リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2018.08.31

10周年記念ベストアルバム『DIAMOND MEMORIES ~All Time Best of ELISA~』リリース記念 ELISAインタビュー

10周年記念ベストアルバム『DIAMOND MEMORIES ~All Time Best of ELISA~』リリース記念 ELISAインタビュー

TVアニメ『ef – a tale of memories.』のOPテーマ「euphoric field」でのデビューから10年余り、クラシックをルーツに持つ絹のようなソプラノボイスと、オペラからジャズまでを取り入れるプログレッシブなサウンドでアニソンシーンを盛り上げてきたELISAが、これまでのキャリアを総括するベスト・アルバム『DIAMOND MEMORIES ~All Time Best of ELISA~』をリリースした。

ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント(現・NBCユニバーサル)時代の音源で構成されたDisc-1、活動休止を経てソニー・ミュージック移籍後の楽曲をまとめたDisc-2の2枚組となる本作。数多のアニメ作品を彩ってきた名曲はもちろんのこと、王菲(フェイ・ウォン)の「紅豆~アカシアの実~」を中国語でカバーした新録音源も収められており、彼女の“これまで”と“これから”を知るには最適なベスト盤になっている。10周年という節目に原点に立ち戻りつつ、あらたな挑戦にも取り組む彼女に話を聞いた。

――ELISAさんは歌手デビュー10周年という節目にベスト・アルバムを発表することについて、どんな思いを抱いていますか?

ELISA 私のことを見出してくれたディレクターさんは、この10年間、私にクラシックの経験があるからこその「ELISAにしか歌えない楽曲」をたくさん用意してくださって、一緒に寄り添いながらいろいろチャレンジしてきたんです。2013年には「リスアニ!」さんの付属CDに収録させていただいた「Shout my heart」で活動休止から復帰したんですが、そのときに私が「『フィフス・エレメント』のオペラみたいな歌唱をマネしたい」と提案したことで、だんだんプログレッシヴな曲が当たり前になってきて。でも、逆に「これからのELISAはどうしよう?」という気持ちもあったので、2017年に私から「あらたなELISAを追求したい」と提案して、ELISAチームの編成をガラリと変えたんです。だから去年は中国語とかいろんなことに挑戦できた年でもあったんですよ。

――最近は中国や香港などの中華圏でライブを行う機会が増えてますしね。

ELISA MCは全部中国語で話すように頑張ってますけど、伝えられることには限りがあるので、向こうの方はまだ私のことをあまりご存知ないと思うんです。でも、それはある意味、原点の頃の気持ちに戻れるのかもしれないと思って。そんなときに出会えたのがTVVアニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅』のEDテーマだった「WISH」という曲なんです。その前に歌った「ex:tella」(ゲーム「Fate/EXTELLA」主題歌)はKOTOKOさんに作詞をしていただいて、自分にできることはすべて盛り込んだ曲だったので、たしかに私にしか歌えない曲になったんですけど、少し背伸びしてる感じがあったんですね。でも、「WISH」ではあらためて素の自分が出せたし、逆に“自分らしさ”を振り返るいい機会になって。今回のベスト盤には中国語の曲を入れることもできましたし、10年間のキャリアで培ってきたものを踏まえて「11年目をどう成長していこう?」という気持ちも表現できたと思います。

――『DIAMOND MEMORIES』というタイトルにはどんな意味を込めたのですか?

ELISA 私はELISAを介して繋がった人々の期待に応えたいと思ってるから、もし生まれ変わったとしてもELISAと出会いたいし、悔しかった日々も含めてELISAとの日々を来世でも繰り返し歩みたいと思ってるんです。その日々は、いつを振り返っても私にとっての誕生石であるダイヤモンドのようにキラキラと輝いているので、『DIAMOND MEMORIES』というタイトルをつけさせていただきました。ダイヤモンドが同じサイズでもカットのされ方で輝きが変わるように、11年目のELISAはこれまでの10年という日々の先からあらたな輝きを作り上げたくて。それは決して今に満足することなく歌い続けたいと切に願っているからでもあります。

――収録曲に関しては、デビュー曲「euphoric field」から現時点での最新シングル「WISH」までのアニメ/ゲームとのタイアップ曲がほぼ網羅されてるほか、今回が初出の音源もあります。「光の雨」は3rdアルバム『Lasei』(2011年)の初回盤DVDにスタジオライブ映像が収められていましたが、CD化されるのは初でしょうか?

