「Rising Hope」「シルシ」を収録した『Launcher』より2年2カ月ぶりとなる、LiSAの4thフルアルバム『LiTTLE DEViL PARADE』。「Rally Go Round」(TVアニメ『ニセコイ:』OPテーマ)、「Empty MERMAiD」、「Brave Freak Out」(TVアニメ『クオリディア・コード』OPテーマ)、「Catch the Moment」(『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』主題歌)のシングル曲を含む全13曲を収録している。田淵智也や江口 亮、カヨコ、堀江晶太、野間康介、akkin、小南泰葉、高橋浩一郎ら作家陣に加え、ラストナンバーでは東京スカパラダイスオーケストラが編曲・演奏で参加。シーンの垣根を超えて活動を続けるLiSAの今が感じられる、充実の仕上がりとなった。
LiSAの憧れの存在だったバンド、Pay money To my Painのギタリスト・PABLOによるアルバムのオープニングナンバー。PABLOはLiSAの配信シングル「ID」の編曲や、「She」(2ndミニアルバム『LUCKY Hi FiVE!』に収録)の作曲・編曲を手がけ、また「Brave Freak Out」にはギタリストとして参加している。この「LiTTLE DEViL PARADE」の演奏にはPABLOに加えて、Pay money To my Painからもうひとり、ドラマーのZAXが参加。そして、ベースはRIZEのKenKenと強力なバンド編成となっている。
自分の心にある甘えやわがままといった気持ち=「小さなデビルたち」を否定せずに認めてあげて、逆に引き連れてパレードするぐらい前向きに人生を楽しんでいこう、という今作のテーマをそのまま形にしたこのタイトル曲。オルタナ、パンク、ガールズロック、ミクスチャーなど、LiSAが大好きな音楽の要素をたっぷりと詰め込んだサウンドが変化を続けながら進みゆくさまは、非常にアグレッシヴながらも、掲げる「パレード」の名にぴったりで、またその開放的な雰囲気はLiSAのライブを思い出させる。ロックが持つダイナミズムを最大限に押し出したパワフルな演奏でありつつも、キャッチィな楽曲としてまとまっているのもLiSAらしい。ハイレゾでは余裕のある空間で響き渡る演奏の熱量の高さと、それに拮抗するようなヴォーカルの勢いがダイレクトに伝わってくる。
“僕が僕らしくあるために”自分に素直に生きていこうと、声を高く上げるヴォーカルが力強くパレードを先導。ラストに向けて煽るような、“L.D.P !”の連呼が次第にやんちゃな感じの抑揚に変わってくるのも面白い。ライブでオーディエンスと合唱している光景が目に浮かんでくるようだ。
UNISON SQUARE GARDENの田淵智也が作詞・作曲を手がけるアルバムのラストナンバー。このアルバムには彼が携わった2曲のシングル「Catch the Moment」(作曲)、「Brave Freak Out」(作詞)も収録されている。そして、東京スカパラダイスオーケストラが編曲・演奏を担当(ホーン・アレンジはトロンボーンの北原雅彦)。「LiSA×田淵智也×スカパラ」というコラボ感たっぷりのナンバーだ。この曲でもキメを多用した「田淵節」は健在で、跳ねるリズミカルなサウンドに東京スカパラダイスオーケストラのご機嫌な演奏と、両者の相性も抜群。ロックに振り切った「LiTTLE DEViL PARADE」と比べると、こちらのパレードはニューオリンズ的とでもたとえればよいだろうか。朗らかに賑やかにサウンドはその先へと進む。
この曲も観客との一体感を期待させてくれる仕上がりで、“バイバイするのももったいないよね?” “終わりが来るのは便宜上だからさ 時間を騙そうぜBABY!”なんて歌詞もますますライブのイメージを強くさせる。「LiTTLE DEViL PARADE」と同じくこちらも少年のようなヴォーカルで歌われているが、歌詞には、“僕ら”という言葉が加わっており、“独りぼっち”で始めたパレードがアルバムを通してどんどんと大きくなってきたことがわかる。このパレードに加わったのは「小さなデビルたち」だけでなく、アルバムを聴いてくれた“キミ”たちのことに違いない(後半では数え切れないほどの参加者を示すように、“キミ”が早口で連呼される)。アルバムやライブを通じて楽しい時間を一緒に過ごしたいというLiSAの想いが強く伝わってくる。
「Catch the Moment」のレビューはこちら
「Brave Freak Out」のレビューはこちら
ビターなオルタナ感あふれるナンバー「LOSER ~希望と未来に無縁のカタルシス~」や、明るく爽やかに弾けるポップな「JUMP!!」、LiSAのこれまでの歩みとイメージをダブらせる「TODAY」など、描く世界観が以前にも増して広がっている。“貴方に堕ちてしまった”と叫ぶパンキッシュな「the end of my world」や、「リングアベル」のように柔らかな雰囲気が漂うガーリーなラブソング「狼とミサンガ」など、今までにはなかった表情も新鮮。ポジティブもネガティブもすべて飲み込んで自分色に染め上げる、表現者としてのさらなる深化を感じる一枚だ。
LiSA
LiTTLE DEViL PARADE
Sony Music Labels Inc.
2017.05.24FLAC 96kHz/24bit
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1.LiTTLE DEViL PARADE
作詞:LiSA 作曲・編曲:PABLO a.k.a. WTF!?
2.Catch the Moment
作詞:LiSA 作曲:田淵智也 編曲:江口 亮
3.LOSER ~希望と未来に無縁のカタルシス~
作詞:LiSA 作曲:カヨコ 編曲:江口 亮
4.the end of my world
作詞:LiSA 作曲:カヨコ 編曲:堀江晶太
5.JUMP!!
作詞:古屋 真 作曲・編曲:野間康介(agehasprings)
6.狼とミサンガ
作詞:LiSA 作曲・編曲:野間康介(agehasprings)
7.Rally Go Round
作詞:LiSA、古屋 真 作曲:じん 編曲:akkin
8.Empty MERMAiD
作詞:LiSA 作曲:YOOKEY(from THE MUSMUS) 編曲:akkin
9.Peace Beat Beast
作詞:古屋 真 作曲:南田健吾 編曲:江口 亮
10.Blue Moon
作詞:LiSA 作曲:カヨコ 編曲:akkin
11.Brave Freak Out
作詞:田淵智也 作曲・編曲:高橋浩一郎
12.TODAY
作詞:LiSA 作曲:小南泰葉 編曲:akkin
13.そしてパレードは続く
作詞・作曲:田淵智也 編曲:東京スカパラダイスオーケストラ Horn arranged by 北原雅彦
演奏:東京スカパラダイスオーケストラ
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