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INTERVIEW

2020.03.25

VTuberシーンとアニメシーンの垣根を越えてひとつにしたいーー。VTuber樋口楓デビューシングル「MARBLE」インタビュー

VTuberシーンとアニメシーンの垣根を越えてひとつにしたいーー。VTuber樋口楓デビューシングル「MARBLE」インタビュー

YouTubeのチャンネル登録数が約28万人。バーチャルライバーグループ「にじさんじ」に所属し、YouTubeを舞台に活動中のVTuber「樋口楓」。彼女が3月25日にシングル「MARBLE」を発売し、ランティスよりデビューする。樋口楓とは一体どんな子なのか、その秘密を探った。

――樋口さんがVTuberを始めたきっかけから、まずは教えてください。

樋口楓 私がVTuberを始めたきっかけは、「好きなものを広めたかった」という単純な想いからでした。YouTubeという場所がいろんな人たちを繋ぐ人気の場所となり、YouTuberさんが話題を集めるなか、私は二次元のキャラクターがとても好きだったことからVTuberという存在に惹かれ、「VTuberとして情報を発信していけたら」という気持ちから始めています。

――広めたかった「好きなもの」とは何ですか?

樋口 私は吹奏楽部でトランペットを吹いていたんですけど、そういった好きな音楽のことや、飼っている猫のお話、大好きなゲームやアニメの話などになります。何より、好きなことをリスナーさんと共有していく場がほしかったし、それが楽しくて続けているんです。最近でも、ポケモンの新作ゲームが出たのでそれを実況したり。私はポケモンが大好きだから、ポケモン好きの方はもちろん、ポケモンには詳しくない人にも、より関心を持ってもらえたらなという想いを持って配信を行なうこともしてきました。

――樋口さんのYouTubeチャンネルの登録人数が約28万います。それほどの支持を得た理由を、ご自身はどのように分析していますか?

樋口 私は、バーチャルライバーグループ「にじさんじ」に所属しています。そこにはお話が上手な方、ゲームが上手い人、トークの面白い方、楽器を演奏する人などいろんな方がいますし、「にじさんじ」へ所属するライバーさんを応援してくださる方々もいます。そういう人たちが、17歳の等身大な姿で配信している私にも興味を示してくれたことが大きいのかなぁと思っています。

――樋口さんの場合、歌の支持も大きいですよね。

樋口 私を支持してくださるクリエイターからファンメイドソング(ファンが作った楽曲)をいただいて歌って以降、ファンメイド曲をいただく機会が増えて、それを私が歌いだしたことも、支持を大きく広げるきっかけになったのかもしれません。

――樋口さんは、歌手になろうという夢もあったのでしょうか?

樋口 私は、吹奏楽もやっているように音楽は大好きだし、歌うことも好きですけど、VTuberを始めたときには、その気持ちは正直まったく持っていませんでした。曲をいただき、歌ったことがきっかけとはいえ、それを支持していろんなクリエイターの方々が、わたしの歌の面を後押ししていく環境へ導いてくださったことが、今の環境を作りだすことへと繋がったとわたしは受け止めています。

――個人的には、樋口さんの力強い歌声に惹かれるんですよね。

樋口 私自身を描いてくださる楽曲ほど感情が入り込みやすいというか、ワクワク感を抱きながら歌っていると、自然にそうなってしまいますね(笑)。

――今も多様な楽曲を歌っていますが、樋口さん自身得意な音楽スタイルはどの辺なのでしょうか?

樋口 自分の得意とするスタイルはまだまだ探している途中です。そのうえで、自分なりに歌いやすい音域やテンポはなんとなくつかめてきました。

――樋口さんがVTuberを始めて、もうどれくらい経ったんですか?

樋口 2月で2周年を迎えたので、ちょうど3年目に入ったところです。

――2年間の日々の中、樋口さん自身の気持ちにもいろんな変化が生まれたりしました?

