INTERVIEW
2018.05.27
大橋彩香の、ファン待望の2ndアルバム『PROGRESS』。本作のリード曲「シンガロン進化論」を提供したのは、Sound ScheduleやOxTのボーカルを務め、自らも“オーイシマサヨシ”名義でアニメソングを歌唱するシンガー・ソングライター、大石昌良だ。今回大石はこの曲の作詞作曲編曲を手がけるだけでなく、レコーディングにおいてディレクションも担当。大橋とがっちりタッグを組み、楽曲を作り上げた。本稿では、そのレコーディングのエピソードを中心としたふたりの対談をお届け。その対談のなかで、ふたりの意外な共通点も明らかに……?
――「シンガロン進化論」でご一緒される前、おふたりは何かイベント等でご一緒されたことはありましたか?
大石昌良 3~4回ぐらいあったっけ?
大橋彩香 はい。ガッツリ絡んだりっていうのはなかったんですけど。
大石 コラボももちろんなかったしね。こうやって曲を書かせてもらうまでは、僕は大橋さんには“とにかく無邪気で元気な女の子”っていうイメージばかりが先行していて。あとは、あの“へごちん”という独特のあだ名。生まれた瞬間の動画も、観させていただきましたけども。
大橋 ヤバい(笑)。
大石 「なんてきれいに歴史を残していく子なんだろう」って思いました。あと、普通にライブにチケット買ってきてくれはったみたいで……。
大橋 はい。初めて自分でチケットを発券して(笑)。
大石 大橋さんのTwitterで、本当にひと言だけ「そぉい!!」っていうツイートがされていて。Tom-H@ckとのOxTっていうユニットの「STRIDER’S HIGH」っていう楽曲に、「そぉい!」っていう掛け声とともにお客さんと跳ぶっていうくだりがあるんですけど、そのツイートがちょうどワンマンの日の、同じぐらいの時間帯で。「なんで……?言って……?」みたいな感じでした。
大橋 あはは(笑)。でもそこは、ちゃんとしないと。
大石 それに、僕の音楽を聴いていただいている、みたいなお話も事前に聞いていたので、「ライブに足を運んでくれるぐらいなんだなぁ」ってそのときに確認したというか……ありがとうございます、なんか。
大橋 いえいえ、こちらこそ(笑)。私は、歌とギターがめちゃめちゃ上手なおにいさんっていうイメージでした。まさかこんな形でご一緒できるとは……!
大石 いや、こちらこそですよ。僕、今回お話をいただいて、めちゃくちゃ大橋さんの動画とかMV観まくりまして。普通にファンになっちゃった。
大橋 いやぁ……(照)。
大石 「こんな太陽みたいな子、おんねんな」って思いましたよ。でもいろいろ聞いてる感じだと、お仕事に対してすごく熱心な方だけど、結構根は暗い、というか。基本インドアだというお話は、御本人やらスタッフさんからお伺いしていたんですけど。カラオケもわりとひとりで行くタイプなんですよね?
大橋 そうですね。はい。
――たまにひとりで行かれて、履歴をUPされたりも。
大石 それで僕の作った曲とかが結構あって。めっちゃうれしいです。……何がいいんですかね?
――どこがお好きなんですか?
大石 そう、それ僕聞きたい!
大橋 えー!もう全部なんですけど……曲も歌詞も素敵だし、でもやっぱいちばんは、大石さんの歌声がすごく好きなんです。それにカラオケで歌ってても、一つひとつの楽曲が歌っていてすごく楽しいですし、構成も全然飽きなくて。何回聴いてても、いいですね。
――そして今回タッグを組まれた「シンガロン進化論」ですが、楽曲についておふたりが事前に打ち合わせをされたりはしたんですか?
大石 いや、そういうことは特になく。でもイベントで一緒になったときに、途中段階を聴いていただたりはしましたね。で、そのとき一緒に「僕が作った曲でどの曲がいちばん好きな曲ですか?」みたいなこともインタビューさせていただいて。そこでの情報も、アレンジに反映していったんですよ。
――実際レコーディングでは、大橋さんだいぶ緊張と恐縮もされていて。
大橋 いやー、めっちゃ緊張しました。
大石 またまたぁ。堂々とした歌声でしたよ?
大橋 いや……いつも以上に受け答えの声がちっちゃかったと思います。私、緊張すると声出なくなっちゃうんですよね。
大石 ……それ、声優としてどうやねん。
大橋 あははは(笑)。
大石 でも実は、事前に「僕がディレクションでいいんですか?」って言ってたんですよ。というのも、変な緊張があって歌のパフォーマンスが出なかったら……っていうことも、作り手としては一応考えたりするので……。でもそれで言うと、ちょっとうまいことまとめるみたいで申し訳ないんだけど、今回は『PROGRESS』だからね。成長とか一歩先へ、みたいな話でいうと、そういうある程度の緊張感を持ったレコーディングっていうのも、経験させたかったり……したんですか?
大橋スタッフ そうです。なので今回はわりと他の楽曲もいつものディレクターではなく、作家さんなどにディレクションしていただくものが多かったんですよ。
大石 なるほど。ディレクションされるとそのディレクターとか作家さんの個性も出てきたり、新しい視点とか歌い回しも覚えたりしますしね。
大橋 そうですね。今回は特にそういう自分の栄養みたいになったものが、ほかの楽曲でもいろいろありましたね。だから、かなり成長できたんじゃないかなって思います。
――ということは、「シンガロン進化論」を通じて大石さんのディレクションの特徴みたいなものも感じたり?
大石 うわ、めっちゃ恥ずかしいこと聞きますね(笑)。
大橋 はい。大石さんは、私が作ってきたものを「いいよ」って言ってくださって、そこにプラスして、もっと良くなる追加要素を言ってくださるんです。基本は「自由にやっていいよ」っていう感じで、個性を生かしてくれるディレクションだったなぁって思います。
大石 ホント?でも、正直ディレクションすることもほとんどなくて。考えてきていただいたボーカリングが素晴らしかったので、それを少しだけ添削させてもらったっていう感じだったんです。だって思わずコントロールルームで、後ろにいたスタッフさんのほう振り向いて「もうこれでいいですよね?」って言っちゃったぐらいだったんですよ。だから「好き勝手させてもらった」っていうのは、逆に自分で好き勝手できる環境を整えて臨んでくれた結果だと思います。
――それぐらい消化してしまうほど、この曲を聴かれていた。
大橋 普通に家で口ずさんでました。洗濯しながらとかお風呂入りながらとか……生活の一部になってましたね。
――しかも、ご自身のバージョンも結構聴いてるお気に入りの曲、というお話もお聞きしました。
大橋 そうなんです。もう、ずっと聴いていて。
大石 ホントですか?仮歌のほう聴いてない?大丈夫?
大橋 えへへ(笑)。また『仮歌』を出されるときは、ぜひ歌ってください。
大石 すごいよね、本人から『仮歌』歌ってくださいって。なかなか聞かないですよ。でもそのときは、ぜひ「シンガロン進化論」やりますよ。……なんの話をしてんねん(笑)。
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