ELISA この曲は岩里祐穂さんに詞を書いていただいた曲なんです。アルバムの特典用にリゾートスタジオで映像を収録したんですが、今回はそのとき一緒にレコーディングした音源を初収録しました。私もオリジナルの音源は持ってなかったんですよ。これと王菲さんの「紅豆~アカシアの実~」のカバーが初音源化になりますね。

――「紅豆~アカシアの実~」は先ほどおっしゃってた中国語で歌われてる曲ですね。なぜこの曲をカバーされたのですか?

ELISA 中国のビリビリ動画とSACRA MUSICがやっている「SACRA STATION」という配信番組にゲスト出演させていただいた際に、私が中国語を勉強していることもあって王菲さんの「紅豆~アカシアの実~」をカバーさせていただいたんですね。そしたら100万人くらいが視聴してくれていて、中国のWeiboというSNSでもフォロワー数がすごく増えたんですよ。その後、ビリビリ動画が主催するライブイベント(「BiliBili Macro Link-Star Phase×Anisong World Matsuri2018」)に出演させていただきまして、そのライブのMC中に「紅豆~アカシアの実~」のサビの部分だけを歌ったら、(上海の)メルセデス・ベンツアリーナにいる1万人以上のお客さんが大合唱してくれたんです。だから今回は中国の方々への敬意を込めて、新録で収録しました。

――今、振り返ってみてとりわけ思い出深い曲は?

ELISA どの曲もそうなんですけど、う~ん……「Invisible Message」に関しては私もすごく思い入れが深くいですね。この曲は『劇場版 ハヤテのごとく! HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』の挿入歌で、2011年に歌手活動を休業する少し前に発表したんです。2011年に入った頃から体調不良で右耳の調子が悪くて、音程も音量もよくわからない状態だったんですけど、だからこそ「歌いたい!」という気持ちがすごくあって、「あと何回レコーディングできるんだろう?」と思ったら、一つひとつの曲をより大切に思えるようになったんです。レコーディングのときも、私がすごく苦手とする息を抜くようなニュアンスで歌うことを学べましたし。でも、何よりそれをファンの皆さんの前で歌えなかったことが悔しくて。

――ライブで歌うことなく、歌手活動を休止することになったんですね。

ELISA そのとき、私は親の期待に応えたい気持ちが大きすぎて、自分の体調不良のことを両親に隠してたんです。でも、結局は過呼吸を起こしてしまったことがきっかけで、親にも体調不良のことがバレてしまって。そういうこともあって親に「もう限界かも」というメールを送ったら、ちょうどふたりで映画を観に行って「Invisible Message」を聴いてくれてたタイミングだったんですね。今でこそ「あのときはビックリしたよ」と言ってくれますけど、当時は自分も本当に悔しかったですね。しかもその後に出した「SCARLET WINGS」はBPMが200ぐらいある元気な曲だったので、この曲で私のことを知ってくれた人は休止を意外に思ったと思います(笑)。

――デビュー間もない頃の曲ではいかがですか?

ELISA 「HIKARI」は私にとっての初めてのバラード曲だったんですけど、ディレクターさんが昔からここぞというときに出そうと思って温めていた曲らしくて、そんな曲を歌わせてもらえてすごくうれしかった思い出があります。当時、C.C.Lemon Hallで初めて生で歌わせてもらったんですけど、緊張しすぎて何も覚えてないですね(笑)。振りで手を差し伸べるところも、恥ずかしくて手をあまり伸ばせなくて(笑)。

――復帰後の楽曲でターニングポイントになったものは?

