INTERVIEW
2019.07.13
7月20日(土) ・21日(日)、愛知・Zepp Nagoya 2days公演からスタートする、GRANRODEO約2年ぶりの全国ライブハウスツアー「GRANRODEO LIVE TOUR 2019 “FAB LOVE”」。ニューアルバム『FAB LOVE』ナンバーを中心に、6月25日(火)、東京・Zepp DiverCityで行われたアルバム発売記念ライブ「GRANRODEO limited SHOW supported by MTV」は、正真正銘、”FAB LOVE”ツアーの前哨戦としての本領を発揮した。その模様をお伝えするとともに、”FAB LOVE”ツアーの見どころを予想する。
平日にもかかわらず超満員のファンで膨れ上がったZepp DiverCityは、開演前から異様な熱気に包まれていた。今年11月23日で、ついにデビュー15周年イヤーに突入するGRANRODEOのワンマンは、4月に行われたファンクラブ限定アコースティックライブを除くと、昨年12月に大阪城ホールで2日間行われた周年ライブ「G13 ROCK☆SHOW “Don’t show your back!”」以来、半年ぶりだ。
その間に、藍井エイル・BLUE ENCOUNTらと共演した「ROCK AX Vol.2」、シドとの対バンライブ「SID collaboration TOUR 2019」、「20th Anniversary Live ランティス祭り2019 A・R・I・G・A・T・O ANISONG」で2日目のトリを務めるなど、イベントライブへの出演はあったが、GRANRODEOの魅力のすべてを発揮できる場は、この「limited SHOW」がじつに久々だ。“limited=限定”というタイトルで分かる通り、今回のステージは5月にリリースされた8thアルバム『FAB LOVE』収録曲のライブ初お披露目とリリース記念を兼ねたショーケース的な意味合いが大きいもの。その内容は7月下旬からスタートする”FAB LOVE”ツアーをギュッと濃縮したかのごとき、とんでもない熱量とGRANRODEOのライブバンドとしての圧倒的なポテンシャルを見せつけてくれた。
悲鳴のような大歓声に迎えられ、シリアスにスタートしたオープニングゾーンは、KISHOWの鮮烈なボーカルで幕を開ける「Deadly Drive」、ミドルテンポの重くて太いサウンドが炸裂する「Glorious days」と、人気の『文豪ストレイドッグス』&『黒子のバスケ』オープニングテーマで一気にオーディエンスの熱を上げる。そこから雰囲気を一気に変えて、ちょっと懐かしい甘くキラめくラブソング「Darlin’」を放ってくるのが、変幻自在な音楽性を14年間培ってきたGRANRODEOスタイル! 女性ファン=ロデオガールから挙がった悲鳴のような歓声が、GRANRODEOナンバーの幅の広さを物語る。
「こんばんは、Zepp DiverCity! こっからが俺たちの宴の始まりだ!」とKISHOWが叫び、e-ZUKAが「今日はツアーの前哨戦みたいな感じですよね」と客席に語りかける。MCの一言一言に大声でレスポンスする観客に、「なんかもうツアー始まっちゃったみたいだね。ヤバイね。滾ってきちゃったね」と、KISHOWも少し気圧されている感じだ。この1週間のイベントライブを振り返り、「ランティス祭り」のパフォーマンスでGRANRODEOがTwitterのトレンド1位になったと思ったら、翌朝、梶裕貴さんと竹達彩奈の結婚報道があり話題をさらわれた!と、ユーモアを交えながら声優仲間のニュースを祝うひと幕もあった。
「今日はアルバムの新曲を全部やりますから、ツアーの前哨戦だと思って盛り上がってくれよー!」というKISHOWの声をきっかけに、セカンドブロックからは個性的な『FAB LOVE』ナンバーを連発する。跳ねたビートとノリのいい掛け声が幸福感で体を踊らせるロックンロール「FAB LOVE」。ハイキーなリフが強烈なインパクトを与える「move on! イバラミチ」。e-ZUKAの重たいギターとKISHOWの歪んだボーカルがねっとりとユニゾンで絡み合うスローリーなブルースナンバー「ラクガキMOON」は、e-ZUKAのルーツミュージックを彷彿とさせるクラシカルロックと、今のGRANRODEOを融合させたスケールの大きな楽曲だ。どの曲もスタジオ音源以上の重みがズシッと迫ってくるのは、テクニカルな巧さとステージパフォーマンスの自由さを兼ね備えたGRANRODEOのライブだからこその快感だ。
