TVアニメ『創世のアクエリオン』のアポロ役、TVアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000%』の一十木音也役、TVアニメ『SERVAMP‐サーヴァンプ‐』城田真昼役、TVアニメ『アトム ザ・ビギニング』お茶の水博志役など、アニメやゲームで活躍中の人気声優、寺島拓篤の約2年5カ月ぶりとなる3枚目のアルバム『REBOOT』が完成。「INNER STAR」「0+1」「sunlight avenue」のシングル曲に加え、書き下ろしの新曲やinterludeなどを含む全12曲を収録している。中土智博、ミト(クラムボン)、山本陽介、オレスカバンド、Shinnosuke、岩田アッチュ、エンドウ.(GEEKS)らが楽曲に参加しており、今作も引き続き、すべての作詞を寺島拓篤が担当。ソロアーティストとして音楽活動5周年を迎える寺島拓篤の集大成と呼ぶにふさわしい作品となった。
作曲・編曲は、F.M.Fの工藤 嶺。ベース・プレイヤーとしても広く知られており、オーイシマサヨシ「君じゃなきゃダメみたい」、内田真礼「ギミー!レボリューション」、水樹奈々「アンビバレンス」(アルバム『SMASHING ANTHEMS』収録)、Machico「fantastic dreamer」、竹達彩奈「Hey!カロリーQueen」などの楽曲に参加。また田辺トシノとともに『けいおん!』のベースを担当し、ライブイベントのバンドにも参加をしている。『けいおん!』つながりでは、日笠陽子「終わらない詩」にて演奏参加、また佐藤聡美のアルバム『Fanfare』には「OVERHEAD」を提供している。
寺島拓篤の作品では、1stシングル「magic words」のカップリング曲「FAKE」、2ndシングル「スターテイル」など、寺島拓篤の音楽活動の初期から関わっている工藤 嶺。1stアルバム『NEW GAME』の「Architect」と同じく今作でもアルバムのリード曲となる「evolve」を手がけている。
「喪失と再生」をテーマに、不安を抱えながらも歩み始めた強い意志を映し出す「Architect」と、「進化」をキーワードに、過去から未来へと向かう様子を描く「evolve」。両者には共通する点も多く、例えば前者の歌詞にある“歩き出す”が後者では“歩き出せ”に、また“今 動き出した 足はまだ重いけど”が“未来へと駆け出す 足音が加速していく”と変化しているように、「Architect」と比べると「evolve」では主人公からより強く、自信に満ちた表情が伝わってくる。その颯爽とした態度は、止まることなく歩み続け、アーティストとして成長を遂げた寺島拓篤の姿にも重なるようだ。
「Architect」を起点とするならば「evolve」はその発展系。パワフルなロックを奏でるバンド・サウンドの方向性を保ちつつ、前へと進み続けるイメージをさらに躍動的に表現。ピアノ、電子音、残響、コーラスなど音要素をふんだんに加えながら、そちらに目移りすることなく、楽曲としていかに聴かせるかに留意したアレンジのきめ細やかさも感じられる。ヴォーカルはクールなトーンの中にも、たぎるような情熱を忍ばせて、力強くそしてエモーショナルに抑揚を響かせる。歌声はエネルギッシュだが、熱量をぶつけるのではなく、むしろ楽曲へと聴き手を引き込むような柔軟さが伝わってくる。
作曲・編曲は、元SOUL’d OUTのトラックメーカー・Shinnosuke。現在は、FENCE OF DEFENSEのドラマー・山田わたる、VJ WADAKENとのプロジェクトチーム、“WILL XPERIMENT”や、LUV AND RESPONSEのヴォーカル・D sky walkerとのユニット “boyz mart”などの活動も行なっている。またTVアニメ『プリパラ』第3クールエンディングテーマとなる、Prizmmy☆「I Just Wanna Be With You 〜仮想(ヴァーチャル)と真実(リアル)の狭間で〜」や、TVアニメ『パンチライン』のオリジナルサウンドトラックなど、小室哲哉が手がけた楽曲にアレンジャーとして参加することも多い。
J-POPやR&B、アイドルなど幅広く楽曲を提供しているShinnosuke。佐咲紗花の「SAYONARA Last Melancholic Night」(アルバム『Atlantico Blue』収録)の作・編曲や、カヴァーアルバム『SAYAKAVER』では、TWO-MIXの「JUST COMMUNICATION」のアレンジを担当。『アイドルマスター ミリオンライブ!』の「Sweet Sweet Soul」(『THE IDOLM@STER LIVE THE@TER FORWARD 03 Starlight Melody』収録)や、“IDOLiSH7”や“TRIGGER”など『アイドリッシュセブン』の楽曲などにも携わっている。
上ものはEDMのアレンジによるエッジの効いたサウンドだが、ベースラインがファンキーなディスコ調という、ダンサブルな要素の折衷も絶妙な「0+1」。寺島拓篤の前作のアルバム『PRISM』では、真夏のストリートへと繰り出す爽快なファンキー・チューン「JUMBLE TOWN」を手がけたShinnosukeだが、今回はエレクトロニックな方向へとシフトし、開放感を外ではなく内へと詰め込んだような、空間的なサウンドの仕上がり。このことは作詞にも影響を与えており、閉鎖された空間での開放的な一体感=“stageとfloor”がつながるライヴの模様を歌で表現している。
