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INTERVIEW

2019.09.11

TVアニメ『グランベルム』に寄り添ったシングルが完成!EDテーマ「願い」担当・Uruインタビュー

TVアニメ『グランベルム』に寄り添ったシングルが完成!EDテーマ「願い」担当・Uruインタビュー

どこか神秘的なニュアンスを纏った聴き手を深く包み込むような歌声を持ち、数多くのドラマ・映画・アニメのテーマソングを担当してきたシンガー、Uru。アニメファンにとっては「フリージア」(『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第2期EDテーマ)や「remember」(『劇場版 夏目友人帳~うつせみに結ぶ~』主題歌)のヒットで馴染み深い彼女が、通算8枚目となるニューシングル「願い」をリリースした。

表題曲の「願い」は、2019年夏クールを彩るオリジナルTVアニメ『グランベルム』のEDテーマとして制作されたナンバー。自らの願いをかなえるために、戦いに身を投じる魔術師の少女たちの物語に優しく寄り添う、感動的なミディアムバラードだ。また、カップリングには第7話の挿入歌「Scenery」も収録。『グランベルム』という作品にしっかりと向き合うことで生まれたシングルになっている。彼女がそれらの楽曲に込めた想いについて、話を聞いた。


――今回のシングル表題曲「願い」はTVアニメ『グランベルム』のEDテーマになります。最初にお話をいただいたとき、『グランベルム』という作品にどのような印象を抱きましたか?

Uru 魔術師たちがロボットに乗って戦うストーリーということで、勇ましく力強い男性的なイメージを抱いていたのですが、登場人物が主に「少女」たちというのがすごく印象的でした。そして、ただ戦っているだけではなく、その背景やなぜ戦うのかという理由みたいなものをそれぞれが持っていて、それに突き動かされている姿や、セリフにもハッとさせられるものがありました。ストーリーは「魔術」だけれど、私たちの日常生活にも通ずるものがあるな、と思いました。

――「願い」はUruさんがみずから歌詞を書かれていますが、『グランベルム』という作品のどのような部分を表現しようと思われましたか?楽曲を作るにあたり、アニメ制作サイドから何か要望やヒントとなるキーワードをいただいたのでしょうか。

Uru いくつかキーワードをいただいていました。「友情」「少女」「幻」「消える」「声」……などです。脚本を一緒にいただいたので、これをヒントに歌詞にも散りばめながら制作していきました。『グランベルム』を観てくださった方が、エンディングに流れるこの曲でさらにその余韻に浸れるような曲に……というのが目標で、何度も脚本を読みました。その中で、強さだったり、それとは反対の孤独や葛藤や生き辛さみたいなものを感じたので、それが共存している曲になればいいなと思って書きました。

――そこからどのようにして歌詞を組み立てていきましたか?

Uru いちばんに思いついたのは“大事なものボロボロこぼしながら”というサビのフレーズです。「今まで培ってきたものや身に纏ってきたもの」「大切なもの」を、気づかないうちに、もしくは気づいていながらも失ってしまって、でもどうすることもできず、ただ前に進むしかなかったという姿を想像してもらいたかったので、「ボロボロ」という擬音を使うことで印象的になるんじゃないかなと思いました。自分と誰かを比べたり、罵倒しあったり、薄汚れた1枚のフィルターを通して見ているような世界に身を置いているような感覚で、でもそこには確かに絆や、それぞれが信じる何かがあって……というような、とにかく一生懸命に何かに向かって歩いている姿を想像できるように、と思い組み立てていきました。

――Uruさんは本作のタイアップ決定を発表した際に「物語の中にいくつも胸に刺さる印象的なセリフがあって、歌詞を書く際の参考にもなりましたし、普段の生活の中でもハッとするような言葉もあった」とコメントされてましたが、その中でも印象に残っているセリフやシーンを教えてください。