KISHOWの雄大なシャウトとe-ZUKAの泣かせるギターに圧倒され、気持ちを抑えきれないオーディエンスから大歓声が湧き上がった「ラクガキMOON」で、超シリアスな空気を作り上げたすぐ後に、超アットホームなMCで笑いを提供するのも、GRANRODEO流エンターテイメントだ。ベースの瀧田イサム、ドラムのSHiN、ふたりのサポートメンバーとのトークも軽妙。e-ZUKAのあまりにも自由な漫談(?)とぶっちゃけトークの連発に、「この人(e-ZUKA)とトークで絡むって大変でしょ?」とKISHOWがSHiNを労えば、SHiNが「絶対、歌うよりしんどいでしょ!」と答え、客席は爆笑に包まれる。
ユルいMCから一変、「最後までついてきてちょうだいよ!」とKISHOWの鋭い雄叫びから始まったのは、TVアニメ『文豪ストレイドッグス』第3シーズンOPを飾った「セツナの愛」だ。会場全体が、彼らの真骨頂ともいえるヘヴィなイントロにのせてコーラスを大合唱。重たいサウンドに引き摺り込まれるように、激しいサビで拳を挙げ、そのままの勢いを「BEASTFUL」に叩きつける。BPMを上げてアクセルを踏み込んだまま加速を続けるZepp DiverCityの勢いは、『FAB LOVE』中、最もアッパーな「Jump And Pump」で最高潮を迎える。e-ZUKAの弾けるスラップギターが聴こえた瞬間、湧き上がる大歓声が耳に痛い。
「LisOeuf♪」vol.13の『FAB LOVE』リリースインタビューで、e-ZUKAは「Jump And Pump」を今までのGRANRODEOナンバーと比較して、「ワンコードでずっと跳ねる曲がなかったので、ダンサブルでゴリゴリのナンバーにした」と語っていたが、まさにその光景がここにあった。ハイテンションをキープしながらうねりをあげるサウンドをバックに、バンドメンバーとKISHOWが跳びながら煽る「ジャンプ!ジャンプ!」の声。オーディエンスが必死で食らいつきながら跳び跳ね、フロアの人の塊に合わせてZepp DiverCityの床が大きく揺れる。「GRANRODEOのライブは、みんなが自由に、好きなように楽しんでほしい」とは、この日、MCの中でe-ZUKAが言っていた言葉なのだが、この「Jump And Pump」ばかりは、全員が一体にならずにはいられない曲。これから始まる”FAB LOVE”ツアーでも、「Jump And Pump」がピークタイムを作り上げることになるのは、誰が見ても明白だ。
そして、ひとブロック前で重たいパンチをボディに効かせた「ラクガキMOON」と、顔面を連打されるような「Jump And Pump」。ライブでも好対照な衝撃を与えるこの2曲だけでも、アルバム『FAB LOVE』の奥深さと、GRANRODEOの音楽性の幅広さ、バンドとしての多面的な懐の深さを体感できた。
もうひとつ、GRANRODEOの音楽性の深さをライブで実感できたのが、ロサンゼルスで現地のレジェンドなミュージシャンとレコーディングしたナンバー、「Take it easy」と「JUNK-YARD DOG」だ。ロサンゼルスでの思い出を振り返るMCに続いて、バンドサウンドで初披露されたこの2曲。e-ZUKAのクリーンなギターにのせて、高揚感に満ちたKISHOWの伸び伸びとした歌声が、カラッと晴れ上がった西海岸の風景を呼び起こした「Take it easy」。どこか懐かしさを感じる洋楽的なタイトなリフと、日本人らしいメロディアスなボーカルが重なるリズム&ブルースロック「JUNK-YARD DOG」。そこから熱狂は、GRANRODEOのライブアンセムともいえる人気ナンバー「ROSE HIP-BULLET」と「modern strange cowboy」でさらにアップ。疾走感あふれるヘヴィメタルとハードロックの融合というGRANRODEOサウンドのパブリックイメージに、『FAB LOVE』の個性的な新曲群が加わることで、彼らの魅力に新たな次元が加わったことを、今回のステージがあらためて証明していた。
