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INTERVIEW

2019.11.18

デビュー作『ゾイドワイルド ZERO』でいきなりのヒロイン大抜擢!さらにEDテーマ「ヒカリ」も担当!千田葉月インタビュー

デビュー作『ゾイドワイルド ZERO』でいきなりのヒロイン大抜擢!さらにEDテーマ「ヒカリ」も担当!千田葉月インタビュー

アニメ『ゾイドワイルド ZERO』でヒロインのサリー・ランド役を担当しているのが、若手声優の千田葉月。本作が彼女にとっての声優デビュー作であるうえに、同アニメのEDテーマ「ヒカリ」も担当。スマイルカンパニーの島崎貴光氏を音楽プロデューサーに迎え制作した同曲の魅力はもちろん、自身が演じるキャラクターについても伺った。

――千田さんが声優になりたいと思い始めたきっかけから教えてください。

千田葉月 中学生の頃から「やりたいな」と思い始め、本格的に「声優を目指したい」と思ったのが高校生になってからだったんですけど、親から強く反対され、大学へ入ってからやっと声優の道を目指し始めました。うちのお母さんはぜんぜん寛容的ではなかったんです。じつは高校時代に声優の養成所のオーディションを内緒で受け、クラスまで決めて「この養成所に行きたいから明日までに印鑑を押してね。お金は全部自分で払うから」とお願いしたにも関わらず、翌朝には用紙がごみ箱に捨てられていて……。

――芸能的な活動に関しては、まったく受け付けない方だったんですね。

千田 ぜんぜん認めてもらえなくて。でも、やっと大学生のときに、親に出された条件をクリアして「1年間だけなら許す」と言われました。だからわたしも1年間めちゃくちゃ声優の勉強を頑張っていたら、「そこまで本気なら頑張りなさい」と許してくれて、そこからは声優の勉強を続けられました。

――親もその努力を認めてくれたわけですね。

千田 そうだと思います。お風呂で声を張り上げ「ういろう売り」を毎日唱えながら「これでもか!!」というくらいにアピールをしていたら、隣の家の人から苦情が来たほどだったので (笑)。むしろ声優デビューが決まってからは、親が知り合いの人たちに「うちの娘が声優になる」と言いふらし始めたみたいで、「最初は猛反対していたのに、一体どっちなんだよ!!」って内心思ってました(笑)。

――もちろん、本人も環境は変わりますけど、お母さまのほうが、意識面でガラッと変わりましたね。

千田 完全に変わりましたね。ビックリします、本当に(笑)。

――千田さんが声優に憧れたきっかも教えてください。

千田 きっかけは、中学校2年生のときに、わたしが師匠と慕う人がいて、いろんなアニメや本をお勧めされていろいろ見たんですけど、そのときに「わたしも物語の世界に入りたいなぁ」「物語の中の一人として生きてみたいな」と思ったことがきっかけです。しかも、いろんなアニメ作品を観ながら、「この役者さんとこの役者さんは同じ人だ」「声優という職業があるんだ」と知り,中学3年生頃から声優を志望するようになりました。ただ、中学時代は声優に憧れたけど「やりたい」とは誰にも言わずにいました。高校は女子校だったから、みんなオープンなんですね。だから、「わたしは役者になりたい」と言ってたし,まわりに役者志望はいなかったけど、モデル志望の子やダンスの上手い子たちもけっこういて、みんなそれぞれに夢を追いかけていました。そういう環境に触れていたこともあって、わたしも大学への進学にあわせてようやく一歩を踏み出せました。

――大学に入ってから、今のチャンスをつかむまでは順調に進んだんじゃないですか。

千田 わたしとしてはけっこう時間を要したなと思ってるんですけど。でも「これからだ」と思います。

――今はまだ大学生ですよね。

千田 4年生ですけど、もう卒業は出来ます。そこは安心です(笑)。

――今は、声優を目指す方がとても多い環境です。そこでチャンスをつかんだ要因を本人はどのように捉えています?

千田 お芝居はまだまだですけど、「とにかくやってみよう」「やったら何か変わるんじゃないか」という気持ちをいつも持っているからだと思います。とにかく、チャレンジ精神は大きいです。

――いろんな壁に突き当たろうと、とにかく前進だと。

千田 例え大きな壁が出てきても、「そのときはそのときだ」といつもあえて明るく楽しくぶつかっています。むしろ、シンプルな気持ちでぶつかってると言ったほうが良いのかな。それくらい単純な性格なんでしょうね(笑)。

――千田さんは、アニメ『ゾイドワイルド ZERO』のヒロインのサリー・ランド役を演じてデヒューしました。

千田 初めての現場でどうやって立ち回れば良いのかも何もわからないなか、キャストの皆さんがベテランの方々ばかりなので、いろいろ教えていただいています。しかも、「チームとして一緒に頑張ろう」という空気もむちゃくちゃ感じてます。

――第一話のときは、息づかいが中心でしたよね。いきなりその演技はハードル高くなかったですか?

