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REPORT

2019.06.05

レーベル初の音楽フェス“SACRA MUSIC FES.2019 -NEW GENERATION-”レポート

レーベル初の音楽フェス“SACRA MUSIC FES.2019 -NEW GENERATION-”レポート

数多くの人気アーティストが所属する新進気鋭のレーベル・SACRA MUSICによる初の音楽フェスティバル“SACRA MUSIC FES.2019 -NEW GENERATION-”が、5月18日・19日に千葉・幕張メッセ イベントホールで実施された。SACRA MUSICと言えば、アニメ音楽のファンにとってはすでにおなじみのレーベルだが、実はアイドルからVTuberに至るまで、様々なジャンルで活躍するアーティストが在籍していることで知られる。今回は多彩なアーティストが集結。日替わり曲や豪華なコラボレーションも含め、フェスならではの特別感溢れるイベントとなった。本稿ではその2日間の模様をまとめてレポートする。

会場に入ってまず目に付いたのが、ホールのアリーナ中央に設置されたステージ。形は正方形で、その四辺のうち一辺から花道が伸びており、さらにその周囲360度を客席が取り囲んでいる。ステージ側から見ると全方位をオーディエンスに囲まれ、観客からすれば演者との距離を感じずに楽しむことのできる、ライブの熱気を増幅するような作りだ。四角いステージの上空には大きなモニターが4方向それぞれに吊り下がっており、まずはそこにバーチャルYouTuberの輝夜 月が登場。ライブの諸注意を読み上げた後、「盛り上がる準備はできてますかー!」と会場いっぱいの観衆に呼びかけて興奮を引き出す。続けて、この日の出演アーティストを紹介するオープニング映像(SACRA MUSICらしく桜をモチーフにした内容だった)でさらに期待を煽り、ついにフェスがスタート!

一番手を務めたのは、熱狂的なライブパフォーマンスで支持を広げる5人組ロックバンドのPENGUIN RESEARCH。まずは「WILD BLUE」の“Come on, Come on, Come On”という印象的なコーラスフレーズをSEに、メンバーが花道から一人ずつ登場して各々の楽器の場所にスタンバイすると、最後に現れた生田鷹司(ボーカル)がマイクを握りしめ、そのまま「WILD BLUE」からライブを開始。大股を開いてワイルドに演奏する堀江晶太(ベース)、楽器台に片足を載せてアピールした柴﨑洋輔(キーボード)など、のっけからフルスロットルの歌唱&演奏で熱気を生み出す。

そこからさらに攻撃的な最新シングル曲「決闘」では新保恵大(ドラムス)がツーバス連打でメタル魂を爆発させ、生田もハードな音に負けないハイトーンボイスでリード。そして1日目は「近日公開第二章」、2日目は「敗者復活戦自由形」と、どちらもハイテンション極まりないナンバーで締め。ここでは神田ジョン(ギター)がサイリウムをスライドバー代わりにしたりと、トリッキーなプレイでも魅せてくれた。最初から最後まで全力で駆け抜ける彼らのステージは、宴の開幕を飾るにふさわしい迫力を纏っていたと思う。

そしてここで早くもビッグなサプライズが訪れる。なんとClariSとTrySailの2組による初のコラボレーションが実現したのだ。

1日目では、ClariSの代表曲「コネクト」が流れ出したかと思うと、中央のステージとは別の移動型ステージに乗ってTrySailの3人が登場。麻倉ももはピンク、雨宮天はブルー、夏川椎菜はイエローと、それぞれのイメージカラーのClariS風の仮面をつけている。彼女たちはそのまま「コネクト」を1番まで歌うと、中央ステージに向かって「ClariSさーん!」と呼びかけ。すると今度は花道からClariSのふたりが現れ、2番を歌い継ぐ。さらに間奏でClariSの「TrySailさーん!」という声に、いつの間にか移動していたTrySailの3人が花道から登場し、最後は全員で歌唱。2日目には逆に、まずClariSが移動型ステージに乗って現れ、TrySail「かかわり」を同じ流れでコラボした。純白の衣装を着た5人の麗しい美声に、心を奪われた人も多かったはずだ。

夢のような共演に続いては、綾野ましろがポップアップでステージに勢いよく登場。ミニスカートの裾に鮮やかなグリーンをあしらった、白地のかっこよさとかわいさを兼ね備えた衣装に身を包んだ彼女は、まず爽快なロックチューン「NEWLOOK」を披露する。

客席は彼女のイメージカラーであるホワイトのペンライトで一面染まり、綾野はその360°を白銀に囲まれた光景をうれしそうに堪能しながら、ステージ上を元気いっぱいに動き回って伸びやかな声を会場の隅々にまで届けていく。2曲目は日替わり曲となり、1日目は熱をはらんだボーカルが聴く者の胸を震わせた「starry」、2日目はクールな雰囲気からドラマティックに進展していく「衝動」を歌唱。

最後は自身のデビュー曲でもある「ideal white」で盛大なクラップやコールを巻き起こす。落ちサビでは真っ白な客席のところどころにオレンジのサイリウムが混ざり、歌詞にある“真白な未来”に希望の灯りが灯されたかのような場面も。凛々しさと清々しさを感じさせるステージでフェスの序盤戦を盛り上げた。

なお、今回のフェスでは、黒須克彦(ベース/バンドマスター)、三沢崇篤(ギター)、今井 隼(キーボード)、山内 優(ドラムス)という腕利きのミュージシャンから成るSACRA BANDが、綾野以降のほとんどのアーティストの楽曲で演奏を担当。生バンドならではの迫力やグルーブ感を持ったサウンドが、本公演の価値を高めていたことは間違いない。

次いで、同じポップアップによる登場でも、綾野とは対照的に静かにステージに現れたのは、三月のパンタシアのボーカリスト・みあ。ひらひらのフリルを全体にあしらった紺色の衣装に赤いスニーカーを合わせたポップな装いの彼女は、PENGUIN RESEARCHの堀江晶太がアレンジで関わったシングル曲「ピンクレモネード」でライブをスタートさせる。

スクリーンには同楽曲のカラフルなイラストを用いたMVが投影され、楽曲の世界観を視覚面でも演出。みあは躍動感に満ちたバンドサウンドに乗せて、恋する女の子のもどかしい気持ちをガーリーな歌声で表現していく。メディアに本人の顔や写真を公開していないこともあってか、今ステージ上でリアルに歌っているにも関わらず、どこかファンタジー感があるのが不思議だ。

生まれて初めての床の下からの登場にドキドキしたという、なんだか和むMCを経て、1日目は「青春なんていらないわ」、2日目は「パステルレイン」を披露。歌詞の物語性を大切にしながらも、聴き手の高揚を誘う楽曲で会場の熱気を引き出し、ステージから去った。

その余韻に浸る間もなく、すでに夕刻であるにも関わらず「おはよー!」というお決まりの挨拶でスクリーンに再登場したのが、バーチャルYouTuberの輝夜 月だ。

昨年8月に世界初のVRライブを開催するなど、音楽活動も精力的に行う彼女は、今回のフェスに前説のみならずひとりのアーティストとして参加。

1日目には、ヒップホップとハードコアパンクがキャッチーに融合したデビュー曲「Beyond the Moon」をかわいらしい動きで元気はつらつに歌い上げ、2日目はアグレッシブなパーティーチューン「Daity Party feat.エビーバー」のラップっぽい歌唱で会場をロックした。

続いては3人組ポップロックバンドのスピラ・スピカ。昨年8月にSACRA MUSICからメジャーデビューしたばかりの、まさにレーベルの「NEW GENERATION」と呼べる存在だ。ライブは弾けるような歌い出しが魅力的なデビュー曲「スタートダッシュ」でスタート。

幹葉(ボーカル)、寺西裕二(ギター)、ますだ(ベース)の3人は三角形を描くようなポジションで、ステージ上を回りながら楽曲を披露。全方位の客席に向けてまぶしい笑顔と爽やかなサウンドを届ける。そしてMCは幹葉の独壇場。徳島出身の彼女は阿波弁で気さくなトークを展開し、1日目は彼女の一番好きな挨拶だという「やっほー!」を会場のみんなと唱和。

2日目は彼女たちの楽曲「じゃんけんキング」にちなみ、オーディエンスと一斉にじゃんけんを行って楽しく盛り上げる(チョキを出した幹葉は「皆さんパーですね」と強引に話を進めて「私がじゃんけんキングじゃー!」と宣言)。最後は新曲「恋はミラクル」を天真爛漫にパフォーマンスし、ホールにたくさんの笑顔を咲かせた。

他のメンバー2人を「バイバーイ!」と送り出し、一人だけステージに残った幹葉は、ここで同じくレーベルの新世代であるhalcaを迎えてコラボレーションすることに。

出会うなり仲良さそうに抱き合うふたり。halcaが「小文字で5文字のhalcaです!」と挨拶すると、幹葉もそれをマネて「漢字で25画の幹葉です!」と挨拶したりと、実に微笑ましい。そんな彼女たちが歌ったのは、レーベルの先輩である春奈るなの楽曲。1日目は「君色シグナル」、2日目は「アイヲウタエ」を日替わりでデュエットし、エネルギッシュな幹葉とスウィートなhalcaという全く異なる声質を重ねて楽曲を紡いだ。終盤には幹葉がhalcaの手を取って花道をダッシュしたり、ステージ上で追いかけっこを始めたりと、見ているととにかく楽しい気持ちが溢れてくるコラボだったように思う。

そして今度はhalcaの出番。幹葉を送り出し、そのままステージに残ったhalcaは、改めて初々しい佇まいで挨拶を行い、ライブを始める。1日目に歌われたのは、彼女のデビュー曲でもある華やかなポップチューン「キミの隣」。

ペンライトで一面ピンク色に塗り替えられた会場を見渡しながら、甘酸っぱい歌声と可憐な動きで楽曲の世界観を紡ぎあげていく。2日目は一転してどこか勇ましい歌い口が魅力の「スターティングブルー」を披露。1日目は赤色の華やかなトップス、2日目はデニム地のジャケットと、それぞれの楽曲のイメージにマッチングする上着を羽織っていた。

MCで「TVアニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』観てくれましたか?」と呼びかけた彼女は、そのEDテーマとして好評を博した「センチメンタルクライシス」をラストに歌唱。長い手足を使ったしなやかな振り付けも込みで、恋に揺れ動く感情をしっかりと表現して会場を魅了した。

続いて会場を心地良いグルーブで満たしてくれたのが、声優の斉藤壮馬。

「デート」のイントロが奏でられるや否や、客席からは黄色い歓声が上がり、それに応えるように本人が花道から颯爽と登場。薄手のスプリングコートに白の開襟シャツ、白のストールという大人コーデでキメた彼は、清涼感のある歌声とスタイリッシュなパフォーマンスで、ファンとのデートの時間を盛り上げる。

MCで「穏やかに、のんびりと楽しんでいただければ」と語った彼は、続いて「初心に返ってこの曲を」と、大石昌良が楽曲提供したデビュー曲「フィッシュストーリー」を披露。ストリングスと軽快なバンド演奏が絡み合うゴージャスなサウンドに乗せて歌声を広げ、最後は「ラーラーラー」と大合唱を巻き起こして晴れやかな時間を作り上げた。

さらに斉藤は「僕もコラボしまーす!」と、PENGUIN RESEARCHの生田鷹司と堀江晶太をステージに迎える。堀江は普段のベースとは違ってアコースティックギターを手にし、SACRA BANDの今井 隼もキーボードでサポート。その4人のみでPENGUIN RESEARCHの楽曲「ボタン」を感傷たっぷりにパフォーマンスする。

まず生田がAメロを歌い、次いで斉藤がBメロを、そしてサビではふたりが切々とした歌声を合わせて、会場は一気にしっとりとした雰囲気に。2番では斉藤と生田が向き合いながら歌う場面も見られ、過ぎ去った青春を惜しみながら前に進む気持ちを歌った名バラードを、繊細かつ力強く表現した。

その流れを断ち切るようにダンサブルなSEが始まり、今度はGARNiDELiAが登場。

メイリア(ボーカル)とtoku(キーボード)は和のテイストを採り入れた豪華絢爛な衣装を身にまとい、1日目は2名の女性ダンサーを引き連れて「SPEED STAR」、2日目はふたりだけで「ambiguous」からライブをスタートさせる。いずれもライブでは鉄板のアップチューンということで、会場のボルテージは一気に上昇。そこからMCを挿んで、メイリアと4人のダンサーによる息の合ったダンスパフォーマンスも素晴らしかった「REBEL FLAG」、その5人が扇子を持って華麗に舞う「約束 -Promise code-」と、見た目の華やかさも込みで観客を惹きつける。

ラストは雅やかな音色とEDM直系のダンスビートが融合した人気曲「極楽浄土」を歌唱。メイリアが事前にレクチャーしたコール&レスポンスで会場の心は一体となり、「ソレソレソレソレ!」と祭りの掛け声が狂い咲くなか、フェスの前半戦は幕を閉じた。

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