「こんなに盛り上げるつもりじゃなかったのに……(みんなに)ノセられちゃったじゃねーか!(笑) キミたちすごいね。みんなどんだけ元気なんだよ」と、KISHOWが息を切らせる。そして、スタートが迫る”FAB LOVE”ツアーについてe-ZUKAが、「シドとの対バン、ランティス祭り、このlimited SHOWで、かなりの曲数を練習したんです。ツアーは、さらにこの2倍くらい曲をやります。何回観ても飽きないライブをね! ガラッと変えて……たまにGRANRODEOじゃないバンドが出てくるかも?(笑) 早くツアー行きたいな!」と、待ちきれない想いを語る。今日のステージを待ちきれず、とにかく歌を歌いたかったKISHOWが、前日に4時間半もひとりカラオケに熱中したエピソードを話すと、客席は大きくどよめいていた。
そして「アルバムでまだやってない曲があるんで!」と、本編ラストを飾ったのは壮大でドラマティックなミドルナンバー「the one」。激しい曲を歌うときとは表情がまるで違う、やわらかでロマンティックなKISHOWの歌声とe-ZUKAの美しいギターソロ、瀧田とSHiNのエモいリズムが、温かな感動でZepp DiverCityを充たしていった。
数々の新曲が披露された「limited SHOW」は、アンコールにも新曲が。Tシャツに着替えたメンバーがポジションに着き、アイリッシュなイントロが流れた瞬間、「きゃーっ!」と大歓声が湧いたのは、「セツナの愛」のカップリングナンバー「フォルテ」。民族調の印象的なリフと切ないメロディーで、シングルリリース時から評価の高かったこの曲を待っていたファンの多さに驚かされる。ふたりが客席にアンケートを取ると、平日ど真ん中にもかかわらず、北海道から九州まで全国各地からファンが来てくれたことが分かり、KISHOWとe-ZUKAが「すごいね! ほんとにありがとう!」とあらためて感謝を述べる。そして、約半年ぶりのワンマンを締めくくったのは、「これやったら、ツアーまでおあずけだぞ! 暴れていけよ!」と放たれたのは、いつも以上に熱い「Can Do」だった。
最後の挨拶には、GRANRODEOのマスコットキャラクター「ロジャー」と「ジーナ」の2頭も顔を揃え、KISHOWとe-ZUKAが固いハグを交わす。「最高だった! マジでツアーが楽しみ、こうご期待です。ツアーで会いましょう!」。メンバーのやりきった笑顔が、早くも”FAB LOVE”ツアーの成功を予感させる濃厚な1夜の終わりは、「FAB LOVE」のインストゥルメンタルに合わせてライブの名残を手拍子と歓声で喜ぶ、オーディエンスの大きなエールに彩られた。
また、この日の模様は、MTVにて、”FAB LOVE”ツアーまっただ中の8月29日(木)、23:00~24:00に「MTV LIVE: GRANRODEO limited SHOW」としてオンエアが決定している。そちらもぜひチェックすべし!
Text By 阿部美香 Photography By 平野タカシ
「GRANRODEO limited SHOW supported by MTV」
6月25日(火)東京・Zepp DiverCity
<セットリスト>
1.Deadly Drive
2.Glorious days
3.Darlin’
4.FAB LOVE
5.move on! イバラミチ
6.ラクガキMOON
7.セツナの愛
8.BEASTFUL
9.Jump And Pump
10.Take it easy
11.JUNK-YARD DOG
12.ROSE HIP-BULLET
13.modern strange cowboy
14.the one
アンコール
15.フォルテ
16.Can Do
SHARE