ちょっと思わせぶりな言葉が続く導入部から、ユーモラスな雰囲気がたっぷりと漂ってくるが、タイトルの意味も面白い。「0+1」は「ラブアンドピース」と読むのだが、「愛と平和」の「Love & Peace」 と思いきや(もちろんその意味も含みつつ)、実は「Love & Piece」。テニスなどで「Love」と呼ぶ「0」と、「かけら」の「Piece」を組み合わせている。“0(空っぽ)の箱を埋めていく人たち(pieces)”という言葉に、成る程、ライヴってそういうことだよねとうなづかされ、またライヴが完成するイメージを、“最後のpieceはみんなのlove”とさらに意味を入れ替えて伝える、寺島拓篤の作詞センスに唸らされる。“みんなのその顔が見たかったから 始めたんだよ?”と“pieces”に向かって愛を叫ぶ人と、それを受け取る“pieces”からの愛。お互いの“love”が相乗効果のように高まり、クライマックスへと登りつめる。オーディエンスを煽りつつ、ヴォーカルはちょっと享楽的なスタイルなれども、最高のライヴをみんなと作り上げたいという熱い想いがあふれ出している。
ブルージーなロックが火花を散らす、山本陽介の面目躍如たるギタープレイが堪能できる「kaleido phantom」
アルバムでは毎回、ファミコンのRPGようなインストナンバーを制作している、青木繁男によるトランシーなダンスロック「flow」
「evolve」のMVにも出演している加藤大祐(北村 望、工藤 嶺、山本陽介、青木繁男とともに寺島拓篤バンドの、また茅原実里のバックバンド、“CMB”のメンバーでもある)による、壮大な雰囲気が広がるエモーショナルなラストナンバー「landscape」
さらにサウンドの幅を広げ、新たな表現へと挑んだ、アーティストとしての“進化”を感じさせるアルバム「REBOOT」。ハイレゾでは、音の粒子がはじける「sunlight avenue」、無限の星空を思わせる深い空間とそこに浮かぶ音の煌めきが印象的な「INNER STAR」、ヴォーカルやサウンドのエディットがますます刺激的な「0+1」、クラブサウンドの要となるビートの量感が増した「flow」など、楽曲のイメージがさらに鮮やかな音の形へと集約されている。またパワフルに弾むオレスカバンドの演奏に歌声を華麗に踊らせる「climber」や、「kaleido phantom」のように演奏者の姿を活き活きと描写する解像感は、「life goes on」の抑揚の甘さや、「tiny adventure」での少年のような朗らかさ、「0+1」の艶っぽさなど、声のニュアンスや表情もよりリアルに捉えている。これら一聴して感じられる音の良さはもちろんのこと、存分に楽しませてくれる魅力的な楽曲が満載のアルバムに仕上がっている。
寺島拓篤
REBOOT
Lantis
2017.03.22FLAC・WAV 96kHz/24bit、WAV 96kHz/32bit
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1.overture III (INST)
作曲・編曲:青木繁男
2.evolve
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:工藤 嶺(F.M.F)
3.sunlight avenue (TVアニメ『SERVAMP -サーヴァンプ-』ED主題歌)
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:中土智博
4.life goes on
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:北村 望、工藤 嶺(F.M.F)
5.kaleido phantom
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:山本陽介
6.INNER STAR
作詞:寺島拓篤 作曲:ミト 編曲:鈴木Daichi秀行
7.interlude III (INST)
作曲・編曲:青木繁男
8.climber
作詞:寺島拓篤 作曲:ADD 編曲:オレスカバンド
9.0+1
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:Shinnosuke
10.flow
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:青木繁男
11.tiny adventure
作詞:寺島拓篤 作曲:岩田アッチュ 編曲:エンドウ. / 岩田アッチュ
12.landscape
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:加藤大祐
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