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2019.03.16
ボーダー柄のコンビが、サイコロ片手に“ノー・ボーダー”の精神でナイスな音楽を聴き歩く――。
「ボーダーズの“音の場”season2」第24回となる今回、ふたりが降り立ったのは最近の再開発で町の景観もガラッと変わった大崎。東海道の街道筋にあり古くからの遺構と新しい街が融合するこの場所でふたりは一体どんな音楽を聴くのでしょうか?
――今回は大崎です……が、まさかの豪雪に見舞われるという、連載史上もっとも過酷なロケとなりましたね。
北川勝利 でも最初の頃も大変だったよね。
藤村鼓乃美 渋谷ですよね。あのときにもすごい雨が降りました。
北川 でもここまで雪降るとは思ってなかったけど(笑)。
藤村 心の準備ができていなかった(笑)。
――さて、大崎ですが、山手線からりんかい線に接続する駅ということで、お台場や東京ビックサイトへ行くときに利用することが多いですよね。おふたりは、大崎は馴染みがありますか?
北川 大崎に着いて、乗り換えとかでこの駅の改札を出る手前まではたまに見るなと思ったぐらいで、駅から出たのは初めてでしたね。
藤村 私は乗り換えで使ったこともなかったので、初めての大崎でした。
――さて、大崎散歩ですが、最初に向かったのが……。
北川 大崎を出て、まず何があったっけ?
藤村 出て……何がありましたっけ?
――……なんでしたっけ?
藤村 ちょっと待って!3人で頭抱えるのはナシですよ!(笑)。
北川 雪のせいで記憶が……(笑)。
藤村 全部雪のせいだ!(笑)。ええと……あっ、神社だ!
北川 そうだ、神社だ!
――そうでした(笑)。最初の目的地の居木神社に行って、藤村さんは厄除けをされたんですよね?
藤村 私、厄除けしたんだった(笑)。今年厄年なので。絵馬で“厄”という文字を切り抜いて、厄を落とした絵馬を飾るというのをしてきましたよ。
北川 厄除けしてたんだ。
藤村 「厄除けしてたんだ」って、ボーダーズで来てるのに全然見てないでしょ!(笑)。
北川 僕は身長測っていたから。“成長のあかし”っていうところに立って、「背高くなかったかな」って(笑)。
――居木神社のあとは、大崎のランドマーク「アートヴィレッジ大崎」に向かいました。ここでは数々のアート作品が置いてあるんですが、北川さんが気になっていた作品があったんですよね?
北川 そうそう、電車に乗っていると見える不思議な風景のベスト3に入っているものでした。なんか……小人? まあでかいんですけど(笑)。
――インゲス・イデー作「グローイングガーデナー」という作品だそうです。巨大な小人の像で、帽子が上空まで伸びている、確かに車窓から見たら気になりますよね。
北川 大きな小人がいるなって昔から気にはなっていて。今日たまたま通りすがりに大きな帽子が伸びているのを見つけて、「もしかしたら気になっているアイツかな」と思って。
――変わった街灯かと思いますよね。
北川 そうそう。
藤村 超長いですよね、あれ。
北川 アートですよね。あとは……ピーマンか。
藤村 ありましたね、スケスケのピーマン。スケスケって(笑)。
北川 間違ってないけどね(笑)。
――おふたりはこうした現代アートは興味ありますか?
藤村 私あります。全然詳しくないんですけど、「なんでこれを作ろうと思ったんだろう」って考えたり、説明を見たときのアハ体験というか、そういうのが面白いですよね。
――さて、このあたりから雪が本降りになってきました。
北川 ここから雪のなか目黒川沿いをがっつり歩いて、結構小さい橋がいっぱいかかっているのを確認するという(笑)。
藤村 IMAGICAの前まで行きましたね。
北川 イマジカの前でめっちゃ雪降ってるっていう写真を撮って(笑)。
藤村 そのあと近くのたこ焼き屋台でたこ焼きを買い(笑)。
――そこから川沿いを南下していきました。
藤村 今日だいぶ歩くなと。寒い日に限って(笑)。
――続いて向かったのが品川区の東海寺近くの墓地。ここは多くの偉人が眠る場所です。
藤村 まずは沢庵和尚のお墓の前で写真を撮りました。
北川 カメラマンさんに「タクアン齧ってるみたいなポーズとってください」と言われ(笑)。
藤村 毎回「◯◯している風で」と面白いディレクションをされるんですよ。
北川 毎回無茶振りが(笑)。しかも切っていないほうのタクアンを丸かじりするポーズってやったことないよ(笑)。
藤村 最初はご飯と一緒に食べている感じだったんですけどまさか丸かじりとは(笑)。
北川 そのあとは「電車みたいなポーズ」って言われたところもありましたよね。
――“鉄道の父”と呼ばれる井上 勝のお墓の前です。なかなかチャレンジングなディレクションをしますよね(笑)。
藤村 いいのかなあって思いながら撮られていました。
北川 あと島倉千代子さんのお墓も、多分ファンの方なんだろうけどお花がすごく飾ってあって。隣のベンチにファンの集いみたいな張り紙もあって、そうやって今も集まったりしているんですね。
――島倉さんが亡くなられたのは2013年11月ですが、5年以上経った今でもファンの方が訪れているんですね。我々が伺ったときは大雪だったので人はいなかったですが、たくさんのお花がありました。
北川 島倉千代子さんって知ってる?
