2011年7月より放送された、FLIPFLOPs原作のTVアニメ『猫神やおよろず』。古美術店に居候する猫神・繭と天界の神々、町内の人々との愉快な日々を描いたコメディ作品。監督は『ななか6/17』『ウィンターガーデン』『GA 芸術科アートデザインクラス』の桜井弘明。音楽は大地丙太郎作品でもおなじみ、ダブルオーツの安部 純と武藤星児が手がけている。
「神サマといっしょ」はこの作品のOPテーマで、主人公である繭(CV:戸松 遥)と居候先である「八百万堂」の主、柚子(CV:堀江由衣)の二人が歌唱。繭をめぐる八百万堂でのドタバタした日常がそのままサウンドに表われている。
作詞は、こだまさおり、作曲・編曲は、スフィア「HIGH POWERED」(TVアニメ『侵略!?イカ娘』OPテーマ)や、アイドル作品などを数多く手がける山元祐介。ハイレゾ版ではCDと比べると音のキレが良く、低域が引き締まっているのが感じられる。また爽快に突き抜けるスネアの響きの深さが、音空間の広がりを物語る。CDの音から伝わるメリハリ加減を程よく生かしつつ、重心を低く、立体的な音の鳴りを目指して仕上げられたのがハイレゾ版の特徴だ。
そして、サウンドに乗ってうきうきと弾む、繭と柚子の歌声が微笑ましい。“しゃんしゃんしゃん”のコーラスもさらに勢いを増しており、躍動的なサウンドとともに前に飛び出さんばかり。にぎやかな楽曲のイメージそのままに、活き活きとしたキャラクターの魅力がダイレクトに伝わってくる。
カップリング曲は、電気グルーヴ「虹」のカヴァー「虹 ~Ver.8000000~」。タイトルの数字は「八百万の神」による歌唱、ということから。原曲は1994年のアルバム『DRAGON』に収録されたもので、石野卓球と五島良子がヴォーカルを担当。後にショート・ヴァージョンがシングルとしてリカットされている。
今回は、“2 ANIMEny DJ’s”がアレンジを担当。2 ANIMEny DJ’sはクラムボンのミトとagraphの牛尾憲輔によるユニットで、アニソンDJとしての活動のほか、様々なアーティストへ楽曲提供、リミックスを行っている。90年代のテクノ・アンセムが時を経て、テン年代の解釈により生まれ変わるこの曲。それは、ミトと電気グルーヴ、石野卓球の楽曲制作やサポートに携わっている牛尾憲輔という、最高の理解者によるアニソン・フィールドからのアンサー。非常に意欲的で面白い試みだ。
原曲の雰囲気はそのままに、緩やかに上昇するトランス的な浮遊感が広大な空間を満たす。ほんのりとアシッドなサウンドに程よく融け合って、高天原にかかる虹を雲に寝転んで眺めているかのような、NEW AGE的な癒しさえも感じてしまうほどに心地よく響く。元気な「神サマといっしょ」から一転、夢の中のシーンで流れる挿入歌や、EDテーマにも聴こえてくるような穏やかさが漂う優しい歌声がひときわ印象的。キャラクターの声そのままで歌唱しており、“しゃんしゃかしゃしゃんしゃんしゃーん”との合いの手もリアルな解像感と相成って、ますますキュートだ。
元気ロケッツや茅原実里への楽曲提供、μ’s「もぎゅっと“love”で接近中!」のアレンジ、またTVアニメ『対魔導学園35試験小隊』にてエッジの効いた劇伴を手がけたA-beeによる、昂揚感を“アガる”と解釈したEDM的なリミックス。太めのボトムに“しゃんしゃんしゃん”がいかに映えるかを考え抜いて作られており、アニソン・クラブで盛り上がりそうな、こちらもまたアンセム的なサウンドになっている。
音のキレを強めつつも電子音が耳に固く突き刺さらない、刺激的なサウンドのバランスのさじ加減が絶妙なハイレゾ。その豊かな情報量により音圧に比重をかけずとも、楽器の迫力やスケール感が増していることが、感じられる。作り込んだエディットを見通せるトラックで、爽快に弾けるビートが昂揚感をいっそう煽り、さらにクライマックス感が増した仕上がりとなっている。
繭(CV:戸松遥)&柚子(CV:堀江由衣)
神サマといっしょ
Lantis
2013.12.06WAV 48kHz/24bit
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1.神サマといっしょ
作詞:こだまさおり 作曲・編曲:山元祐介
2.虹 ~Ver.8000000~
作詞・作曲:石野卓球 編曲:2 ANIMEny DJ’s
3.神サマといっしょ ~jumping Skycat A-bee REMIX~
4.神サマといっしょ (inst)
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