ELISA 「そばにいるよ」は復帰して間もなくの作品ですし、この頃には今の私の代名詞になっているプログレだったりソプラノボイスを織り交ぜるようになりました。『革命機ヴァルヴレイヴ』のEDテーマだったんですけど、これを機にタイアップ曲でも作詞を担当させてもらえるようにもなって。私の書く文章はどうやら句読点が多くて、まとまりがなくて、オチがないらしいんですけどね(笑)。

――ハハハ(笑)。

ELISA それと「EONIAN -イオニアン-」も自分のなかで大切な曲です。『楽園追放 -Expelled from Paradise-』の主題歌だったので、TVサイズの89秒とは違って、全体を通して楽曲を聴いてもらえるのは劇場上映作品ならではだなと思って。この曲は最初はフォークっぽいんですけど、だんだんロックになって、そこからオーケストラ調に変化して、最後は転調したり、サビのサイズも最後だけ長かったりして、アレンジがどんどんと変化して同じところがないんですよね。その変化していくさまがELISAらしいというか。カラオケで歌いにくいって言われますけど(笑)。

――ライブで印象に残ってる曲はありますか?

ELISA 「Real Force」は菊田大介さんに「ライブで掛け合いができる曲を作って欲しい」とお願いして作っていただいた曲で、歌ってて楽しいですし、みんながひとつになれる、ライブの楽しさを教えてくれる曲ですね。昔はサイリウムがポキっと折って使うタイプだったので、この曲のイントロが流れた瞬間にお客さんがみんなUO(ウルトラオレンジ)を折るためにかがむから、客席から突然人がいなくなったように見えるんですよ(笑)。2011年に活動休止前の最後のワンマンライブをO-EASTでやらせていただいたときは、あえて1曲目に持ってきてお客さんの予想を裏切ってみたんですけど、ダンサーさんが2人いらっしゃったり、バンド編成だったこともあって、ものすごく盛り上がってくれました。

――今回のベスト盤であらためてこれまでのキャリアをまとめたことで、今後の新たな展望や目標も見えてきたのでは?

ELISA 例えば「Rain or Shine」ではスキャットで歌ったみたり、去年あたりから、今まで想像もしてなかったことへの挑戦ができている最中だと思うんです。そういう新しいこととはまた別で原点にも戻りたいと思っていて。いまは海外でのライブが増えてきて、向こうのファンの方は皆さん歌詞を覚えてらっしゃるので、私も現地の母国語をしゃべって頑張ろうと思ってるところですね。10月20日には台湾で初ライブを行いますので、ぜひ一緒に台湾を楽しみましょう!

Interview & Text By 北野 創


●リリース情報
ELISA 10th Anniversary Best Album
『DIAMOND MEMORIES ~All Time Best of ELISA~』
8月29日発売

品番:VVCL-1283~4
価格:¥3,900(税込)

<Disc-1>
1.euphoric field(English)(TVアニメ『ef – a tale of memories.』OPテーマ)
2.HIKARI(TVアニメ『隠の王』EDテーマ)
3.ebullient future (English)(TVアニメ『ef – a tale of melodies.』OPテーマ)
4.Wonder Wind(TVアニメ『ハヤテのごとく!!』OPテーマ)
5.Dear My Friend -まだ見ぬ未来へ-(TVアニメ『とある科学の超電磁砲』EDテーマ)
6.Real Force(TVアニメ『とある科学の超電磁砲』EDテーマ)
7.God only knows(TVアニメ『神のみぞ知るセカイ』OPテーマ)
8.集積回路の夢旅人
9.Invisible Message(アニメ映画『劇場版 ハヤテのごとく! HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』挿入歌)
10.SCARLET WINGS(Xbox360用ソフト『迷宮クロスブラッド リローデッド』OPテーマ)
11.真実の証
12.光の雨

<Disc-2>
1.そばにいるよ(TVアニメ『革命機ヴァルヴレイヴ』2ndEDテーマ)
2.REALISM(TVアニメ『革命機ヴァルヴレイヴ』3rdEDテーマ)
3.ミレナリオ(TVアニメ『魔法科高校の劣等生』EDテーマ)
4.Shout my heart(アニメ音楽誌「リスアニ!」添付楽曲)
5.LIFE(テレビ東京『アニメマシテ』6月度EDテーマ)
6.EONIAN -イオニアン-(アニメ映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』主題歌)
7.君をのせて(井上あずみカバー曲)
8.Rain or Shine(TVアニメ『91Days』EDテーマ)
9.ex:tella(PlayStation(C)/PlayStation Vita用ソフト『Fate/EXTELLA』主題歌)
10.コントレイル
11.WISH(TVアニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅』EDテーマ)
12.紅豆 -アカシアの実-(王菲(Faye Wong)カバー曲)

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP