REPORT
2018.11.11
「アイドルマスター シンデレラガールズ」のライブイベント「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 6thLIVE MERRY-GO-ROUNDOME!!!」初日公演が2018年11月10日、メットライフドームで開催され、二大ドームを巡るドームツアーが幕を開けた。
初日公演には島村卯月役の大橋彩香、渋谷 凛役の福原綾香、本田未央役の原 紗友里、一ノ瀬志希役の藍原ことみ、速水 奏役の飯田友子、白坂小梅役の桜咲千依、藤本里奈役の金子真由美、宮本フレデリカ役の髙野麻美、小早川紗枝役の立花理香、佐藤 心役の花守ゆみり、向井拓海役の原 優子、安部菜々役の三宅麻理恵、木村夏樹役の安野希世乃、城ヶ崎莉嘉役の山本希望、城ヶ崎美嘉役の佳村はるか、塩見周子役のルゥ ティン、多田李衣菜役の青木瑠璃子、三村かな子役の大坪由佳、相葉夕美役の木村珠莉、前川みく役の高森奈津美、難波笑美役の伊達朱里紗、松永 涼役の千菅春香、川島瑞樹役の東山奈央、棟方愛海役の藤本彩花、大和亜季役の村中 知、姫川友紀役の杜野まこ、大槻 唯役の山下七海が出演した。
ツアータイトルに「MERRY-GO-ROUNDOME!!!」とあるが、今回のライブは広大なドーム会場を遊園地に見立て、アリーナ全体を線路で周回するメリーゴーランド(大型トロッコ)を廻らせるという趣向だ。ステージ設定は、野球でいうセンターの守備位置のあたりに西洋の城をイメージした大型のメインステージ。白っぽい無地の城は、ライトアップによって各アイドルや楽曲をイメージしたカラーに、CuCoPaの属性カラーに、虹色にとめまぐるしく色合いを変える。左右の両サイドには2基の超大型LEDスクリーンが配置されているが、こちらは演者の寄りの映像や表情を見せることに特化していて、映像演出は控えめ。演者の映像に舞い散る桜の花びらを重ねる、といった使い方が多い。この見せ方はドーム会場というステージが遠い会場の特性を考慮してだと思うが、離れたスタンド席から双眼鏡で覗きこんでも映像に破綻がない(どころか演者が飛び出してくるように感じるほどの臨場感)、非常に視認性のいいスクリーンだ。
メインステージからは球場を縦に貫く花道が設定されており、野球でいう二塁ベースのあたりにスクエア状のセンターステージが、ホームベースのあたりに左右に広がるバックステージ。都合みっつのステージと花道、そして球場全体を廻るメリーゴーランド(大型トロッコ)を縦横無尽に使う大人数ドームライブならではの構成だ。メリーゴーランドは球場の内壁に沿った線路を走る大型トロッコで、デザインは有翼のユニコーンが牽く馬車のイメージ。驚いたのはステージの昇降演出に使うタイプのエレベーターをトロッコの機構に仕込んでいたことで、ユニコーンと馬車が移動しながらゆっくりと上下動することで、メリーゴーランドらしさを表現している。
メリーゴーランドというモチーフは、一定のリズムで進んで元の位置に戻ってくることから四季になぞらえられることが多い。今回のセットリストには桜、花、春のイメージが頻出していたが、ライブ終盤に原 紗友里の口から今回のライブのコンセプトが春の遊園地であることが明言された。メットライフドームで二公演、ナゴヤドームで二公演の計四公演の今回のライブ全体を貫くコンセプトは、おそらく春夏秋冬を表現するものになるのだろう。初日公演では、「春の遊園地で過ごす一日」を表現。各ブロック間に進んでいく時計に合わせて、時間帯に合わせた選曲と演出がされた。遊園地というコンセプトにふさわしい、明るく楽しくエンターテイメント性に満ちたライブとなった。
なお、今回のライブではMCを含めたほとんどの時間、演者は(いわゆる中の人ではなく)アイドルを演じてアイドルとして話していたが、本文中では原則としてキャスト名で表記する。