Uru 第2話で満月(小日向 満月/本作の主人公)が言った「私には何もないから」や「誰かに気付いて欲しいんだよね、私がいるってこと」というセリフです。誰かに気付いて欲しいって、SNSが普及したことで目に見えてわかりやすくなった承認欲求みたいなものだったりするのかなと。「何もない」自分にいつも自信がなくて、それでも存在を誰かに認めてもらいたいと思っている。これは私にも経験があったので印象に残っているセリフです。脚本のページの端を折って、赤ペンを引きました。

――本作で描かれているテーマの核となる部分でもありますね。

Uru あとは、第3話の新月(新月エルネスタ深海)が言った、「終わりにしたいのです」「魔力さえなければ、こんな戦いも、憎しみも……」というセリフです。魔術師の頂点を目指している中で、本当はなくなってしまえばいい、自分が頂点になってこれを無くすために戦い続けているという姿にハッとしました。それが、サビの“いらない”に繋がっています。

――Uruさんは、YouTubeにアップしたカバー動画をきっかけにデビューされましたが、例えば満月の「自分は何者でもない」ことに対する恐れはご自身にとって共感できるものでしょうか? あるいは新月のように「特別な存在」であることよりも「普通の日常」を望む気持ちが強い?

Uru 元々、あまり前に出て行くような人間ではないので、新月のように「普通の日常」を強く望む気持ちはすごくよくわかります。普通に、穏やかに、暮らしていたいです(笑)。

――「願い」を作るにあたり、逆に『グランベルム』の作品世界から離れて、こだわったポイントはありますか?

Uru アニメの主題歌として書きましたが、アニメを知らずにこの曲を聴いた方にも共感してもらえるように、という部分は意識しました。日常生活にも何か通ずるものがあると思っていて、日々何かに揉まれながらも一生懸命頑張っている誰かを想像したりもしました。

――「願い」の作曲はH.Aoba / N.Sasaki、編曲は佐々木望さんが手がけています。楽曲をいただいたときの印象はいかがでしたか?

Uru サビがすごく印象に残る曲だなと思いました。そして、この部分はこんなふうに歌いたいな、というようなイメージも同時に浮かびました。アレンジをブラッシュアップしていく際、サビの入り方で印象が随分と変わるんだなというのと、後ろの方で目立たないけれど、しっかりと役割を持った音の存在の大事さを感じました。

――ボーカルのレコーディングではどのようなことを意識して歌われましたか?

Uru いちばんに決めた歌詞の“ボロボロ”の部分を、聴いた方の心に留まってくれるような歌い方をしようと思い、レコーディングではその部分を何度も録り直したりしました。そして、ミディアムバラードではあるけれど、グランベルムの世界観にも合うように、サビは力強く、平歌の部分は少し温度感を下げて歌いました。

――また、今回のシングルのカップリングに収められている「Scenery」も、『グランベルム』第7話の挿入歌としてエンディングの重要なシーンで使用されて、作品と密接に紐づいた楽曲になりました。こちらはどのような経緯で制作されたのでしょうか?

Uru 「こういうシーンで使いたい」というイメージを伝えていただいていたので、それに合わせて制作しました。それを受けて、広がりのあるバラードが作れたらいいなと思っていて、サビでグッと空間が広がっていくようなことをイメージしながら作りました。

――「Scenery」はUruさんみずから作詞・作曲を担当されていて、歌詞に目を向けると“私”と“君”の強い絆を描いた楽曲になっています。『グランベルム』の主人公・満月と新月の関係性とも重なる内容ですが、どのようなイメージで書かれたのですか。

Uru 「Scenery」は、「願い」からもう少し時間を経て、二人が着実に築いた絆を歌う曲として、苦しいときも嬉しいときも、同じ経験を共にしてきた絶対的な信頼関係を感じられるような、お互いがお互いを想い合う曲のイメージで作りました。友情でも恋愛でも家族でも、聴いてくださった方が自分の環境に自由に当てはめられるような曲になってくれたらいいなと思います。

――「Scenery」は、ご自身もシンガーソングライターとして活躍されている音楽家のrionosさんが編曲。Uruさんの作品には初参加となりますが、どのような経緯でお願いしたのでしょうか。

Uru rionosさんのことは元々存じ上げていて、私が最近rionosさんの曲を聴いていると話したことをスタッフさんが覚えていてくれて、この曲のアレンジのお話をrionosさんにお願いしてくれたんです。そして、お受けしてくださることになって、とても感激でした。

――オーケストレーションと電子音が絡み合ったサウンドがとても印象的な楽曲ですが、Uruさんはどんな印象を抱きましたか?

