INTERVIEW
2017.04.28
「?でわっしょい 」
( 『ひだまりスケッチ×365』 OPテーマ)
歌:ゆの( CV.阿澄佳奈), 宮子( CV.水橋かおり), ヒロ( CV.後藤邑子), 沙英( CV.新谷良子)
作詞:畑 亜貴 作曲:Tatsh 編曲:安藤高弘
佐藤 もはや歌詞が意味わかんないですよね(笑)。
ミト 畑 亜貴さんのこの崩れ加減はヤバいですね(笑)。
佐藤 この曲から「ハモを歌唱するのは下級生」制というシステムができました。
ミト おおー、なるほど!それでこの曲だとゆのと宮子がハモ担当なんですね。掛け声は全員?
佐藤 掛け声は全員です。めっちゃ重ねましたね。OPの画を想像して、絶対盛り上がるのが見えていたので賑やかにしました。「ユメでユメでみんなと」のところとかは、ゆのがひとりで出てくるのが見えましたしね。
ミト 昔からずっと気になってたんですけど、“ユメでユメでみんなと”の所でゆのの独唱になるじゃないですか。ここってもしかして、誰かに何か「もう一個フックが欲しい」的なことを言われて足した部分だったりします?
佐藤 これは伊藤(善之)のディレクションです。
ミト やっぱりそうですよね!そうじゃないとここは絶対できないと思うんですよ。
佐藤 なくても成立しますもんね。
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ミト これは『ラブライブ!』の1期OP「僕らは今のなかで」も同じなんですよ。どちらも普通の作家の感覚だと、明らかにお尻が出てる部分があるんです。作家として必要性は感じないけど、ダメ押し感で入れていくスタイル。やっぱりこれは伊藤さんなんですね。今までずっと謎だったんですけど、やっぱそうだったんだ……(笑)。
佐藤 作曲家からすると、自分からはあまり選ばないフレーズですよね。
ミト “わっしょいでーす”で伸ばしたら次にすぐバトンできるんですけど、そのあとにダメ押しのメロがあるんです。ここがあるのかないのかで全然違うんですよ。
佐藤 このパートがあるからこそ、89秒の映像の中でゆのがソロになるシーンが作れるんですよ。映像的に「この子が主人公だよ」というのがわかりやすくなるんです。
ミト このソングライティングは俯瞰しているディレクションがいないと絶対できなかっただろうと、当時から踏んでいました。
「流星レコード」
( 『ひだまりスケッチ×365』EDテーマ)
marble
作詞:micco 作曲・編曲:菊池達也 ストリングスアレンジ:ぺーじゅん
ミト このイントロは最高ですね!
佐藤 このイントロのフレーズには思い出があるんです。もう89秒バージョンを作って提出しなきゃいけないギターのレコーディング日に、菊池さんが寝違えて左手が動かなくなってしまったんですよ。すぐに病院に連れて行ったら痺れているだけではあったんですが、フレットを押さえられないし治るまでには時間がかかる。でも納品にはギリギリで、結局菊池さんが「なんとかするよ」と動かない左手を右手で押さえながら、すごく短いフレーズを弾いてパンチイン※で作ったんです。
※箇所を指定しての部分的な差し替え録音。マルチトラックレコーダーにおいて再生状態から録音状態への切り替えをパンチイン、録音状態から再生状態へのパンチアウトと呼ぶ。
ミト それでこれになってたんだ。実はこのフレーズって、ギターでさらおうとすると絶対きれいには弾けないんですよ。パンチインで音を積んでいかないとこうはならないんです。開放弦が含まれているので、続けて弾くと一回フレーズを止めなくちゃならないんですよ。それが違和感なく入っているのがどういう理由なのかと思っていたんですが、そういうことだったとは。でもこのフレーズだからこその格好良さがあって、すごく良いなと思ってました。出頭にこのイントロが来るとは思ってないですし、ここからAメロで転調しているのも面白いですよね。
佐藤 「芽生えドライブ」の評判が良かったからこそ、2枚目のシングルなのに背水の陣的な感じがあったんです。前作を越えるという気合いの表明として、ストリングスを生で入れました。
ミト ぺーじゅんさんのストリング・アレンジですよね。ここからmarbleの独自性が出てきたと思います。
佐藤 「芽生えドライブ」での風がなびくような爽やかさが印象に残っていたので、marbleはここからほかのアーティストとの差別化としてすごく高い上ハモを足すようになっていきます。これって普通の人がやらない帯域の上ハモなので、印象に残るかなと考えまして。marbleのひとつのサウンドのカラーにしようと思って、ほかの曲でもやり続けていますね。
ミト トップノートがコーラスになるというのは、結構危険なことなんですよ。あとで歌を直すのが大変だったり、奇声になってしまったり。これはmiccoさんだからこそできるスキルですよね。あと「芽生えドライブ」と比べて、ここからキメが多くなりましたよね。
佐藤 それは完全に狙いましたね。アニソンに近づこうとする意図がありました。
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