樋口 生活は180度変わりました。学校のお友達と一緒に遊びに行けないときには「あー」と残念な気持ちにもなるし、樋口楓としての活動が増えるごとにそういう機会も減っているのが現状のように、そこに淋しさはありますけど、普通の17歳が体験できない活動をさせていただいている面では、とても貴重な経験や時間になっているなとも感じています。それが、今のわたしにとっての青春活動なんだと思います。

――樋口さんには、ネットを介して28万人の仲間たちがいますからね。

樋口 もうドーム何個分の人たち?って感じだけど(笑)、たしかにたくさんの方々がいらっしゃいますよね。

――それだけ、多くの人たちに影響を与えている人ですから。

樋口 こんなにも人に影響を与えていく存在になっているなんて、VTuberを始めたばかりの2年前には考えも及ばなかったこと。そこは本当に不思議だなと思います。私は日常を配信したり、歌った楽曲を届けているだけですが、その私を観てくださる方々に「樋口楓さんの歌を聴いて学校へ行けるようになりました」「勇気をもらえました」と言われるたびにめちゃめちゃうれしくなります。皆さんの勇気のきっかけになっていることを実感できるのは本当にうれしいです。

――樋口さんには「でろーん」というあだ名もついています。そのあだ名がついた理由も教えてください。

樋口 私、授業中にめちゃくちゃ寝ちゃうんですよ。しかも、机の上にでろーんと寝そべってしまうことから「でろーん」というあだ名が付いたんですけど、いつしか皆さんにもその言葉が浸透してしまいました(笑)。

――ということは、授業は聞いてない人だ。

樋口 授業は聞いてないですね(笑)。

――さて、樋口さんは、3月25日にLantisレーベルよりシングル「MARBLE」を発売しメジャーデビューします。

樋口 うれしい反面、VTuberがアニメの強いレーベルから作品を出すことを受け入れてもらえるのだろうか?という不安や、私で通用するのかな?という心配も正直あります。

――それは、アニソンシーンとVTuberシーンは異なる畑になるからということ?

樋口 アニメファンの方には、(理想を崩さない)アニメのキャラクターではないと無理という方もけっこういらっしゃいます。VTuberの場合、プロフィールとキャラクターの食い違いが見えるキャラ崩壊面が出てくることだって(リアルだからこそ)あるように、そこへ違和感を覚える方もいらっしゃいます。逆にVTuberファンは、二次元のキャラクターとリアルタイムで会話ができることを楽しんでくださるように、その感覚の違いはあるのかなとは感じています。

――その垣根を樋口さんが……。

樋口 無くしていけたらいいなと思います。アニメ好きとVTuber好きの壁はもちろん、アニメアイコンに抵抗を覚える3次元推しの方々だっているように、その人たちも含め、3つの界隈の皆さんを繋いでいく架け橋となれる活動をしたいですし、そのために2.5次元のVTuberになった面もありますからね。

――Lantisさんと一緒に新しい動きを描くのは、そのチャンスを作りあげていくことにもなりますよね。

樋口 本当にそうだと思います。Lantisさんは作品と音楽をリンクさせるのがとても上手なレーベルですし、VTuberのことも深く理解してくださっているので、そこをどう作っていけるかがとても楽しみです。

――ここからは、1stシングル「MARBLE」へ収録した楽曲を紹介してもらいたいなと思います。まずは、表題曲となった「MARBLE」が生まれた背景から教えてください。

樋口 「MARBLE」のテーマは、「樋口楓の“これまで”と“これから”」になります。作詞家の方が、これまで私が歌ってきたファンメイド曲の歌詞をたくさん歌詞の中へ散りばめてくださいました。だから歌詞をいただいたときは、すごくうれしかったです。樋口楓をこれまで応援してくださっていた方々も、きっとニヤリとしてくださると思うし、今回初めて私に触れる方には、「樋口楓とはこういう人」というのを理解してもらえる歌になりました。

――躍動する楽曲に乗せ力強く歌う声に触れていると、気持ちが滾ります。中でも、「諦めたくはないんだ」「沈んでなんていれないよ」などサビ終わりを漲る感情を爆発させるように歌う様に触れていると、同じように気持ちの昂りを抑えられなくなります。

樋口 ありがとうございます。そこの歌い方は、あえて狙いました(笑)。というのも、私自身がそういうふうに歌いたかったからです。先にも「樋口楓の“これまで”と“これから”を記した」と語ったように、「MARBLE」は“これからの覚悟”を示した自己紹介ソングになりました。

