INTERVIEW
2020.04.23
――カップリング曲「Baby!! I’m Lost!!」はラブソングですが、このテーマはどこから?
atsuko この表題曲に対してシリアスなカップリング曲を当てるのも違うなと思って。あと、ラジオ(「angelaのsparking!talking!show!」)の新エンディング曲になることも決まっていたので、明るい感じの曲にしようと思いました。で、どうしてこの曲が思いついたかという話はちょっと遠回りになるんですけど。この前、運転免許の更新があったんですよ。
――? はい。
atsuko そのときに講習で新しい道路交通法を教わるわけなんですけど、私はゴールドなんで、これは貴重な機会だなと思って、道路を走ることと恋愛を合わせた歌詞にしようと思って。「急ブレーキ」とか、「レッドシグナル」とか「行き止まり」とか「急発進」とかを歌詞に入れ込んだというわけです。
――恋愛要素の内容に目が奪われていましたが、確かに言われてみれば随所に自動車運転のワードがありました。
atsuko そういうことです(笑)。で、音楽はモータウン系のアレンジでKATSUさんにお願いして。
――アメリカ・デトロイト発のモータウンはかつて自動車産業で栄えた街で、このレーベル名もモーター・タウンが由来ですから、ここでも自動車とかかっているわけですね。
KATSU 僕はプライベートで聴く音楽としては’60年代・’70年代のソウルがいちばん好きなんです。今までangelaとしては部分的にモータウンのフレーズやベースラインを採り入れたことはあったんですけど、ここまで直球で要求されたことに「ついにきた!」と思いましたね。でも制作のときにはさっきの自動車免許の話を知らなかったので、あとから聞かされて「操られてた!」と(笑)。
――好きさゆえの難しさはありましたか?
KATSU ここまで淡々とモータウンらしさを貫き通すのは意外と勇気がいることでしたね。アナログレコーディングにしようかというアイデアもあったんですけど、当時のサウンドを再現しようにも機材がないので現代風のモータウンにしようと。
――今回、自動車運転のモチーフはありつつもこういう甘酸っぱい歌詞を書くのはいかがでしたか?
atsuko angelaはアニメの主題歌を書かせていただくことが多いので、どうしても壮大な内容の傾向で、こういう二人だけのミニマムな世界を書く機会があまりなくて。思い出すのが難しいなか、頑張りましたね(笑)。ただ私って、デビューするまでは恋愛の曲しか書いてこなかったぐらい、世界は恋愛で出来ていると思ってたし、基本的に世の中の楽曲はみんな恋愛にで書いてるなっていう感覚もあるんですよ。なので、今回ちょっと頑張ってみました。
――また、6月17日には昨年末に開催された“angelaのミュージック・ワンダー★大サーカス 2019”のLIVE Blu-rayが発売されます。この公演はいかがでしたか?
KATSU 1日目は映像記憶に残せないことをやろう。そして2日目は映像記憶に残したいことをやろうというテーマがありました。でも、今見返すと初日も残しておけばよかったな(笑)。この“大サーカス”は日本武道館公演(特大サーカス)以来、3年ぶりだったのですが、改めて毎年やらなきゃなと自分たちにとっても強く感じさせるライブになりました。誰が最初に言い出したのかわかりませんが、angelaのライブはジェットコースターと呼ばれるほど、明るい曲のあとに急にシリアスな曲のセットになったりと起伏が激しいんです。それは狙ってやっているわけではないのですが、今回もこれぞ大サーカスだなというセットになりました。
――ステージにはバンドメンバーだけではなく、ダンサーさんやホーン隊、クラウンさん、影絵のかかし座さんなど、大勢で盛り上げてくれました。
atsuko このライブ自体、開催が3ヵ月前に急に決まるという状況で、急いで皆さんに連絡して出演していただけることになりました。お忙しい方々なので、全員が揃った状態でリハーサルを行えたのは1回だけでした。
――そういう切迫したタイムスケジュールのなか、普通のライブではなく、あえて演出が豪華な大サーカスにしようとされたのはなぜだったんですか?
