世界の総人口の約8割が何らかの超常能力“個性”を持っている超人社会で、その“個性”を悪用する敵(ヴィラン)と戦うために自らの“個性”を発揮して世のため人のために働くヒーローが存在する世界。そこで“無個性”に生まれながらも憧れのヒーローになるべく持ち前の正義感を胸に進む緑谷出久(デク)を主人公とした青春群像ヒーロー劇『僕のヒーローアカデミア』。今年の10月よりTVシリーズ第4期の放送が決まった本作が、今年も“Anime Japan”のステージに登場した。
「みなさぁーん!こんにちはーーーー!」とステージに最初に登場したのはデクを演じる山下大輝。そんな山下の声に会場から大きな歓声が起きる。山下と共に爆豪勝己役の岡本信彦、麗日お茶子役の佐倉綾音、飯田天哉役の石川界人、轟 焦凍役の梶 裕貴も登場し、デクたちの通う雄英高校ヒーロー科1年A組主要メンバーが勢揃いとなった。
ところが始まるなり、比較的緩いステージ上。
「この空気感、いいの?」と岡本が言うと「『ヒロアカ』特有のわっちゃわちゃ感だね(笑)」と梶も笑ってしまう。仕切り直すように山下から自己紹介と挨拶が始まり、イベントは幕を開けた。
「久しぶりにこのメンバーが揃ったので、うれしいです。……1A、いいなぁ!」とうれしそうな山下だが、そこでMCが登場し、イベントを仕切ってくれると安堵の笑顔を見せた。そんな『ヒロアカ』がAJのステージに登場するのは4回目。アニメも4期に突入する、ということで会場にはファンもたくさん駆けつけた。
「(4期決定は)めちゃめちゃうれしいですよね。どんどんどんどん、1期2期3期と盛り上がっているな、というのを実感していますし、これからまた10月に4期があるということでさらに盛り上がっていくんだろうな、と思いました。何よりも“Plus Ultra<プルスウルトラ>”が浸透していっているのがすごくうれしいんですよ。もう1回目(のAnimeJapanのステージ)は涙が出そうでした」(山下)
「お客さんが声を出してくれるのがうれしいよね」(岡本)
「最初はね……」(梶)
「なんであのとき、“Plus Ultra”って言わなかった!!!!!! 何で言わなかったんだー!めっちゃ寂しかったんだからなぁぁぁぁぁ!」(石川)
第一回目のステージでは司会をやっていた石川が客席に向かってヒロアカの代名詞的なセリフである「Plus Ultra!」と言ったところ、返事はまばらで小さな声がちらほらと返って来るだけだった、と哀しそうに叫ぶ。
「でもほら!それがもう今となっては日本のみならず、ですから!ありがたいですね」(梶)
そんなヒロアカステージは今日も、ラテン語で「更に向こうへ」を意味するPlus Ultraという言葉のとおり、熱いハートで進んでいく。そんな楽しげな雰囲気のステージは、ここからキャストによる朗読劇へと移っていく。“AnimeJapan”では初の試みとなる『ヒロアカ』の朗読は、これまでの名シーンをライブ感ある朗読で聴かせるというものだ。会場から湧き上がる拍手に期待の高さがうかがえる。そんな朗読は、3期の終盤、ガチンコのケンカをしてしまったことでペナルティを受けたデクと爆豪が寮の清掃をしているところから始まる。
掃除をするデクと爆豪を見るお茶子は、体育祭での爆豪との戦いを思い出していた。到底勝てる相手ではないと思われた爆豪に立ち向かう彼女の心を奮い立たせたのは、頑張るデクの姿だった、と思い出すお茶子。その隣で轟も、同じ体育祭でのデクとの戦いを思い出していた。過去の因縁から憎んでいた、自身の父親であるプロヒーロー・エンデヴァーにこだわるあまりに、父の“個性”である炎熱を使おうとしなかった彼を奮起させ、壁を乗り越えさせたのは、デクの何度でも立ち上がる姿と彼の言葉だった。そしてまた、飯田はデクと轟を見つめていた。兄であるヒーロー・インゲニウムの仇である“ヒーロー殺し”ステインと対峙したときの自分。復讐に取り憑かれ、目の前の自分のことしか見えていなかった飯田に、ヒーローの本分を思い出させたのは、飯田を助けにやってきたデクと轟の存在とその言葉だった。そしてデクは、幼なじみである爆豪との深夜の決闘を思い返す。No.1ヒーローのオールマイトを引退に追いやってしまったと責任を感じている爆豪。そんな彼の抱える苦しみを受け止められるのは自分しかいない、と向き合ったデク。力と力が激しくぶつかり合う、壮絶な戦い。そんな各キャラクターと演じるキャストのパワーを感じさせる、熱い朗読劇となった。シナリオを制作する際には、今回登壇の5名のキャラクターの見どころを探していた、という制作スタッフ。とにかく見どころが多く、それをどうコンパクトに、熱く届けるかが大変な作業だった、と話す。そんな甲斐もあり、素晴らしい朗読の時間となった。
ここで、大ヒットを記録した昨年夏公開の劇場版のBlu-ray&DVD情報、そして7月7日(日)に開催される『ヒロアカ』最大級のイベント「HERO FES<ヒーローフェス>」の情報が紹介され、このステージはエンディングへ……と思いきや、「更なるインフォメーションがある」というMC。キャスト陣の台本にはなかったが、ステージ後方のスクリーンをキャストの5人も観客と一緒に見ることに。そこに浮かび上がったのは、なんと、劇場版「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」最新作、今冬公開決定!の文字。絶句、からの大歓喜となるキャスト5人。実は出演者にもサプライズの情報解禁だったのだ。
「えー!?知らない!?」「我々何も聞いていない!」と口々に驚きを口にするキャストたち。
「皆さまも驚かれたと思いますが、我々キャストも初耳なので(汗)」と梶が言えば「本当にーーー!?」と歓喜の声をあげている佐倉。前作の劇場版に続き、原作者である堀越耕平氏が総監修とキャラクタ―原案を手掛けることも発表され、堀越氏による記念イラストも公開。