――2曲目の「Sugar Shack」は「歌え!」「騒げ!」などの掛け合いも飛びだす、こちらも胸を熱くさせる楽曲に仕上がりました。

樋口 「Sugar Shack」は”応援してくれるみんなと一緒に未来へ突き進む”のがテーマ。だから、一緒にライブでコール&レスポンスもやりたくて、曲を作る際にはそこもお願いをしました。初見でノリをつかめれば、すぐに一緒に楽しめる楽曲だと思います。歌詞にも、わたしの性格が上手く反映されています。

――けっして甘く可愛い女の子では……。

樋口 ないどころか、真逆な性格が伝わってくると思います(笑)。

――3曲目には、影山ヒロノブさんが作曲を手がけた「For you」を収録しました。

樋口 「MARBLE」は「ファンのおかげで、私はここまで来れました」という想いを、「Sugar Shack」には「ファンのみんなと一緒に未来へ進んでいきたい」という想いを記したように、この2曲は、私がファンに心の背中を押してもらえている気持ちを記しています。だからこそ「For you」には、「私が応援してくれる仲間たちの背中を押していくよ」という気持ちを書きました。しかも、応援してくださる方々の想いも歌詞に詰め込みたかったから、リスナーさんたちからワンワードを募集。そこからいただいた言葉を、私が書いた歌詞へ編み込む形を取りました。だから作詞は、「樋口楓とみんな」になっているんです。とにかく、私なりに支えてくださるファンの方々へお礼が言いたい気持ちが強かったので、それを形にしました。

――曲調も温かいですよね。

樋口 そこは、影山さんに温かい感じにしていただきました。影山さんに「夕焼けが見えるような曲調であり、みんなに『ありがとう』と言えるバラードっぽい楽曲にしたいです」とお伝えしたら、まさに理想通りの楽曲に仕上げてくださいました。そのうえで、「私、いつもトランペットを吹いてるんですけど、夕焼けに向かってトランペットを吹いている感じも加えたいです」とさらにお願いをして生まれたのが、この「For you」なんです。この歌を通して、「ありがとう」の気持ちが伝わったらうれしく思います。

――今回の作品やデビューをきっかけに、樋口楓の存在がさらに広がっていくのを楽しみにしています。

樋口 Lantisさんからのデビューをきっかけに、VTuberという文化を一人でも多くの人たちに知ってもらえる、そのきっかけになれたらなとまずは思っています。いつかはLantisさん所属のアーティストの方々と一緒に、ランティス祭りの最後にみんなで合唱とか出来たらなという夢もあります。

――最後に、リスアニ!読者の方々へ向け、ひと言お願いします。

樋口 私たちVTuberは、アニメとは違った文化の中で活動をしています。だけど私たちも、皆さんと変わりない毎日を過ごしているので、ちょっとでも興味を持ったら今回の作品を聞いていただけたらという気持ちはもちろん、日々YouTubeを通して配信もしていますので、ぜひ画面上でリアルタイムに動き、話をしていく樋口楓やVTuberの姿も皆さんに楽しんでいただけたらなと思っています。これから、よろしくお願いします。

Interview & Text By 長澤智典


●リリース情報
樋口楓メジャー1stシングル
「MARBLE」
3月25日発売

【初回限定盤(CD+BD)】

品番:LACM-34976
価格:¥2,200+税 / (三方背付)

【通常盤(CD)】

品番:LACM-14976
価格:¥1,400+税

<CD>
01. MARBLE
作詞:平朋崇(First Call) 作曲・編曲:光増ハジメ(First Call)
02. Sugar Shack
作詞:平朋崇(First Call) 作曲・編曲:光増ハジメ(First Call)
03. For you
作詞:樋口楓とみんな 作曲:影山ヒロノブ 編曲:太田雅友(SCREEN mode)

<BD>
01. MARBLE -Music Video-
02. Making of “MARBLE”
03. TRAILER

<Profile>
樋口楓
「にじさんじプロジェクト」のバーチャルライバー(VTuber)。
2018年2月より活動開始。

VR関西に住む高校2年生。長身でスタイルも抜群。
幼い頃からトランペットが好きで、現在は吹奏楽部に所属している。
オシャレをすること、猫と暮らすことが生きがい。
好きなものについてもっと知ってほしくて、ライバー活動を始めた。

“でろーん”の愛称で親しまれており、バーチャル界でもいま注目のクリエイター。
2019年12月に開催された「Virtual to LIVE in 両国国技館 2019」にて、Lantisレーベルからメジャーデビューすることを発表。

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