INTERVIEW
2017.05.24
───トイピアノの合奏による「空耳ケーキ」、ぜひ聴いてみたいですね!ではここからは1stシングルについてお伺いします。タイトル曲の「Chant」ですが、こちらはコトリンゴさんが作詞、作曲、編曲をすべて担当されています。歌詞のセンスが非常に独特なのですが、どのような着想から生まれたのでしょうか?
コトリンゴ 原作のマンガを読んで印象に残ったのは、やっちゃいけないことを注意されるシーンですとか、主人公の紗名ちゃんがいろいろなことを学んで成長していくところです。大切なことを学んでいく過程で、友だちと触れ合い、お互いを大切にするようになる。これはカップリング曲「あいのかたち」のテーマにも重なっています。
───これから学んでいくという紗名ちゃんの視点に立ちながら、そして、さらに俯瞰的な視点でも描かれていますね。
コトリンゴ 嫌なことがあっても、ほっといても、ケガは自然に治っていく。自分の体の働きをふと考えたら、これはすごいことだなと思って。そういうものも絡めて、紗名ちゃんが成長していく姿を描きたいなと思いました。
───なるほど。そこが皆さんのコーラスが入るところにある、“白血球”という歌詞につながるのですね。
伊藤 “白血球”って表現はとても面白いよね(笑)。“白血球”って言葉はあまり歌詞に出てこないですよ。
───普通は出てこないですし、あんなに尊い歌い方をされる、“白血球”も聴いたことがないです(一同笑)。
Babi 出だしの、“かさぶた”とか(笑)。
コトリンゴ サビの、“細胞一つ一つ”とかも。
───かつてない視点から描かれた面白さがありますね。
良原 たしかに、“白血球”は心にぐさっときました。
伊藤 コトリさんらしいなと思いました。「ただのふわふわとした音楽じゃないんだよ!」と言いたいです(笑)
良原 “白血球”のあたりでオルガンを入れることになって、そうしたら真澄さんに「“白血球”の感じで弾きなさい」と言われて(一同笑)。
伊藤 そんなこと言ったの私?全然覚えていない(笑)。
───“白血球”のイメージでオルガンを弾くのは、人類初かもしれません(笑)。
伊藤 大事な気持ちで弾いたんだよね、きっと。
───あまり意識せず生きてきましたがたしかに大事ですよね(笑)。独特な制作風景が目に浮かびます。そんな不思議なイメージがありつつも、“世界はまだまだ ずっときっともっとこの先も 捨てたもんじゃないって”という最後の言葉に、強いメッセージを感じます。
コトリンゴ 世界を変えていくのに大きなことはできないかもしれませんが、紗名ちゃんも敵対している人とわかり合って、友だちになっていったように、国を超えて一人一人が繋がって、それをちょっとずつ広げていったら、変わっていくのかもと思うんです。原作を読みながらこんなことを考えていたら、最後にこの言葉が浮かびました。でも歌詞についてはもうちょっとみんなと話し合って書き上げればよかったと思って……。
伊藤 一カ所みんなで書き上げたじゃん!(一同笑)
Babi そうだそうだ(笑)。
コトリンゴ そうでした(笑)。「ラララ」で入れたコーラスを呪文のような言葉にしたくて、皆さんに相談しました。
伊藤 スタジオでコトリさんが突然、「なんか呪文とかがいいなあ……」ってつぶやいて(一同笑)。
───イントロの呪文ぽいコーラスの部分ですね。
伊藤 みんなでわいわい言いながら考えました。
───クリエィティブな面に関して、作曲も編曲もできる、また歌も歌える皆さんが集まっているのは、このユニットの大きな強みでもありますね。曲作りはいかがだったのでしょうか?
コトリンゴ 曲作りの前に定期的に、真澄さんのうちでリハーサルをしていました。それはリラックスした雰囲気なんですけど、「曲をみんな1曲提出!」みたいなお題がありまして。でもそのリラックスしたムードのなかで自由に作るというのが私はとても苦手で、締め切りが決まっているとなんとかできるのですけれど(苦笑)。真澄さんが4曲ぐらいわーっと仕上げて、おふたりもどんどん作っていかれる中、なんの答えも出せなくて……。ですので「Chant」は頑張ろうと思いました。
伊藤 そうだったんだ。
───実はプレッシャーを感じていらしたのですか?
コトリンゴ かなりのプレッシャーを感じていました(笑)。作曲については、登場人物が魔法を使うことや、その物語のスケール感が思い描けるように心がけました。なんとなく空飛ぶイメージもあり、ふわっと広がる感じになりました。真澄さんの音楽の影響も現われているかもしれませんね。編曲はトイピアノをどのように入れるかがちょっと難しかったです。でも編曲は皆さんにご意見いただければ、なんとかなると思いました。
───編曲に関しては土台を考えておいて、あとは皆さんと考えたわけですね。
コトリンゴ ただいろんな楽器を詰めこんで作ったので、トイピアノと足踏みオルガンくらいでしたかね?
良原 アコーディオンもちょっと。
伊藤 チェレスタも(笑)。
コトリンゴ こんな感じで(笑)。そこまでは使ってはいないんですけれど、すごくいいトイピアノ感も出せたかなと。
伊藤 あとはやっぱりコーラス?
───そうですね!この4人だからこその、コーラスの美しさがあります。
伊藤 あの4人のコーラス・パートを作るのにコトリさん、随分苦労されたのでは?
コトリンゴ みんなで歌ったらどんな感じになるとか、あまりよくわかっていなくて、心配なところはありましたけど、レコーディングしてみると声の住み分けがきちんとできていました。そして、最後は真澄さんの声で包まれるという。
伊藤 そんなことないと思うよ(笑)。
Babi いやホントに包まれました!
良原 包みこみながら、真澄さんは上を飛んでいく(一同笑)。
コトリンゴ 後光がさしてて(笑)。
良原 「ああ、真澄さん!」みたいな感じ(笑)。そもそも集まったとき、インストしか練習してなかったんですよ。寄り合いだった当時は(笑)。エンディングテーマが決まったときも「コトリさんが歌うのかな」くらいにしか思っていませんでした。
伊藤 すごい譜面でした。声もカルテットですもんね。
コトリンゴ みんなそれぞれ歌のスタイルもあるのでどうなるかなと思いましたけど、きれいな形にまとまり、ほっとしました。
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