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REPORT

2019.09.23

「『キャロル&チューズデイ』LIVE ~The Loneliest Girl~」ライブレポート

「『キャロル&チューズデイ』LIVE ~The Loneliest Girl~」ライブレポート

8月11日、原宿クエストホールにてTVアニメ「キャロル&チューズデイ」のライブイベント「『キャロル&チューズデイ』LIVE ~The Loneliest Girl~」が開催された。キャロルとチューズデイのふたりの少女が出会い音楽を作り上げ、アーティストとして成長していくさまを描いていく本作。演技とは別の歌唱担当キャストを当て、従来のアニメとしては前例がないほどの規模で楽曲を展開していく。放送中にその歌手たちのリアルなライブを聴けるとあって、申込みが殺到。高倍率のなか当選した幸運なオーディエンスがこの日、昼夜公演の会場に足を運んだ。本稿では夜公演の模様をお届けする。

「それはまるで奇跡だった……。そう、火星の歴史に刻まれることとなった奇跡の7分間。これはその原動力となったふたりの少女の物語である」。この本作を象徴するアバンタイトルのナレーションとともにキャロル役のナイ・ブリックス、チューズデイ役のセレイナ・アン、そして電子ピアノを担当する伊賀拓郎、アコースティックギターを担当する天野清継がステージに登場した。セレイナもアコギを持ち楽器構成は作中での音楽性を再現した形だ。ライブは作品の第1クール目のOPテーマ「Kiss Me」からスタート。背景には作品のこれまでの名場面が映し出され、オーガニックで洒落た作品のイメージを上手く表現していた。

昼公演を経ていたこともあってか、ふたりともリラックスした表情で歌い、ハーモニーを美しく聴かせていく。大きな拍手を受けてのMCではセレイナは日本語で挨拶をしつつ、ナイの通訳も同時に行なう多忙ぶり。この公演はYouTube Liveでも同時中継が行われており、全世界の視聴者に向けて話しかける。「(作中舞台の)火星に住んでいる人も」(セレイナ)とジョークを交え、次のセットとして紹介したのは「Round & Laundry」。第3話のコインランドリーで即興的に作っていった楽曲で、掻き鳴らさせるアコギのリズムに合わせてふたりはステージからクラップを広げていく。伸び伸びと歌う様がここでも作中とピッタリだ。続いては、作中でははじめてふたりがステージに立って歌った「Someday I’ll Find My Way Home」。作中では僅かな客の前だったが、この日は大きな拍手を受けての歌唱だ。しっとりとした3拍子に乗せたセレイナの歌声からはじまり、そこにゴスペル的な歌い方のナイが加わり、穏やかにハーモニーを重ね、ピアノも温かく寄り添っていた。MCでふたりは自身以外のキャラクターの歌からお気に入りの曲を挙げると、ナイはGGKの「Gravity Bounce」、セレイナはクリスタルの「Unbreakable」をリコメンド。そこから作中のコンテスト「マーズブライテスト」にふたりが出演した際に歌った楽曲を展開していく。第1回戦で歌った明るくアップテンポな「Whispering My Love」につづき、準決勝で歌った「Lost My Way」はリリースされている音源とは異なり、作中同様ピアノとボーカルのみで再現するという貴重な機会に。ミニマルなピアノのメロディに声を合わせ、大サビでは手を取って歌う姿も作中と重なるようす。やがてふたりはフェードアウトしていった。

