声優・アーティストとして活躍するMachicoによる初めての生バンドライブ、“Machico Live 2019「Symphonic Session」”が2019年12月14日、東京・duo MUSIC EXCHANGEで行われた。“楽しく、かわいく、かっこよく”をテーマにMachicoの魅力あふれるパフォーマンスを披露。生バンドによってアーティストとしての新たな可能性も感じさせたライブとなった。
Machicoは緑色の髪でステージに登場! 2014年以降、ライブは毎年行っているが、生バンド編成でのライブは初めて。ファンの熱気もすごいものがあり、1曲目の「STAND UP!」(ゲーム『この素晴らしい世界に祝福を! ~希望の迷宮と集いし冒険者たち~』OPテーマ)からすごいパワーだった。2曲目の「Million Smile」はゲーム『この素晴らしい世界に祝福を! -この欲深いゲームに審判を!-』のOPテーマ。今度はキュートな魅力を爆発させ、振り付けも歌詞を表現しつつかわいらしいものだった。
「今日は最初から最後まで、楽しく、かわいく、かっこよく! 熱いライブにできるように突っ走るので、みんなついてきてね!」と最初の挨拶で宣言したMachicoは、代表曲のひとつであるTVアニメ『りゅうおうのおしごと!』OPテーマ「コレカラ」を早くも投入。今回のライブはオールスタンディングのライブハウスで行われたが、ステージの端ギリギリまで行って一番奥の観客に手を振り、会場全体に配慮していたのが印象的だった。さらに、 TVアニメ「この素晴らしい世界に祝福を!」OPテーマの「fantastic dreamer」と続け、序盤でタイアップ曲を惜しげもなく披露した。この曲は観客との掛け合いや、間奏のギターの見せ場もあって、早くも生バンド特有の盛り上がりを味わえたのだった。
ここで最初のMCのコーナーとなったのだが、やはりファンの視線は彼女の緑色の髪に。前日の生放送に出演した時は違う髪色だったため、いきなりファンを驚かせる登場だった(前日はウイッグをかぶって地毛を隠していたとのこと)。さらに「7年目にして初めて、ずっと言ってきた生バンドがワンマンで叶ったということで、次のブロックはアコースティックバージョンをやろっかなと」ということで、ここからはアコースティックコーナーに。その準備の間にも「うわー」と言いながらくるくる回って観客に衣装を見せるなど、サービスも怠らないMachicoであった。
アコースティックでの1曲目は「またあした」で、この曲のためだけにコントラバスが用意されていた。5曲目にして帰りたくなるような曲だったが、郷愁を感じさせる楽曲にぴったりの演奏だった。また、次の「ギミー・ラブ」は「コレカラ」と同じく今回のライブにギターとして参加している馬渕直純の作曲・編曲。Machicoからは“ぶっちー”や“先生”などと呼ばれていじられていたが、今回のメンバーの中で最年少であり、Machicoよりも年下なのだという。この曲はみんなに歌ってほしいということで声出しの練習も行われた。Machicoはタンバリンを持ってリズムを刻みながら、観客と共に歌って会場が一体となる。
ここからはかわいい曲のコーナーということで、「キュンキュンしながら聴いていただけたらと思います。みんな、死ぬかもしれないよ? なんつって(笑)」と照れ隠ししながらも、まずは「きっとショコラ」を披露。この曲はキュートな振り付けが印象的で、仕草が大層かわいかった。本当に2、3人ぐらい死者が出ていてもおかしくないかわいさだった。次の「ピンクトルマリン」では大きな振り付けでステージを動きまくり、「Do You Believe in Magic?」はみんなで踊って盛り上がった。曲が終わると興奮気味に、「『きっとショコラ』、めちゃかわいくない?」と振り付けについて語り始めたMachico。この曲は今回のライブのために振り付けを作ってもらったということで、「私のライブってフリーで動くことが多いわけ。かわいい曲もあんまりがっつり振り付けって曲が今までそんなになくって、じゃけんこそ、この『きっとショコラ』『ピンクトルマリン』はガチガチに振り付けでやりたかったし、成長した姿をみんなに見せたくてちょっとがんばってみました!」と広島弁を交えて素直な心情を明かした。
「Lunar eclipse」は分島花音が作詞・作曲を行った楽曲で、これまでとは打って変わって重めの歌詞が響く。そして続く「Everlasting Glory」はアルバム「マチビトサガシ」のリードとして収録された曲で、Machicoのアーティスト性の高さを再認識させられた。自らが作詞を行っている「花音」は感情を込めて歌い上げ、観客の拍手がしばらく鳴りやまないほどの感動を与えていた。曲後のMCでは、この3曲は声優として悲しい思いや悔しい思いも経験して、成長したから歌えるようになったという曲への思いを語る。2019年は『ライフル・イズ・ビューティフル』で初めてTVアニメの主役を経験。「私は他の子たちと比べたら歩みが遅かったかもしれないし、初めて主役をもらうのも時間がかかったかもしれないけど、今だからこそできること、ちょっとでも仲間に余裕を持ってもらえるような環境づくりをしたいなという気持ちがあった」と、共演する後輩の声優たちにも配慮できるようになった段階で主役を演じられることをポジティブに話していた。
次は早くも最後のゾーン。まず「ワイルドカード」で元気に観客との合唱で盛り上がると、続いてはなんとTVアニメ『キラキラ☆プリキュアアラモード』で演じた岬あやねのキャラクターソング「Soul Believer」を披露。ノリノリで頭を大きく前後に揺すり、観客もものすごいぶち上がりだ。「Zeal」の力の入った歌唱の後、最後の曲は「1ミリ Symphony」。「みんな踊ってくれるー?」という問いかけに応えて、観客も一体となって踊り、最後はジャンプで締めくくった。
すぐさま起こった“Machico”コールに、再びステージに姿を見せたMachicoとバンドメンバーたち。アンコールの1曲目は「ラブ★スト」で、みんなでタオルを振り回してすごい熱狂が会場を包む。「今日はとっても緊張していたの。私は毎度、緊張で吐きそうになるの」「でもバンドメンバーさんがいてくれたおかげで楽しんでリハーサルができて、直前もエールを送ってくださったりして、一人じゃないって心強いと思った」と初めての生バンドライブの感想を語った彼女。バンドメンバーとの距離を縮めたのは、リハーサルの休憩時間に一緒に行ったラーメンだったというエピソードも語られた。「みんな最後、走り出す準備はできてますかー!?」と呼び掛けて、この日の最後に歌った曲は「TOMORROW」。サインボールを観客に投げ込みながら、初めての生バンドという夢を実現したライブを走り抜けたのだった。
しかしライブは終わったものの、ダブルアンコールを要求する“もう一回”の声がいつまでも続いた。そこで、Machicoが挨拶のために再登場。「いろんなうれしい報告ができるように精進していきたいと思いますので、温かく見守っていただけたらと思います。また絶対ワンマンやりたいので、その時はぜひ遊びに来てください!」と今後の活躍を誓って、「さらばだ!」の決めゼリフで締めくくった。
初の生ライブで新たな魅力を引き出し、十分な伸びしろがあることを示した今回のライブ。華やかで明るいキャラクターと確かな歌唱力を持った彼女だが、7年目でTVアニメ初主役というのは確かに今の時代では遅咲きといえるかもしれない。本人は同期の仲間と比べて歩みが遅かったと話していたが、その分だけこれからはアーティストとしても声優としてもさらに前進していくことだろう。だって、Machicoが進む道はいつもまっすぐじゃけんね!
“Machico Live 2019「Symphonic Session」”
2019年12月14日(土)東京・duo MUSIC EXCHANGE
<セットリスト>
M1 STAND UP!
M2 Million Smile
M3 コレカラ
M4 fantastic dreamer
M5 またあした
M6 ギミー・ラブ
M7 きっとショコラ
M8 ピンクトルマリン
M9 Lunar eclipse
M10 Do You Believe in Magic?
M11 Everlasting Glory
M12 花音
M13 ワイルドカード
M14 Soul Believer(『キラキラ☆プリキュアアラモード』キャラソン)
M15 Zeal
M16 1ミリ Symphony
EN1 ラブ★スト
EN2 TOMORROW
2019
SHARE