藤村 歌は聴いたことありますね。
――有名なのはやはり「人生いろいろ」ですよね。1987年の曲です。
藤村 その歌は知ってますね。“人生いろいろ 男もいろいろ”……。
北川 そのあとは?
藤村 “女だっていろいろ 咲き乱れるの”。
北川 おおー(笑)。つい最近、誰かが話しかけてきたんだけど、それがうまく聞こえなくて、“死んでしまおうなんて”って言ったように聞こえたことがあって。
――どういう聞き間違いですか(笑)。
北川 たしかにそんな問いかけないじゃないですか(笑)。でもそう聞こえて、「その歌すげえ知ってる!」って思って調べたら「人生いろいろ」だったんですよね。動画観て、自分が子供の頃にテレビで観ていた島倉千代子と、それをモノマネしている山田邦子という(笑)。記憶通り!って。
――「オレたちひょうきん族」世代はそこで島倉さんを知りますよね(笑)。
北川 ちょっと前の聞き間違いが今日ここに繋がるとは(笑)。
――さて、豪雪の大崎篇でしたが、恒例のおふたりの大崎にちなんだ楽曲をプレゼンしていただきましょう。
★藤村’s Select★
「DREAM SOLISTER」TRUE
藤村 私はTRUEさんの「DREAM SOLISTER」です。『響け!ユーフォニアム』のOPテーマで、アニメには私も中川夏紀役で出ています。
北川 そうなんだ!(笑)。
藤村 いやいや(笑)。いつも「なんとか先輩」って言ってくるじゃないですか。
北川 そうなの?
藤村 嘘でしょ? まあいいや(笑)。なぜこの曲かというと、今日社屋を見に行ったIMAGICAで『ユーフォニアム』の最初の映画の初号試写を観たんですよ。
――アニメ映画の初号試写というとIMAGICAでというイメージがありますよね。
藤村 初めて映画でちゃんと名前のある役で出るのが感動で。当時は春だったのでIMAGICAの周りはすごくきれいな桜が咲いていて……。で、いつもあそこに行くと美味しそうなたこ焼き屋さんがあって、「食べたいなー」と思っていたのが今日食べられてよかったです(笑)。
――でも藤村さんは大崎には降りたことないんですよね?
藤村 IMAGICAは五反田のほうから行っていたんですよね。
北川 そうだ、いつも地図もらうときは五反田からだよね。
藤村 でもまあ今日行っちゃったんで(笑)。『ユーフォニアム』は春にまた新しい映画やるので観てください。今日は仕事した!(笑)。
――大崎と告知を見事両立した素晴らしいプレゼンでした!続いて北川さんは……相変わらず告知に徹すると思いますが(笑)。
★北川’s Select★
「プラチナ」坂本真綾(“犬フェス!”リハーサル音源)
北川 えーっと、1曲目は坂本真綾さんの「プラチナ」のリハの音源です。
――ついにリハ音源まで持ち出しましたか!(笑)。
北川 これは“犬フェス!”のリハの音源で、当日インフルエンザで来られなかった菅野よう子さんのピアノで、菅野さんが一部歌っています。菅野さんとステージ上で一緒に演奏するのが初めてで、楽しみにしていたんだけどね。
――うわー、これはすごい!しかし北川さんと菅野さんは共演したことなかったんですね。
北川 うん。真綾ちゃんのアニバーサリー的なもので菅野さんが出たのは観に行っているぐらいで、逆に僕がバンマスをやらせてもらっている真綾ちゃんのツアーに、菅野さんがお忍びで観に来てくださったり。で、終わったあとに「菅野さん来ていたよ」って聞いて全員ビビるという(笑)。
――実際はどんなステージになる予定だったんですか?