atsuko angelaの年末ライブといえば“大サーカス”ということでこれまでやってきたので、曲だけのライブにするという選択肢はそもそもありませんでした。今回の台本についても我々自身で書いているんですけど、KATSUさんを含め皆がいろんなアイデアを出してくれて、そういった土台ができると、演出面を含めてどんどん転がっていくんです。そうやってまとめていく作業ってやっぱり楽しくて。それぞれのセクションが限られた時間の中ですごく頑張ってくださって、たった一度のリハーサルで本番に臨めたのは皆さんプロフェッショナルだったからこそだと思います。
KATSU 一方で当日になって演出を変えることもあるんですけど、ある箇所で「俺の知らない間に話の流れ変わっちゃってた!?」と思ったら、atsukoさんが単にセリフを飛ばしていただけだったりとか(笑)。
atsuko そのときのKATSUさんの困惑の表情はきちんとカメラが押さえていて、Blu-rayではテロップ付きで見られます(笑)。そこも含めて当日の空気を味わっていただきたいですね。
――ライブの最後に、亡くなられたクラウンのダイアナさんや山内“masshoi”優さんへの想いを強く訴えていたことが印象的でした。
KATSU 「蒼穹のファフナー」の言葉ではありませんが、「忘れたくないな」という思いがあります。なんか悲しんでばかりだと、みんなを笑顔にするクラウンの使命に反しちゃうなと思って。歌詞の中にダイアナさんの名前を入れた「LOVE★CIRCUS」という曲を今回も歌いましたし、(ぬいぐるみで)今回もダイアナさんをステージに上げたいんだとクラウンの皆さんに話をしたらみんなも同じ気持ちで、構成演出に採り入れました。
――今の御時世を考えると「生きろ」という言葉がより強く伝わってきます。
atsuko びっくりですよね。あの頃、世界がこんな状況になるなんて想像もできませんでしたから。皆さんがお家の中で少しでも楽しい気持ちになれるよう、感情のジェットコースターと共に、ゆったりと見ていただきたいですし、あの1回限りのリハーサルの模様もメイキングとして入っていますし、オーディオコメンタリーはこれから収録するのですが、裏話もたくさんしようと思っています。
――最後に皆さんへメッセージをお願いします。
atsuko 我々も含め、みんなが不安でたまらない日々を過ごしていると思います。いつか安心してまたみんなと会える時期が来たら、どうかいっぱいライブや旅行や飲食で経済を動かしてほしいですね。暗いことばかりだと免疫力も上がらないので、我々としてはなるべく面白おかしいことを発信していけたらいいなと思います。
KATSU 僕たちみたいにエンターテイメントの職業って、みんな少しでも笑ってもらえることをしたいって思う人たちばかりなんです。だから家にいる人たちに向けて歌を配信で流したりアーカイブを開放したりする。これはもう宿命ですね。同業者がやっているのを見てても泣けてきますもん。angelaは昨年末の“大サーカス”で発表したように、2020年も年末に“大サーカス”を開催する予定です。その頃までには何とか収束していることを願っていますし、年の最後は笑えるようにと希望を持って今年を走り抜けたいなと思っています。
atsuko 去年の“大サーカス”の挨拶で私が言ったことを繰り返します。「皆さん必ず生きてまた会いましょう!」
INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉
●リリース情報
「乙女のルートはひとつじゃない!」
4月22日発売
【期間限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:KICM-92045
価格:¥1,800+税
仕様:クリアケース仕様/angelaのミュージック・ワンダー★大サーカス 2020 CD封入先行申し込みシリアル(初回製造分のみ)
<CD>
M-1 乙女のルートはひとつじゃない!(TVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』OPテーマ)
作詞:atsuko 作曲:atsuko/KATSU 編曲:KATSU
M-2 Baby!! I’m lost!!(ラジオ「angelaのsparking!talking!show!」新エンディング曲)
作詞:atsuko 作曲:atsuko/KATSU 編曲:KATSU
M-3 乙女のルートはひとつじゃない! off vocal version
M-4 Baby!! I’m lost!! off vocal version
<Blu-ray>
「乙女のルートはひとつじゃない!」Music Clip
【アニメ盤(CD)】
品番:KICM-2046
価格:¥1,200+税
仕様:アニメイラストジャケット仕様/angelaのミュージック・ワンダー★大サーカス 2020 CD封入先行申し込みシリアル(初回製造分のみ)
<CD>
M-1 乙女のルートはひとつじゃない!
M-2 Baby!! I’m lost!!
M-3 乙女のルートはひとつじゃない! TV size version
M-4 乙女のルートはひとつじゃない! off vocal version
M-5 Baby!! I’m lost!! off vocal version
angelaのミュージック・ワンダー★大サーカス 2019 LIVE Blu-ray
6月17日発売
品番:KIZX-418~9
価格:¥7,500+税
<収録内容>
angelaのミュージック・ワンダー★大サーカス 2019(LINE CUBE SHIBUYA/2019年12月31日公演)
仕様:〈初回製造分のみ〉スペシャルBOX仕様
音声特典:angelaによるオーディオコメンタリー
映像特典:大サーカス 2019公演メイキング映像
封入特典:アイドルあっちゃん「バイビー☆伝説」シングルCD/ブックレット
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