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INTERVIEW

2018.08.05

共感・感情移入する楽曲で、彼女が表現したものとは? 下地紫野「そんなの僕じゃない。」リリースインタビュー

2016年、TVアニメ『ステラのまほう』OPテーマ「God Save The Girls」でアーティストデビューを果たした声優・下地紫野。約2年ぶりのリリースとなる2ndシングル「そんなの僕じゃない。」は、TVアニメ『すのはら荘の管理人さん』のEDテーマに起用されたデジタルチューン。序盤ではどこか浮遊感を持ちながら、希望を感じさせる形で締めくくられるナンバーだ。今回は久々のリリースにあたっての心境と、表題曲を含めた収録曲全3曲に込めた想いについてインタビュー。そこからは、彼女が持つ楽曲への共感を、随所で感じることができた。

表題曲で大事にしたのは、“葛藤”の気持ち

――本作は1stシングル「God Save The Girls」から、約2年ぶりのリリースとなります。

下地紫野 お話をいただいたときはすごくうれしかったです。ありがたいことにこの2年の間に声優として、今まで演じたことのないキャラクターを演じさせてもらっていたこともあって、「チャンスがあれば歌いたいな」と思っていたんです。焦りみたいなものはありませんでした。

――声の表現の一環として、今度は歌の機会が巡ってきたという感覚?

下地 そうかもしれません。それに、『アイカツ!』を2年演じさせてもらったあと、自分でもどんどん視野が広がった感覚があります。以前よりも余裕を持てるようになったと感じられていたことも大きかったと思います。

――前作リリース後には、2017年のANIMAX MUSIX OSAKAをはじめたくさんの場所で歌われてきました。その経験を経て、人前で歌うということへの印象は変わりましたか?

下地 「自分だったらどのようにお客さんと対話して、歌を通じて気持ちやイメージを共有することができるんだろう?」っていうことを、すごく考えるようになりました。ただ、今は「歌うことが楽しい」というところが先走っちゃってるかな、と思っています。もっとお客さんとコミュニケーションを取れたらもっといいんだろうなぁ……ということを考えることは増えました。

――そんな想いが浮かんだ瞬間もあったんですか?

下地 私は口下手なので、歌でコミュニケーションを取れたとしたら、どんな感じかなって思っています。前作のリリースイベントで「プ・レ・ゼ・ン・ト」っていうバラードを歌っていたとき、お客さんがすごく聴き入ってくださっているのを感じました。もちろん盛り上がってくれるのもうれしいんですけど、そういう姿を見るのも歌声が届いている感じがして、いいなぁと思ったんです。

――ただ、歌声に聴き入ってくれているというのもひとつコミュニケーションが成立した形だと思います。

下地 そうですよね……こんな感じで、進んでいけたらと思っています(笑)。

――その第二歩目になるのが今回の「そんなの僕じゃない。」ですが、この曲に最初に触れたときには、下地さんはどのような印象を受けられましたか?

下地 最初にデモを聴かせていただいた時に、夜明けみたいな印象を受けました。みずみずしさもあるけどちょっと陰りもある、みたいなところがいいなと思ったんです。そういう“光があれば影がある”みたいな雰囲気を感じて、「すごく歌うのが楽しみだな」って思いました。

――そのサウンドのみずみずしさと下地さんの歌声との相性がとても良好で、さらに歌声の中にあるあどけなさが『すのはら荘の管理人さん』の主人公の(椎名)亜樹くんとも結びついて、そちらの面でも魅力を発揮していると思うんですよ。

下地 ありがとうございます。「そんなの僕じゃない。」って、誰もが思うことなんじゃないかな、と思って。歌詞にもあるんですけど、なりたい自分にはなかなかなれないし、知りたい自分はよくわからない。自分から出てきたものも否定したくなるし……そういう自分の中のモヤっとしたところは、きっと亜樹くんが作中で抱えている葛藤と同じだろうなと思ったので、そういう気持ちをイメージをしながら歌わせていただきました。だから、それを歌声で表現できていたとしたらすごくうれしいです。

――実際にこの曲を歌ってみて、いかがでしたか?

