INTERVIEW
2018.08.30
――ちなみに、今回レコーディングはおふたり立ち会われたんですか?
唐沢 いえ、私は立ち会っていません。
加藤 僕も今回は立ち会ってないです。
――ということは、レコーディング後にキャラとしての歌声を聴かれたわけですね。
加藤 はい。キャラを立てるっていう曲の通りに、歌ってもらっているというのが第一印象で。あくまでも「シェラとレムが歌っているんだ」っていうイメージでした。そのときはもちろんまだアニメのオンエア前だったので、「なるほど。こういう声で、こういうキャラなんだな」っていうのをその歌で知ったんですよね。
――その像は実際にオンエアが始まっても、揺るぎないものでしたか?
加藤 そうですね。僕の中では、ちゃんとキャラクターが歌っている感じになっていると今でも思っています。
唐沢 私も同じく、「声優さんってすごいな」って思いました。どんな楽曲が来ても、役としてきちんとそこで生きることができるのは、すごいですよね。
――唐沢さんは、以前芹澤さんのソロ曲「今夜も月がきれい」の歌詞を書かれていますけど、それとは全然印象の違う曲で。
唐沢 はい。私が知っているセリちゃんとは違う印象でした。セリちゃんはかわいらしい歌声が魅力的なボーカリストですけど、今回はセリちゃん自身が表現したい世界観とはまた違う、役としての表現の仕方をしたんだな、っていう意志みたいなものを感じました。
――シェラ、ちょっと歌い方が奔放ですもんね。
唐沢 そうですね(笑)。
加藤 なので、エンデイングとはある意味対極にある曲なんです。
唐沢 ホント!……ホントって言っちゃった(笑)。でも、全然違いますよね。
加藤 エンデイングも、僕オンエアで聴いて「これ、すごい曲だな」って思ったんですけど。芹澤さん自身のよさって、「DeCIDE」とはまた別のところにあるじゃないですか?だからパッと知らない人が聴いたら同じ人とは思えない感じになっていると思って。それはすごく、面白いことなんじゃないかなって思います。
――だからこそ両方ハマる方がすごく出てきていて。発売を待っている人もたくさんいると思います。
唐沢 あの、ネットで「異世界 OP」って入れると「発売日」って出るんですよ。それを見て「調べられとる……!」と思って(笑)。リリース、夏アニメだとあとのほうですもんね。
――そうなんですよね。その他にも、おふたりへのこの曲の反応はありましたか?
加藤 アニメのオープニングをさせてもらうときにはだいたい子供や奥さんに意見を聞くんですけど、今回はわりと肌色の多いアニメなのでなかなかその相談もしにくくて(笑)。第一回のオンエアのときにちょっとエゴサーチ的にツイートを調べたんですが、そのときは概ね好評で。ただそれは、うれしいというよりはひと安心というのが正直なところでしたね。
唐沢 あと、第一話の段階では「すごくかっこいい楽曲!」というよりも、とにかく面白がってくださっていたんですよ。反応が褒めるだけじゃなくて、愛を持ってイジってくれるような意見もあったので、「これは、これからも面白がってみんな観てくれるかも……?」っていう好感触を感じました。ただ、CMを拝見したら加藤さんと私のタッグがバーンと前に出ていて、なんだか申し訳ない気持ちになりまして(笑)。裏方としてお仕事をしているつもりなので……でもこのタッグで作品ファンの方々が湧いてくださっていたことは、ありがたいなと思いますね。
加藤 そういう反応を見ると、唐沢さんとたくさん一緒に曲を作らせていただいて、過去の曲も含めて認めていただいてるんだなぁっていううれしさはありますね。
――そのCMは、発売が近づくにつれてMVバージョンも流れ始めましたが、MVをご覧になっていかがでしたか?
加藤 いや……正直、イメージできてなかったです。
唐沢 ですよね(笑)。
加藤 僕は面白かったというか、「なるほど、そう来たか!」っていう感じがしました。キャラが歌っているから、キャラの絵を動かすっていうのが第一イメージじゃないですか?でも芹澤さんと和氣さんが出てきて、作品の描写はないにもかかわらず作中のふたりの並び立ってる感じとか水と油感みたいなものがすごく表現されていて、「なるほどな」って思ったんですよ。
唐沢 私は、開始早々「え?肉!?」って思いました(笑)。キャラ絵になってキャラクターが動くのか、はたまたちょっとかっこいい衣装を着てふたりが歌い上げるのか……みたいな感じをイメージしていたので、まさかあんなにかわいい女の子たちがわちゃわちゃしてるMVになるとは思ってなかったんですよ。でも本当に、キャラのいいところとメインのおふたりのいいところが出ていて……なんというか、チグハグも追求すればかっこいいなというか(笑)。「こんな表現の仕方があるんだ」と、すごく楽しく拝見させていただきました。
――それでいて、曲自体の軸は外してないんですよね。
唐沢 そうなんですよね。
加藤 そういう意味では、ギリギリのミスマッチ感を狙ってわりととんがったものを……っていう僕らのイメージが、映像まで統一されてるんじゃないかな?っていう感じはありますね。
唐沢 でも、ふたりともすごい楽しそうだったなぁ……あの、最初に肉を刺したときのセリちゃんの目が、完全に楽しんでますよね(笑)。
――ノリノリでしたね(笑)。
唐沢 あず未さんのTwitterで、「私とセリコがイチャついてるMVです!」みたいなことをおっしゃってて。本当にふたりが仲良しなのが伝わってきて「もう……なんかいいな!」って羨ましくなっちゃいました。それに、単純にかわいい女の子キャッキャしてると元気出ますよね。「明日も頑張ろう」って思う。
――曲のテンション感と相まって、明日に向けてパワーをくれるというか。
唐沢 うん。ほんとほんと。
加藤 おふたりのファンの方も、うれしいんじゃないですかね?
――いざリリースされたら、おふたりで『異世界魔王』にキャラソンを書いてほしいという声が出ると思います。もしおふたりでこの作品のキャラソンを書けるとなったら、誰にどんな曲を書いてみたいですか?
加藤 僕個人的には、拓真ですね。
――ディアヴロではなく?
加藤 はい。拓真です。
唐沢 拓真のですか!?
加藤 基本ディアヴロが主人公だと思うんですけど、本当の主人公は拓真じゃないですか?拓真のあの三枚目な感じが出てるときは、劇伴でも全然違うものにしているんですよ。そういう意味で、この5人のオープニングを作らせていただいて、ディアヴロが主人公として存在していて、単純に次なにか歌ができるとしたら、僕は拓真じゃないかなと思うんですよね。
――いろいろ面白そうなことができそうだ、という。
加藤 はい。特にまだ「こんな音楽だ」っていうのはなにもないんですけど、ただやりたい(笑)。それか、ディアヴロと二面性のある曲にしても面白いかもしれませんね。ベタなド二枚目と、三枚目の曲が入れ替わりながら同居してたりしても面白いかもしれないです。
唐沢 いちばん書きやすいのは、絶対ディアヴロじゃないですか?
加藤 逆に僕は、ディアヴロだけの曲ってなったら、たぶん悩みます。
唐沢 そっかぁ……私はシェラとレムの、それこそMVで彼女たちがわちゃわちゃしてる感じをそのまま楽曲として表現できるような、かわいらしい曲も作ってみたいです。
――普段も、きゃいきゃいケンカしてるシーンもありますし。
唐沢 そうそう!それがわりと毎回のようにあるじゃないですか?あの感じを出せたら、もっと違うアプローチができそうですよね。
――雰囲気的にも、オープニングとはまた全然違う曲になると思いますし。
唐沢 そうですね。ちょっと拓真は書きにくいかな?(笑)。情報がなさすぎですよ!(笑)
加藤 そこはやっぱり、イケてない組の、気分になって。
唐沢 ちょっとジメジメした曲ですか?
加藤 そうそう。キャラソンってオープニング/エンデイングには題材としては取り上げられないものじゃないですか?だから拓真とか……あと、他にも悪役のキャラがいますよね。それもエデルガルドとか主役級じゃなくて、本当に悪い悪役とか。だから“ザ・悪者”みたいな曲……はどうです?面白い?
唐沢 ふふっ(笑)。でも、どっちかに振り切ってたほうが書きやすいかもしれないですね。
Interview & Text By 須永兼次
●リリース情報
TVアニメ『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』OPテーマ
「DeCIDE/SUMMONERS 2+」
歌:シェラ・L・グリーンウッド:芹澤優/レム・ガレウ:和氣あず未/アリシア:原 由実/シルヴィ:大久保瑠美/エデルガルト:加藤英美里
8月29日発売
【CD+Blu-ray】
品番:EYCA-11966/B
価格:¥2,100+税
【CD only】
品番:EYCA-11967
価格:¥1,200+税
<CD>
01.DeCIDE
作詞:唐沢美帆、作曲・編曲:加藤裕介
02.イルメナイト
作詞:古屋 真 作曲・編曲:山下洋介
03. DeCIDE(Instrumental)
04.イルメナイト(Instrumental)
<BD>
アーティストによるミュージックビデオ収録予定
●作品情報
TVアニメ『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』
TOKYO MX・BS11・AT-Xにて放送中
【スタッフ】
原作:むらさきゆきや (講談社ラノベ文庫刊)
キャラクター原案:鶴崎貴大
監督:村野佑太
シリーズ構成:筆安一幸
キャラクターデザイン:金子志津枝
総作画監督:西岡夕樹
アニメーション制作:亜細亜堂
【キャスト】
ディアヴロ:水中雅章
シェラ・L・グリーンウッド:芹澤 優
レム・ガレウ:和氣あず未
©むらさきゆきや・講談社/異世界魔王製作委員会
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