2019年10月に「close to you」、11月27日に「Sky Diver」と2曲のデジタルシングルをリリースした声優・立花理香。先日開催された“3rd LIVE~Heart shaker~”では1stフルアルバム『Heart Shaker』を2020年1月22日にリリースすることを発表するなど、デビュー2周年に向けてさらなる飛躍の時期を迎えようとしている。今回はデジタルシングルという新しい試みについてや、アーティストとして、声優としての今の心境について語ってもらった。
──最新シングルの「close to you」と「Sky Diver」はデジタルシングルということで、配信限定でのリリースになりました。
立花理香 そうなんです、初なんですよ。今まで最初にCDを出して、あとからサブスクリプションで配信されたり、ハイレゾ音源が出たりだったんですけど。配信だと0時とか、解禁が早いじゃないですか。だから自分としては、皆さんのところにいつもよりちょっと早く届くような気がしています(笑)。発売日に忙しくてお店に行けないな、という人も一緒に聴き始められるのってなんだかすごいな、と思っています。私の側もその時を迎えるのに今までとは違うドキドキ感があります(笑)。
──最初にミニアルバムでデビュー、CDシングルを2枚リリースして、今度はデジタルシングルと、リリースの仕方もバラエティに富んでいますね。
立花 私がアーティストの方々になんとなくイメージしていたのは最初にシングルを出して、アルバムを出してという順番だったので、いろんな形式でリリースされるのは刺激になって楽しいなと思います。
──配信(デジタルシングル)限定ということで、表現の違いとかってありますか?
立花 CDとして流通させるときって、ジャケット写真があったり、ブックレットや映像があったり、楽曲だけでなくいろんな形で情報を散りばめるじゃないですか。配信だとほぼ楽曲オンリーでお届けするので、音だけを純粋に楽しんでいただく機会になるというか、音だけで勝負するというか。それがプレッシャーにもなったし、気合いも入りました。音楽は配信で聴くよという人のお耳に止まるチャンスでもあると思うので、記事を読んでくださった方はそのまま是非聴いてみてください!
──「close to you」はどんなコンセプトで作っていったんでしょうか。
立花 1曲勝負なので、どういうアプローチで収録しようかって、話し合いながらレコーディングしました。「close to you」はすごくクールではあるんですけど、冷たくなりすぎないほうがいいというか。かっこいいけど力強くはならないように。ちょっと余裕のあるお姉さんのイメージですね。
──曲調としてはかっこいいですが、繰り返し聴くとだんだん切なさを感じる楽曲ですよね。
立花 そうなんです! 最初に聴いたときはかっこいいけど、コーラスパートとか、いっぱい歌うな私って思いました(笑)。自分の声で実際に歌うと英語のフレーズとか畳みかける感じが疾走感? んー、さわやかさみたいなのが出るな、と思いながらレコーディングしていました。
──レコーディングのとき、曲中で印象に残ったポイントはありますか?
立花 1番のBメロの“甘い記憶~”のところはちょっと遊ばせていただきました。へへへ。歌を歌うときって、喉を開いて歌わないといけないイメージがあると思うんですが、ここはちょっと喉を締めて、声の出し方を変えて歌ってるんです。
──歌いながら演じているような、ちょっと不思議な感じがします。
立花 うれしいです。サビは疾走感があって、音を聴かせる感じが強いので、そのぶん、ここは歌詞に込められたものを表現して届けたいな、と思っていました。
──一曲の中でも変化が多い、結構テクニカルな楽曲ですよね。
立花 個人的には曲調よりも、英語につまずきがちでした(笑)。今まで英語で歌う機会ってそんなになかったんですよね。英語で歌うというリズム感が私の中にあんまりなかったんです(笑)。ちょっとむずがゆいような不思議な気分でした。
──発音もそうですが、英語の歌詞に想いを込める、というのもまた違う作業な気がします。
立花 英語で伝えるってどうしたらいいんだろう? というのがあったので、この頃ちょっと洋楽を聴いてみたりしたんですよ(笑)。音だけ聴いても全然聴き取れないので、ミュージックビデオを見て、こういう表現をしたい時はこういう表情で、こういう歌声になるんだな、はえー、と思いながら研究していました。レコーディングではそんなに発音をきちんとすることは考えなくても大丈夫と言っていただいてちょっと安心しました。
──「I know」とか、シンプルなフレーズの中にとても複雑なニュアンスを感じました。
立花 「I know」て! と思いながら歌いました。オシャレな感じですよね。「Gimme」のフレーズも印象的で、「Give me」じゃなくて「Gimme」なのがおっとな~! かっこいい! と思いましたね。自分が歌詞を書く時は当然日本語の頭なんですけど、そうだよな、英語の歌詞にもいろんな言い回しができるよな、と思って。だから「Gimme」がポイントです。
──歌詞全体からはどういうイメージを受け取りましたか?
立花 描かれているのは大人の女性なんですけど、言っていることは結構かわいいんですよね。この詞をポップな楽曲に乗せるとめちゃくちゃかわいい印象になると思うんですけど、それをクールな楽曲に乗せることで印象が変わるのが面白いなと思いました。
──“you”との距離感は、どういイメージしましたか? 恋愛的な意味で別れた人とも取れますし、いろいろな解釈ができると思います。
立花 この曲に関してはそこははっきりさせない方がいいのかなと思いました。こういう関係なんですと明言してしまうのはもったいないというか、意味深な距離感にしたかったんです。描かれる女性像がかっこいいので、大人ならではのあいまいさというか。ふわっと表現するなら、叶わぬ恋の相手に対する楽曲であるのは間違いないと思います。
──歌う時はその女性に感情移入するんですか? それともカメラ越しに見ている感じでしょうか。
立花 ぜんぜんカメラ越しですね! それは楽曲によると思うんですが、2ndミニアルバムの「LIFE」では自分の気持ちで歌うことが多かったんです。「close to you」に関しては私も憧れるような、こんなかっこいい女性がいたらいいのにな、という気持ちで歌いましたね。以前は(声優として)同世代や自分より年下の人とお仕事することが多かったんですが、最近は素敵なお姉さまと共演させていただく機会が結構あって、かっこいいなと感じることが多くて。私もそんな憧れの先輩たちのように素敵な女性になりたいなと思ってます!
──「close to you」作詞の松井洋平さんは「KOTO-DAMA」や「Returner Butterfly」でもおなじみです。
立花 最初に「KOTO-DAMA」を書いて頂いた時にお話させて頂いたんですよね。松井さんが私に書いてくださる詞では強めの女性像が描かれることが多いので、今回も楽しく読み解かせて頂きました。「close to you」はゆらゆら感があって、音楽が流れるお店でワイングラスを揺らすような、渡り鳥のような? はっきりしない関係性も楽しめる大人の女性をイメージしました。
──「Sky Diver」は立花さん自身の作詞ですが、どんなイメージで作詞したのでしょうか。
立花 今まで作詞した中では、一番自分自身が肩を並べて書いたと思います。フランクな感じで、いよっ! と肩を叩くような。自分と一番仲良しな曲が「Sky Diver」かもしれません。今まで詞を書いてきたのはどちらかというとしっとりした曲であるとか、深く読み解いてほしいな、という楽曲が多かったんですが、今回はそれとはちょっと違う感じですね。楽曲の世界にいる誰かをイメージするというよりは、私が聴いてくださる方に届けることを考えて詞を書いて、歌いました。
──「Sky Diver」は3rdライブ直前のリリースですね。
立花 1か月ちょっと前に「close to you」がリリースされて、それを聴きながらライブを楽しみに待っていてほしくて。お祭りとかって本番もだけど、準備をしている時も楽しいって言うじゃないですか。発表からライブ開催までちょっと時間もあいたこともあるので、配信で新曲を一緒に聴いて気持ちを高めて、ライブ前の「Sky Diver」でさらに上がったところでライブを迎えられたらいいなというイメージです。
──ライブタイトルであり、アルバムタイトルでもある“Heart shaker”ってかっこいいですよね。
立花 ありがとうございます! 相談していく中でビビッと来て決めました。シェイクって言葉、いいなと思って。心ふるわす、心を動かすって意味はもちろんなんですけど、シェイクハンドで握手になるじゃないですか。だから心を握って通わせるような意味と解釈を私が勝手に込めています。
──アーティストデビュー発表から約2年がたちました。音楽との向き合い方やアーティストとしてのスタンスに変化はありましたか?
立花 恐縮なんですけど、歌うことが楽しくなってきました。歌うのもそうだし、歌詞を自分で書かせてもらったりだとか、新しいこともたくさんさせてもらう中で変わってきたことですね。以前は、できることなら歌わずに人生すごしていけたらと思っていたんですよ。今でもそういう(自分がアーティストとして歌うことが)しのびないなーと思う感情がないわけではないんですが、純粋に歌うのって楽しいなという気持ちが生まれてきたことが、良かったなと思います。下手の横好きです(笑)。
──10月にバンダイナムコエンターテインメントフェスティバルで東京ドームに立ち、11月は「アイドルマスター シンデレラガールズ」でナゴヤドームに立ち、今回自分自身の節目のライブもあって。怒涛の一ヶ月強ですね。
立花 自分的にスパルタ期間です(笑)。でもいろんなことができるのが、とても楽しくて。(アーティストの)立花理香として歌って学んだことと、声優としてキャラクターソングを歌って学んだこと、両方を生かせるやん? と思って、とても充実しています。だから大変だという気持ちはなくなって、今はただ楽しいです! これからも一緒にね、ハートとハートをつないでいきたいと思いますので、新曲の「close to you」と「Sky Diver」、そして1月に発売のフルアルバム『Heart Shaker』もよろしくお願いします!
Interview & Text By 中里キリ
●リリース情報
『Heart Shaker』
1月22日発売
【初回限定盤(CD+BD)】
品番:TECI-1669
価格:¥5,000+税
【通常盤(CD)】
品番:TECI-1670
価格:¥3,000+税
<CD>
1.カラフルパサージュ(TVアニメ『雨色ココアsideG』OPテーマ/1st single)
作詞:中村彼方/作曲:高橋諒/編曲:中土智博
2.close to you(1st digital single)
作詞:松井洋平/作曲・編曲:中土智博
3.Pelican(「カラフルパサージュ」c/w)
作詞:立花理香/作曲・編曲:石川慧
4.JUST SIZE LIFE(新曲)
作詞・作曲:山崎あおい/編曲:鶴崎輝一
5.美しいひと(新曲)
作詞:結城アイラ/作曲:俊龍/編曲:中土智博
6.Returner Butterfly(TVアニメ『ノブナガ先生の幼な妻』EDテーマ/2nd single)
作詞:松井洋平/作曲:俊龍/編曲:中土智博
7.Here’s to you!(新曲)
作詞:RUCCA/作曲・編曲:中土智博
8.緑の時計(「Returner Butterfly」c/w)
作詞:立花理香/作曲・編曲:遠藤直弥
9.ピンクバニラ(新曲)
作詞:高橋美佳子/作曲・編曲:鋼鉄兄弟(HANO)
10.Sky Diver(2nd digital single)
作詞:立花理香/作曲:せきこうへい/編曲:清水“カルロス”宥人、KYume
<Blu-ray>
MV
・REALISTIC
・Shining Memory
・カラフルパサージュ
・Returner Butterfly
・close to you
配信シングル
発売中
1st Digital Single
「close to you」
詳細はこちら
2nd Digital Single
「Sky Diver」
詳細はこちら
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