから夜の塔への挑戦が始まるので、彼なしに夜を語れません。
――本作は豪華なキャストが揃っていますが、アフレコはいかがでしたか?
市川 豪華すぎて、香盤表をいただいたときはびっくりしました。「こんなすごい方々と一緒に作品を作っていけるんだ」と嬉しかった反面、1話の収録時は「頑張らなきゃ」という気負いもあって緊張していました。
早見 たしかに、序盤の市川さんはアフレコブースのマイクがないところでは緊張されていたのを感じました。でもマイク前では全然そんな感じがしなかったです。
市川 本当ですか? たしかに三宅さんのアドリブがあったり、岡本信彦さんも声をかけてくれたりして、和やかな雰囲気で収録は進みましたね。
――原作を読んでの印象を教えてください。
早見 すごく謎めいていて、深堀りしたくなる作品だと思いました。一度読んだだけでは理解できないくらい、世界観や設定がすごく細かいので。途中でわからないことがあったら市川さんにいろいろと質問してしまいました。市川さんはしっかり先まで読んで、脳内でちゃんと設定などが整理されていそうだったので。
市川 僕は原作を読んで、普通に作品のファンになっていました(笑)。最初は「長く続いている作品だから、先を確認しておいたほうがいいかな」と軽い気持ちで読んだんですけど、シンプルに面白くてどんどん先が気になって。魅力的なキャラクターも次々に出てきますし。
――世界的に人気の作品を原作とするアニメに出演することが決まった際の率直な気持ちを教えてください。
早見 びっくりしました。かなりワールドワイドな作品のメインキャラクターに声をあてさせていただけるということに驚きと喜び、ドキドキが混ざったような気持ちでした。
市川 これほど世界的に知られている作品で、夜という主人公役で参加させていただくことはとてもすごいことですよね。プレッシャーもありますが、多くの方に知っていただける機会だと前向きに捉えて頑張っていこうと思いました。
――早見さんはこれまでも『一人之下』『実験品家族 -クリーチャーズ・ファミリー・デイズ-』といった海外作品が原作のアニメに出演されていますが、日本のアニメと何か違いを感じますか?
早見 作品によって内容が違うので一概に言うのは難しいですが……国ごとに当たり前に知られている用語や歴史などが違うので、海外の作品は演じていて新鮮ですね。例えば日本だと織田信長がどんな人か知っているから、作品内で本能寺の変をやってもどうエモいかなどわかるじゃないですか。でも海外の人にはしっかり説明しないと伝わらない。
市川 ただ『神之塔』はファンタジーだから……。
早見 そう。ファンタジーでローカルなネタはないので、多くの人に楽しんでもらえるはずです。
――神之塔に登ると何でも願いが叶うそうですが、今、おふたりが何でも叶うなら何を願いますか?
早見 海外旅行ですね。1か月くらい行きたいです。
――本作が配信される28か国を1日ずつ回ればちょうど、くらいですね。
早見 いいですね! でも移動時間を含めたら1か月ではとても……やっぱり3か月くらいお願いします(笑)。
市川 僕は自宅にジムが欲しいです。それなら定期的に利用するかなと。
早見 たしか運動はされているんですよね?
市川 はい、バスケをよくやっています。だから自宅に体育館もあると嬉しいかも(笑)。
――最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
早見 世界中で人気のあるマンガのアニメ化ということで、多くの方に観てほしいです。見た目も性格も全然違ったキャラクターがたくさん出てきて面白い作品なので、そういった部分も楽しみながら一緒に塔を登っていただけると嬉しいです。
市川 今、原作を読める媒体はLINEマンガだけなので、アニメ化をきっかけに日本でも多くの方に知ってもらえたら嬉しいです。そのために作品の魅力を感じ取っていただけるよう、精一杯演じました。アニメを気に入ったら、原作と照らし合わせながら物語を追っていただければ。
――市川さんが原作を本当に気に入っているのが伝わりました。
市川 全体から見ると今回のアニメでやる話はまだ序章なんですよ。この先が『神之塔』にとってのスタートと言ってもいいくらい。
早見 原作はずっと続いていますもんね。
市川 はい。バトルも激しくなっていくし、「このシーンを演じたい」という場面もたくさんあります。だからまずは今回のアニメを応援していただいて、続きも演じられたら嬉しいですね。
Photography & Interview & Text By はるのおと
●作品情報
TVアニメ『神之塔 -Tower of God-』
毎週(水) 24時30分より TOKYO MX、BS11、とちぎテレビ、群馬テレビにて放送中
<ストーリー>
塔を登れば、全てが手に入る。
塔の頂上にはこの世のすべてがあり、この世界を手に入れる
……神になれる。
これは星を見たくて塔を登る少女・ラヘルと、そんな彼女がいれば何もいらない少年・夜の、始まりと終わりの物語。
【キャスト】
夜:市川太一
ラヘル:早見沙織
クン・アゲロ・アグネス:岡本信彦
ラーク・レクレイシャー:三宅健太
ユリ・ザハード:本多真梨子
エヴァン・エドロック:興津和幸
アナク・ザハード:関根明良
シビス:江口拓也
ハツ:深町寿成
エンドロシ・ザハード:末柄里恵
へドン:大塚芳忠
【スタッフ】
原作: 『神之塔』SIU/LINE マンガ
監督: 佐野 隆史
副監督: 花井 宏和
シリーズ構成: 吉田 恵里香
キャラクターデザイン 工藤 昌史、谷野 美穂
プロップデザイン: 益田 賢治
クリーチャーデザイン: 鈴木 政彦
美術監督: 清水 啓一朗
色彩設計: 橋本 賢
3DCG ディレクター: 高野 怜大
特殊効果監修: 谷口 久美子
撮影監督: 野口 龍生
編集: 新居 和弘
音響監督: 山口 貴之
音響効果: 今野 康之、安藤 由衣
音楽: Kevin Penkin
音楽プロデューサー: 飯島 弘光
音楽制作: IRMA LA DOUCE
OP主題歌:「TOP-Japanese ver.-」 Stray Kids
ED主題歌:「SLUMP -Japanese ver.-」 Stray Kids
アニメーション制作: テレコム・アニメーションフィルム
製作・著作: 神之塔アニメーションパートナーズ
(C)Tower of God Animation Partners
(C)SIU
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