Uru ものすごく壮大なアレンジで、初めて聴いたときは鳥肌がたちました。先ほど空間が広がって行くような曲をイメージして作ったと話しましたが、その部分をrionosさんがさらに空間的にしてくださいました。特に、大サビの終わりの弦の駆け上がりの部分がすごく好きで、何度も聴いてしまいました。rionosさんに直接お会いできてご挨拶させていただいたのですが、すごく穏やかで優しい雰囲気のお方で、アレンジとのギャップが印象的でした。

――「Scenery」の歌入れではどんなことを意識しましたか?

Uru 技術的なことなどはあまり考えすぎずに、歌詞に没入して直感的に歌うことです。その(歌詞に登場する)ふたりのうちの、どちらかになったつもりで歌いました。

――また、今回のシングルにはカバー曲が2曲収められています。1曲目のKing Gnu「白日」は、TVドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』の主題歌として話題となった今年のヒット曲ですが、今回この曲をカバーしようと思ったのは?

Uru King Gnuさんの「白日」は、リリースされたときに即購入した大好きな曲で、ものすごく難しい曲だろうな、という懸念はあったものの、一度仮で歌ってみたときにすごく楽しくて、今回私なりの「白日」を歌わせていただこうと思いました。やはりものすごく難しかったですが……。音域が広く、ピアノとのタイミングを合わせるのも難しかったのですが、リズムが印象的な曲なので、あまり意識しすぎてカチカチの感じにならないように、「楽しみながら」を意識して歌いました。歌っていると自然に体もリズムにのってきて楽しく歌えました。私なりの「白日」を聴いてもらえたらうれしいです。

――もう1曲は、Uruさんが担当された『劇場版 夏目友人帳~うつせみに結ぶ~』の主題歌「remember」のセルフカバー。トオミヨウさんの編曲による繊細かつ壮麗なサウンドが印象的な原曲とは違い、ピアノと歌だけで聴かせるシンプルなアレンジに仕上がっています。

Uru 「remember」は、『劇場版 夏目友人帳~うつせみに結ぶ~』を担当させていただいたこともあったので、アニメをお好きな方が手にとってくださったときにも受け入れてもらいやすい楽曲かなと思い選曲しました。元々持っているこの曲の優しさが、ピアノと歌一本になることでさらに前面に出たカバーになったかなと思います。原曲とは少し違った歌い方や柔らかさみたいなものを感じてくれたらうれしいです。

――Uruさんはこれまでにも「フリージア」「remember」、そしてSawanoHiroyuki[nZk]:Uru名義の楽曲「Binary Star」(『銀河英雄伝説 Die Neue These』OPテーマ)でアニメのテーマ曲を歌ってきましたが、アニメソングを歌うことで得られたものはありますか?

Uru そのアニメの世界観を大切に制作したり歌ったりしているのですが、力強さや優しさなど、そのシーンを思い浮かべながらレコーディングすることで、自然に自分自身もその世界観に入りこみながら歌うことができるようになった気がします。

――アニメ・ドラマを含め、映像作品とのタイアップ曲を歌う際に心がけていることがあればお聞かせください。

Uru 先程の話と重複しますが、作品に沿った曲を歌うときは、そのストーリーを思い浮かべながら歌います。普段生活しているとなかなか出てこない言葉も、ドラマやアニメの中のセリフではサラリと話していて、聴いている側も違和感なく聴くことができるのが毎回すごく不思議だなと思うのですが、歌にもそんな力があったらいいなと思ったりもします。なかなか恥ずかしくて言えない言葉や想いも、歌詞なら歌えてしまう……みたいな。それをその作品の主人公を憑依させて歌っている感覚です。