さらに「(前作を)観てくださった皆さんのおかげで一生に一回が二回に、そしてデクたちが再び銀幕で活躍できることになりました。感謝の気持ちを劇場でお返しできるように、できる限り頑張ります!」という堀越氏のコメントも発表された。
昨年夏に公開された劇場版は大ヒットを記録し、北米でも公開。北米で公開された日本映画の歴代興行収入ベスト10入りも果たすほどの人気に。さらに3月には中国全土でも公開されるなど、国内のみならず海外での人気の高さも劇場版新作制作への力となったという。このニュース、キャスト陣にとっては正真正銘のサプライズとなり、MCがアナウンスするあいだも、互いに顔を見合わせながら「知ってた?」「知らなかった」と口々に言い合っているキャストたち。驚きと喜びの大きさは観客と同じ、いや、それ以上であることを感じさせた。
そしてイベントはフィナーレへ。この時間を共に過ごし、楽しんだオーディエンスへ向けてキャストそれぞれからメッセージが送られる。
「なかなか我々も同時にサプライズを仕掛けられることはないんですけど……やっぱりサプライズというのは、中身がうれしいものだと最高です。最初に知った感動を皆さんと共有できてうれしかったなと思います。映画は今冬公開ということですが、その前には、10月からのTVアニメ第4期放送もありますし、7月7日にはイベントも待っております。ますます高まるヒロアカ熱を感じつつ、一緒に楽しんでいただければと思います。引き続き『僕のヒーローアカデミア』を、アニメ、原作共に応援してください。よろしくお願いします」(梶)
「3期までやらせていただいて、そして4期と、ここまで長く『ヒロアカ』を続けてこられたのも皆さんの応援あってのことだと本当に思っております。そして梶さんも言っておられましたが、出演者側にまでサプライズをすることは、本当になかなかないんですよ。びっくりして、何を言おうとしていたか言葉が飛んでしまいました(笑)。またみんなで熱い物語を紡いでいけたらいいなと思っておりますので、完成したら皆さん、劇場に観に行っていただけたらと思います。その前に4期を観て熱を高めていただいて。僕らも皆さんと同じ目線になって『ヒロアカ』を楽しみながらアフレコに臨みたいと思います。これからも『ヒロアカ』をよろしくお願い致します!」(石川)
「(劇場版最新作での)お茶子の出番の有無も含めて、非常に私もワクワクしています。TVアニメ4期は、原作を読んでいらっしゃる方はわかると思いますが、まず男子がすごく頑張るお話なので、引き続きお茶子として見守って、そして加勢して、頑張って演じたいと思っています。イベントもあります、4期もあります、どうやら劇場版もあります。ワクワクがたくさん、たくさん待っていると思います。今年も『ヒロアカ』を追い続けていただけたらなと思っています。引き続き応援をよろしくお願いいたします」(佐倉)
「劇場版の発表、本当にびっくりしました。僕も毎週月曜日にジャンプ+で『ヒロアカ』を楽しみに読んでいるんですけれども、だからこそ横にいる単行本派の山下大輝くんに“デク、今こんなことになっているよ”って言いたくて言いたくてしょうがないです!(「やめてくださいよ!」by山下)もうウズウズしちゃうんですけど、そんな中で劇場版は何をするんだろうとすごく楽しみです。新キャラも出るんじゃないかと思いますし、その新キャラの設定なども堀越先生が描かれるならどんなキャラクターが出てくるんだろうと、ファンとしてもとても楽しみで。これからも皆さんの力でヒロアカをどんどん応援してくれたらうれしいなと思います」(岡本)
「びっくりしました。本当に知らなかったことなので、まさかこのステージでそんな情報が飛び出るなんて予期していなかったです。とてもうれしいなというのと同時に、それだけ皆さんの期待を背負っている作品なんだなということを改めて感じました。前の劇場版は(3期の支所で描かれた)林間合宿の前のお話ということだったのですが、今回はどこの時期のお話なんだろう?と、いろんな想像が膨らみます。けれども、僕らも何も知らないので皆さんと一緒に情報が届くのを楽しみにしていけたらいいなと思います。何よりも制作スタッフさんが(4期と)同時進行で作られているとも思うので、スタッフさん、一緒に頑張っていきましょう、という気持ちでいっぱいです。ぜひぜひ周りのまだ『ヒロアカ』を知らない人たちにも『ヒロアカ』を広めて、こんな素敵な作品があるんだよ、と教えていただけたらうれしいなと思います。これからも頑張っていきますので、どうぞ引き続き応援よろしくお願いします!」(山下)
そして最後はこの日いちばんの声で、会場一体となって「さらに向こうへ!Plus Ultra!」と声を張り上げてイベントは幕を閉じたのだった。今年も『ヒロアカ』から目が離せない!
“AnimeJapan 2019”TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』2019 PLUS ULTRAステージ
2019年3月23日(土)東京ビッグサイト「AnimeJapan 2019」COBALT BLUEステージ
出演:山下大輝、岡本信彦、佐倉綾音、石川界人、梶裕貴
Text By えびさわなち
©堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
©2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 ©堀越耕平/集英社
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