暗転したステージにはアンジェラのこれまでの名場面が映し出され、そこに彼女の歌唱を担当するアリサが現れると大きな拍手を浴びる。彼女が最初に繰り出したのは、第5話で初めて歌われた楽曲「Move Mountains」。着席スタイルのこの日の会場ではあったが、観客はEDMの曲調に体を揺する姿が見られ転調してからのハイトーンの歌唱に応じいよいよそれは大きくなり、曲が終わるとともに大きな歓声が爆発した。MCでは歌唱の堂々としたようすとは打って変わって可愛らしく話すアリサ。彼女もバイリンガルでYouTubeの視聴者に向けて流暢に自己紹介を行なう。ミドルなダンスナンバーの「All I Want」では歩き回りながら歌いオーディエンスを魅了し、「Breathe Again」ではリズムに集中して堂々と歌唱した。次の曲は「マーズブライテスト」の決勝で歌われた「Light A Fire」。「アンジェラの“勝ちたい”気分が曲に表れているので、絶対に良い曲にしようとレコーディングを頑張りました」と語り、歌い始める。作中でも尺を長く取られ、とりわけ視聴者に強い印象を残したこの曲。アリサは常時続く高音部を揺るぎなく歌いラスサビからさらにギアを上げて、ライティングもオレンジに照らし炎を表現し会場を支配していった。「このステージに立ってこの曲を歌えていることが正直、信じられない」とひとつ安心した表情のアリサ。最後に歌った第2期EDテーマの「Not Afraid」は、リズムもシャウトを繰り返す展開も独特な楽曲。叙情的な歌の終わりに観客へ向けてキス・アンド・クライで応えていた。

アリサがナイとセレイナを呼び込み3人がステージに並ぶと、(公演時に)原宿AREA-Qで開催されていた「キャロル&チューズデイカフェ」のようすを語り合う女子トークを繰り広げ、会場は和みムードに。その後、ナイとセレイナの2人がステージに残り、バンドメンバーを呼び込むと彼らのパーソナリティを紹介するトークをしばし展開。後半戦は、「VOCAL COLLECTION Vol.1」や開催時にはシングルカットされていない、作中でオンエアされただけの楽曲たちをいちはやくライブでフルコーラスで披露していく。最初の曲は第2期OPテーマ「Polly Jean」。ハモリと音のかわいらしさ、フル尺で聴ける落ちサビの複雑なメロディを繰り出すところが聴きどころだ。次はストーリー上でふたりが最初にリリースした「Army Of Two」。冒頭から客席は自然とクラップで反応し、ふたりが交互に歌を展開してハーモニーを重ねていく。MCではセレイナのギターはギブソンのハミングバードで、ナイのシューズもキャロルと合わせていることを話し、第16話のセッションで作った「Day By Day」へ。セレイナのハイトーンが美しく、それにナイのソウルフルな歌が交わって空気感を作っていく。終盤にはセレイナがステージ上からクラップを促すと「Day By Day」の掛け合いが行われ、ホットな空間が作り出された。ナイは観客の反応に「Awesome!」と発言。そして、セレイナは「16話を3回観て、3回泣いた」と語ったフローラの「Give You The World」を、ふたりがカバーしたアコースティックバージョンで届ける。ナイが憂いある歌声でリードし、セレイナが高めていく名カバーぶりをライブで披露した。ライブも最終盤。セレイナは「この曲は私とナイが初めて出会った日にレコーディングした曲。そしてキャロルとチューズデイが初めて一緒に書いた曲。ストーリーを観て、初めて作った曲を初めてレコーディングさせる渡辺(総)監督の意向に後から感動しました」と前置きし、客席が待ちに待った「The Loneliest Girl」をドロップ。高らかに、そしてしっとりとした響きを歌をピアノに乗せて聴かせ、客席を感動に包み込んだ。温かく長い拍手をたっぷりと身に受けて、「いろんな感情が溢れそうになった」とセレイナが話とそれに同意するナイ。「最後は明るく」と、アコギを構え、第1期EDテーマの「Hold Me Now」のリフを奏で練習を促すとすぐさまクラップの良い反応が。本番でもふたりはかわいらしく歌い、ピアノも遊びのフレーズを入れるなどライブらしく聴かせ、最後まで歌いきったところで万雷の拍手を浴びていた。公演の最後にはアリサを再び呼び込むとバンドメンバーと5人で手を繋いで掲げ、「キャロチュー」の最初の公演を終えたのだった。