――ちなみにUruさんはどんなアニメが好きですか? アニメやアニメソングにまつわる思い出があれば教えてください。

Uru ラピュタ(『天空の城ラピュタ』)、『ちびまる子ちゃん』『ドラえもん』『名探偵コナン』などです。『ドラえもん のび太の恐竜』が大好きで、何回見ても泣いてしまいます。ラピュタは、子どもの頃に大好きすぎて、習っていたピアノ教室の先生にお願いして「君をのせて」(井上あずみによる『天空の城ラピュタ』主題歌)の楽譜を用意してもらって弾きました。

――Uruさんはカバーソングを得意とされていますが、今後アニメソングでカバーしてみたい楽曲はありますか?

Uru 「残酷な天使のテーゼ」(『新世紀エヴァンゲリオン』OPテーマ)のようなバラードじゃない曲を歌ってみたいです。この曲は、アニメをあまり知らない方も知っている有名な曲ですよね。友人がよく歌っていて、一緒に歌ったら楽しかったので、みんなで一緒に歌いたいです(笑)。

――では最後に『グランベルム』を楽しんでいるファンの方に向けてメッセージをお願いします。

Uru 『グランベルム』の世界観に沿って書かせていただいた楽曲「願い」と「Scenery」、2曲とも表情の違う曲になっています。何が「願い」だったのか、手に取って聴いてもらえたらうれしいです。

Interview & Text By 北野 創


●リリース情報
TVアニメ『グランベルム』EDテーマ
「願い」
9月11日発売

【初回生産限定盤(CD+DVD)】

品番:AICL-3753~4
価格:¥1,900(税込)

【通常盤(CD)】

品番:AICL-3755
価格:¥1,200(税込)

<CD>
M-1 願い
作詞:Uru 作曲:H.Aoba / N.Sasaki 編曲:佐々木 望
M-2 Scenery
作詞・作曲:Uru 編曲:rionos
M-3 白日
作詞・作曲:常田大希 編曲:Uru / Hidenori
M-4 remember Self-cover ver.
作詞・作曲:Uru 編曲:Uru / Hidenori
M-5 願い -instrumental-
M-6 Scenery -instrumental-

<DVD>
Uru Live「monochrome~吹き沁む頬に熱いザフサス~」
2018.3.4 昭和女子大学人見記念講堂

M1. ロビンソン
M2. 鈍色の日
M3. 奇蹟
M4. プロローグ MUSIC VIDEO

【期間生産限定盤(アニメ盤、CD+BD)】

品番:AICL-3756~7
価格:¥2,000(税込)

<CD>
M-1 願い
M-2 Scenery
M-3 remember Self-cover ver.
M-4 願い [TV size]

<BD>
TVアニメ「グランベルム」ノンクレジットエンディングムービー

店頭特典
・アニメイト:「グランベルム」描き下ろしイラストクリアファイル
・Amazon.co.jp:「願い」CDジャケット柄クリアファイル
・とらのあな:オリジナルブロマイド(期間生産限定(アニメ)盤絵柄)
対象店舗限定特典:「願い」アーティスト写真柄クリアファイル.

●作品情報
TVアニメ『グランベルム』

MBS/TBS/BS-TBS”アニメイズム”枠にて放送中

【スタッフ】
原作:ProjectGRANBELM
監督:渡邊政治(Re:ゼロから始める異世界生活など)
シリーズ構成:花田十輝(ラブライブシリーズなど)
キャラクター原案:大塚真一郎(Re:ゼロから始める異世界生活など)
プロデュース:infinite(色づく世界の明日からなど)
アニメーション制作:Nexus(コミックガールズなど)

【キャスト】
小日向満月:島袋美由利
新月エルネスタ深海:種崎敦美
アンナ・フーゴ:日笠陽子
林 寧々:久保ユリカ

●ライブ情報
Uru Live「Precious One day ~Uru-u Year 2020~」
2020年2月29日(土)
東京 中野サンプラザ
開場16:30 開演17:30
詳細はこちら

©ProjectGRANBELM

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