北川 「プラチナ」が“犬フェス!”のいちばん最後の曲で、終盤の“I’m a dreamer ひそむパワー”ってところを、真綾ちゃんが歌うだけじゃなくて、菅野さんが歌ってお客さんとコール&レスポンスするっていうパートを挟みたいって菅野さんが言っていて、それをリハで試し試しやって、「あとは本番ね」みたいな感じでした。本番は真綾ちゃんが歌ってお客さんが歌うという感じに変更されたけど。
――菅野さんとお知り合いになったのはいつ頃でしたか?
北川 初めて会ったのは何年前だろう……?ROUND TABLEでもエンジニアをやってくださった藪原(正史)さんという、真綾ちゃんとか菅野さんともずっとやっている方がいて。その繋がりで僕もアニメの仕事をする前から真綾ちゃんの歌を知っていたんですね。で、たまたま僕のMacBookが壊れたときに、藪原さんがそういうのに詳しかったから「スタジオ持ってきな」ってなってビクタースタジオに行ったんですよ。それが真綾さんの『少年アリス』を作っているときで。
――おお、となると2003年頃のお話ですね。
北川 そこでは菅野さんが弦を録ったりしていて、その休憩時間のときに薮原さんにMacを持って行って、たまたま作業の合間の菅野さんによくわからず気軽に「どーも」って挨拶して(笑)。
――わははは、なんとなく想像つきます(笑)。
北川 今回は残念だったけど、リハでできたのはよかったです。いつかやれるといいなあ。
――いやあ、いい話ですね。まあ大崎感はなかったんですけど(笑)。
北川 で、もう一曲は……。
★北川’s Select★
「魔法少女りるりるのテーマ」魔法少女りるりる(CV.楠木ともり)
――きれいに締まったと思ったんですけど(笑)。
藤村 1曲だけじゃないのはいつものことです(笑)。
北川 もう1曲は楠木ともりちゃんという声優さんの曲を今作っていて。彼女がやっているラジオ番組の企画の曲なんですけど、「魔法少女りるりる」というテーマで作っている曲で、魔法少女感の出ている曲がいい感じに出来ました。
藤村 私も聴いたことありますね。
北川 ていうか藤村が仮歌やコーラスをやってくれているのでね。
藤村 最初「リルリル」っていうから某妖精アニメの曲かな?と思ったら「違うよ」って言われて(笑)。
北川 ともりちゃんがともりるって呼ばれているんだよね。3月にイベントがあったり販売があるようなので(イベントはすでに終了)。
藤村 作詞が福本さんなんですよね。
北川 そうそう、作詞が福本岳史さんという構成作家さんなんですよね。
藤村 私も昔やっていたラジオで構成作家をしていただいてお世話になりました。
北川 歌詞が先にあって、魔法少女のテーマで曲をつけるという。かなりいい感じに出来上がったということをここにご報告させていただきます(笑)。
――毎度プレゼンという名の今月のリリース報告でした。
北川 あっ、3月はやなぎなぎさんのツアーも始まるので!(笑)。やなぎなぎさんは年明けの“リスアニ!LIVE”でもバンマスで出させていただいたんですけどね。
藤村 観ました!超楽しかった!
北川 武道館は真綾ちゃんのライブ以来なんですけど、やっぱりお客さん近いなって。一瞬で終わっちゃったので演奏し足りねえって(笑)。
――フェス仕様であり、また北川さんの曲が多かったのもあって、序盤から北川さんたちも前に出て演奏していましたね。
北川 そうそうそう(笑)。1曲目からね。今回は曲数も少ないから、ど頭でドカンとやりましょうかってなって。なので前に出る練習はしていた(笑)。
藤村 あとライブのあとにトークコーナーがあったじゃないですか。司会の冨田(明宏)さんが北川さんを紹介をするときにボーダーズと言ってくれて。「私も私も!」ってなって(笑)。
――あれをきっかけにこの連載を読んでくれるといいですよね!
北川 でもバンドかと思って検索してみたら、ただ散歩しているだけっていうね(笑)。
――さて、それでは次回の目的地を決めるサイコロをお願いします。
北川 よっと。
――出目は26。ということで次回の駅は田端に決定しました!それでは次回は田端でお会いしましょう!
Interview & Text By 澄川龍一 Photography By 山本哲也
●今回のSelect Song
★藤村’s Select★
「DREAM SOLISTER」TRUE
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