公演後の取材ではそれぞれ、「すごくよいショウだったと思います。特に2回目の方がリラックスできてすごく良かったです」(ナイ)、「1回目のライブならではの緊張感とフレッシュな感じもありつつ、お客さんもあったかくて一緒に手を叩いてくれたり歌ってくれたりして最高でした」(セレイナ)、「こういう大きな会場でライブをすること自体に慣れてなくて、すごく緊張していたんですけれども、お客さんが手を叩いてくれたり頷いてくれたりしてすごく楽しめました」(アリサ)と、感想を述べた。ナイとセレイナは異口同音に「ストーリーが進むにつれて、キャロルとチューズデイのどちらにも共感できるようになった」と語り、アリサも「自分の歌手としてのキャリア的に(自身が歌を担当する)アンジェラよりも、キャロルとチューズデイに重ね合わせる事が多い」と話す。つづけて、ナイも「『キャロル&チューズデイ』は、自分のアーティスト活動の経歴と似ていて、自分がアーティストになるまでのアップダウンがある旅が映し出されている」と言う。セレイナも「みんなのストーリーだと思います。ストーリーが進むにつれ、夢を持っている人は特に、そして夢を忘れてしまった人もまたそれに気付ける作品だと思います」とコメント。アリサも「音楽好きも、子供でも大人でも楽しんで見られる。誰もがエンジョイできる作品になっている。 Netflix でこれから知ってくれる人をもっと出てきたらいいなと思います」とアピールした。この日、2ndライブである「『キャロル&チューズデイ』2nd LIVE ~Army Of Two~」を品川ステラボールにて2019年10月6日(日)に開催することも発表された。本編のテレビ放送が終了した直後のホットなタイミング。より大きな会場でセットリストにも期待できるライブになりそうだ。

Text By 日詰明嘉

「『キャロル&チューズデイ』LIVE ~The Loneliest Girl~」
2019年8月11日(日)原宿クエストホール
セットリスト
01.Kiss Me / キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)
02.Round & Laundry / キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)
03.Someday I’ll Find My Way Home / キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)
04.Whispering My Love / キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)
05.Lost My Way / キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)
06.Move Mountains / アンジェラ(Vo. Alisa)
07.All I Want / アンジェラ(Vo. Alisa)
08.Breathe Again / アンジェラ(Vo. Alisa)
09.Light A Fire / アンジェラ(Vo. Alisa)
10.Not Afraid / アンジェラ(Vo. Alisa)
11.Polly Jean / キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)
12.Army Of Two / キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)
13.Day By Day / キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)
14.Give You The World C&T ver. / キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)
15.The Loneliest Girl / キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)
16.Hold Me Now / キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)


●ライブ情報
「『キャロル&チューズデイ』2nd LIVE ~Army Of Two~」
2019年10月6日(日) 品川プリンス ステラボール
出演:キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)、アンジェラ(Vo. Alisa)
開場/開演 17:00/18:00
料金 オールスタンディング ¥6,800(税込・整理番号付き・別途ドリンク代必要)
問い合わせ:キョードー東京 TEL : 0570-550-799 (平日:11時~18時 土日祝:10時~18時)
※未就学児童入場不可

各プレイガイドにて一般発売中!

e+(イープラス)
ローソンチケット
チケットぴあ

お問い合わせはキョードー東京まで!
TEL 0570-550-799(平日:11時~18時 土日祝:10時~18時)

●リリース情報
TVアニメ「キャロル&チューズデイ」VOCAL COLLECTION Vol.2
10月23日発売

品番:VTCL-60507
価格:¥3,000+税

<収録曲>※順不同
Army Of Two Street Scene
歌:キャロル&チューズデイ(Vo.Nai Br.XX&Celeina Ann)
作詞/作曲/編曲:ANDY PLATTS

Breathe Again
歌:アンジェラ(Vo.Alisa)
作詞/作曲/編曲:Alexandra Sholler, Mark A Jackson and Ian Brendon Scott
Produced by Alison Wonderland

Army Of Two
歌:キャロル&チューズデイ(Vo.Nai Br.XX&Celeina Ann)
作詞/作曲/編曲:ANDY PLATTS

Miserere mei, Deus
歌:デズモンド (Vo. Marker Starling)
作詞:LEO今井/作編曲:梅林太郎

All I See
歌:デズモンド (Vo. Marker Starling)
作詞:Shun Ikegai/作曲/編曲:yahyel

Give You The World
歌:フローラ(Vo. Jessica Karpov)
作詞・作曲・編曲:Evan Bogart, Justin Gray

Give You The World C&T ver.
歌:キャロル&チューズデイ(Vo.Nai Br.XX&Celeina Ann)
作詞・作曲・編曲:Evan Bogart, Justin Gray

