今回のテーマは「アイ」。ファンに贈る「愛」、これが自分という意味での「I」、アルバムタイトルに様々な思いを込め、楠田亜衣奈が4thミニ・アルバムをリリース。「アイ」にあふれた「ナ」ナ曲の制作過程を聞くなかで、ますます楠田亜衣奈はセルフプロデュース能力に磨きがかかってきたと感じさせる。
――今回、収録曲はすべて「愛」がテーマになっているということですが、どういったきっかけから思いついたんでしょうか?
楠田亜衣奈 コンセプトを考えているとき、去年のライブツアーがちょうど終わった頃で、ツアーで「ハート(愛)が7個でアイナ」って言っていたのを思い出したんです。それで「これがいいんじゃ?」と思ったのと(笑)、デビュー・ミニ・アルバムのタイトル曲「First Sweet Wave」でこだま(さおり)さんが「亜衣奈」の名前をもじって歌詞に「愛ナンテ」という言葉を入れてくださっていて。それがすごくうれしかったんですけど、それも思い出して、「愛が7曲でアイナ。アイナンダ!よし、これでいこう!」って決めました。ちなみに、V6さんに「愛なんだ」って曲があるんですけど、あの曲も大好きなんですよ。小学校のとき、歌詞から「あい“な”なんだー」ってからかわれていましたけど、「私の曲なんだ」って思えてすごくうれしかったんです。だから、アルバムのタイトルにしました。でも、まったく同じタイトルにする訳にもいかず……こだま(さおり)さんに相談したら、「アイナンダ、いいと思います。カタカナにしたらどうでしょう」って言っていただいて、「それだぁー!」と決まりました(笑)。
――7曲のテーマはどのように細かく決めていったんですか?
楠田 今回、「愛」をテーマにした7曲と決まったあと、表題曲は定番曲とか、バレンタインの曲やウエディングソングもほしいとか、7曲のテーマとイメージと参考楽曲を書いて、制作陣の皆さんに「これでお願いします!」って投げました。何度かで「ちょっとイメージと違います」ってやり取りをしたんですけど、特に大変だったのが表題曲で、コンペでもなかなか決まらなかったんです。表題曲はダンスナンバーにしたかったので、最終的に、ダンスナンバーといえば、というイメージからArmySlickさんにお願いして。そこからすんなりといきました。
――ダンスナンバーと決まった理由は?
楠田 ミュージックビデオでダンスがしたかったんです。ミュージックビデオは表題曲で撮ることになるので、今回はダンスナンバーに、という選択でした。
――表題曲のMVでダンスする自分を見せたい、と?
楠田 そうです。MVで踊っている姿を観てもらいたくて。いちばん皆さんの目や耳に触れる機会が多い曲をダンスナンバーにしたいというのは、たぶんこれから先もずっと変わらない気がします。
――では、かなりMVにも力を入れましたか?
楠田 最初、ダンスをフィーチャーさせたいところにイメージシーンが入っていたので、MVの編集に立ち会わせていただいて、「ダンスシーンを入れるのはここじゃないです」「ここでダンスを入れてください」という指示を出したり、それ以外にも「ダンスのいちばんのポイントはここです」「ここで引きにしてください」「アップにしてください」といった指示を出したりしました。ダンスのいちばん魅力的な部分が伝わらないのは嫌だったのでこだわりました。なので満足のいくミュージックビデオができました。
――詞に関しても教えていただけますか?
楠田 こだまさんとはずっとご一緒していて、私のことをわかっていただいてるので「定番の恋愛ソングでお願いしまーす」くらいの感じでした。アルバムのタイトルは使わなくてもいいかな、と思っていたんですけど、タイトルと歌詞に「アイナンダ!」を入れていただいて、さすがです。「私のうれしいことしてくれる!」と思いました。今までの楽曲から続くイメージを感じるのもこだまさんだからだと思います。その意味では、歌いやすい詞でもありました。
――では他の曲も。バレンタインソングを入れた意図は?
楠田 発売は夏ですけど、アルバムのコンセプトを考えていたのがそれくらいの時期で。やっぱり愛といえばバレンタイン、みたいなところもあるじゃないですか。あと、バレンタインデーの由来を聞いたら素敵だと思ったんです。でも、ただこういう楽曲が歌いたかったというのはありますね(笑)。キャッチーでポップだけどちょっとおしゃれで、プリティーな感じですね。
――歌詞についてですが、こだまさんの書いたバレンタインはいかがでしたか?
楠田 サビの“Melty Sweet Heart”“Melty Sweet Love”はメロディが大好きで。そこにキャッチーな歌詞を入れていただけました。
――3曲目の「ただいまを歌おう」は恋愛ソングという感じではありませんが?
楠田 そうですね。これは恋愛ではなくて、「地元愛」というテーマで書いていただきました。楽曲のイメージはロックナンバーで。あと、ライブツアーで各地の地名を入れたり遊べる楽曲にしたいとお願いしました。
――素敵なアイデアですね。
楠田 私も思いました(笑)。やっぱり、同じ曲でも会場によって違って聴こえるじゃないですか。それを具現化できないかなと思ったんです。
――そこを歌詞のこだまさんにも伝えて?
楠田 はい。もし「今回のアルバムでは1曲しかこだまさんにお願いできないんです」と言われたら、絶対これを選びます。それくらい、こだまさんじゃなきゃ書けない歌詞だと思います。
――地元愛に振り過ぎていないバランスがありますね。
楠田 「都会に疲れて」とかネガティブなものは嫌だったので、そうならないようにお願いしました。
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