下地 「僕じゃない」っていうフレーズは否定的な言葉なので、最初はきつくならないようにもう少し抑え悩みんだほうがよいのかなどは少し考えていました。それで相談をさせてもらって、最終的に感情を赴くままに歌うことになったんです。なので、レコーディング全部が終わってから聴かせてもらったときには、「おばあちゃんになっても歌えるかな?」ってちょっとドキドキしました(笑)。

――そうなんですね。中音域の部分が多くてその部分の響きが魅力的なので、歌いやすい曲なのかなという印象を受けたんですよ。

下地 たとえばこの曲のAメロはオケの空気感などもあってあまり今まで皆さんが聴いたことのないような歌い方になってるかな、と思います。でも、全然悩まずに歌えてはいて……あ、そうか。悩まずに歌えたから、そんなふうに印象的に思っていただけたのかもしれないですね。

――前作リリースの際にはどちらかといえば直感で歌われるとお聞きしたのですが、そのスタイルは今回も変わらず?

下地 あまり変わっていません。セリフに関してもそうなんですけど、あんまり考え込みすぎるのが本当によくなくて。自分がそのとき感じているものを表現するほうが合っているのかな、って感じるところはありますね。

――ちなみにこの曲、オンエアされてからすでに反響は受けていますか?

下地 ファンの皆さんや視聴者の皆さんからもいろんな声をいただいていますし、身近な人からの感想もいろいろもらいました。『アイカツ!』で一緒だった和久井 優ちゃんからは「紫野ちゃん!すごくいい!」って連絡が来ました。石川由依ちゃんからも連絡もらったり、アーティスト写真が出たときには『セイレン』で一緒だった黒木ほの香ちゃんも連絡をくれたり……わざわざ時間を使って曲を聴いてくれたりMVを観てくれてたり、誰かの心に届くような歌を歌わせて頂いているのも、よかったなってすごく思います。

――あ、MVの反応もすでに。

下地 「紫野ちゃん、すごくかわいい!」って……和久井 優ちゃんから(笑)。優ちゃんはすごくマメで、よく連絡をくれるんですよ。

――そんなMVですが、今回は非常に緑の豊かなところで撮影されましたね。

下地 はい。ディーゼルの車両とか駅で撮影させていただきました。列車自体もかわいらしかったですし、車窓から見える風景も緑がたくさんですごくきれいで。お仕事ではあったんですけど、ちょっと休暇を味わっているような気分になりました。東京からそんなに遠くないのに、こんなに素敵な場所があるんだ、って感動しました。

――その中には、前回に続いて今回もふたりの下地さんが登場して。

下地 そうなんです!でもふたつの衣装になったのは、ジャケット撮影がきっかけだったんです。最初、衣装さんやスタッフさんと相談して今回は夏らしく「青がいいね」ということになったんですけど、当日は衣装さんが、実際にジャケットで使われている赤い衣装も「これも似合うと思うんだよね」って持ってきてくださって。両方とも着させていただけることになったんです。それで今回のMVでは、せっかく赤と青でふたつ衣装があるので、自分探しというテーマのもと、あのような素敵な作品になりました。

――最初は赤の下地さんが青の本を、青の下地さんが赤の本を持っていて、最後に青の下地さんが青の本を持っていたので、何か自分が見つかったのかな?という印象も受けたのですが。

下地 私、自分探しって死ぬまで続くものなのかなってずっと思ってるんですけど、「自分って、こういうところあるな」みたいにちょっとずつわかってもくるじゃないですか?そういう、ひとつ自分がわかったみたいな瞬間なのかな、と思います。

――そのときは、ちょっと満足気な微笑みを浮かべていて。

下地 そうですね。近年稀に見る微笑みだったような(笑)。今作は全体を通して、自分の中で多少なりとも余裕ができていたような感覚があり、以前の自分と比べてもラフな気持ちでいられるようになったと感じてます。なので、自分らしさが以前よりもっと表に出せたように思っています。

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