Day By Day
歌:キャロル&チューズデイ(Vo.Nai Br.XX&Celeina Ann)
作詞:優河, 髙城晶平/作曲:髙城晶平/編曲:cero

Threads
歌:キャロル&チューズデイ(Vo.Nai Br.XX&Celeina Ann)
作詞・作曲・編曲:Eirik Glambek Bøe

Take Me Now
歌:アーティガン
作曲:banvox

LIGHTS GO OUT
歌:アーティガン feat. アンジェラ(Vo.Alisa)
作詞/作編曲:Steve Aoki, MOGUAI, Ole Sturm, Santino Holtzer, Tyler Spry & Jacob Summers
Produced by Steve Aoki & MOGUAI

Message in the Wind
歌:キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX&Celeina Ann)
作詞/作編曲:Sensei Bueno

TVアニメ「キャロル&チューズデイ」ORIGINAL SOUNDTRACK
アーティスト名:Mocky
10月23日発売

品番:VTCL-60508
価格:¥3,000+税
※全30曲収録

TVアニメ『キャロル&チューズデイ』Blu-ray Disc/DVD Vol.1
10月30日発売

【Blu-ray Disc(2BD+CD)】
品番:VTZF-100

【DVD)3DVD+CD)】
品番:VTZF-102

<収録内容>
・本編 第1話~12話

映像特典
・メイキングムービー『Story of Miracle Special Edition vol.1』【収録時間:30分・予定】
・オープニングテーマ『Kiss Me』Music Video
・フラッシュアニメ「きゃろる&ちゅーずでい」【第1話~第4話】
・ノンクレジット オープニング/エンディング
・各話振り返り映像 (第1話~第12話)

特典CD
CD『CAROLE & TUESDAY Supporting Tracks Vol.1』
※「VOCAL COLLECTION」では未収録の劇中歌唱曲の数々を多数収録

<商品仕様・特典内容>
三方背ケース+デジパック仕様
三方背ケース:キャラクターデザイン 斎藤恒徳 描き下ろしイラスト
デジパックケース:オープニングコンセプトアート 上杉忠弘描き下ろしイラスト
豪華特製ブックレット「CAROLE & TUESDAY 〜The The Loneliest Girl〜」(80ページ・予定)
※商品仕様は予告なく変更する場合がございます。

FLASHショートアニメ「きゃろる&ちゅーずでい」配信中!(全8話)
公式YouTubeCHにて

●作品情報
TVアニメ『キャロル&チューズデイ』

フジテレビ「+Ultra」にて毎週水曜日 24:55 から放送開始
NETFLIX にて毎週木曜日配信(日本先行)
ほか各局にて放送 (関西テレビ/東海テレビ/テレビ西日本/北海道文化放送/BS フジ)
・テレビ西日本毎週(水)25:55~26:25
・東海テレビ毎週(土)25:55~26:25
・北海道文化放送毎週(日)25:15-25:45
・関西テレビ 毎週(火)25:55~26:25
・BS フジ 毎週(水)24:00~24:30

【スタッフ】
原作:BONES・渡辺信一郎総監督:渡辺信一郎
監督:堀 元宣
キャラクター原案:窪之内英策
キャラクターデザイン:斎藤恒徳
メインアニメーター:伊藤嘉之、紺野直幸
世界観デザイン:ロマン・トマ、ブリュネ・スタニスラス
美術監督:河野羚
色彩設計:垣田由紀子
撮影監督:池上真崇
3DCG ディレクター:三宅拓馬
編集:坂本久美子
音楽:Mocky
音響効果:倉橋静男
MIX エンジニア:薮原正史
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:ボンズ

【キャスト】
キャロル:島袋美由利
チューズデイ:市ノ瀬加那
ガス:大塚明夫
ロディ:入野自由
アンジェラ:上坂すみれ
タオ:神谷浩史
アーティガン:宮野真守
ダリア:堀内賢雄
ヴァレリー:宮寺智子
スペンサー:櫻井孝宏
クリスタル:坂本真綾
スキップ:安元洋貴

©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会

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