千田 あそこは全部アドリブだったからセリフがなかったんですね。だから、逆にやりやすかったといいますか。そこは、ジャミンガというゾンビみたいな敵が襲いかかる場面なんですけど、「ゾンビが襲いかかってくるんだ」という気持ちになり自然と声を震わせていて、あのときは絵と自分の気持ちを重ね合わせては、「今、サリーはこんな気持ちでいるのかな」と考えながら演じてました。

――『ゾイドワイルド ZERO』のヒロイン役が決まったときは、どんな気持ちでした?

千田 驚きしかなかったです。震える手で、いただいた資料を読んでました(笑)。台本を見たときも、自分の名前を確認した時点で、ずっと家で震えながら読んでいましたし、台本を手にした時点で自分の中では「すっ、すごい!」状態でした。

――いきなりアニメでデビューというのもすごいですよね。

千田 ほんとうに。初めての役で初めてのヒロイン役だから、もうプレッシャーだらけでした。

――本番の収録は上手くいってます?

千田 いやー、そんなこともなく、たまに居残りもあります。でもヒーローのレオを演じてる野上 翔さんが一緒にいてくれて。それこそ「キャッ」と驚くシーンで、「その『キャッ』というセリフは急に驚かされたから出た声だよ」と説明を受け、「あっ、そうか」と自分なりに理解を深め、ようやく言えたという経験もありました。他にも「どうしてサリー・ランドが地球にきたのか」という説明のセリフがあったんですけど、セリフの意味が最初はわからなくて、わたし自身が「タイムスリップ」状態。そこをしっかり把握しきるまで何度も何度も台本を読み込んで、いただいた資料を読み返しては「あっ、こういうことか」と自分なりに理解したうえで、やっと安心して本番に臨めたという経験もありました。

――キャラクターのそのときの感情をどうつかむかも演じるうえで大切ですもんね。

千田 そうなんです。だって、本当に驚いたとき、人は絶句するから声が出ないじゃないですか。でも、アニメではそれを観ている人たちに声で伝えなきゃいけない。それをどう表現し伝えていくかが声優として演じることなんだと改めて感じました。

――それは、現場で演じて感じたんですね。

千田 はい。アニメの世界っていかにわかりやすく伝えるかが重要になっていくので、「わかりやすく」ってどうやってやるんだろうとずっと考えながら収録をしています。

――収録を重ねるごとに、いろんな発見があるわけですね。

千田 発見は本当に多いです。サリーの動きが止まっていたときに、わたしも呼吸を止めていたんですけど。「呼吸は止めなくていいんだよ、だってその子は、その時間も生きてるんだから呼吸をしてないとおかしいでしょ」と言われ、「あっ、そうだよな」と気付くなど、毎回いろいろ学びは多いです。現場でしかわからないことというのは、こういうことなんだというのをいろいろ経験しています。

――サリー・ランドには感情移入しやすいですか?

千田 わたしは楽しみを求めるプラスのエネルギーを発していく人間ですけど、ヒロインのサリー・ランドは心配性というか、いろんな使命を背負っているので、それがどういう負担になってて、どういう心情なのかつかむのが大変で。普段のわたしとは、あまりにも環境がかけ離れているので……。

――サリーは地球の存亡を背負っていますからね。

千田 そうなんです。地球を再生しようとしていますからね。その使命がとてつもなく大きければ、そこに関しては置かれている環境が全然違うから、どう歩み寄ろうかずっと考えています。でも、レオや行方を探しているおじいちゃんなど「誰かを心配している気持ち」はわかるので、そこから広げています。音響監督さんからは、「台本って何のためにあると思う?これは、あなたがこのキャラクターのことを理解し伝えるためにあるんだから、とにかく読み込んで、このキャラクターのことを理解しなさい」と言われたことで、それも学びましたね。だから今は、毎回台本をいただくたびに、この流れの中で、どう考えているのかを毎回考えています。

――とても学びの多い大切な作品になっていますよね。しかも、EDテーマの「ヒカリ」も歌っていますからね。

千田 そこは本当にビックリしました。

――今は、声優活動の中に歌も当たり前にあるから、その気持ちはもともと持っていたんじゃないですか?

千田 ありましたけど、歌はぜんぜん先の話だろうなと思っていました。それ以前に、声優を始めたとしてもアニメ作品へ出られるのはずっと先の話だろうと考えていましたし、いつか歌のお仕事もあるかもしれないから歌の勉強もしておこうと思っていたタイミングだったんですけど……。まさか、いきなり両方くるとは思わなかったです。

――いきなり……。

千田 声優デビューと歌手デビューが一気にきました(笑)。もう、ついていくのに必死です。

――「ヒカリ」の歌詞は、今の千田さん自身の心情にも重なる内容ではないですか?

千田 出だしの歌詞から本当にわたしの気持ちと重なっていますね。ずっと親に「駄目だよ」と言われていた気持ちや、やっと自分のやりたいことを少しずつやれているんだという気持ちが、歌いながら「ヒカリ」の歌詞へ自然とのっかりました。

――「掻き消された小さな声」ですからね。

千田 そうなんですよ。そこ、めちゃくちゃわたしの心情と重なると思って。これまで散々かき消されてきましたもん(笑)。

――これから未来へ向かう気持ちも歌詞には投影されていますよね。

千田 そうですね。下を向いてしまったときは、ちょっとだけでも顔を上げてみようみたいな。下を向いてばかりいるとネガティブな気持ちにもなっちゃうし、いろんなことを見逃しちゃうんですよね。だから、たまには上を見ようよ。ちょっとでも上を向けたらなという想いも「ヒカリ」を通してみんなへ伝えたいです。

――聴く人一人ひとりが、自分の前へ進みたい気持ちと照らし合わせて聴けるのが、この歌の魅力だと感じています。

千田 聴いてくれた人たちの力に少しでもなれれば。養成所時代のお友達からも「エンディングを聴いて泣いた」という連絡が届きました。わたしは仲間たちにも「一緒に頑張ろうね」という気持ちを届けたかったから、その言葉を聞いてわたしもめちゃくちゃ泣けたし、「お互いに頑張ろう」という想いにもなっていました。

――「ヒカリ」は頑張っている人を応援してゆく歌ですからね。

千田 相手を応援する歌でもありますし、自分も応援されたいし。この歌を通して、たくさんの人たちが上を向いてくれればうれしいです。サリーちゃんだって、使命感などいろんなものから逃げていたけど、レオやバズと切磋琢磨しながらふたたび立ち向かったように、その感情とも照らし合わせられるなと思います。

――エンディングの絵を重ねながら「ヒカリ」を聞いたとき、どんな気持ちでした?

千田 「生まれ変わるそんな予感がする」という歌のところで、サリーちゃんが瞳を開かせるんです。そのときの上を見てちゃんと頑張ろうとしている姿を見て、自然と込み上げる想いが出てきました。

――いろんな想いを重ねながら歌える楽曲になったんですね。

千田 そうなんです。だからこそ、聴いてくれた人たちにも共感してもらえるとうれしいですね。

――これから、千田さんがどんな経験を重ね成長してゆくのかも楽しみです。

千田 わたしもいろんな経験をして、人間的にも、役者としても成長していきたいなと思っています。もちろん歌手としても、少しでも多くの人の顔を上げられるような歌を届けていきたいです。

――改めて「ヒカリ」の魅力をお願いできますか?

千田 「ヒカリ」は誰かの気持ちに少しでも寄り添って、ちょっとでも顔を上げられたらなという想いがあるので、いろんな人に聴いていただいて、いろんな人が悩んで下を向いてしまったときに「大丈夫だよ」「自信を持って」と、この歌を通してそっと背中を押せたらなという想いがあります。ぜひ聴いていただき、一歩を踏み出していただけたらうれしいです。

――最後に、千田さんの今後のビジョンを聞かせてください。

千田 今はまだ皆さんについていくのに必死なので、自分で芝居のやり方も見つけつつ、作品に少しでも力を添えるようになりたいなと思います。いろんな作品に出会い、いろんな価値観に出会って、自分の中でも成長していけたら……。とにかく成長していきたいです!!

Interview & Text By 長澤智典


●楽曲情報
TVアニメ『ゾイドワイルド ZERO』EDテーマ
「ヒカリ」
歌:千田葉月
ダウンロード&サブスク配信中
配信先リストはこちら

「ヒカリ」
作詞:柊木七音
作曲・編曲:廣中トキワ
音楽プロデュース:島崎貴光
音楽制作:スマイルカンパニー

●作品情報
TVアニメ『ゾイドワイルド ZERO』
2019年10月4日からテレビ東京系6局ネットにて
毎週金曜 夕方5時55分~
※放送時間は変更になる場合がございます。

<あらすじ>
ゾイドとは、銀河の彼方に生息する、戦う意思を持った金属生命体である。
惑星が最後を迎え、人類は第二の故郷として地球を目指すが、ゾイド因子の暴走と不慮のタイムワープで、突如、21世紀の地球にゾイドが出現。ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
レオは自ら発掘したビーストライガーを相棒に、地球の未来を左右する少女サリーと冒険の旅に出発した。

【スタッフ】
原作:タカラトミー
監督:加戸誉夫
シリーズ構成:荒木憲一
音響監督:松岡裕紀
キャラクターデザイン:坂﨑 忠
音楽:平野義久
アニメ制作:OLM

(C)TOMY/ZW製作委員会・テレビ東京

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