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2019.12.12

26曲に込めたありがとうの想い。“15th Anniversary Minori Chihara Birthday LIVE ~Everybody Jump!!~”ライブレポート

26曲に込めたありがとうの想い。“15th Anniversary Minori Chihara Birthday LIVE ~Everybody Jump!!~”ライブレポート

2004年に声優、そしてアーティストデビューを果たした茅原実里。15周年を迎えた2019年4月には『15周年プロジェクト』が始動。その集大成ともいえる“15th Anniversary Minori Chihara Birthday LIVE ~Everybody Jump!!~”が、自身の誕生日である11月18日にZepp Tokyoにておこなわれた。約3時間半にわたったライブは15年の軌跡を辿る、彼女にとってもファンにとっても節目を飾る特別な一夜となった。

暗転し、紗幕に浮かび上がったのは”15th Anniversary Minori Chihara Birthday LIVE ~Everybody Jump!!~”の文字。続いて歴代のジャケット写真にMVのワンシーンとかわるがわる投影されていったのだが、これは軌跡を表しただけでなく、本公演の伏線でもあった。青く光るペンライト、怒涛の歓声と手拍子で迎えられた1曲目は「純白サンクチュアリィ」。スクリーンにはMVが映し出され、「みんないくよー!」の掛け声とともに紗幕が下りると、スパンコールが散りばめられた白と黒の衣装で姿を現した。ファンはおなじみのコールで爆発的な盛り上がりを見せ、続く「君がくれたあの日」の力が込められた歌声に熱気は膨張していく。一方シルキーな歌声を響かせた「Melty tale storage」では、波うっていたフロアも聴き入りモード。MVとステージ映像が交互に映し出され、過去の自分と共演するような演出は時の流れを感じさせた。曲調に合わせて空気感が変転していくなか、「雨上がりの花よ咲け」ではステージを練り歩いてファンに手を振ったり、「Paradise Lost」では定番のコール&レスポンスをしたりと、彼女自身もファンとのコミュニケーションを心から楽しんでいるようだった。どれも10年以上前にリリースされた曲であるにも関わらず、スタートからものの見事な一体感。ファンと共に成長してきた時間を実感させた。

ここまでで2007年~2008年の楽曲を披露。じつはなんと本公演、ランティスでリリースしてきたシングルのリード曲、全26曲を時系列順にMVとともに繰り広げるという超豪華なプログラムになっていたのだ。MCでは「みんなそれぞれ私に出会ったきっかけだったり、思い出を一緒に振り返りながら今日は楽しんでもらえたらなと思います。」と伝え、2009年~2011年ブロックに突入。MVとステージを対に色彩のコントラストを演出していた「PRECIOUS ONE」と「優しい忘却」と、切なげなバラードをしっとりと歌い上げたあとは、「Freedom Dreamer」 では会場が一体となって歌って跳ねて、ファンとの掛け合いを楽しんでいた。さらにノリが洗練された「Defection」をクールにきめると、一変して同時発売となった「KEY FOR LIFE」ではスキップでステージ上を歩いてみせた。”やめないことが誇り”と笑顔で歌うと沸き上がった大歓声。まさにハッピーサイドといったテーマのとおり、彼女が歌で、みんなにハッピーにさせる光景が具現化されていく。続いてはMVの映像に会場が大きなどよめきで包まれた「Planet Patrol」。茅原実里きっての願いにより、競技かるたを題材にした通常MVに加えて、「宇宙刑事みのりんポリス」バージョンのMVが映し出されると、客席からも思わず笑い声が響きわたった。

その後の2012年~2013年ブロックは全曲タイアップ付き。クラシカルな曲調の「Celestial Diva」では足元にスモークが焚かれ幻想的な雰囲気を演出。アグレッシブなロックチューン「ZONE//ALONE」の躍動感には自然と身体が揺れ動かされた。続くキャッチーなポップス「SELF PRODUCER」では愛嬌のあるダンスで釘づけに。また和ロックテイストな「FOOL THE WORLD」でフロアは炙られるかのように熱気を帯びて気炎を放ち、テンションは最高潮へ。幅広くジャンルレスな音楽性と各作品に寄り添い作られた1曲1曲の世界観は、琴線に触れたり笑顔にさせたり体を動かせたりと、いろいろな楽しみ方でみんなを夢中にさせていった。MCでは思い出話に花を咲かせ「歌っていていろんなことを思い出すし、感極まりますね」と噛みしめるように語っていたが、それはきっとファンも同じ気持ちだろう。曲が始まるごとに四方八方から歓声や息を飲む音がフロア中を飛び交い、それぞれがそれぞれの楽曲に対して想いがあることを表していた。

そして最後の2014年~現在までのブロック。「会いたかった空」ではフロアをじっくり見渡したあと、背を向けCMBメンバーと目を合わせると、涙ぐむように歌を紡いだ。ファンと掛け合った”ずっと”という言葉には、改めてこれから先の未来への誓いが込められているようにも聴こえた。ファンとの絆を新たに結び、ラストは心からうれしそうに微笑みを浮かべ”今歩き出そう”と歌いきった。穏やかで大らかな曲が続き、とくに茅原実里の体温を感じさせてくれたのは「みちしるべ」だ。たった5つの照明というシンプルな演出の中、茅原実里の音だけが響きわたり、一人ひとりの心にまっすぐに伝わっていく。ピアノから始まり徐々に加わっていく音数に合わせて照明の数も増え厚みが増していき、”ひとりじゃない”の歌詞を引き立たせていた。

ライブも終わりが近づき、会場も研ぎ澄まされた空気感を帯びていく。最新シングルとなる26曲目に入る前のMCで、言葉を選びながら今の気持ちを語ってくれた。「私の特技は素敵な人たちに巡り会えるご縁力だなと思います。そして素敵な人たちと素敵な作品と、素敵な出会いを重ね続けて15年間、前に進んでこれました。一度も止まることなくここまで歩いてこれたのは、私のことを本当に応援してくれているみんなのおかげです」とファンに対する想いを一言一言大切にしながら伝え、続けざまに「誰かに必要とされたときに、優しく強く寄り添ってあげられるような人間になりたいです。これから20周年、25周年って、みんなと同じ時間を一緒に過ごしていきたいなって思っています」と、涙ながらに等身大の想いを述べた。あたたかい拍手で受け止められ、披露した「エイミー」。どんなに震えて息がつまりそうになっても溢れる想いを一縷たりともこぼさないよう丁寧に大切に、歌に込める。このとき、誰もが呼吸することを忘れたかのように、じっくりと聴き入っているようだった。歌い終えるとフロアは白一色に染まり、大きな拍手で本編は締めくくられた。

アンコールは自身がハマっている薄めのハイボールイメージしたロゴがあしらわれたTシャツと大きなフラッグを身につけて登場。1曲目にして圧倒的な一体感を見せたのは「Lush March!!」。茅原実里の振りに合わせ、みんながフラッグを片手にフロア全体に風を巻き起こす。ファンと呼吸を揃えて楽しみながら、くるくると回ったりスキップをしたりとステージ上を無邪気に駆ける姿は実に彼女らしく印象的だった。次はCMBのメンバー紹介のはずが、すっかり忘れて慌てるおっちょこちょいな一面も。仕切り直したCMBのメンバー紹介では、各々がまず茅原実里へ祝福の言葉をかけ、ファンとコミュニケーションし熱を煽りつつも、今日の感想をそれぞれに述べた。改めて次の曲について「最後は繰り返すところがあるので、もしよかったら一緒に歌ってもらえたら嬉しいな」と伝え、披露した劇場アニメ『サンタ・カンパニー ~クリスマスの秘密~』の主題歌「Christmas Night」。タイトルどおり冬らしい曲調に、遠くまで伸びゆく凛とした歌声。繰り返しの”メリークリスマス”はCMBのメンバーも一緒にコーラスし、少し早めのクリスマスを堪能した。

ここで茅原実里から、いつもありがとうの気持ちを込めてレゼントがあるという。「カモン!」と言い放つも、聴こえてきたのは誰もが知っているバースデーソングの前奏だった。みんなから歌のプレゼントと、ケーキも登場。「やだ!びっくりした!めちゃくちゃかわいい!いい匂い!何味なんだろう!」と大はしゃぎ。ファンも届けたい一心で大きな声を出し「おめでとう」と叫んでいた。記念写真をおさめ、気を取り直してもう一度茅原実里からのプレゼント。それは『サンタ・カンパニー ~クリスマスの秘密~』主題歌のCD発売決定、サブスクリプションサービスにて楽曲解禁、本公演MUSIC ON!TVにてダイジェスト公開、15周年記念の写真集発売、15周年ベストアルバム発売、FCイベントのタイトルとロゴ初公開、オーケストラコンサート開催、SUMMER CHAMPION 2020決定と、8つもの超豪華な発表の数々だった。発表されるにつれて声援のボリュームが上がっていき、茅原実里もご満悦の表情。そして「この曲をみんなと育てていきたいなと思います。」と伝え、発表にもあった『SANCTUARY Ⅱ ~Minori Chihara Best Album~』に収録されるQ-MHzとの新曲「We are stars!」を初披露。リズミカルでノリやすい展開に身体を揺らすだけにはとどまらず声で応えるファン。さらにラップ調で吐き捨てるように歌う新鮮な茅原実里にフロアは熱を上げていった。初めてにしてこの盛り上がり。今後の成長に胸を高鳴らせる一幕となった。

「まだ歌いたい」と近づく終わりを惜しみながらも本当のラストを飾ったのは本編でも披露された「Freedom Dreamer」。ファンと一緒にタイトルコールをすると金テープが宙を舞い、フロアをキラキラと彩った。みんながみんなこれでもかと身体を揺らしコール&レスポンスを楽しむという、今日いちばんの熱狂を見せた。最後の最後まで疑いようのない一体感。15年という長い時間で積み上げてきたのは個人のスキルだけではない。ファンと共に過ごし築いてきた関係、確かにそこに在る絆を感じずにはいられなかった。ラストは茅原実里の掛け声に合わせて一緒にジャンプ。「最高の15周年ライブ、最高の誕生日になりました。私の道標はみんなの笑顔です」と伝えるとマイクを下ろし、生の声で「みんなー!今日は本当にどうもありがとう!私、めっちゃ幸せ!だーいすき!」と、素直な気持ちを心から声を出して届け、見えなくなるまで手を振りステージを後にした。茅原実里の軌跡をなぞったセットリストをとおして思い出を振り返り、濃く深く刻まれた15周年という節目のライブ。何度も何度も「ありがとう」と「楽しかった?」を口にしていたが、幕を閉じてもなおフロアには醒めやらぬ興奮のまま、拍手や声援が響いていた。それがまぎれもない答えだろう。余韻に浸り思い出に想いを馳せながらも、発表されたこれからの活動の数々とまだ見ぬ未来へ胸を高鳴らせた。

Text By 川﨑 悠

15th Anniversary Minori Chihara Birthday Live ~Everybody Jump!!~
2019.11.18@Zepp Tokyo
【セットリスト】
M1. 純白サンクチュアリィ
M2. 君がくれたあの日
M3. Melty tale storage
M4. 雨上がりの花よ咲け
M5. Paradise Lost
M6. Tomorrow’s chance
M7. PRECIOUS ONE
M8. 優しい忘却
M9. Freedom Dreamer
M10. Defection
M11. KEY FOR LIFE
M12. Planet Patrol
M13. TERMINATED
M14. Celestial Diva
M15. ZONE//ALONE
M16. SELF ORODUCER
M17. この世界は僕らを待っていた
M18. 境界の彼方
M19. FOOL THE WORLD
M20. 向かい風に打たれながら
M21. 会いたかった空
M22. ありがとう、大好き
M23. 恋
M24. みちしるべ
M25. Remained dream
M26. エイミー
EN1. Lush March !!
EN2. Christmas Night
EN3. We are stars!
EN4. Freedom Dreamer


●リリース情報
劇場アニメ「サンタ・カンパニー」主題歌CD
「Christmas Night」
12月4日発売

<CD>
1.キラキラ輝く、世界の時間
2.Santa Company The Musical
3.Christmas Night
+各曲のオフボーカルを収録

15周年ベストアルバム発売決定!
『SANCTUARY Ⅱ ~Minori Chihara Best Album~』
2月5日発売

●ライブ情報
TACHIKAWA STAGE GARDENグランドオープニング記念
Minori Chihara ORCHESTRA CONCERT 2020「Graceful bouquet」
会場:TACHIKAWA STAGE GARDEN
5月30日(土)16:00 開場 / 17:00 開演
出演者:茅原実里/東京21世紀管弦楽団

「SUMMER CHAMPION2020~Minori Chihara 12th Summer Live~」
会場:河口湖ステラシアター
8月1日(土)15:30 開場 / 16:30 開演
8月2日(日)15:30 開場 / 16:30 開演

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