開演前にはアシスタントの千川ちひろ(CV:佐藤利奈)が恒例のライブ前挨拶と諸注意を行なったのだが、「本当に大きい会場でびっくりしています!」と彼女のテンションも上がりがちだ。ライブ本編は、カリスマアイドル・城ヶ崎美嘉役の佳村の声による盛り上げからスタート。佳村が「開幕始球式を行なうよ!」と宣言して呼びこんだのはもちろん野球アイドル・姫川友紀役の杜野まこ。杜野が西武ライオンズのマスコット・ライナちゃんに投じた暴投剛速球によって、華やかなライブは幕を開けた。
ステージに順番に登場して「イリュージョニスタ!」を披露するアイドルたちは、全員が個別衣装を着用。基本は「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 4thLIVE TriCastle Story」の個別衣装がベースだが、大坪や青木のように新規衣装に近いレベルで変わっているパターンもある。4thに参加していなかった組ももちろん個別新規衣装だ。
全員が登場してまず目を引いたのは、相葉夕美役の木村珠莉が夕美に合わせて金に近い色に髪を染めていたこと。普段明るい髪色にしているイメージがあまりないキャストだけに、ビジュアルの新鮮さとこのステージに賭ける想いに驚かされた。ここで各メンバーからアイドルとして短い挨拶が行なわれ、客席を煽る花守の勢いの良さや、挨拶の言葉をかむ姿もかわいい山下の姿が印象に残った。メットライフドーム初日はユニット・炎陣のメンバーが勢揃いしていたこともあり、村中、木村、原 優子といったメンバーの気合が入った気持ちいい煽りが続いた。福原はドームにたどり着いたことに言及すると、「夢みたいな1日を、始めよう!」と宣言。大橋が「メリーゴーラウンドームで遊んでいきましょう!」と締めくくった。
M02:気持ちいいよね 一等賞!(伊達朱里紗・村中 知・杜野まこ)
M03:HARURUNRUN(大坪由佳・高森奈津美・藤本彩花)
M04:TOKIMEKIエスカレート(金子真由美・山下七海・佳村はるか)
M05:ニャンと☆スペクタクル(桜咲千依・高森奈津美)
M06:One Life(千菅春香)
M07:STORY(大橋彩香・福原綾香・原 紗友里)
M08:Starry-Go-Round (THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
始球式を務めた杜野が村中、伊達と共に「気持ちいいよね 一等賞!」で切り込み隊長を務めた。ダンサーたちと3人が一緒に踊るラインダンス風の演出が楽しい。「HARURUNRUN」は季節外れの桜が舞い散る映像演出がこの日のライブの方向性を暗示。ドームの広大なステージのセンターで藤本のひときわ小柄なシルエットが躍動することで、誰よりも目立つのが面白い。
「TOKIMEKIエスカレート」は佳村、山下、金子の3人によるセクシーギャルズが披露したのだが、衣装にきらめくラメをふんだんに散らした佳村のリアル美嘉、リアルカリスマ感がすごい。佳村の全身を使ったTOKIMEKIポーズを山下と金子もアシストすると、最後は3人集まってのポーズでキメた。高森の「ニャンと☆スペクタクル」には桜咲が加わったのだが、これが大当たり。早口パートに小梅特有のささやき感が加わって、楽曲に新しい彩りを与える。猫耳としっぽでフル装備の高森とメイド猫ダンサーズというチームの中で、桜咲が小梅のカラーを貫きながら調和しているバランスがいい。その桜咲が時折ちょいっと猫パンチを見せたりするからこそ抜群にかわいさが映えるのだが、ラストのキメポーズはあくまで小梅風だ。
最初にバックステージを有効活用したのが千菅春香の「One Life」。花道を走ってセンターステージに移動すると、乱れ舞うダンサーたちをも表現にとりこんだような存在感のあるパフォーマンスを見せた。光の中振り返る鮮烈なラストショットが印象的だ。「STORY」は大橋、福原、原のニュージェネバージョンで披露。サウンドの各所に散りばめられたアニメ「シンデレラガールズ」楽曲の数々の旋律が、一曲でアニメを観ていた当時の感情と思い出をかきたててくれる。桜の花びらが舞う中3人が優しく歌う姿が、アニメでの凛と卯月の出会いのシーンにも重なるようだった。
ブロックの締めはツアー直前に「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」に実装されたばかりの「Starry-Go-Round」。アイドルたちは全員が球場を廻る馬車トロッコに分乗。球場を周回する線路を行くゴンドラが上下に動く様はまさにメリーゴーランドだ。
馬車から降りたアイドルたちは、3つのステージを貫く花道いっぱいに広がって歌唱。会場全体を使った見せ方はまさにドームスケールだった。
M09:Radio Happy(山下七海)
M10:DOKIDOKIリズム(伊達朱里紗・山本希望)
M11:Dreaming Star(木村珠莉)
M12:凸凹スピードスター(花守ゆみり・三宅麻理恵)
M13:Jet to the Future(青木瑠璃子・安野希世乃)
M14:Twin☆くるっ★テール(山本希望・佳村はるか)
M15:Virgin Love(金子真由美・原 優子)
M16:Wonder goes on!!(青木瑠璃子・高森奈津美・三宅麻理恵・安野希世乃)
ドラマ仕立てのMCを挟んで、遊園地で過ごすステージの時計は「昼」に。トップバッターは山下七海の「Radio Happy」で、オレンジの光に包まれた会場に壮大なシンガロングが響き渡った。「プロデューサーちゃん、ドームで会えてうれしいよ!」。ソロ曲に別アイドルが加わる化学反応を感じたのが山本希望と伊達朱里紗の「DOKIDOKIリズム」。2人は上手下手の馬車トロッコに分乗して歌ったのだが、2人の手には大きなハリセンが。楽曲と莉嘉のカラーに引っ張られるように笑美(伊達)のかわいさが引き出され、ハリセンを携えた莉嘉(山本)は小気味よいツッコミのイメージで勢いが出た。山本はお姉ちゃんに助けを求める歌詞を「ねえ助けて笑美ちゃん!」ともじってみせた。
ビジュアルが持つ力をまざまざと見せつけたのが木村珠莉の「Dreaming Star」。彼女の衣装は黄色と新緑を基調にオレンジなどの明るい花を咲かせた春らしい色使いなのだが、髪色が金に近づいたことで全体から温度の低い色がほぼ消えた。その周囲を暗めの色調の衣装のダンサーたちが囲むことで、センターステージに一輪の鮮やかな、温かな色の花が咲いたように見えた。ゆったりしたメリーゴーランドを暴走馬車に変えたのが三宅麻理恵と花守ゆみりの「凸凹スピードスター」。「加速加速!」「シュガミンシュガミン!」の連呼での会場の狂騒を「やれんのかお前らー!」とさらに煽り立てていった。
「Jet to the Future」を歌った安野希世乃と青木瑠璃子は、ロックテイストの黒のレザーっぽい衣装に安野がゴールド、青木がシルバーのスカートを合わせた対になる衣装デザイン。青木は髪色も李衣菜に寄せた。2人の衣装デザインが揃ったことで、背中合わせのエアギターセッションが抜群に映えていた。「Twin☆くるっ★テール」は佳村と山本の城ヶ崎姉妹の共演だ。ハートのマークを一緒に作ったり、姉妹の仲の良さが伝わってくるパフォーマンス。半野外の広がりがある会場なこともあってか、この曲の転調後の洪水のようなパワーがよりダイレクトに伝わってくるように感じた。
続くユニット曲は原 優子と金子真由美、ノーティギャルズによる「Virgin Love」。上手下手の馬車に分乗したことで2人の距離はかなり離れているのだが、ライトとレフトの守備位置にいる2人がお互いを指差す仕草がズバッと揃ってラインが繋がるのが気持ちいい。オリジナルメンバー揃いのユニット曲ラッシュの締めは「*(asterisk) with なつなな」(高森、青木、三宅、安野)による「Wonder goes on!!」。センターステージに集まった4人が思いっきりジャンプし、おしくらまんじゅうのように背中を押し付けあいながら、もみくちゃになってエアギターを見せる姿は多幸感に満ちた光景だった。
M17:PROUST EFFECT(藍原ことみ)
M18:桜の頃(桜咲千依・立花理香・花守ゆみり・藤本彩花)
M19:if(飯田友子)
M20:薄紅(木村珠莉・立花理香・福原綾香)
M21:Private Sign(ルゥ ティン)
M22:桜の風(飯田友子・大坪由佳・立花理香・東山奈央・山下七海・山本希望)
M23:クレイジークレイジー(藍原ことみ・髙野麻美)
「歌で演じる」ことで会場を支配したのが藍原ことみの「PROUST EFFECT」。突き抜けていくような高音からつぶやくような歌いかけへの落差はまるでジェットコースター。サイケデリックな色あいの照明が彼女の世界をアシストする。強く、しなやかで蠱惑的な表現からは、アイドルを演じる役者ならではのすごみがあった。ラストは「好きだよ」の言霊の魔弾にドームが撃ち抜かれたようだった。「桜の頃」は立花理香、桜咲千依、花守ゆみり、藤本彩花と名前に“桜”“花”を含むキャストの歌唱。この楽曲のベースのイメージを担う立花、そこに桜咲が加わるところまでは想像ができたのだが、花守の情感豊かな歌声が加わることで、ぐっと表現の幅が広がったようで新鮮だった。
飯田友子の「if」はスローテンポの楽曲にしっかりと想いを乗せていく歌唱。センターステージでひとり歌う姿からは、奏がうちに秘めた感情や想いが伝わってくる。ラスト、シルエットになった飯田が表情を隠すようなキメの仕草が印象的だった。
初日公演でもっとも新しい姿を見せたのは、「薄紅」に参加する福原だったかもしれない。基本は原曲の立花理香の表現に、福原と木村の歌唱が寄り添っていく三重奏なのだが、“小早川紗枝”の歌の世界に入っていくことで凛の新しい表現が見えたというのだろうか。透き通るような、優しく儚くも芯がある高音は渋谷凛としての福原の新境地だった。木村は語尾を伸びやかにふくらませる「咲いて」のワンフレーズに気持ちを込めて、本当に大切に歌っていることが伝わってきた。
ルゥ ティンの「Private Sign」はダンサーたちと一体になったダイナミックなダンスが印象的で、和の装束の袖をひるがえす姿が鮮やか。唇に指を当てての謎めいた笑みにも引きこまれた。「桜の風」は大坪由佳、東山奈央、山下七海、立花理香、山本希望、飯田友子と、様々な色合いで個性がたった歌声を集めた感じで、心地よく響く歌声たちがリズミカルに響き合いながら、めぐる季節を美しく描き出した。
9月に前橋で開催された「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS SS3A Live Sound Booth♪」で初披露された藍原ことみと髙野麻美の「クレイジークレイジー」だが、初披露から2ヶ月で再披露の機会がやってきた。今回個人的に目を奪われたのは髙野。キャラクターの表現に入りこむ藍原の深度は異質と言ってもいいレベルだが、この日の髙野はそんな藍原と互角以上の存在感と表現を見せつけていたように感じた。普段楽しいフレちゃんが、真剣な表情で表現の牙をむいたような、そんな感覚があった。
M24:Dreaming of you(東山奈央)
M25:Dear My Dreamers(杜野まこ)
M26:炎の華(原 優子)
M27:アンデッド・ダンスロック(桜咲千依・千菅春香)
M28:美に入り彩を穿つ(立花理香・ルゥ ティン)
M29:純情Midnight伝説(金子真由美・千菅春香・原 優子・村中知・安野希世乃)
M30:Tulip(藍原ことみ・飯田友子・髙野麻美・佳村はるか・ルゥ ティン)
M31:Happy New Yeah!(大坪由佳・大橋彩香・東山奈央・花守ゆみり・原 紗友里・福原綾香・藤本彩花・村中 知・杜野まこ)
大人の時間の幕開けは、東山奈央の「Dreaming of you」から。川島瑞樹にこの上なくふさわしい役回りを、東山は見事な表現で務めあげてみせた。ダンサーとシンクロした美しい動きの流れの中で、手をさしのべるときのふとした微笑の美しさに引きこまれる。幻惑し、夢の世界にいざなうようなステージは「Good night」のひと言で締めくくられた。
続く杜野の「Dear My Dreamers」は、オレンジ色の情熱がふきあがるようなパフォーマンス。。ダンサーと一体になった杜野が見せるのは激しく鋭い「動」のダンスだ。燃え上がるエネルギーを歌声と全身で表現する、まばゆいばかりのステージだった。原 優子の「炎の華」はまた激しさの方向性が違う。セーラー服+特攻隊長のイメージの衣装をまとった原は、大砲をぶちかますような、戦いはパワーだと言わんばかりのパフォーマンスを披露。叫ぶような魂の歌唱を見せたと思えば、全力疾走でバックステージからセンターステージまで駆け抜ける。ラストは逆光の中で拳を握りしめた。
正と負、ベクトルの違う“ロック”が不思議な調和を見せたのが桜咲千依と千菅春香の「アンデッド・ダンスロック」だ。誰と合わせても自分のカラーを貫き、それでいて不思議とフィットしていく桜咲の存在は本当にオリジナルだ。千菅が力強い高音域でテンションを爆発させるような正調の盛り上がり方をするのに対し、桜咲は大地を指し示しながら響かせる、抑えに抑えた、それなのに不思議と通る低音の余韻で強い印象を残す。より低く深く抑えた歌唱がいちばんの聴かせどころというスタイルは抜群に新しいが、それが生きるのも対称をなす千菅の歌唱が本物であるからこそだろう。
ルゥと立花の「美に入り彩を穿つ」。赤と青の和の衣装の2人が並び立つ姿はそれだけでも鮮烈だが、ダンサーたちも赤と青の和ドレスをまとうことでステージを二色の世界に塗り分けた。ラストのキメは本当につややかで鮮やかで、立ち姿そのものが美しい2人だ。
終盤のオリジナルメンバー勢揃いで興味深かったのが、炎陣による「純情Midnight伝説」とLiPPSによる「Tulip」の見せ方の違い。吹き上がるようなテンションを会場と共有することが大切な「純情Midnight伝説」は、馬車に乗ったアイドルたちが会場中を練り歩きながら「おいおいおい!」と煽り立てていく。一方の「Tulip」は、あの5人がアイドル(キャラクター)そのままの衣装で並び立つビジュアルそのものが無敵だから、ドームのセンターステージで。それぞれの見せ方に確固たる根拠がある。「アンデッド・ダンスロック」「美に入り彩を穿つ」を含めたオリジナルメンバーによる強いナンバーの畳み掛けには「必ず殺す」と書いて必殺の威力があった。
ブロックラストの「Happy New Yeah!」は新年楽曲ということでライブの流れからするとやや番外にも感じられ、ニュージェネ+佐藤心と三村かな子のオリジナルメンバーが揃ったからこその選曲だろうかと思った。しかし馬車で会場を廻りながら、客席を楽しそうに煽ってハッピーを届けていくアイドルたちの姿を見ると、ライブ全体のコンセプトにぴったり合う楽曲だなと思い直したのだった。
そして本編ラストナンバーは「Stage Bye Stage」。「VR ZONE SHINJUKU」で開催されたVR公演「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS new generations★Brilliant Party!」に向けて制作された楽曲という、ちょっと意外な選曲だ。だがこの曲を聴いて、演者たちがMCでも「アイドル」をまとって演じた今日のライブのコンセプトが見えた気がした。CG STAR LIVEで、そしてアイマス全体で見れば765プロが作り上げた「MR ST@GE!!」で、2次元のアイドルたちがリアルの世界にやってくる仮想ライブを作り上げるという経験をアイマスチームがした今だからこそ、今度は3次元のキャストたちが可能な限り2次元の表現に寄せていくライブというアプローチになったのではないだろうか。人生で一度限りの初舞台を迎えるキャストがいるステージではやはり本人の言葉を残させてあげたいことを考えると、このタイミングだからこそできた実験的構成のように思えた。今回のライブでは、会場ごとに公式メモリアルブックを後日発売することが告知された。キャスト本人の想いは、そちらで感じてほしいということだろう。
個人的には、明るく楽しく、アイドルたちが夢を届けるエンターテイメントとして、とても完成度が高いライブだったのではないかと思う。時計が0時を指さない、魔法が解けないライブ。
アンコールでは「GOIN’!!!」と「お願い! シンデレラ」を披露。個人的には「GOIN’!!!」の歌い出しの卯月のソロパートは、シンデレラのセンターがそこにいてくれることをいちばん実感する時間のひとつだ。半屋外環境での「GOIN’!!!」はTVアニメの野外ライブの光景を思い出させるものだったが、会場が揺れる地鳴りのような歓声は、現実のライブであればこその感動だった。
最後の挨拶は原 紗友里、福原、大橋が代表して行なうと、「全力全開、情熱パッション!」「クールに熱く、駆け抜けていくよ!」「笑顔でかわいく、がんばります!」と各属性ごとに掛け声を揃えた。ラストはもちろん、「アイマスですよ、アイマス!」の大合唱でライブを締めくくったのだった。
Text by 中里キリ
「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 6thLIVE MERRY-GO-ROUNDOME!!!」初日公演
2018.11.10 メットライフドーム
<セットリスト>
M01:イリュージョニスタ!(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M02:気持ちいいよね 一等賞!(伊達朱里紗・村中 知・杜野まこ)
M03:HARURUNRUN(大坪由佳・高森奈津美・藤本彩花)
M04:TOKIMEKIエスカレート(金子真由美・山下七海・佳村はるか)
M05:ニャンと☆スペクタクル(桜咲千依・高森奈津美)
M06:One Life(千菅春香)
M07:STORY(大橋彩香・福原綾香・原 紗友里)
M08:Starry-Go-Round (THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M09:Radio Happy(山下七海)
M10:DOKIDOKIリズム(伊達朱里紗・山本希望)
M11:Dreaming Star(木村珠莉)
M12:凸凹スピードスター(花守ゆみり・三宅麻理恵)
M13:Jet to the Future(青木瑠璃子・安野希世乃)
M14:Twin☆くるっ★テール(山本希望・佳村はるか)
M15:Virgin Love(金子真由美・原 優子)
M16:Wonder goes on!!(青木瑠璃子・高森奈津美・三宅麻理恵・安野希世乃)
M17:PROUST EFFECT(藍原ことみ)
M18:桜の頃(桜咲千依・立花理香・花守ゆみり・藤本彩花)
M19:if(飯田友子)
M20:薄紅(木村珠莉・立花理香・福原綾香)
M21:Private Sign(ルゥ ティン)
M22:桜の風(飯田友子・大坪由佳・立花理香・東山奈央・山下七海・山本希望)
M23:クレイジークレイジー(藍原ことみ・髙野麻美)
M24:Dreaming of you(東山奈央)
M25:Dear My Dreamers(杜野まこ)
M26:炎の華(原 優子)
M27:アンデッド・ダンスロック(桜咲千依・千菅春香)
M28:美に入り彩を穿つ(立花理香・ルゥ ティン)
M29:純情Midnight伝説(金子真由美・千菅春香・原 優子・村中 知・安野希世乃)
M30:Tulip(藍原ことみ・飯田友子・髙野麻美・佳村はるか・ルゥ ティン)
M31:Happy New Yeah!(大坪由佳・大橋彩香・東山奈央・花守ゆみり・原 紗友里・福原綾香・藤本彩花・村中 知・杜野まこ)
M32:Stage Bye Stage(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
EN01:GOIN’!!! (THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
EN02:お願い!シンデレラ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
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