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INTERVIEW

2019.09.18

綾野ましろ、5周年イヤーに贈る2ndアルバム『Arch Angel』リリースインタビュー

デビュー5周年イヤーを迎えた綾野ましろが2ndアルバム『Arch Angel』をリリースする。新曲も4曲収録され、クリエイティビティの成長の跡が確かに伺える内容とパフォーマンスが詰め込まれたこの1作。制作の話を聞くと、彼女の言葉の端々からそれが滲み出てきた。

リスナーに寄り添い、空から見守る楽曲制作とライブパフォーマンス

──まず、8月4日の“リスアニ!LIVE SPECIAL EDITION ナツヤスミ”にご出演いただいた感想からお伺いできますか。

綾野ましろ たくさんの人と一緒に夏を共有できたライブでした! ちょっと久しぶりだったので出番までは緊張もあったのですが、みんなの歌っている声や笑顔がすごくはっきり見えて、それを一瞬で解き放つことができたライブだったと思います。そうした経験もあり、10日のワンマン(8月10日に東京・白金高輪SELENE b2にて開催した“綾野ましろ LIVE 2019 「Möbius」”も精力的に取り組めたと思います。コンディションもしっかり合わせ、4月のライブのお礼と感謝を込めて歌うことができました。今回のニューアルバムから新曲の「caelum」も披露させていただいたり、MCでは新曲の話や近況もお話させていただいて、皆さんもアンコールの最後の最後まで全力で楽しんでくださっていたので、本当に感無量のライブでした。

──ではニューアルバムの内容について、ライブでいち早くご披露された「caelum」からお話を聞かせてください。作編曲のAiji(from LM.C)さんにはどのようなきっかけでお願いをされたのでしょうか?

綾野 ミュージシャンとしてもお世話になっているベーシストの高井 淳さんがLM.Cのサポートをされていたこともあり、そのご縁からでした。私からは「ポップでカラッとしてて、ライブで心地よく乗れる曲」というお願いをさせていただきました。 Aijiさんご自身も「いつも作る曲とはちょっと違っていて<caelum>を作ったことで自分の幅も広がった気がする」と、おっしゃってくださったのがうれしかったです。

──作詞は綾野さんご自身によるものです。「caelum」という言葉はあまり聞き慣れない単語ですが、これはどのようなイメージでしょうか?

綾野 皆さんいろいろ調べてくださったかと思いますが、これはラテン語で“空”とか“天国”といった意味なんです。歌詞はAijiさんが作られたサウンド感に合うようなカラーで、自分の経験した実話をちょっとファンタジックにアレンジして書いてみました。最初、自分の子供の頃の記憶を辿ることからテーマを探していったのですが、やっぱりリスペクトしているアーティストの方からいただいた曲に歌詞を乗せるとなるとプレッシャーもあって。なのでかなり悩んで書きました。内容としては、“自分自身が自由であることを、それと知らずに自由に振る舞っていた子供時代の強さ”ということを書いています。大人になると、いろいろなことを考えながら行動するようになってしまいがちですが、本当は怖いものなんてないし、やりたいことや目標に向けて一気にワープしていったっていい。書きながら少し解き放たれた感じがしました。これを聴いてくださった方々が、日々何かにとらわれていたり、ちょっと凝り固まってしまった考えをほぐすきっかけになったらいいなと思います。

──綾野さんご自身の「記憶を辿った」とおっしゃいましたが、ご自身の経験に基づいた内容が多い?

綾野 水の中を泳ぐという内容なのですが、私、小学校5年生ぐらいまで息継ぎをしなくても水の中で自由に泳げたんですよ。それを“自由だった”という内容として切り取っています。これ、ずっと言ってきているんですけど、なかなか信じてもらえなくて「え~!?」みたいな反応で、今回歌詞にまでなりました(笑)。幼い頃を思って書いた歌詞というものを披露するのは今回が初めてかもしれませんね。Aijiさんも、「面白いね」とおっしゃってくださって、10日のライブを観に来てくださった際には「ライブ映えする曲でどんどん育っていきそうだね」と言っていただけました。これからライブでは欠かせない1曲になっていくと思います。

──“解き放つ”ということろでいうと、8曲目の『Unleash』もそういった意味ですね。こちらも綾野さんが作詞をされています。

綾野 この曲のタイトルは最後に決めました。「NEWLOOK」を発表してからのこの数年、励まそうとか背中を押せたらいいなといったポジティブな歌詞を書くことが多かったのですが、「Unleash」は「寂しいのも良いのかな」と思って書いた歌詞です。曲をいただいたときから情景もすぐに思い浮かび、歌詞がどんどん湧いてきました。サビは英詞にしたくて、そこに出てくる“FEEL”というのは、自分の感情を個体として表現した鳥の名です。最後に“君のそばで眠ろう”と言ったあとに、“FEEL”には自由になってもらう。つまり、自分から欠け落ちてしまった感情である“FEEL”が“解き放たれる”ということを示しています。

──歌詞の書き方やリスナーへの委ね方を伺うと、アーティストとして幅が広がっている印象を受けました。ご自身の実感としてはいかがでしょうか?

綾野 歌詞はわりと思うままに書かせていただいています。だからこそ、自分できちんと考えながら書くということはすごく意識しています。歌詞を書かせていただくことで自分の心の整理がつくということもありますし、自分で書いた歌詞をライブで歌いながら「どういう意味?」と、思うときもあります。作詞をすることでいろんな効果が生まれますね。

──ライブでも自分で書いたものが客観視できてしまう?

綾野 ライブをしながら天井から自分を見ている絵が頭に浮かぶときがあるんです。熱中しすぎちゃうと、自己中心的なライブになるかもしれなくて、それは絶対に嫌なのでいろんな角度から見るようには心がけています。今回のアルバムは“Arch Angel”というタイトルで、生きていたら日々生まれるいろんな感情の、そのどれかに寄り添えるような楽曲を1曲でも多く作れたらいいなという思いを込めています。だからこそ、自分自身が当事者になりすぎないようにと。今回の楽曲を集めていくと、“天使”や“空”といった世界観を歌った曲が多かったので、それらを象徴するワードとして良い言葉に出会えたと思います。

──「Unleash」のレコーディングはどんなふうに目標を置いて臨まれましたか?

綾野 聴いてくれた方の心が少しでも楽になったり、聴いているだけで少しでも癒されるような楽曲ができたらと思って歌いました。普段は後半に向かってどんどん明るくなっていたりとか、最終的にポジティブに向かっていくことが多いのですが、この曲で“FEEL”はずっと存在していてほしいと思ったので、最後まで少し寂しげに、優しく歌うということを心がけました。憂いや、そこでは完結しないずっと続いていく物語として、「Unleash」があったらいいなと。

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